子ども向けプチ肉まん:バイヤーとユーザーのニーズ

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この記事は、マーケティングメルマガ「売れたま!」で配信された「商品開発編Vol.106 2021/04/26 子ども向けプチ肉まん:バイヤーとユーザーのニーズ」を編集したものです。このサイトで取り上げるものはごく一部です。この記事のような内容を週2回無料で受け取るには、以下↓の登録ページからぜひご登録ください!
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この記事のざっくりまとめ

「バイヤー」と「ユーザー」のニーズが違うことはよくある。その場合は、バイヤーとユーザーの、両方のニーズに丁寧に応えよう!

COOPの子ども向け野菜肉まんが人気

日本生活協同組合連合会(COOP)は、忙しい家庭の味方。そんなCOOPのヒット商品の1つがこちらです。

『日本生活協同組合連合会が2020年夏に発売した冷凍食品「5種国産野菜のふっくらプチ肉まん 10個入」が好調だ。発売から約13万パック売り上げ、人気の3~6歳向けの食品シリーズ「きらきらキッズ」のなかでもヒットとなった』

『開発を手掛けた谷口水穂さんは「2歳の子供のおやつに肉まんをあげることが多く、より健康的なものを作れないかと考えた」』

『大きさも小さくし、おやつやごはんなど場面に合わせて量を調節しやすくした』

以下、各記事からの引用部分は『』で括ります。

2021/03/26 日経MJ P.5

子ども用のプチ肉まんが、ヒット商品になっているんですね。商品HPはこちらです↓

日本生活協同組合連合会 HP

失礼ながら、なんてことのない小型の肉まんのように見えますが、これがなぜ親の共感を呼んでヒットになったのでしょうか? 

今回はその理由を考えていきましょう!

バイヤーとユーザーのかい離

国産豚肉と5種類の国産野菜を使用し、レンジですぐ食べられる

まず、このプチ肉まんが具体的にどんなものかというと……?

『国産小麦使用に国産にんじんを練りこんだ皮に、5種類の国産野菜(たまねぎ、キャベツ、にんじん、とうもろこし、じゃがいも)と国産豚肉を練り上げたあんを包みました。1個約18gの食べやすいプチサイズ。凍ったまま電子レンジで温めるだけですぐに食べられます』

日本生活協同組合連合会 HP

国産にこだわり、レンジですぐ食べられるようにしていますね。

価格は、税抜298円*です(*日本生活協同組合連合会 ニュースリリースより)

このわずか数行の商品スペックに、ヒットのヒミツがあるんです!

顧客ターゲットは、3~6才の子どもを持つ親

まず、顧客ターゲットを確認しましょう。

このプチ肉まんは、3~6歳児向けの商品シリーズ「きらきらキッズ」の1つです。

となると、顧客ターゲットは、

・買う人(バイヤー) :3~6才の子どもを持つ親
・食べる人(ユーザー):3~6才の子ども

となりますね。

バイヤーとユーザーのかい離

買う人(バイヤー)と食べる人(ユーザー)が違う、という「ユーザーとバイヤーのかい離」が起きている商品ですね。

これはBtoB(法人顧客対象のビジネス)ではよく起きます(バイヤー=調達のニーズvsユーザー=ユーザー部門のニーズ、など)。

BtoC(個人顧客対象のビジネス)でもありえます。BtoCでは、例えばビールなどで起きます。

・バイヤー(買う人):妻=安いビールですませたい
・ユーザー(飲む人):夫=プレミアムビールを飲みたい

というような場合ですね。

ギフト商品も同じような構造になっています。

・バイヤー(買う人):ギフトを贈る人
・ユーザー(使う人):ギフトをもらう人

という関係です。

子ども向け商品では、このようなバイヤーとユーザーが違う、ということはよく起きます。バイヤー=親、ユーザー=子ども、ですね。

今回のプチ肉まんも例外ではありません。まずはここをおさえておきましょう。

買う人・食べる人の両方のニーズにきちんと応えるプチ肉まん

ヒットの理由:買う人・食べる人の両方のニーズにきちんと応える

このプチ肉まんが売れた理由は、

・買う人・食べる人の両方のニーズにきちんと応えている

ということだと思います。バイヤーのニーズ、ユーザーのニーズ、両方にきちんと応えているのです。

私の娘はもう7才ですので、私はターゲットから外れます。それでも娘がこの年頃だったときのことはよく覚えています。

このプチ肉まんがどのようにニーズに応えているか、見ていきましょう。「買う人」(親)と、「食べる人」(子ども)が違いますから、そのニーズを別々に考えていきます。

買う人(バイヤー=親)のニーズに応えるプチ肉まん

まずは「買う人」(バイヤー)である、「親」のニーズを考えていき
ましょう。

以下のようなニーズでしょうか。

1)健康的:子どもの健康に良いものを食べさせたい
2)安全性:子どもが食べるので、安全なものにしたい
3)忙しい:子育て中の親は、子どもの世話などで時間がない
4)食事にもおやつにも:食事とおやつで別に作るのは大変

これらのニーズに、今回の「プチ肉まん」は1つ1つ応えています。

1)健康的 → 5種類の野菜を使用
2)安全性 → 豚肉、野菜ともに「国産」
3)忙しい → 保存の利く冷凍食品、レンジで温めるだけでOK
4)食事にもおやつにも → プチサイズで食べる量を調節

と、親のニーズに丁寧に答えています。親からすると、「細かいところで色々と気が利いている」というところです。

強力な「強み」になっていると思うのが「国産」です。スーパーなどで売っている冷凍食品や総菜で、「国産の原料」をウリにしているものは、あまりないと思います。

小さな子どもに与える食べ物で安全性を気にするのは、親としてもよくわかる感覚です。

これはまさに「安全性」をウリにするCOOPらしい「強み」の作り方だと思います。

食べる人(ユーザー=子ども)のニーズにも応えるプチ肉まん

そして、「食べる人」(ユーザー)である子どものニーズにも応えています。

今回のプチ肉まんの生地は、HPの写真を見る限り、少し黄色っぽい色合いをしています。これはなぜなのでしょうか?

『ホウレンソウを生地に練り込んだ試作品を作ったが、子供が緑色の食べ物を嫌がる傾向があることに気づき、暖かい色合いが出るニンジンを代わりに使った。具も彩りもよくし子供が食べたくなるよう工夫した』

以下、各記事からの引用部分は『』で括ります。

2021/03/26 日経MJ P.5

これは「なるほど!」と思いました。

子どもに野菜を食べさせたい親(バイヤー)のニーズは『ホウレンソウを生地に練り込んだ』緑色の肉まんかもしれません。

しかし、それだと子ども(ユーザー)のニーズに応えられない(子どもに食べてもらえない)のです。

そこで、生地に人参を使い、少し明るい色にして子どもの「拒否」を防いだわけです。

買うのは「バイヤー」である「親」でも、「食べるかどうか」を決めるのは、「ユーザー」である「子ども」。

「ユーザー」である子どもは、「買う物」を選べません。しかし、「食べない」という「拒否権」(泣き叫んでイヤがるとか……)を持っているわけです。

となると、バイヤーの「親」は、ユーザーの「子ども」のニーズに応えざるを得ません。ユーザーの子どもが食べるものでなければ、バイヤーの親が買わないわけです。

だから、5種類の野菜は、

・たまねぎ、キャベツ、にんじん、とうもろこし、じゃがいも

なんだと思います。

『子供が緑色の食べ物を嫌がる』(記事より)わけですよね。

これらの野菜の色は「みどりみどり」していないんですよ。緑なのはキャベツだけですし、それほど「緑」でもありません。にんじん、とうもろこしは、明るい色合いで、お菓子のような色味ですよね。だから子どもが手にとりやすいわけです。

このように、このプチ肉まんは、

・買う人・食べる人の両方のニーズにきちんと応えている

ということがよくわかります。親が子どもに食べさせたい食べ物であり、かつ、子どもも喜んで食べ
るわけです。

結果として、冒頭の記事にあるように

『発売から約13万パック売り上げ、人気の3~6歳向けの食品シリーズ「きらきらキッズ」のなかでもヒットとなった』

というヒット商品となったわけです。

お客様のアタマの中とケンカすると負ける

ここで、「緑色だけどお菓子のような肉まん」を作る、という手もあったかもしれません。

ただ、それだと子どもが手にとってもらえない可能性があります。

「緑=おいしくない」というような連想がユーザー(子ども)のアタマの中にあるのであれば、それを覆すのは容易ではありません。

「体にいいから食べなさい」という親の意見は、3~6才の子どもにはわかりません(そうは言いつつ、私も娘に言ってますが……)。

そこで、「おいしそうに魅せる」必要があったわけですね。

「緑=おいしくない」という連想がお客様のアタマの中にできてしまっているのであれば、それとケンカするのは得策ではありません。

でしたら、「赤・黄色の野菜を使う」という方が食べていただきやすい、ということです。

「すごく新しい革新的な商品」でなくてもヒット商品は作れる!

今回の事例でもう1つ感じたのは、「すごく新しい革新的な商品」でなくとも、ヒット商品は作れる、ということです。

商品としては、「プチ肉まん」です。目新しさはありません。すさまじい技術革新もなさそうです。

しかししかし、ここまで見てきたように、

・親のニーズ
・子どものニーズ

に、愚直に、丁寧に、地道に、しっかりと応えた商品です。すると、「あ、そんなの欲しかった!」となるわけです。

「新商品」を作ろうとすると、「すごく新しい何か」を作ろうとしてしまうと思います。それが悪いわけではありませんが、

・お客様のニーズに愚直に、丁寧に、地道に、しっかりと応える

ということで「も」ヒット商品は生まれるわけですね。

「バイヤーとユーザーの両方のニーズに応える」ということがわかり
やすい事例でしたね。

今日の「アタマに問いかけるべき適切な質問」

あなたの商品・サービスでは、「バイヤー」と「ユーザー」は同じですか? 違う場合、両方のニーズにきちんと応えていますか?

ぜひお考えになってみてください!

この記事のざっくりまとめ

「バイヤー」と「ユーザー」のニーズが違うことはよくある。その場合は、バイヤーとユーザーの、両方のニーズに丁寧に応えよう!

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