2014/10/09 戦略編Vol.329 「カワイイ服」を買う人:ニーズで括るセグメンテーション

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━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.329(累計1162) 2014/10/09

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●セグメンテーションは「ニーズが違う」から分ける。セグメンテー
 ションの切り口がニーズの違いを反映しているか、検証しよう!


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◆「カワイイ服」が「おばあちゃん世代」に人気
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●「カワイイ服」を買う「おばあちゃん世代」

新宿伊勢丹は、20代女性を中心とする若い女性に人気。

「カワイイ服」が人気のようですが、その「カワイイ服」を買うのは
若い女性だけではないようです。

-----------< 記事引用 >------------

◇『百貨店の単独の店舗では世界一の売り上げを誇る伊勢丹新宿本店
 (東京・新宿)が6日、改装開業から1年を迎える。地下2階と
 1~4階の婦人服、雑貨、化粧品売り場を刷新した結果、初年度の
 売り上げは2011年度比12%増、新規顧客数も同2割増えた。
 「ファッションの伊勢丹」で買い物をする今どきの消費者は、どん
 な商品を好んだのか。各階の売り場担当者に「予想外のヒット」を
 聞いた』

◇『ピンクや白、もこもことした素材、リボンモチーフ――。2階で
 ヒットしたのは、20代の女性をターゲットにした売り場「イセタ
 ンガール」で扱うルームウエア。かわいらしいデザインが特徴だ
 が、手を伸ばすのは若い女性だけでなく「意外にもおばあちゃん世
 代が多かった」(井上未帆アシスタントバイヤー)。人気は、パジ
 ャマメーカー、ナルエー(東京・台東)の「ミリーモイ」。価格は
 冬物では上下それぞれ6千~9千円、夏物でも5千円程度からと、
 一般的な部屋着と比べて倍近くに上る』

◇『年配層の心をつかんだのは、老舗メーカーが手がけているからだ
 けではない。リボンなどの“あまーい”テイストが人気の理由だ。
 「かわいいデザインは世代を問わない。駅ビルなどでは買いにくい
 という60代女性が目立った」という』

2014/03/05 日経MJ P.24

-----------< 記事引用 >------------

「おばあちゃん」世代でも、「イセタンガール」で「あまーいテイス
ト」の服を買うのですね。

永遠にカワイくありたい、というのは年代を問わない女性の共通の願
いなのかもしれませんね。

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◆復習:セグメンテーションとターゲティング
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●セグメンテーションとターゲティング

セグメンテーションとターゲティングは、基本的な考え方ではありま
すが、マーケティングにおいて一番重要な概念の1つですので、復習
しておきましょう。

○セグメンテーション=顧客を分けること

セグメンテーションとは、仮に(ここ、重要です)顧客を「分ける」
こと、と説明しておきます。

分けられたカタマリを「セグメント」と呼びます。

○ターゲティング=ある顧客を「狙う」こと

ターゲティングとは、顧客を「狙う」ことです。「狙う」というのは
お客様にとって大変失礼な表現ですが、「ターゲティング」自体がそ
のような意味でもありますので、その言葉を使わせていただきます。

「狙い」をつけたセグメントが「ターゲット」ですね。

●セグメンテーション:ニーズが違うから分けて対応する

セグメンテーションを行う理由は、「人・場合によってニーズが違う
から」です。

ニーズが違えば、

・買いたいモノ    → 売り物(Product)
・刺さるメッセージ  → 売り方(Promotion)
・買いたい場所    → 売り場(Place)
・払える金額     → 売り値(Price)

が変わります。売り手から見ると、打ち手であるところの4P(売り
物・売り方・売り場・売り値)が変わるわけです。

ですから「分けて対応しよう」ということになります。

逆に言えば、「打ち手」が変わらないのであれば、分ける必要がない
とも言えます。

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◆セグメンテーションは「分ける」というより、ニーズで「括る」
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●「20代女性」という分け方では、対応できない場合がある

昨今のセグメンテーションの課題は、今までよく言われていたような
セグメンテーションでは、対応できない場合があることです。

BtoC(個人顧客対象のビジネス)でよく使われるのが、性別×年
代で分けるセグメンテーションです。

例えば、「20代女性を狙おう」というよく耳にする表現は、20代
という「年代」と「女性」という性別の組み合わせになっています。

しかし、同じ20代でも、

・カワイイ服を好む人
・落ち着いた服を好む人

など、好みは様々ですよね。

ですから「20代女性」というと、ニーズ(この場合は服の好みな
ど)が違う人を一緒くたにしてしまっています。

セグメンテーションは「ニーズが違う」から分けるんです。

「20代女性」という切り口では、その「ニーズの違い」をうまく表
せない(場合がある)ということです。

さらに、同じ人でも、いつも同じ服を着ているわけではありません。

・カワイイ服を着ていくとき
・落ち着いた服を着ていくとき

など、「場面」「TPO」によって着ていく服は変わります。

当たり前の話です。

ですから、「性別×年代」だけではニーズが表現できないということ
は結構起きうるのです。

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◆セグメンテーションの切り口がニーズを表しているかを検証しよう
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●セグメンテーションの切り口がニーズを表しているかを検証しよう

別に「20代女性」というような年代・性別の切り口が全くダメ、と
いうことではありません。

それが「ニーズの違いを表しているかどうか」をきちんと検証してお
こう、ということです。

もし、「多くの20代女性はカワイイ服が欲しい」という検証ができ
ていれば、「20代女性をターゲットにしよう」で構いません。

「検証」というのは、この「カワイイ服」の場合は、例えば

「20代女性はカワイイ服を好む率が他の年代よりも圧倒的に多い」

というようなデータがあれば、検証できている、ということになりま
す。

その場合は「20代女性」というのは、よくニーズが反映できている
切り口、ということになります。

しかし、「カワイイ服」を好む率は、20代でも40代でも60代で
もそう変わらない、ということであれば、年代がニーズの違いを反映
していない、ということになります。

当たり前のことのように聞こえて、その「検証」ができているケース
ばかりではないように思います。

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◆セグメンテーションは「ニーズで括る」
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●「カワイイ服を着たい場面を持つ人」

セグメンテーションは、実戦においては「分ける」というよりは、

○ニーズで括る=同じニーズを持つ人を集める

という方が実戦的・現実的です。

それがまさに今回の「カワイイ服」です。

「カワイイ服を着たい場面を持つ人」を集めれば良いのです。

「場面を持つ」と言っているのは、全ての場面で「カワイイ服」を着
る人でなくとも良い、ということです。

今回の商品は、

『20代の女性をターゲットにした売り場「イセタンガール」で扱う
ルームウエア』
 
です。ルームウェア、部屋着なんですよね。

「カワイイ服」を着て外出するのは抵抗があったとしても、部屋の中
で着る分には、自分か家族くらいしか見ませんから、抵抗は少ないで
しょう。

そう考えると、「カワイイルームウェアを着たい場面を持つ人」は、
「20代の女性」に限らず、相当数いてもおかしくありませんよね?

このように「ニーズで括る」ことで、顧客層を広げることができるの
です。

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◆メッセージによるセグメンテーション
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●「カワイイ服」を訴求すれば「カワイイ服を欲しい人」が集まる

「そう言うなら『20代女性でカワイイ服が欲しい人』をターゲット
 にすれば良い」

と言われるかもしれません。

その通りなのですが、そうしていくと今度は顧客数がどんどん減って
いく、という問題が起きます。

ではどうすれば良いかというと、1つ方法があります。

人の定義をせずに「ニーズを訴求するメッセージを出す」のです。

「カワイイルームウェア」を作り、「カワイイルームウェア」を訴求
すれば、その訴求が届くという前提で(この前提は非常に重要です)
その「カワイイルームウェア」を欲しい人が集まります。

そして、集まった人は「カワイイルームウェアが欲しい人」ですから
「ニーズ」と「顧客」が一致します。つまり「売れる」わけです。

これを私は「メッセージによるセグメンテーション」と呼んでいま
す。

あるメッセージを出して集まった人は、そのメッセージに興味・関心
がある人なのです。

「この指とーまれ」でとまってくれた人は、その指にとまるニーズが
ある人たちのはずだ、というロジックです。当たり前と言えば当たり
前のことですね。

繰り返しますがそのメッセージがターゲットに届く、という前提で、

「こういうものが欲しい人! 集まれ!」

というメッセージを出せば、そのニーズを持つ人が集まります。

ただ、この方法には課題もあります。

例えば、「そのメッセージがターゲットに届く前提で」と書きました
が、そのメッセージが、メッセージが届くべき人に届いているかどう
か、という検証が難しいです。

ではどうすれば良いのでしょうか??

次号に続きます!

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◆今日のまとめ
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●セグメンテーションは「ニーズが違う」から分ける。セグメンテー
 ションの切り口がニーズの違いを反映しているか、検証しよう!

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━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.330(累計1163) 2014/10/13

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「どんなニーズ」と「どんな人」を行き来しながら考え、顧客像を
 具体化していこう!

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◆「前編」の復習
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●「カワイイ服」を買う「おばあちゃん世代」

今号は前号からの続きです。前号では以下のようなことをみてきまし
た。

○カワイイルームウェアが「おばあちゃん世代」に人気

新宿伊勢丹の「イセタンガール」は「20代女性」が主要顧客であり
ながら、「あまいテイスト」のルームウェアが60代女性にも人気。

○セグメンテーションは、「分ける」というより「ニーズで括る」

「カワイイ服」が欲しいニーズは20代女性にも60代女性にも存在
する。だから、「カワイイ服」が20代女性にも60代女性にも売れ
る。

そのときの「顧客ターゲット」としては、「20代女性」という描写
は適さない。「カワイイ服」を着たい人・着たい場面となる。

○セグメンテーションの「切り口」の検証

セグメンテーションの切り口が「ニーズ」を反映しているかどうか、
検証する必要がある。

「カワイイ服」を欲しい人=「20代女性」ということが検証できて
いれば良いが、そうでない場合も少なくない

○「メッセージによるセグメンテーション」

ある「メッセージ」を出すことで、そのメッセージ反応する人が集ま
る。「カワイイ服」を訴求すれば、それを求める人が集まる。

今号は「後編」、この続きからです。

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◆「メッセージによるセグメンテーション」の限界
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●「どんな人か」がわからなければメッセージが届けられない

前号で、「メッセージによるセグメンテーション」を見てきました。

個人的にはかなり気に入っている手法です。

戦略BASiCSは、以下の5つの要素でマーケティング戦略を考え
るという手法です。

Battlefield:戦場・競合 →自社商品の代替選択肢
Asset:独自資源     →強みを競合がマネできない理由
Strength:強み     →お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由
i
Customer:顧客     →強みを重視する相思相愛になれる人
Selling message:メッセージ→強みの伝え方

通常は「どんな人か」を定義してから「どんなメッセージを出すか」
と考えていくわけです。

C:顧客 → Sm:メッセージ 

という順番ですね。これがセオリーです。

「メッセージによるセグメンテーション」は、その逆で、「メッセー
ジに反応した人がニーズがある人」と考えていきます。

Sm:メッセージ → C:顧客

という、通常は逆の順番です。

この手法が可能な場合には、かなり使いやすいです。

というのも、「これが欲しい人、集まれ!」というメッセージを出す
とそれが欲しい人が集まる、という

「ニーズ」 と 「集まる人」

が一致するため、そのニーズを持つ人が集まる、というシンプルな一
貫性が取れるからです。

ただ、この手法が効果を発揮するのは、このメッセージが、

「それが欲しい人に届く」

という前提があるときだけ、です。

イセタンガールの場合は、「カワイイ服を欲しい人」が既に店にいら
した、ということでしょうね。イセタンガールの認知もあるでしょう
し、ひょっとしたらイセタンガールの主要顧客である20代女性の
「母親層」である可能性もあります。

その場合は、「カワイイ服」を展示・訴求すれば、カワイイ服を求め
る人に刺さります。

しかし、その「カワイイ服を欲しい人」がそこにいなければ、そもそ
もその「カワイイ服」がそこにあることがわからないわけですよね。

そもそもそういう「カワイイ服」を欲しい人がどこにいるのかがわか
れば苦労はしない、というか、それがわかれば既に相当有利な状況に
なっているはずです。

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◆「ニーズ」の描写と「人」の描写が車の両輪
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●「カワイイ服を着たい」というニーズを持つ人を具体的に描写する

では、どうすれば良いかというと……単純です。

「そのニーズを持つ人はどんな人か」

と、「人の具体化」を行うのです。

「カワイイ服を着たい人」(正確に表現すると「カワイイ服をを着た
い場面を持つ人)は、顧客の描写としては、不十分なのです。

「どんな人か」がわかりませんから、「打ち手」に落ちてこないんで
すよね。

・強み = カワイイ服
・顧客ターゲット = カワイイ服が欲しい人

という定義は、「一貫性」はありますが「具体性」がないために、打
ち手に落ちてきません。

これは、よくある間違いの1つです。

この「カワイイ服を着たい人」がどこにいるのかがわからなければ、
その人にメッセージを届けることはできません。例えば「どんな媒体
に広告を出せば良いのか」は全くわかりません。

「カワイイ服を着たい人が読んでる雑誌に広告を出せばいい」とおっ
しゃるかもしれませんね。

はい、その通りです。そこで、その「雑誌」が具体化できればそれで
OKです。「その雑誌を読んでいる人」と一段階具体化できますね。
すると、その雑誌に広告を出すという「打ち手」に落ちてきます。

ですから、

○どんなニーズ? → カワイイ服が欲しい人

○それはどんな人? → こんな雑誌を読んでいるこんな人

と、「ニーズ」で止めずに、「どんな人か」と「人」を具体化してい
く必要があります。

「どんなニーズを持つ人か」
「どんな人か」

というのは、車の両輪のようなものです。

両方とも具体化して一貫性をとっていくことで、意味のある打ち手が
打てるようになっていきます。

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◆ニーズで括って広げる
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●「どんな人」がわからなければ、製品は作れない

本来、「どんな人か」という人の具体化ができなければ、製品も作れ
ないはずです。

例えば、服の場合は「サイズ」がわからなければ、服が作れません。

服を「作る」「仕入れる」という時点でその服のサイズは決まってい
るわけですから、暗黙のうちにある顧客像を想定しているはずです。

「いや、「標準サイズの服」を作ればいい」とおっしゃるかもしれま
せんが、その場合は「標準サイズの体型を持つ人」という顧客を「暗
黙のうちに」想定しています。

つまり、「標準サイズではない人」は「暗黙のうちに」除外してしま
っています。

明示的に、意識して「こういう人を顧客にしたい」というのは、別に
問題ありません。というかそれが戦略です。

しかし「暗黙のうちに」顧客を定義していると、あまり良くありませ
ん。

理由は2つあります。

1)それがいいかどうか検証されていない

まず、「暗黙のうちに」ということは、意識的にやっていないという
ことですから、論理的な検証がされていないはずです。

2)共有されないからブレが起きる

もう1つは、人によってブレが起きる、ということです。組織の中で
AさんとBさんで違う人を想定している可能性がありますし、さらに
言えばその可能性があるかどうかすらわからない、ということです。

実際、こんな事例もあります。

-----------< 記事引用 >------------

◇『青と白のリゾート風のワンピースに、サーモンピンクの花柄スカ
 ート――。9月上旬、東京都内でイトキンが2015年2月に立ち
 上げる婦人服ブランド「グレイセラ」の展示会が開かれた。明るい
 色使いで華やかな雰囲気の服が目を引く』

◇『同ブランドは50代後半~60代前半の女性がターゲット。加齢
 に伴う体形変化をカバーしつつ、トレンドを採り入れて、おしゃれ
 を楽しみたい女性を取り込む狙いだ。全国の百貨店に売り場を設
 け、18年1月期に40億円の売上高を目指す』

◇『「今の60歳前後の消費者はサイズさえ合えば、欲しいものは若
 い世代と同じ。トレンド感のある商品を求めている」と辻村章夫社
 長は指摘する。ただ、現状は60代以上向けの服は、落ち着いた色
 合いや、トレンドとは離れたデザインが多くなりがちという。この
 ため、30~40代向けの売り場に並ぶ服を見に行くものの、サイ
 ズが合わず購入を断念するケースが少なくないという。「グレイセ
 ラは『買い物難民』への提案だ」と生産本部の田上勝担当部長は強
 調する』

2014/09/22 日経MJ P.7

-----------< 記事引用 >------------

つまり60代の方も、若い人と同じデザインの服が着たいわけですが
体型が変わってくるために「サイズ」が合わない、ということになる
わけです。

●「カワイくてサイズが大きい服」が着たい人で括り直そう

「サイズが大きい服は売りたくない」というのであれば話は別ですが
(それはそれであり得る戦略です)、欲しいデザインなのにサイズが
無いから変えないという「機会損失」が発生していることになり、望
ましくありません。

しかし、「サイズが合わない」というのは、年配層に限った話ではあ
りません。若い女性でサイズが大きい方もいらっしゃるはずです。

そのような方は「自分に合うサイズのカワイイ服がない」と思われて
いるかもしれませんよね。

となると、

「カワイくてサイズが大きい服が欲しい60代女性」
「カワイくてサイズが大きい服が欲しい20代女性」

は、ニーズが同じ、買う商品も全く同じ、ということになるかもしれ
ません。

ニーズや人を具体化していくことで、むしろ顧客層が広がっていく、
ということです。

これが「ニーズで括って広げる」ということです。

これが正しいということであれば、「年代」ではなく「サイズ」や
「体型」の方が、セグメンテーションの切り口として適切なのではな
かろうか、という仮説が成り立ちます。

こうやって、「適切なセグメンテーションの切り口」を定義していく
わけです。

●「どんなニーズ」と「どんな人」の行き来をしながら考えよう!

まとめると、

どんなニーズを持つ人か というニーズの描写
それはどんな人か    という人の描写

を行き来しながら、人・ニーズをどんどん具体化していく、というこ
とです。

「そうするとどんどんニッチになる」と思われるかもしれませんが、
そうとも限りません。

うまい切り口が見つかれば、むしろ「人」は広げられる場合が多いも
のです。

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◆セグメンテーションは一番難しい
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●セグメンテーションは、「実戦」が一番難しい概念

「セグメンテーションとは、ニーズで括ることだ」

と言ってしまえば、概念自体は「単純」なものです。

しかし、「単純」だからと言って「カンタン」とは限りません。

「ニーズで括る」からには、「ニーズ」がわかっていないと括ること
ができないからです。

「うちの顧客ターゲットは中小企業」
「うちの顧客ターゲットは20~40代男性」

というような粗っぽいセグメンテーションでは、とても「括れている」とは言
えません。

セグメンテーションは、「カンタン」どころか、「実戦」という意味
では一番難しいものとすら言えます。

「セグメンテーションなんてカンタン」と言えたら、もう超一流スー
パーカリスママーケター、達人クラスです(というか、達人はそんな
こと言わないと思います)。

繰り返しますが、セグメンテーションとは、ニーズで括ることです。

そのためには、

○そもそもどんなニーズがあるのか?
○どんなニーズの「違い」があるのか?
○その「違い」をモトにした打ち手があるのか?

というようなことがきちんと詰められていなければ、括ることができ
ないわけです。

●「切り口」は他業種から学ぼう

しかし、「セグメンテーションが難しい、難しい」と言っていても始
まりません。

ではどうすればいいかというと、「学び」の繰り返し、という王道に
なります。

私たちの回りには、他社の事例が山ほどあります。

・自分が買った商品・サービス
・家族が買った商品・サービス
・電車や雑誌の広告

などです。

自分が買ったものからは、

・自分が買った商品・サービスは、なぜ「自分」に刺さったのか?
・他に買っている人はいないか? その人と自分の共通点は?

と考えていくことで「自分と他人とを括る何か」がわかるはずです。

また、「同好の士」も「同じニーズを持った人の集まり」です。

例えば「同じ趣味を持つ友人」というのはその「趣味」を好む人の集
まりです。どんな人が集まっているか、その人たちを「括る」切り口
は何か、というのを考えてみるのも良いと思います。

あなたが次に誰かと飲みに行く、遊びに行く、という場合、その人た
ちはどのような「ニーズ」を持っているのでしょうか? 共通点は何
でしょうか?

ぜひお考えになってみてください!

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◆今日のまとめ
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●「どんなニーズ」と「どんな人」を行き来しながら考え、顧客像を
 具体化していこう!

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