弱みで勝つ!8:「今だけの魅力」
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━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.285(累計1036) 2013/07/25
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●「本来の姿」ではないときでも、その「珍しさ」を強みにしてしま
おう!
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◆工事中なのに人気の姫路城
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●工事中で外から見られないのに人気の姫路城
日本の名城と言えば必ず名前のあがる姫路城。その美しい姿から「白
鷺城」として知られます。
しかし、残念なことに、現在工事中で外からは見られません。それで
も観光客が来るのは……?
-----------< 記事引用 >------------
◇「兵庫県姫路市の国宝・姫路城は「白鷺(しらさぎ)城」とも呼ば
れる優美な姿で知られる。その大天守は約45年ぶりの大規模修理
中で、鉄筋の囲いにすっぽり覆われてしまっている。それでも3月
上旬に訪れてみると城の入り口には観光客の行列が。目的は修理の
見学施設「天空の白鷺」だ」
◇「城を取り巻くように設けられた施設の8階では40人ほどがガラ
ス越しに修理中の屋根を眺めていた。(中略)しっくいを使う修理
技法などを映像や模型で紹介しており、もはや工事現場というより
博物館のよう。(中略)京都市の山本一郎さん(75)は約20年
ぶりに姫路城を訪れた。(中略)「普段隠れている部分を見ること
ができるのが最大の魅力」と話す」
◇「姫路城が修理の公開を始めたのは2011年3月。管理事務所の
和田達也所長によれば「文化財修理への理解を深めてもらうのと同
時に、工事中も観光資源として活用する」のが理由だ。12年度は
3月上旬までに約65万人が姫路城を訪問。工事が非公開だった
10年度より4割も膨らんだ」
2013/03/18 日経MJ P.20
-----------< 記事引用 >------------
姫路城大天守修理見学施設「天空の白鷺」は、2014年1月5日ま
で「限定」公開のようです。もちろん、その後は通常のお城の公開に
戻るわけですね。
http://himejijo-syuri.jp/
ちなみにこの施設に入るには、入城料大人400円、施設入館料大人
200円の計600円が必要になるようです。
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◆復習:弱みで勝つ!
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●弱みは強み、強みは弱み
拙著「白いネコは何をくれた」*の名文句(?)が「強みは弱み、弱
みは強み」です。
*「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
http://www.sandt.co.jp/shiroineko.htm
一見「弱み」に分類されるものでも、やり方次第で「強み」に転化す
ることはできます。
「弱みで勝つ!」とは、このように一見弱みと分類されることを、強
みとして、ウリにしてしまおう、ということです。
●事実を強みとして「解釈」しよう!
そもそも、そんなに強みばっかりの会社・人はいません。
強み弱み分析のようなことをして、「うわ、うちは弱みばっかりだ」
と「諦めモード」に入ってしまったら最悪です。
そうではなく、
「事実を羅列し、これをどう強みとして使うか」
と考えるんです。
「事実」は「事実」です。弱みになるか、強みになるか、それは、使
い方次第、使う人次第です。
弱みを強みに転化し、弱みで勝つ!
これがしたたかで軽やかな経営者・マーケターの態度だと思います。
●弱みを強みにするセオリー
「弱み」を「強み」にするセオリーは、
1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
2)その「事実」を「強み」として評価してくれる潜在顧客を探す
3)その顧客に「強み」として提案する
というステップになります。
つまり、「事実」を「これはいい」と評価してくれる方に対して、き
ちんと提案しようということです。
別に卑屈になって、ということでは全く無く、「これが強みです」と
堂々と提案するのです。それが「強み」になるお客様であれば、「確
かにそれが強みだ」とうなずいていただけるでしょう。
種明かしをしてしまえば、これはBASiCSにおいて、自社の強み
を提案するときのプロセスと何ら変わりはありません。少々の「意外
感」があるだけです。
「弱みで勝つ」とは、実はセオリー通りの戦略的な提案なのです。
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◆「工事中」という「弱み」を「今だけの魅力」にした姫路城
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●「工事中」であることは、「強み」か弱みか?
姫路城のウリは、あの美しい姿ですよね。私も修学旅行で見に行きま
した。
その姫路城は現在工事中です。大天守を覆われてしまい、外から見る
ことはできないようです。
http://www.himejijo-syuri.jp/home.html
さて、姫路城が「工事中」であり、その美しい姿が見られないこと
は、「強み」でしょうか? 「弱み」でしょうか?
もちろん、一般的に考えれば「弱み」でしょう。
しかし、この工事は、「姫路城大天守45年ぶりの本格修理」*との
こと。
*http://www.himejijo-syuri.jp/repair/index.html
「45年ぶり」であり、仮に次の工事も45年後となりますと、それ
はもはや「一生に一度しか見られない」ということになります。
そうなると、「この工事は一生に一度しか見られない貴重な機会」に
なりますよね。
今しかない「魅力」となるわけです。
「弱み」が「強み」に転化された瞬間です。
●今しか見られない「天空の白鷺」
「姫路城大天守修理見学施設」である「天空の白鷺」は、2014年
1月5日まで、限定です。
工事が今しか見られない、というのもありますが、この見学施設は、
大天守を周りから覆っているような感じの建物です。そして、施設の
中にはエレベーターもあるとのこと。
工事期間中は、大天守の内部には入れませんが、その外側を覆う「天
空の白鷺」から、大天守の高いところを外部から間近に見えます。
「大天守を覆う素屋根の内部に見学者用のスぺースとエレべーターを
設置し修理現場を公開しており、現在は修理工事の完成が近づいた姫
路城大天守の外観を間近でご覧いただくことができます」とのこと。
(http://www.himejijo-syuri.jp/repair/index.html)
お城の高いところを外から、しかもすぐ近くから見られるというのは
通常の公開ではあり得ないことですね。これは、「工事中」だからこ
そできるワザです。
「普段隠れている部分を見ることができるのが最大の魅力」という、
見学者の方の言葉もわかります。
さらに「エレベーターのガラス大窓から、石垣の石積や、唐破風、千
鳥破風、懸魚、連双武者格子窓など、大天守の外観を構成する様々な
要素を間近に見ることができます。他施設にはない「天空の白鷺」だ
けの大スペクタクルです」とのことですが、確かに魅力的ですね。
(http://www.himejijo-syuri.jp//voice/)
「工事中ならではの価値」というか「今だけの魅力」を姫路城(とい
うか恐らくは姫路市)が作ったわけです。
また、エレベーターがありますから「さらに、普段は大天守への登閣
(とうかく)が困難な車いすご利用の方などにも修理期間中はご見学
いただけます」とのこと。
(http://www.himejijo-syuri.jp/repair/index.html)
これも「今だけの魅力」ですね。
さらに、工事の場所も毎年のように変わっていきます。その意味でも
「今の工事風景」は、本当に「今だけ」なんですよね。
「工事中」という「弱み」を、「今だけの魅力」という「強み」に転
化した素晴らしい戦略と言えます。
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◆伊勢神宮・出雲大社の「遷宮」
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●式年遷宮の「今だけ」の魅力
今年は、伊勢神宮(奈良県)と出雲大社(島根県)で「遷宮」が行わ
れる珍しい年、ということで結構話題になりましたね。
当然、それに伴って工事などをするため、普段見られるところが見ら
れなくなるでしょう。
出雲大社でも、御正殿は、覆いにより見えなくなるようです。変な話
「建造物を見る」という意味では、価値は下がっていますよね。
伊勢神宮でも、新しく遷宮する先は、工事中で見えないようです。
それでも、出雲大社の「平成の大遷宮」は60年ぶりということです
から、そのような工事風景が見られる機会は、生きている間には、も
うないかもしれず、「今だけの」魅力があるのでしょうね。
伊勢神宮では「今のその場所でお参りできる」のは、遷宮後は20年
後(式年遷宮は原則20年ごと)になりますから、「今だけの魅力」
があるのかもしれませんね。
実際、伊勢神宮の参拝客は、式年遷宮が終わっていないにも関わらず
増えているようです。
-----------< 記事引用 >------------
◇「三重県は9日、大型連休中(4月27日~5月6日)に県内の主
要15施設を訪れた観光客数が約143万人だったと発表した」
◇「「式年遷宮」が10月にヤマ場を迎える伊勢神宮の参拝客は内宮
と外宮の合計で62%増の約55万7千人。特に外宮は74%増と
大きく増えた」
2013/05/10 日本経済新聞 名古屋朝刊 社会面 P.21
式年遷宮
伊勢神宮で20年に一度のご神体をうつす神事。近隣の商業施設の来
客数は1~5月に前年比2割増
2013/06/19 日経MJ P.1
-----------< 記事引用 >------------
これには、当然「遷宮」を「一大イベント」にした、というメディア
を巻き込んだ戦略の効果もあったのでしょうね。
「20年に一度!」
「60年ぶり!」
という「今だけの魅力」があったのかもしれません。
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◆「本来の姿ではない珍しさ」の価値
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●「本来の姿ではない」ことにある「珍しさ」の価値
これらの例は、「本来の姿ではない」ために「価値が下がる」ように
見えて、むしろ
「本来の姿ではない」ことにある「珍しさ」の価値
を訴求している、と言えそうです。
切手やコインでは、例えば印刷ミスがあったような切手は、「本来の
姿ではない」のですが、むしろその珍しさのために価値が上がります
よね。
メーカーの製品でも、使用に差し支えのない範囲での「不良」のよう
なものでしたら、むしろ「珍しさ」があるかもしれませんね。
このように考えると、何でも「強み」にできそうな気がしませんか?
ぜひお考えになられてみてください!
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◆今日のまとめ
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●「本来の姿」ではないときでも、その「珍しさ」を強みにできない
か、考えてみよう!
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