成功するマーケティングのコツ:売れるマーケティングは他業種から学ぼう!
この記事の目次
マーケティングで「手っ取り早い成功のコツ」はあるのでしょうか?
残念ながらあまりありません。お客様の立場に立って考え、「買いたい」を作るというのを地道にやっていくのが王道です。
が、「手っ取り早い成功のコツ」は、なくもありません。その1つが「他業種から学ぶ」ということです。
このサイトの名前、「売れたま!データベース」は、私が出しているメルマガ「売れたま!」から来ています。
「売れたま!」は、何の略かというと……元々は、
・売れるマーケティングは
・他業種から
・学ぼう
の頭文字で、売れたま!です。もちろん名前のゴロがいいですとか、そういう理由もありますが、意味としてはこの通りです。
マーケティングの原理原則は、どんな業種でも変わらない
マーケティングとは、お客様の「買いたい」を作ることです。
この基本原則は、どんな業種・業態でも変わりません。BtoC(個人顧客対象のビジネス)でも、BtoB(法人顧客対象のビジネスでも)、この基本原則は同じです。
お客様の「買いたい」を作れれば、それが個人顧客でも法人顧客でも売れるわけです。
もちろん、BtoCとBtoBで「見え方」は違います。
BtoCでハーゲンダッツのアイスクリームを買う場合は、例えば
・ベネフィット:平日の夜、食後のデザートとしていただき、一日の疲れを癒やす
・ターゲット:20代女性を中心とする「癒やされたい女性」
・強み:なめらかなクリーム感とコクのあるおいしさ
というような感じになるでしょうか。
BtoBで完成品メーカーが部品メーカーから部品を買う場合は、
・ベネフィット:新製品を開発するときに、一緒に開発を手伝ってくれる
・ターゲット:完成品メーカーの開発部門
・強み:開発まで踏み込んで提案してくれる人材とその提案力
というような感じになるかもしれません。
マーケティング戦略を考える場合には、私が提唱している「戦略BASiCS」が考えやすいと思いますが、これはBtoCでもBtoBでも、見え方は違いますが、戦略の5つの要素という基本部分は全く同じです。
私は、100円のガムのマーケティングから数億円の生産機材、数千万円のサービスなどを自分で売ったりお手伝いしたことがありますが、見え方は違っても、「どうやってお客様の買いたいを作るか」「どうやって自分から買いたいを作るか」という原理原則は全く一緒です。
多くの方が「自分の業種は特殊だ」と考えている
一方で、多くの方が、
自分の業種は他と違って特殊だ
と考えています。
統計をとったことはないのですが、研修などで挙手をしていただいたりして数えてみると、おおよそ7割くらいかという実感です。
しかし、実際には「特殊な業種」というのは、ほぼほぼありません。全くないとは断言できませんが、まあありません。
確かに特殊な要素はあるかもしれません。
が、その「特殊な要素」も、他業種にあったりするものです。
医薬品のメーカーの方などは「医療業界は特殊だ」とお考えのようです。その理由をうかがってみると、例えば以下のようなことをおっしゃいます
◇政府の認可がなければ作れない!
◇価格決定権がなく、薬価は政府が決める!
◇エンドユーザーに直接売れない。使うのは患者さんだが、お医者さんの処方がないと売れない!
◇開発に数年単位の時間がかかって大変!
などが、よくあがるコメントです。
これらは確かに「組み合わせ」として医療業界を特殊に見せているかもしれませんが、1つ1つの要素は、別にどこでもある話です。
◇政府の認可がなければ作れない!
確かに、政府の許認可が必要なのは手間がかかりますし、自由がありません。
しかし、どの業界でも、多かれ少なかれ、国などの規制は受けます。食品だって、薬事法などの違反をすれば、摘発されます。車のエンジンなどを作る場合も、各地域の「エンジン規制」(排ガス規制・環境規制など)をクリアしなければ売ることができません。広告コピーを作る場合も、景表法などの違反には気をつける必要があります。
確かに、医薬品は人の生死に関わるため、規制は厳しいです。が、例えばNTTは今や民間企業ですが、NTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)という会社そのものを規制する法律があるくらいです。
そもそも「政府の認可」が必要というのは、その厳しさの程度の違いはあるにしても、取り立てて珍しいことではありません。飲食店を開く場合も、保健所の許可や食品衛生責任者などの資格は必要です。
◇価格決定権がなく、薬価は政府が決める!
はい、確かに「価格を政府が決める」というのは、かなり特殊性が高いです。が、価格決定権がない、というのは別に珍しいことではありません。多くの下請け企業が「価格決定権がない(発注者に指し値のように決められてしまう)」ことに悩んでいます。
また、卸売店や小売店なども、結局仕入れる際の値下げ交渉はできるでしょうが、価格競争をするとなると、あまり価格決定権はありません。
薬価が決まっているために価格競争が起きないというのはむしろありがたいような感じもします。
◇エンドユーザーに直接売れない。使うのは患者さんだが、お医者さんの処方がないと売れない!
これはむしろ普通です。むしろエンドユーザーに直接売るビジネスの方が珍しいと思います。
例えば食品メーカーは、コンビニやスーパーマーケットを通して売るわけです。家電メーカーも、家電量販店や通販サイトを通して売ります。最近でこそ直販サイト(いわゆるD2Cのような話)は出てきましたが、まだまだ主流ではありません。
◇開発に数年単位の時間がかかって大変!
これも普通ですよね……産業機械の開発も数年がかりですね。私が本を書くときですら、2年とかはかかりますが……
逆に3ヶ月で開発できる方が珍しいかと思いますが……
医療業界の方を批判したいわけではありません。間違っていると言いたいわけでもありません。
確かに1つ1つの要素を見れば、それなりの特殊性はあります。が、「ものすごく珍しい絶対的な特殊性」があるかといえば、それほどでもないということです。
おそらく、単純に「他の業界のことを知らない」だけなんです。だから、自分たちのビジネスが「特殊」に見えてしまうんです。
私のようないわゆる「コンサルタント」は、多くの業界を見ています。ほとんどの業界について、「薄く広く」知見があります。
そういう立場から見ると、「特殊性」はあまり感じられなく、「あ、あれあっちの業界で見た」というような感覚になることが多いです。
自分の業界は特殊だ、と考えていると、「損」
別にご自身の業種業態が特殊だと考えていても良いのですが、それは「損」だと思います。
その理由をここから考えていきます。
1)他業種からの攻めに弱くなる
自分の業界を「特殊」だと考えていると、自分の業界の参入障壁が高く見えてしまいます。すると、他業種から攻められやすくなります。
例えば「テレビ局」などにその兆候が見られるように思います。テレビ局はやはり許認可が必要な業界ですから、参入障壁が高いです。
が……「テレビ画面を巡る競争」は、別にテレビ局だけでやっているわけではありません。Youtubeなどのネット動画サイト、さらには動画配信サイトとも競合します。
2021年現在、テレビ局はこの競合に悩まされていますね。
2)他業種からの学びを得られない
大きな「損」はこちらかと思います。自分の業種を「特殊だ」と捉えていると、他業種から学ぼうとする姿勢が弱くなってしまいます。
研修、セミナー、講演などで体感するのがこの問題です。
ほぼ必ずと言っていいほど、「うちの業種は特殊だから、それはあてはまらないと思います」というようなコメントやご質問が出てきます。あまり肯定的なニュアンスではなく「あなたの言っていることから学ぶことなんてない」というようなニュアンスが感じられます。
先ほどの医療業界の事例のように、丁寧に説明すれば「特殊な業界はない」ということにご納得いただけるのですが、そのような機会がない場合は、ずっと「自分の業種は特殊だ」と思い続けるわけです。
違います。断言します。
学びは他業種にあります。
繰り返します。
学びは他業種にあります。
自分の業種から学ぶと、それは「二番煎じ」であり、キツい言い方をすると「パクり」です。
しかし、他業種から学ぶと「革新的」とほめてもらえます。
例えば、「通販」という業種は普通にありますが、それを文具で最初にやった「アスクル」は、革新的だったわけです。
「タッチパネルによるデバイス操作」というのは、Nintendo DSなどでも一般用とで普通にあったわけですが、それを「携帯電話」に最初にもちこんだ「iPhone」は、革新的だったわけです。
他業種で当たり前のことを自業種に持ち込むと、それがまさに「イノベーション」と呼ばれることになります。
他市場の成功事例を自分の市場に持ち込むと儲かることは証明されている!
ですから、「学びのネタ」は、「他業種」に求めるべきなんです。
それが利益につながることも実証されています。データが2003年の中小企業白書にありました。データとしては少々古いですが、内容自体は今も通用するものだ思います。
「製品・サービスの先進性と総資産営業利益率」というデータです。
平均値からの乖離幅(%)
中小企業白書2003年版
世界にとって新しい -0.04%
日本にとって新しい 0.09%
市場にとって新しい 0.26%
自社にとって新しい -0.51%
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11551249/www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H15/index.html
第2部 第1章 第2節中小企業のダイナミズム 第2-1-32図 より
製品・サービスの先進性と総資産営業利益率
~企業収益から見れば、先進性は必ずしも高度である必要はない~
資料:中小企業庁「経営戦略に関する実態調査」(2002年11月)
「世界にとって新しい」ことは、利益率にはむしろマイナスに働きます。その理由まではデータにありませんが、誰もやったことがないゆえに、稼ぎ方などがわからない、あるいはコストがかかりすぎる、などの理由かと思われます。
「日本にとって新しい」ことは、そこそこ儲かります。例えばアメリカの先進事例などを日本に最初に持ち込む、というようなことですね。ソフトバンクの孫正義氏が「タイムマシン経営」ということをおっしゃったようですが、それがまさにこのことです。
そして、一番儲かるのが……
「市場にとって新しい」
ということです。他の市場の先進事例を、自分の市場(業種など)に持ち込むと、一番利益率が高くなります。
先ほどの、「通販」という他市場の先行事例を「文具」に「最初に」持ち込む、というようなことですね。
これが一番利益率が高い、というのはよくわかります。他の市場で成功しているわけですから、その背景・ロジックなどをうまく自分の市場であてはめれば良いわけです。そして、その事例を先行事例として、実戦的な学びが得られます。
店舗ビジネスなどで考えるとわかりやすいかと思います。流行り物は、まず東京で流行ります。東京で流行ったものを「名古屋」に「最初に」持ち込むと、成功する確率が高いわけです。
平たく言えば「他業種からパクる」ことが「一番手っ取り早い成功法則」だということです。
それが数字で証明された、ということの意義は大きいと思います。
ちなみに、経営コンサルタントの意義の1つがこれで、「他業種の成功事例」をよく知っているわけです。私も20年くらいのキャリアがありますので、かなり広い業種をかじっています。また、「売れたま!」という他業種の成功事例を紹介するメルマガを1800号も出しています。すると、「あ、あっちの業界の事例がこっちで使えそうだ」と気づくわけです。
「自社にとって新しい」ことは、利益的には大きなマイナスです。市場にとって新しくない、ということは、競合が先んじている、ということです。つまりは「自社にとって新しい」というのは「二番煎じ」ということです。
二番煎じは儲からない
ということも数字で証明されたわけですね。このことの意義も大きいと思います。
ワンルームマンションの手法を持ち込んで成功した「スーパーホテル」
この事例の1つが、ビジネスホテルで成功している「スーパーホテル」です。
スーパーホテルは、チェックアウトは基本的に不要。出張中の朝、これから会議だという忙しいときに、フロントに並ばなくてすむわけです。
このような革新的なサービスはどのように生まれたのか、スーパーホテル会長山本梁介氏の回想録が日経MJに載っておりましたので、日経MJの記事から引用して紹介します。
『なぜホテル業界では当たり前だったことに疑問を感じたのか。それまでのワンルームマンション経営の経験が生きたのです。マンションもホテルも建物の中に数十室の部屋があるという意味では同じ。大きな違いが、接客とホテル運営に関わる業務です。100室のワンルームマンションは夫婦2人で管理人を務めることができましたが、ホテルでは少なくとも8人は必要。このホテル運営業務をIT(情報技術)化して生産性を高めれば人件費を大幅に圧縮でき、相場の半分程度という1泊4900円の料金を実現できると考えました』
2018/09/28 日経MJ P.3
ホテル業界に、ワンルームマンションという他業界のロジックを持ち込んだわけです。すると、ホテル業界に多いムダが見えたわけですね。
実際、朝のチェックアウトはユーザーにとってもムダだと思います。今、ほとんどのビジネスホテルは前金です。飲み物などの備え付けがないビジネスホテルでは、追加料金を払うこともありません。
(少なくともビジネスホテルでは)朝、早く出たいわけですから、朝のチェックアウト不要というのは、お客様にとってもうれしいですし、ホテルにとっても人件費削減になります。
自業種の常識は他業種の非常識
が……それは実はホテル業界では当たり前ではありませんでした。
『ところが、このおもてなしにITを刷り込むという発想は、ホテル業界にとって非常識なものでした。スタッフによる手厚いおもてなしこそが、ホテルの誇りだったからです』
2018/09/28 日経MJ P.3
他業種の経験があったからこそ、「ホテル業界の常識は他業界の非常識」であることに気がつけたわけです。
売れるマーケティングは他業種から学ぼう!
「自分の業種業態が特殊だ」と考えることが「損」だというのは、こういうことなんです。
「手っ取り早く成功するコツ」というものはあまりビジネスにはありませんが、あるとすれば、このような
他業種・他業界の成功事例を学ぶこと
なんですね。
しかし、他業種の成功事例を学ぶことは結構大変ですよね。
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