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2007-06 真子&望 ローマへ!
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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.029 2007/06/05
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●ローマの街で「マーケティング脳」を鍛える!
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◆売多真子&上原望、ローマへ!
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●売多真子&上原望、再びイタリアへ。今度はローマ!
全国の真子&望ファンの方、お待たせしました! 売多真子&上原望
再登場!
そーれ・しちりあーのの立ち上げも順調に行く中、真子&望は、再び
イタリアに出かけました。
今回は、売多勝のイタリア出張とタイミングを合わせ、真子&望と勝
がローマで再会。さて、どんな会話がかわされることやら……
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◆真子・望・勝がローマで再会
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真子・望と勝は、イタリアでも使える携帯電話で連絡を取り合いなが
ら、勝が宿泊するホテルのロビーでついに感動(?)の再会!
真子:勝さん、ブォンジョルノ~ ようやく会えましたね!
勝 :おう、二人とも無事だったか。
望 :それが無事じゃなかったんですよ~
勝 :どうしたの?
真子:私たち、アパートみたいなのを借りてるんですね。マンション
の短期レンタルみたいな。
勝 :日本で言うと、ウィークリーマンションみたいなもんか。
望 :あ、そうですね。それで、初日はアパートに入れなかったんで
すよ。
勝 :え!? それでどうしたの?
真子:まず、アパート会社でカギをもらってアパートにタクシーで行
ったんですけど、住所しかくれなかったので散々迷って……
勝 :で?
望 :それで、迷って迷った末に場所はわかったんですが、カギがう
まく開けられなくて……
真子:それで、結局諦めて、近くのそこそこのホテルがたまたま空い
てたので、そこに泊まりました……
勝 :……それで、結局入れたの、アパートには?
望 :ええ、カギを右に回すものだとばっかり思っていたら、左に回
したらすぐ開いて……
勝 :人間の思いこみって恐いよな。
真子:ほんと、そうですよね~。
勝 :まあとにかく無事で良かった。で、教訓は?
真子:え??
勝 :そんな格好のネタから学ばないヤツがあるか。オマエはどうし
て欲しかった?
真子:あ、なるほど。私たちがこんな目に遭わないようにするために
はどうすればよいかってことですね。
勝 :そう。重要な顧客満足の問題だ。
望 :まずは、アパート会社の人に、ついてきてもらって、アパート
に入れるところまで面倒をみて欲しかったですよね。
勝 :それが一番安心だな。でもそれだとコストがかかるだろ。料金
に跳ね返る。次善の策は?
望 :親切なマニュアルみたいのを作るとか?
勝 :例えば?
真子:うーんとね、まずは地図かな。ネットに載ってる粗っぽいの
じゃ不親切。
勝 :地図だけでいいか?
望 :えっと……建物の写真を載せる!
勝 :そうだな。見知らぬ土地で、地図だけじゃわからないから、近
くにある風景とか、アパートの外観があるといいな。後は?
真子:あとは?? 別に……
勝 :おいおい、君たちは何に困ったんだ?
真子:あ、そうだ。カギが開かなかったんだ。
勝 :だから?
真子:カギは、左に回して開ける、って案内する!
勝 :そうだな。過保護のような気もするけど、それが親切だな。
そんなのは、紙1,2枚に印刷するだけだからタダに近い。
真子:でも、それが一番私たちが困ったことですからね……
勝 :あとは無いの?
望 :まだあるんですか?
勝 :あるよ。ゆっくり考えてね、望ちゃん。
真子:勝さん、なんで私と望ちゃんでそんな口調が違うのよ……
勝 :あたりまえだ。いいから考えろ。
二人:………わかりません………
勝 :君たち、アパート会社を出てからどうした?
真子:タクシーに乗りました。
勝 :だから??
望 :………あ! アパート会社の人が、アパートを知ってるタクシ
ーを手配してあげればいいんですね!
勝 :そうそう。タクシー会社と契約したりして、お客様をアパート
の目の前まできちんと送り届けるようにすればいい。
望 :なるほど…私たちが困ったことが、そのままアパート会社がや
るべきことだったんですね。
真子:そう考えると、あのアパート会社、不親切だよね。段々ハラが
立ってきた!
勝 :って思われないように、君らも考えないとな。
望 :そうか、そう考えるとあの経験もあながちムダじゃなかったっ
てことですね。
真子:お客様の視点で追体験する、ってことだ……
望 :お客様が、アパート会社を出て、どうやってアパートに行くか
その行動をなぞって、それをやりやすくしてあげればいいんだ
勝 :そうそう。それが、「マインドフロー」*の基本的な考え方な
んだ。それについてはまたレッスンしてあげよう。
望 :はい、ぜひお願いします!
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◆レストランのテラスで……
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勝 :じゃあちょっと出ようか。
真子:勝さん、どうするんですか?
勝 :ちょっとバールでエスプレッソでもどう?
望 :あ、それいいですね。ぜひ。
3人は近くのバール(喫茶店のようなもの)のテラス席に陣取って、
それぞれエスプレッソを注文しました。
真子:この席って、道の上ですよね。雨が降ったら、単なる道になる
んですよね、きっと。
望 :今くらいの季節の、こういう外の席ってすっごく気持ちいいで
すよね、暑くもなく寒くもなく。
勝 :なんでこういう道の上に席を出すんだと思う?
真子:え、今望ちゃんが言ったように、気持ちいいからじゃないんで
すか?
勝 :気持ちいいだけじゃ、売上は上がらないだろ。
真子:え、だって気持ちよければお客様が一杯くるじゃないですか。
勝 :お、いいポイントだ。それで??
真子:それで?
望 :それで……?
勝 :……ヒントは、店の中を見てみろ。
真子:意外と店内は狭いですよね。外の方が席が多いくらい。
勝 :そうそう。それで?
望 :それで……もう少しヒントをいただけませんか?
勝 :望ちゃんに頼まれたらイヤとは言えないけど、もう答えを見つ
けてるじゃない。
真子:もう、望ちゃんには甘いんだから……気持ちよければお客様が
一杯来て……
望 :店の中は狭い……
勝 :そうそう。
真子:あ! そうか、店を広げているようなものなんだ! 店が狭く
ても、道の上に席があれば、それが店になる!
望 :そうすれば、こんな観光シーズンのお客様が殺到する時期でも
それだけのお客様をさばける!
真子:しかも、お客様が望んでテラス席に行きたがる!
勝 :そう。多分そういうことなんじゃないかな。道の上にお店を出
すのは届け出か許可がいるとは思うけどさ。
真子:そうかあ……
望 :勝さん、ローマまで来てもそんなことばっかり考えていらっし
ゃるんですね……スゴイです……気が付きませんでした。
勝 :職業病みたいなもんだな。
真子:反省。浮かれているだけじゃなくて、やっぱりそこまで考えな
いといけないですね。
勝 :おう。じゃあ、次はローマの街について考えてみようか。どう
だった、ローマの街は?
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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.030 2007/06/08
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●ローマは、街の「強み」を存分に活かしている!
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◆ローマの街の特徴は?
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勝 :で、ローマに来て、どう思ったの、望ちゃん?
望 :ローマの歴史ってすごいな、って……
勝 :そりゃそうだ。
真子:だって、コロッセオなんか、1900年前の建物ですよ。5万
人入るなんて、東京ドーム並ですよ。すごいじゃないですか!
勝 :オレも行ったけど、すごいよな、うん。それで?
真子:それでって?
勝 :コロッセオって、今は何かに使われてるの?
真子:使われてないに決まってるじゃないですか。勝さん、どうかし
ちゃったんじゃないですか?
勝 :はあ……望ちゃんならわかってくれるかな。使われてないのに
何で残してあるの? 潰してマンション建てた方が儲かるよ。
望 :いえ、使われてないわけじゃないですよね。それがあるから、
ローマに人が来るわけですから……
勝 :でさ、ローマの街の特徴は?
真子:歴史がある!
勝 :当たり前だ。で?
真子:だから歴史がある建物ばっかりだな、って。
勝 :だから? 歴史だったら、京都・奈良はローマほどじゃないけ
ど1200年以上の歴史があるぞ。
真子:確かに。鎌倉だって鎌倉幕府以来800年の歴史がありますけ
ど、古い建物ばかりじゃないですよね……
勝 :外国人にとって、東京の見所ってどこだ?
真子:うーんっと、原宿、渋谷、秋葉原、東京タワー、歴史があると
ころでは皇居とか明治神宮……
勝 :原宿、秋葉原はともかく、皇居もせいぜい400年だな。
真子:確かに、全然歴史遺産が無いですね……
勝 :無い訳じゃないんだけど、ローマのあちこちにある歴史的建造
物と比べると、量的に大差があるよな。東京はビルばっかり。
望 :そうか………そこに戦略があるんだ!!
勝 :何の? どんな?
望 :歴史都市、ローマとしての意思みたいなものですよ! ローマ
は歴史で生きていくんだ、っていう「想い」みたいなのが……
勝 :そう、そこがポイントだ。それが多分ローマの戦略なんだ。
真子:ローマって、産業はあるんですか?
勝 :っていうか、観光が産業なんだな。だから真子たちだって、ロ
ーマに来たんだろ?
真子:確かに~。やっぱり「ローマ」っていうと特別な感じがします
勝 :実際、ローマは経済的には影が薄い。欧州の金融の中心はシテ
ィのあるロンドンだし、政治・経済の中心はパリ・ベルリン。
望 :確かに経済の街って感じでは全然無いですよね。
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◆ローマは巨大な……何?
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勝 :ちょっと二人とも立ち上がって。
望 :は、はい……
真子:何よ勝さん、私たちのスタイルがいいのはわかってるでしょ。
勝 :うるせーな、自意識過剰だ。周りを見回してみろ。
真子:だから歴史的な建物が……
勝 :もっと上。
真子:上は空に決まってるじゃないですか……
勝 :そうだよな。東京とどう違う?
真子:東京の空より青い!
勝 :はあ……
望 :……何だろう……そうか! 高層ビルが無い!
勝 :さすが望ちゃん。そう、ローマの中心では歴史的建造物だけが
目立って、近代的な高層ビルは見えないことに気づいたんだ。
真子:なっるほど~。ホントだ~勝さん、さすがですね~あるものに
は気づきますけど、無いものには気づかないですよね~~へ~
勝 :街から高層ビルが見えないって、何かと共通しない?
望 :あ、東京ディズニーリゾート(TDR)ですね。あそこも高層
ビルとかが視界に入らないですよね。
勝 :なんでそうしてるんだと思う?
望 :だって、「夢の国」にいるのに、高層ビルが見えたら台無しで
すよ。
勝 :で、ローマは? ローマも多分規制で高層ビルとかが造れない
んだと思うけどさ。
真子:そうか…ローマは街全体がテーマパークみたいなものなんだ!
勝 :そう! ローマは巨大な歴史テーマパークなんだ!
真子:しかも、作られたパークじゃなくて、本物の!!
望 ;確かに、街のあちこちに古い教会があって、ちょっと立ち寄っ
てもすごい絵画とかがありました。
真子:そうそう、そんなのが街のあちこちにあるんですよ。いくつか
教会に入りましたけど、みんなすごいですよ!
勝 :だろ!? そういう発見が街のあちこちにあるんだよ! ここ
は本当に面白い街だよ。
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◆強みを活かした戦略
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望 :さっき、勝さんが「コロッセオって何に使われているの?」っ
て聞かれた意味がやっとわかりました。
勝 :うん。何?
望 :テーマパークのシンボルですね、あれは。ディズニーランドの
シンデレラ城みたいなものなんじゃないですか?
勝 :そうそう。とにかくでかいからね、ヴァティカンもそうだ。で
ローマの戦略は?
真子:だからさっき望ちゃんが行った、歴史の観光都市。
勝 :ローマの強みは?
真子:強みっていえば、やっぱりローマ帝国時代からの歴史じゃない
ですか? 2000年前の世界の中心。
勝 :だから?
真子:だからって??
望 :あ……ローマは、その「歴史」という強みを活かした街造りを
しているってことですか!?
勝 :正解! 真子も少しは考えろ。
真子:考えたもん。ロンドンとかパリに無いのは、その歴史なんです
よね。だったら、それを守って、使った方がいいんですよ。
勝 :そうそう。どの年にも歴史はあるけど、ローマのそれは際立っ
てる。現存する最古の古代都市って言っていいんじゃないか。
真子:だから、フォロ・ロマーノみたいな、言ってみれば建物の残骸
みたいなのを残しておくんですね…
勝 :残骸とは大胆な……でもあそこにいるだけで、2千年前の世界
の中心を歩く雰囲気が味わえるだろ。
真子:確かに~私もイタリア料理でいつかは世界へ、みたいな……
勝 :あれ、オマエ意外と野心家だな。
真子:そんなの勝さんに言われたく無いですよ。勝さん、フォロ・ロ
マーノで「いつかはオレも世界制覇を」とか思ったでしょ。
勝 :……よくわかったな。
真子:似たもの同士ですからね~
勝 :失礼な。そういう雰囲気を味わえるのがローマの凄さだ。ロン
ドンにも行ったけど、そういう感じじゃ無かったよ。
望 :今思ったんですけど、映画の「ローマの休日」もローマの強み
ですよね……「ロンドンの休日」は無いですからね……
勝 :げ……正解。今そっちを聞こうと思ったのに。今の歴史の話と
ローマの休日の、共通点は何?
真子:………歴史と映画の共通点、ですか?? それは難しい……
望 :ヒントくださいよ~勝さん…
勝 :じゃあその話はおいといて、次だ。あとはどこに行ったの?
真子:あとはスペイン広場、トレヴィの泉、真実の口と……
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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.031 2007/06/11
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●ローマの強みは、その「物語」力にあった!
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◆語り継がれる「物語」
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真子:あとはスペイン広場、トレヴィの泉、真実の口と……
勝 :観光客丸出しのコースだな……ははは
真子:だって行きたかったんだもん。ね、望ちゃん。
勝 :まあオレも全部行ったんだけどさ(笑)
真子:やっぱり…勝さんだって意外とミーハーですよね。
勝 :ふざけんな、マーケティングのためだよ。で、スペイン広場っ
てどうだった?
真子:……あの階段があるだけでした……なんか想像していたより、
小さくって……
望 :それも混んでて……映画みたいにジェラート食べて階段を歩く
なんて雰囲気じゃ全然無かったですよ。
勝 :ははは、残念だったね。まああれだけ有名な観光地だからな、
しょうがない。単なる階段が何で有名になったんだろう?
真子:そりゃー、「ローマの休日」ですよ。あれ、誰でも1回は見ま
すよね。
勝 :そうだな。で、トレヴィの泉と真実の口は?
真子:トレヴィの泉はキレイでしたよ。そこもすごく混んでて、のん
びりできませんでしたけど……
望 :「後ろ向きに肩越しにコインを投げるとローマに又来れる」っ
ていうの、やりましたよ! 周りの人もやってました。
真子:今度来るときはは素敵なカレシと来たいよね~
望 :そうだよね~
勝 :悪かったな、一緒にいるのがオレで……
望 :あ、いえいえ、勝さんといられるのもすごく嬉しいですよぉ
勝 :いいよ、無理しなくて
真子:じゃあ今度勝さんと二人きりで来ましょうよ。
勝 :誰がオマエなんかと……
真子:もう、そういうと思った……
勝 :で、真実の口は?
望 :それが、祭日だったせいか、閉まってて……写真撮って終わり
でした。残念。
真子:勝さんもやってみてよ。「嘘つき」が手を入れると食われる、
っていうから、やばいですよ、勝さん。
勝 :……オマエが言うな。真実の口とトレヴィの泉の共通点は?
真子:何ですか、唐突に。
勝 :いいから答えろ。
望 :これもノーヒントですか?
勝 :ヒントも何も、今君たちが言ったばっかだ。
真子:わかった! すごく混んでること!
勝 :はあ……確かにそれも言ったけどさ……何で混んでるんだよ?
望 :やっぱり、手を入れると手が食べられちゃうとか、コインを投
げると又来れるとかって言われるとやりたくなっちゃう……
真子:そういう「体験」をしたくなるってことだ!
勝 :うん。核心に近くなってきた。なんでしたくなるんだ?
望 :そういう伝説を確かめたいからですよね?
勝 :そう。今望ちゃんは「伝説」って言ったけど、そういう物語性
があるんだよ、ローマには。
真子:じゃあ、真実の口の物語はローマが恣意的に作ったとか?
勝 :いい発想だぞ、真子。誰が作ったのか確かめようが無いけど、
ローマとしては語り継いで欲しい物語だよな。
望 :そういう物語があれば、確かに友達に話したくなりますよね。
真実の口に手を入れたよ、とか。
勝 :そうそう。で、それがやりたくなるよね。
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◆歴史と映画の共通点
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望 :……なんかわかった気がする。
真子:どうしたの?
望 :さっきの勝さんの宿題。「歴史と映画の共通点」よ。
勝 :お、さすが望ちゃん。
真子:いちいちカンに触る言い方しますよね……どうせ私はオバカで
すよ……
勝 :だからオマエも考えろ。で?
望 :「伝説」ですよ。2千年前の世界の中心都市にいられる、って
いう気分とか……
真子:なるほど……ローマの休日で王女がやったことを私もやりたい
とか……。私たち、それをなぞってるんだよね、ローマで。
勝 :正解! オレは「物語」とか「ストーリー性」って言葉を使う
けど、ローマには語り継がれる物語がすごく多いんだよ!
真子:でも、ローマの休日は別にローマが意図的に作ったわけじゃな
いですよね?
勝 :多分な。でもな、なんで映画の舞台に映画の作者がローマを選
んだんだと思う?
真子:あ、そうか……物語があるからですね! 物語があるから、ま
た物語が作りやすくなるんだ!
勝 :そうそう。あの映画の真実の口のシーンなんか、まさにそうだ
よな。真実の口の伝説がなければ、そもそも成立しない。
望 :そうか……アン王女もローマの物語性を楽しんだ……そしてそ
れを私たちがまたなぞる……すごい重層構造ですね。
勝 :でさ、その物語って他の都市にできるか?
真子:……なるほど……ローマの「歴史」っていう独自資源に基づい
ているからできないですね!
勝 :東京なら江戸幕府とか、明治維新とかはできる。パリもフラン
ス革命とかはできる。
望 :でも、2千年前の世界の中心はローマしかない!
勝 :まああるとすれば中国だろうけど、西洋史の始まりという意味
ではローマだよな。隆盛を極めたローマ帝国の中心。
真子:歴史というソフト資源、歴史遺産というハード資源をフルに活
かして「物語」をうまく差別化ポイントにしてるのね。
望 :そのための街作りもきっちりしているから、歴史テーマパーク
として魅力的なのね。
勝 :どうだ、ローマ観光もこうやってみると、マーケティング脳の
トレーニングになるだろ。
真子:ありがとうございました! ちょっとできる気になってたけど
まだまだですね……こんな発想はできませんでした……
望 :勉強になりました! ローマの隠れた物語、まだまだ探してみ
ます!
勝 :仕事で来たんじゃないのか、君たち……
真子:あ、そうだ……仕事しないと大久保さんに怒られるね……
勝 :ローマの料理とかバールの雰囲気とか、しっかり味わってこい
よ。オレ、エスプレッソ飲み過ぎでおかしくなったよ……
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◆都市のマーケティングもできる
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望 :ローマほど古くないにしても、そういう物語性って、どの都市
にもあるはずですよね。日本の都市にも。
勝 :そう! すごくいいポイントだ。日本では東京とそれ以外の格
差とかってよく言われるけど、みんな東京にはなれない。
真子:各都市の歴史とか物語を活かせばいいってことね。
勝 :オレは、地方活性化のカギはそのあたりにあると思ってる。各
地の物語を活かした、都市のマーケティングだな。
望 :京都なんかはうまくやってますよね。ブランドの作り方とか。
勝 :そうだね。今日本の地方都市に本当に必要なのは、知恵を絞る
ことだと思う。マーケティングという意味で。
真子:それで、各都市が輝きを放ったら日本も元気になりますよね。
勝 :ほんとにそう思う。みんなが「ドリルを売るには穴を売れ」の
真子や望ちゃんの活躍を読んで、頑張って欲しいな。
望 :そしたら各都市のそーれ・しちりあーのの強力なライバルにな
りますね
真子:だから、そーれ・しちりあーのの物語ももっと豊かにしていか
なきゃね。
勝 :そうだ。そのためにはきっちり仕事して帰れ。
真子:はーい。どうもありがとうございました。勝さんも楽しんでき
てくださいね~
勝 :オレだって仕事だよ、これから……
真子:じゃあまた日本で会いましょうね~~