2011-01 初詣2:データの見方

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.109 2011/01/17
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●未来は、過去を見ればわかる。未来の人口構造は、既に決まってい
 る!
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◆前回のまとめ
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勝 :真子、ここまでのノートを振り返ってくれ

真子:ねー、勝さん、疲れたあ……それにカラダが冷えて寒いよぉ。
   カフェで休憩しようよ~。

勝 :うちまでもうすぐじゃねーかよ……

真子:だって、実家に行くと、親戚いっぱいいて、良い子ちゃんしな
   いといけないから、疲れるんだよぉ……休もうよ~

勝 :ふざけんな、オレの前でも良い子ちゃんしろ!

真子:だってぇ……勝さんには気取る必要ないじゃん。勝さん、真子
   のす、べ、て、を知っちゃってるんだからあ……

勝 :妙な言い方はやめろ。まあ確かに、今さらオレの前で「ぶりっ
   子」してもしょうがないが……

真子:うわあ、それ死語だよ、死語。ね、だからお茶しよ。今度は私
   がおごるからさあ……寒い! 疲れた! 寒い! 疲れた!

勝 :わかったよ……我ながらホント甘いよなあ……

真子:やったぁ。
勝と真子は、再び帰りにカフェによった。時間が遅くなっているから
か、結構空いていた。

真子が自分のカプチーノと勝のエスプレッソを買って、席について、
ようやく一息ついた。
真子:わあ……あったかくておいし~い♪ しあわせ~

勝 :ほら、振り返りをしろ

真子:はーい。願い事は具体化して言語化する。言語化したら、絵馬
   に描いて近くにおいて意識づけする。すると願い事が叶う!

勝 :そうだな。叶えるのは自分だけどな。

 

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◆2011年、日本の経済は?
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勝 :しかしオマエと初詣するだけで大騒ぎだな……

真子:またまたあ……楽しいくせに♪

勝 :はいはい

真子:だって、勝さん、そうじゃなかったら、絶対行かないもん。親
   戚とかそういうこと気にする性格じゃないし

勝 :いや、真子と行ってるんじゃなくて、オレが1人で行ってるだ
   け。隣にたまたまうるさいヤツがいて……

真子:ホント素直じゃないなあ……

勝 :そのネタは読者さんがもう飽きるからマジメな話をしよう。

真子:はーい。ね、今年の日本経済ってどうなるの? 例えば株は?

勝 :下がるかもしれないし、上がるかもしれない。もしかして、横
   ばいかもしれないな。

真子:へえ……って、当たり前じゃん! そんなの、「曇り時々晴れ
   ところにより雨」っていう天気予報みたいだよ!

勝 :だって知らねーよ、そんなの。そんなのわかったら、株で大儲
   けできるだろうが。当たった経済予測なんか見たことないぞ。

真子:そりゃそうだけどさ、そういう開き直った姿勢ってコンサルタ
   ントとしてどうなの?

勝 :オレは、わかることはわかるっていうし、わからないことはわ
   からないって言うんだよ! それが正しい姿勢だろうが!

真子:えー……

勝 :わかる「フリ」をする方がコンサルタントとして間違ってるだ
   ろ? 適当な話をしたらクライアントに迷惑かかるんだからな

真子:それが正論なのかもしれないけど、なんかなあ……

勝 :確かにわからん、で止めるのも無責任だから、長期的な話なら
   わかる。っていうか、もう決まってる未来だからな。

真子:え? 勝さん、未来がわかるの?

勝 :ある一面においては、な。

真子:えー、すっごーい!

 

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◆未来は、人口を見ればわかる
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真子:じゃあ、勝さんと真子の未来は? 一緒にいるのかな?

勝 :そんな未来は、神様じゃなくってオレたちが決めるんだよ! 
   そのために絵馬書いたんだろうが……

真子:あ、そっか……じゃあ私たち、きっとずっと一緒だね! 私た
   ち次第なんだから!

勝 :さあな

真子:そういうと思った。ね、勝さん、じゃあ何が決まってるの?

勝 :例えば、10年後の20歳の人口。

真子:えーすっごーい! 何でわかるの?

勝 :今10歳の人が20歳になるから、今の10歳の人の数を数え
   ればわかるよ。

真子:えっと……そうか! 10歳の人が10年後に20歳になる!
    って、当たり前じゃないですか!

勝 :で、オマエ知ってるのか? 何人いる?

真子:し、知らない……少子化で減ってそうっていうのはわかるけど

勝 :ちょっと待て、せっかくだからきちんと考えよう。今パソコン
   立ち上げるからな……
勝がノートパソコンを取り出すと、30秒後には画面に人口動態のグ
ラフが出た
勝 :2005年の国勢調査で5歳だった人が118万人いる。その
   子たちが今は10歳だな。

真子:そっか、その人たちが今から10年後に20歳になるんだね。

勝 :大戦争とか大規模な移民開放政策とかがなければ、そうだろう
   な。これは、未来というよりはむしろ「過去」のことだな

真子:確かに! 去年の出生数なんて、今から増やせないからね!

勝 :そうなんだよ。その意味で未来が読める。

真子:な、なあるほどぉ……その人たちが、お酒飲めるようになって
   そーれ・しちりあーのに来てくれるといいなあ

勝 :そうそう、そう考える。ちなみに、2010年に産まれた人、
   つまり出生数は107万人だな。あのな……

真子:わかってます、メモとります! えっと2005年の5歳人口
   が118万人ですよね? 産まれたのは2000年、と……

勝 :そうそう。5年前に0歳、つまり産まれたわけだからな。

真子:で、2010年には107万人だから……え!? 1割近く減
   ってるじゃん。たった10年で!

勝 :そう。このことの意味をオレらははよーく考えた方がいい。

真子:うわあ……

勝 :今年の1月1日に、人口減少がついに10万人突破、ってニュ
   ースが出た。死亡数が出生数を10万人上回ってる。

真子:そうかあ……日本もそんな国なんだね……

www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei10/index.html

2010年
出生数:107万人
死亡数:119万人

勝 :今年の景気はわからないけど、今後20年間の傾向ならわかる
   よな。大きな流れとしては。

真子:うん、未来が読めるってそういうことかあ……

 

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◆生産年齢人口の急激な減少
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真子:じゃあ、20年後は、人口構成が変わってさらに少子高齢化が
   進むってことですね。

勝 :そうそう。わかりやすいから、「生産年齢人口」に注目する。
   15~64歳の人口だな

真子:はい。お酒が飲めるのは20歳からだから、そーれ・しちりあ
   ーののお客様もそこだよね

勝 :ちょっとデータが古いんだけど、このデータを使ってみてみよ
   う。本当は最新の国勢調査結果を早く見たいが、しょうがない
中小企業白書2006年 http://ow.ly/3AEH7
真子:前の国勢調査って2005年でしたもんね。

勝 :まあでも大きいところは変わらないだろ。するとこんな感じ。
       生産年齢人口  人口に占める割合

1970年: 7157万人  69%
1990年: 8614万人  70%
2010年: 8167万人  64%
2030年: 7094万人  59%
真子:えー! 生産年齢人口って、今から1千万人も減るんだ!

勝 :そうそう。東京の人口分くらいの生産年齢人口が減る。

真子:じゃあ高齢者が増える?

勝 :ああ。総人口の29%が65歳以上と予測されてるな。日本は
   人口の3割がシニア、っていう国になる

真子:ね、この予測、当たりそうですか?

勝 :2010年以前に産まれた人の数については当たるだろ。人口に
   占める割合については、これからの出生率次第。

真子:あ、そっか。

勝 :ちなみに、これ「高位推定」っていうかなり楽観的な数字な。
   現実はもっと少子化が進むだろうな。

真子:うわあ……じゃあ、日本経済はこれから厳しいってこと? 私
   のお給料も?

勝 :経営者の給料なんて、自分で稼ぎ出すんだよ! 会社からもら
   うもんじゃねー。経営者としての自覚なさ過ぎ。

真子:す、すみません……

勝 :経営者に限らず、これからはみんなそうだと思うぞ。いただく
   のは会社からじゃなくてお客様から、だけどな。

真子:で、日本経済は?

勝 :もう昔のような経済成長はありえない。例えば、ヴァリックっ
   ていう複合カフェの中林社長がこう言ってた
「一般には不況と言われているが、今の状態を普通ととらえ、利益を
 拡大しないといけない」

2011-1-12 日経MJ P9 ヴァリック社長 中林氏
真子:ちょっと悲観的なんじゃない?

勝 :いや、むしろ楽観的。今の状態は、10年後から見ると「10
   年前は良かった」になる。生産年齢人口がこんだけ減るんだぞ

真子:そっか……じゃあ日本経済はダメかあ……

勝 :違う。日本経済は「変わる」だけだ。ダメじゃない。

 

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◆「失われた20年」は本当か?
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真子:そうなの?

勝 :誤解されているんだが、この「失われた20年」にもGDPは
   相当伸びてるぞ。
1990年: 447.4兆円
2009年: 525.2兆円

(GDP:実質暦年 2000年基準)
真子:あれ……? ホントだ。

勝 :みんな事実を知らないで不況だとか言うんだよな。78兆円っ
   て結構すごいぞ。

真子:ど、どれくらい?

勝 :ざっくりだけど、韓国のGDPが大体そんなもんだな。台湾だ
   と2つ分。

真子:え!? そ、そうなの?

勝 :そうそう。日本国内に、韓国1つできたくらいのGDPが20
   年で増えたの。これで日本がダメだなんて、ウソだ。

真子:そうなんだ!

勝 :そう。売れないのは、この新しくできた「韓国」に対応できて
   ないだけ。これで「失われた20年」なんて甘えすぎ

真子:でもさ、みんな不況不況っていうじゃん? あれは?

勝 :2009年の落ち込みは顕著だったからな。-5%を超える落
   ち込みは、手元にある1970年以降のデータでは初めてだ。

真子:じゃあホントに不況だったんだ?

勝 :一時的には、な。ただ、いつの時代にも、不況不況っていう人
   はいる。色々な理由でな。

真子:どんな理由?

勝 :売上低下を責任転嫁したい経営者、不況って騒いだ方が売れる
   マスコミとか、色々いるぞ

真子:じゃあ稼いでる会社もあるんだ?

勝 :そりゃそうだ。国内に韓国規模の市場が産まれたんだからな

真子:そうだよねえ……

勝 :ただな、1企業の経営者としては、マクロの傾向は知っておく
   必要はあるが、気をもんでもしょうがない。

真子:どういうこと?

勝 :だからさっきの中林社長みたいに「こういう状況だとしてどう
   するか」って考えるんだよ。

真子:そうかあ……現状は変えられないから……

勝 :あのな、外交・防衛はともかく、景気についていえば、政治の
   せいというよりはオレらのせいだぞ?

真子:な、なんで?

勝 :あのさ、「不況」とか景気が悪い、ってどういうこと?

真子:GDPが伸びない? 低成長っていうか……

勝 :マクロで見ればそうだけど、オレら企業経営者にとっては?

真子:えっと……利益が下がること?

勝 :その理由は? 利益=売上-費用だよな? 不況下だとモノの
   値段は下がるから、「費用」はむしろ下がるよな?

真子:えっと……そっか、景気が悪いと売上が下がるから

勝 :で、売上が下がるのは政府のせいか?

真子:そ、それは……私たちの責任……

勝 :それなのに、売れないのは景気のせいなのか?

真子:あ!! そうか! 私たちが頑張って売れば、景気がよくなる
   んだ!

勝 :そう。売れないのはオレらが頑張ってないから。で、その売れ
   ない状態を不況っていうだけ。だからオレらが頑張ればいい。

真子:そっかあ! 逆なんだ!

勝 :ああ。売れないのを景気のせいにするのは因果関係が逆転して
   いる。オレらが頑張ってない状態を不況って呼ぶ。

真子:でも、国全体で見れば不況じゃん

勝 :「国」なんてモノは存在しないんだよ。オレらが1人1人集ま
   った集団を国ってまとめて呼ぶだけ

真子:え、じゃあ勝さんは今の政治でいいと思ってるの?

勝 :色々言いたいことはあるが、それとこれとは別。政府は政府の
   すべきことをして、オレらはオレらのすべきことをする。

真子:確かにそーれ・しちりあーのにお客様が来ないのは、政府の責
   任じゃないよね…… 

勝 :当たり前だ。

真子:でもでも、生産年齢人口は減ってるんでしょ? じゃあやっぱ
   り厳しいんじゃないの?

勝 :でもGDP伸びてるんだぞ?

真子:え? それ、どういうこと……? 何かわかんなくなってきた
   よ……

勝 :生産年齢人口は減って、GDPが伸びている。つまり……

真子:つまり……?

 

今回はここまで! 勝の言いたいことは……おわかりですよね?

 

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◆今日のまとめ
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●未来の人口構造は既にわかっている。その変化に対応しよう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.110 2011/01/20
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●これからの日本では、密着軸が戦いやすい。組織全体で密着軸を実
 現していこう!
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◆前回のまとめ
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真子:ね、勝さん、エスプレッソのお代わり買ってあげようか?

勝 :一体今日はどうしたんだ?

真子:勝さんと少しでも一緒にいたいの♪

勝 :戻ると親戚がいるから疲れるってだけだろ。さっき言ってたじ
   ゃねーか。

真子:ばれたか、へへ。
でも勝さんといたいのはホントだからね、といたずらっぽく笑いなが
ら言うと、真子は立ち上がってカフェのカウンターに向かった。
真子:はーい、買ってきたよ~

勝 :お、ありがと。えっと……どこまで話したっけ?

真子:はーい、前回はね……日本のGDPはこの「失われた20年」
   の間にも伸びてる

1990年: 447.4兆円
2009年: 525.2兆円

(GDP:実質暦年 2000年基準)

勝 :で、この約80兆円の伸びっていうのが……

真子:韓国1国分くらいのGDP。すごいよね~。

勝 :ちなみに「実質」GDPだから、物価が変わってる分は除外さ
   れている。物価の効果じゃないGDPだからな

真子:なるほど~。でもわからないのが、生産年齢人口っていう15
   ~64歳の人口は減ってる……
       生産年齢人口  人口に占める割合

1970年: 7157万人  69%
1990年: 8614万人  70%
2010年: 8167万人  64%
2030年: 7094万人  59%
勝 :そうだよな。1990年~2010年で、400万人以上減っ
   てるな。人口も純減に転じてる。

真子:それって、お客さんは減るってことだよね?

勝 :そういうこともあるだろうな。

真子:なのに、GDPは伸びてるんだよね?

勝 :それはどういうことだ?

 

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◆1人当たりGDPは伸びている
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真子:人口が減ってるのに……GDPは伸びてる……あ! そうか、
   1人当たりで見ると伸びてるんだ!

勝 :そうなるよな。えっと、人口を調べてみよう。確かデータにあ
   った……

勝は開いていたLet’sNoteのExcelファイルを立ち上げ
ると、数字を真子のノートに書き込んだ。
勝 :ほら、計算してみろ

真子は、はーい、というと、携帯電話を電卓代わりに使って、ピコピ
コと打ち始めた。
真子:できた!

       GDP     1人あたりGDP

1990年: 447.4兆円   362万円
2009年: 525.2兆円   412万円

(GDP:実質暦年 2000年基準)
(人口:1990年は国勢調査、2009年は総務省推計)

*数字は、私の計算です。データによって違うので、お気をつけくだ
 さい。
真子:やっぱり1人当たりGDPが伸びてる……1割以上伸びてるよ
   ね。

勝 :そうだな。しかもこの間、生産年齢人口は500万人弱減って
   いるんだぞ。

真子:ということは、1人当たりで見ると日本はむしろ成長してるん
   だあ……じゃあ希望はあるんだ!

勝 :当たり前だ。GDPは、「国の稼ぎ」と考えるな。オレら1人
   一人の頑張りの集積だ。増やすのは国じゃなく、オレたちだ!

真子:なんかやる気になってきました!

勝 :日本の活路は多分そこしか無い。総GDPは、購買力平価では
   中国にとっくに抜かれた。インドにももうすぐ抜かれる。

真子:そ、そうなの?

勝 :ああ。もうこれも「決まった」未来だと言っていい。でもな…

真子:でも、「トータル」では抜かれても、1人当たりではまだまだ
   頑張れる!

勝 :そうそう。オレたち1人1人が考えて、頑張って、1人当たり
   GDPを上げていくしかない

真子:うん! そーれ・しちりあーのも頑張る!

勝 :結局、日本経済復活には、オレらビジネスパーソンが頑張るし
   かないんだよ。

真子:私たちの稼ぎの合計がGDPなんだもんね。

勝 :そう。GDPは、オレらが生み出した財・サービスの価値の総
   額。政府のせいでGDPが伸びないんじゃなくて……

真子:私たちがGDPを稼がないから……だから、1人当たりの私た
   ちのガンバリが、日本経済に貢献するんだよね……

 

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◆日本は「密着軸」の時代に!
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勝 :人口は減る。でも1人当たりGDPは増えてる。で、そーれ・
   しちりあーのの社長としてはどうする?

真子:もっと頑張る!

勝 :そりゃそうだけどさ……真子、広岡社長に「君には戦略がない
   んだよ」って言われたのを忘れたのか?

真子:あ……私、変わってないねー、きゃははは。

勝 :まあそれが真子のいいところでもあるんだけどさ。良く言えば
   楽観的なポジティブさ

真子:わーい。やっぱり勝さんは真子にむ、ちゅ、う♪

勝 :悪く言うとお気楽なお調子者

真子:ぶう……

勝 :強みは弱み、弱みは強み、だからな。で、どうする?

真子:で、どうする、って?

勝 :こういう経済状態だとして、真子は社長としてどうする、って
   聞いてる。

真子:人口は減るけど1人当たりGDPが増えるんなら……そうか!
   客単価を上げる!

勝 :そうなるな。客数は?

真子:生産年齢人口が減ってるから、新規顧客獲得は難しい……だか
   ら、リピート重視!

勝 :そうすると、差別化軸はどうなる?

真子:あ、そうか……密着軸だ! リピート重視!

勝 :そうだ。これからの日本の構造変化を考えると、それが一番や
   りやすいだろうな。

真子:わーい、そーれ・しちりあーのも密着軸にして良かった! あ
   まさか勝さん、そこまで考えて「売れる会社の……」*で……

勝 :当たり前じゃねーか。

真子:そ、そうなんだ……ホントいつもいつも助けてもらってばっか
   りで……その分、真子の愛情でお、か、え、し♪

勝 :それ、そのまんま返品するよ。クーリングオフ、有効だよな。

真子:もう、素直じゃないなあ。こんな晴れ着のカワイイ子と……

勝 :無視。まあ全ての企業がそうすべきというわけじゃないけど、
   これからは密着軸がやりやすいのは確か。

真子:そうだよねえ……

勝 :特に小規模企業は、そこしかない、と言ってもいい。お客様の
   個別ニーズに応えていく。

真子:はーい、頑張ります!

 

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◆「密着軸」の時代には、経営のロジックの発想転換を!
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勝 :そうは言っても、この発想の転換って結構大変だぞ?

真子:な、なんで?

勝 :だって、今までの経営のロジックが「新規顧客獲得」を優先に
   設計されてるから。

真子:そ、そうなの?

勝 :ああ。営業組織でも、新規顧客を取って来た人が褒められる。
   でもリピートオーダーを取ってきても「当たり前」で終わる

真子:あ、なるほど……私が旅行代理店にいたときもそうだった!
   新しいお客さんを取ったら上司に「偉い」って言われたよ

勝 :で、既存顧客からのリピートオーダーだったら?

真子:あ、そう、って感じであんまり褒められない

勝 :それだと何が起きる?

真子:新規顧客獲得の方にチカラを入れるよね。

勝 :そう。それで既存顧客の方が落ちる。もしくは既存顧客担当の
   組織に不満が出る

真子:密着軸の場合は、それだとまずいよね……

勝 :そうなんだよ。だからどうする?

真子:え? だから既存顧客を重視するんでしょ?

勝 :どうやって? 口で言うだけじゃダメだろ?

真子:あ! そっか、戦略指標*だ!
*戦略指標:この数字を目指せば組織が自律的に戦略達成に動く数字

詳細は「売れる数字 ~組織を動かすマーケティング~」で!
佐藤義典著 朝日新聞出版
http://ow.ly/32zKP
勝 :そうそう。既存顧客のリピートとか維持に頑張った人を、新規
   獲得以上に優遇する人事制度が必要。口だけじゃダメ。

真子:そーれ・しちりあーのも、そういうの、真剣に考えないといけ
   ないよねぇ……

勝 :は? そーれ・しちりあーのの戦略指標決まってただろうが。

真子:うん。1ヶ月当たりの購買点数。

勝 :だからそれで社員の給料決めりゃいいんだよ。

真子:え……あ、そっかあ! そうだ!

勝 :購買点数増えれば利益も上がるようになってるんだろ?

真子:うん。そういう価格設定にしてる。そっか、だから、点数さえ
   上がれば利益が出るから……

勝 :それを社員に還元すればいいだろ。

真子:そっかあ……それならわかりやすいね-。でもさあ、新規顧客
   も取らないとダメだよね?

勝 :当たり前だ。既存顧客は必ず減る。だから、新規獲得は絶対に
   必要。そうしないと先細りになる。

真子:密着軸でも新規顧客は取るの?

勝 :どの軸でも新規顧客は必要。ただ、密着軸を好む新規顧客を取
   る。例えば手軽軸の「低価格」を好む顧客は不要

真子:え? どうやって選ぶの?

勝 :ちょっとは考えろよ。例えば、手軽軸の顧客はどんな顧客だ?

真子:手軽軸が低価格重視だから……バーゲンハンターとか?

勝 :そう、そういう方を取るにはどうすればいい? それと逆のこ
   とをすればいい

真子:そういう価格志向のお客さんを取るには、低価格をウリにした
   商品とか販促する……そうか、それをやっちゃダメなんだ!

勝 :密着軸とか商品軸では、価格訴求はダメ。

真子:密着軸なら……あ、お客さんに紹介してもらうとか?

勝 :そうだ。お友達を連れてきていただくような工夫をすればいい
   だろ。商品とかでさ。

真子:そっかあ……

勝 :低価格訴求は考えなくてもできるから、ついやっちゃうんだよ
   な。

真子:でもそうすると、低価格訴求しないとお客様が来なくなっちゃ
   うよね? だから気をつけないと……

勝 :そう! 必死で知恵を絞って考える人が勝つ、そういう時代に
   なったんだよ。

真子:考える、かあ……そうか、だからBASiCSなんだねー。考
   えやすいから。

勝 :そういうことだ

真子:ね、勝さん、もうそろそろ戻ろうか?

勝 :いや、もう少し待て。この際だから話しておきたいことがある

真子:ああ、勝さん、真子といたいんだあ……いいよ、い、て、あ、
   げ、る♪

勝 :はあ、やっぱり帰るか……

真子:あ、ダメダメ、ね、話って? ま、まさか……

勝 :妙な勘違いをするな。真子の店にも関係ある話だ。こうやって
   データを見てきたから丁度いい。

真子:え? 何、何?
今日はここまでにして、続きは次号で!

 

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◆今日のまとめ
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●これからの日本で戦いやすいのは密着軸。それを実行する仕組みを
 作ろう!

 
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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.111 2011/01/24
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●データ分析は、「終わり」ではなく「始まり」。数字をきっかけに
 して、定量と定性のやりとりをしよう!
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◆前回のまとめ
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勝 :じゃあ、真子、前回の……

真子:わかってまーす、前回のまとめですよね。まず、日本では生産
   年齢人口がすごく減ってまーす!

勝 :すごく、ってどれくらいだよ……

真子:えっと……この20年で400万人以上。それで、でも、その
   間に実質GDPは78兆円も伸びてる! 約韓国1国分。

勝 :その理由は?

真子:生産年齢人口が減ってるのにこれだけGDPが伸びてるのは、
   1人当たりGDPが伸びてるから。

勝 :じゃあどうすればいい?

真子:人口が減るから、客数を追うのは難しい、従って、顧客維持と
   客単価アップを狙います!

勝 :戦略は?

真子:密着軸♪

勝 :OK

真子:ね、ね、数字って面白いですね~。こんなに色々なことがわか
   るなんて……今まで食わず嫌いでした!

勝 :ああ、結構こういう数字って色んなところに転がってるぞ

真子:韓国1国分のGDPが伸びてるなんて、知りませんでした……

勝 :誰もそういうこと言わないからな。

真子:ね、勝さん、こういうのって、そーれ・しちりあーのみたいな
   イタリアンレストラン関係のデータってあるんですか?
真子が期待に満ちた目で勝に尋ねた。

勝 :あるよ。
勝があっさりと答える
真子:えー! そうなんですか!?

勝 :ああ。せっかくだから、今からそれをやろうと思って。国のデ
   ータってタダだしさ。こうやって遠慮無く公開できるからな。

真子:わーい! ありがとうございます!

勝 :と言っても、都合良く「イタリアンレストラン」のデータなん
   かは無いからな。

真子:ええ……なーんだ。

勝 :なーんだ、じゃねーよ。データがあるところまではデータを調
   べて、そっから先は自分で考えるんだよ! 当たり前だろうが

真子:はーい。

 

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◆まずは家計調査を見よう!
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真子:ね、勝さん、どんなデータを見ればいいんですか?

勝 :そーれ・しちりあーのみたいなBtoCビジネスだったら、ま
   ずは総務省の「家計調査」だな。これが基本中の基本。

http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.htm

真子:あ、消費者が何買ったかがわかるデータですよね。

勝 :そう。「全国消費実態調査」もいいけど、これは5年に1回だ
   からな。家計調査は毎年出るから使いやすい

真子:ね、イタリアンレストランの出費とかわからないんですか?

勝 :そこまでわかるわけないだろ。確か「外食」って項目はあった
   はずだが……
勝はノートPCをネットにつなげて、ブラウザを開いた。

真子は、「私もやり方知りたい!」と言って、テーブルの向かいの
勝の隣へと移動する。

「そんなにくっつくな。邪魔だ」「またまた、照れちゃって、嬉しい
くせに~」というお決まりのやりとりをしている間に、勝がお目当て
のサイトにたどりついた。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000007368962
勝 :現時点で最新の家計調査は、2009年だな

真子:へえ……世帯主の年齢別にわかるんだあ……外食は……

勝 :こんな感じか
●1ヶ月の外食出費(世帯)

20代  17,146円
30代  16,700円
40代  16,987円
50代  12,142円
60代   8,766円
70歳以上 5,571円

(家計調査2009 総世帯)

 

真子:ふうん……やっぱり若い世帯の方が外食多いんだねえ……でも
   40代も20代並に高い! 意外! ここ、狙い目かな?

勝 :待て、こういうのを見るときは気をつけろ。これは、世帯消費
   だからな。

真子:世帯って……あ、家族合計になってるってこと?

勝 :そうそう。40代とかだと子供がいる世帯が多いから、必然的
   に出費が増える。世帯の人数が増えるからな。

真子:あ、そっか。だから20代と40代をこのまま比べるとおかし
   くなるんだ。

勝 :だから、世帯出費じゃなくて、世帯の1人当たり出費に割り戻
   す。1世帯当たり人員も載ってるから、それで割るとだな……
勝が表計算ソフトを立ち上げ、ぱぱぱ、と手際よく入力していく。
真子:勝さん、はっやーい!

勝 :こんなの基本中の基本だからな。時間かけてられない。
●1ヶ月の外食出費(1人当たり)

20代  11,280円
30代   5,779円
40代   5,101円
50代   4,336円
60代   3,879円
70歳以上 2,995円

(家計調査2009 総世帯、1人当たりに換算)

 

真子:あれ? 全然違う結果になった。1人当たりで見ると、20代
   がダントツで高い!

勝 :だろ? こういうところに気をつけないと、見誤るからな。世
   帯人数が多けりゃ、世帯出費が多くて当たり前だ。

真子:ホントだあ……

勝 :英語だとApple to Apple とかいうよな。リンゴは、リンゴと
   比べろ、と。リンゴとみかんじゃなくてな。

真子:はーい。ね、これを見る限りだと、やっぱり20~30代が外
   食のターゲットですよね……

勝 :まあそうだろうな。外食の機会は多いだろうし。未婚ならデー
   ト需要だってあるしな

真子:あの、この中身ってわからないんですか? 外食の中身は?

勝 :確かわかるはずだけどな……
勝が再びネットの検索を始める。真子は勝の隣で、興味深そうに画面
の遷移を見ている。真子の愛らしい瞳が小動物のようにクリクリと動
き、視点が勝のパソコンの画面上を移動する。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000007370343
勝 :あー思い出した。家計調査を細かくみようとすると、対象世帯
   が変わるんだ。

真子:え、何?

 

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◆データを組み合わせて見ていこう!
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勝 :家計調査で細かい品目分類を見ようとすると、調査対象が「総
   世帯」から「2人以上世帯」になるんだよな……

真子:さっきのは?

勝 :総世帯。しかも集計期間は「年間」になる。そのあたりに気を
   つけて、同じように1人当たりに割り戻すと……
●年間の外食出費(1人当たり)

        洋食        和食
20代   7,218円    5,300円
30代   6,343円    4,853円
40代   6,221円    4,902円
50代   5,502円    6,884円
60代   4,978円    9,199円
70歳以上 3,059円    8,654円

(家計調査2009 2人以上世帯、1人当たりに換算)
勝 :和食と洋食だけ抜き出すとこんな感じ。何が「洋食」かはさて
   おき、だけどな。

真子:え? これ、年間の数字ですよね? 少なすぎませんか? 月
   1万円使ったって、12万円ですよ?

勝 :自分の基準でモノを言うな。これは全体の平均だから、使わな
   い人も入った平均になってる。

真子:あ、そっか。使う人だけで見ればもっと多くなるんだ。

勝 :しかも全国平均。都心と地方だとやっぱり感覚が違うからな。
   これは、数字の高い低い、じゃなくて、傾向を見るんだ

真子:傾向って……あ! 若い方が洋食の出費が多いとか?

勝 :そうそう。例えば、40代以下だと洋食>和食で、50代以上
   だと和食>洋食になるだろ?

真子:えっと……あ、ホントだ! そっかあ、年配者の方は和食が好
   きなんだね。

勝 :そう。絶対額はともかく、全体の傾向がわかるよな。

真子:だからそーれ・しちりあーのでも若い人が多いんだねー。

勝 :当たり前って言えば当たり前だけど、きちんと確認することが
   大事。思い込みに過ぎない、ってこともあるからな。

真子:そっか、洋食だけじゃなくて、比較対象として、和食を右にお
   いているから、それがわかるんですね。さっすがあ!

勝 :お、よく気づいたな。そういうこと。比較対象を色々見てみる
   ことも大事。経年比較とかな。

 

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◆数字の分析は「始まり」:定量と定性のやりとりをしよう!
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真子:50代と60代でも、大分違いそうですよね? 和食の費用が
   一気に60代で上がります。

勝 :そーれ・しちりあーのの感覚的にはどうだ?

真子:確かにそう言われてみれば、50代くらいの方はいらっしゃい
   ますけど、60代の方は少ないような……

勝 :50代と60代の違いは何だ?

真子:年齢が違う!

勝 :当たり前じゃねーか!

真子:きゃはは、冗談ですよ~。定年、ですよね?

勝 :お、鋭いな。そうそう。それで?

真子:それで、って?

勝 :定年だとどうなる? 外食についての消費行動はどう変わる?

真子:え? えっと……あ! 一緒に行く人が違う!

勝 :そうだな。50代だと、仕事で部下を連れていくときなんかに
   はイタリアンとかにも行くだろうけど、定年すると……

真子:奥様か、ご友人か、ですよね……だから和食が増えるんじゃな
   いか、と……そうかあ……そうやって考えていくんだ……

勝 :そうだ。これが一番大事なポイント。データはあくまでも無機
   質な数字だ。その背後にある「お客様のココロ」を読むんだ

真子:あ! 「新人OL~」で習った「アンケートの裏側を読む」っ
   てヤツだ! 何か懐かしいなあ……

勝 :そう。データのウラには、必ず「人」がいるだろ? その動機
   ・ココロを読むんだ。それが大事。

真子:そうかあ……数字だけじゃダメなんだねぇ

勝 :大抵の人が、数字を見て、そこで思考停止する。しかし、ホン
   トのマーケターはそこから思考を「始める」。忘れるな。

真子:はい!

勝 :数字を見たら、「これってどういうことなんだろう?」と、自
   分に問え。

真子:なあるほどぉ。
真子が必死でメモしながら勝の弾丸トークに追いついていく。慣れた
ものか、猛スピードのトークに対しても真子は手を動かしながら、器
用に会話をつなげる
真子:でも、このデータの和食の費用増加が本当に定年による違いか
   どうか、わかんないですよね?

勝 :だから、それを調査すればいいんだよ。そこまで仮説ができて
   いれば、調査できるし、大体店で見てりゃわかるだろうが。

真子:えっと……あ、そうか! 店で、どんな年代の方が、どんな方
   と来ているかを数えればいい!

勝 :そういうことだ。こうやって、数字→ココロ→数字、ってやり
   とりしていく。

真子:そうやって考えるんだあ……すごいなあ…

勝 :これが、「定量と定性のやりとり」だ。数字は、終わりじゃな
   くて始まり、だからな。忘れるなよ。ほら……

真子:はい! メモします!

勝 :じゃあ、外食を見たから、今度は、イタリアンレストランに関
   わりそうな、別の要素を見ていこうか。それは……

真子:え、まだあるんですか?

勝 :当たり前だ。イタリアンレストランに大きく関係する項目が家
   計調査に隠れてる

真子:え? そ、それは何ですか?

勝 :それはだな……
今日はここまで、続きは次号で!

 

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◆今日のまとめ
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●数字・データを見たら、「これってどういうことなんだろう?」と
 自分に質問を投げかけよう。数字とココロのやりとりをしよう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.112 2011/01/27
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●国など公的機関のデータは使いでがある。色々なデータを組み合わ
 せて立体的に考えよう!
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◆前回のまとめ
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真子:もうわかってます、前回のまとめですよね。まず、国のデータ
   が結構充実してることに驚きました。家計調査とか

勝 :注意点は?

真子:1人あたりに割り戻すとか、同じモノを同じモノと比べる。
   Apple to Appleですよね。

勝 :うん。それから?

真子:データ分析は、終着点じゃなくて始まり。ここから、定量と定
   性のやりとりが始まる。

勝 :OK。あと、外食の傾向はどうなってた?

真子:こんな感じです

●1ヶ月の外食出費(1人当たり)

20代  11,280円
30代   5,779円
40代   5,101円
50代   4,336円
60代   3,879円
70歳以上 2,995円

(家計調査2009 総世帯、1人当たりに換算)
真子:で、若い世代の方が和食より洋食を好みます。だから、そーれ
   ・しちりあーのも若い人が多く来る!

 

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◆お酒は誰が飲む?
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勝 :でさ、イタリアンなんかだと、やっぱりアルコールの利益って
   大きいだろ?

真子:ええ、うちは割と良心的な値付けだと思いますが、それでもや
   っぱり利益率は高いですね。

勝 :今回見ていくのはそのデータだ。「お酒」の消費傾向。

真子:へー、そんなのもあるんですかあ……

勝 :家計調査には、BtoC系のモノは大概あるぞ。で、みんなお
   酒飲むか?

真子:ええ、そうだと思いますけど……

勝 :お酒を飲む人って誰だと思う? 正確に言うと、お酒にお金を
   使う人。

真子:え? 若い人じゃないんですか? さっきと同じで……

勝 :そう思うか?

真子:はい……もったいぶらないで早く見ましょうよぉ!
勝が表計算ソフト上でぱぱ、っと計算式を入力する。家計調査のある
部分をハイライトした。
勝 :ほら、見てみろ。絶対額そのものは気にするな。傾向を見ろ。
   例によって1人あたりに換算してある。
真子が勝のほほに自らのほほが触れるくらいに近づけ、2人仲良く、
パソコンの画面を見た
●年間のお酒出費(1人当たり)

20代   7,347円
30代   9,260円
40代  10,517円
50代  14,985円
60代  19,264円
70歳以上16,938円

(家計調査2009 2人以上世帯、1人当たりに換算)
真子:これ、年間にしては金額は確かに低いですねー。私、20代で
   すけどこの100倍くらい使ってますよ、あはは

勝 :オマエは使いすぎだ。これは飲まない人も含めた金額だから、
   当然低くなる。全体の傾向を見ろ。

真子:あれ……ええ!? そうなんだ! ピークは……60代!

勝 :そうなんだよ。実は年齢が高い方がお酒の消費金額は大きい。

真子:で、でも、ワインとかは違うんじゃないですか? きっと若い
   人が……

勝 :じゃあ見てみるか? えっと……
真子は勝に寄り添うように、やや緊張した面持ちでデータがスクロー
ルしていくのをじっと見つめている。
勝 :ほら、見てみろ
●年間のお酒出費(1人当たり)

       ぶどう酒

20代    274円
30代    507円
40代    749円
50代    903円
60代  1,113円
70歳以上  770円

(家計調査2009 2人以上世帯、1人当たりに換算)
真子:ぶ、ぶどう酒って項目なんですね……まあ確かにワインはぶど
   う酒ですけど

勝 :いいから数字を見ろ

真子:えっと……え、ええーー!

勝 :うるせー、耳元で大声出すな

真子:だ、だって……ワインも50~60代がピークなんて……

勝 :少なくとも金額では、な。これ、年齢が高い方がそもそも年収
   が高いから、気をつけないといけないけどな。

真子:でも、若い方が可処分所得は多いですよね? だから外食に使
   うお金だって多いんでしょ?

勝 :お、鋭いな。そのあたりはこのデータからだけじゃわからない
   から、色々仮説を立ててみると面白いぞ。えっと……ほら。
再び勝がパソコンをいじりだし、ある部分をハイライトした。
●年間のお酒出費(1人当たり)

       ビール      発泡酒   

20代   2,346円    1,918円
30代   2,990円    2,192円
40代   3,275円    1,907円
50代   4,947円    2,295円
60代   6,779円    2,045円
70歳以上 5,720円    1,324円

(家計調査2009 2人以上世帯、1人当たりに換算)
真子:あれ? ビールはやっぱり年配者の方が出費が多いけど、発泡
   酒は年齢を問わず、変わらない……

勝 :酒類全体に占める金額、という意味では、若い人の方が発泡酒
   の割合が高いよな。

真子:そっか! 節約してるんだ! 若い人の方が量を飲むし……じ
   ゃあさ、ワインも安いのなら若い人も飲めるんじゃないの?

勝 :そう! そうやってデータを見ながら考えて行くんだよ!

真子:面白いですね~、これ。今まで見たこと無かったよぉ……もっ
   と早く教えてくださいよ……

勝 :真子のレベルに合わせてるんだよ! 1つの店を建て直す、と
   いう意味では立地優先だろうが。

真子:そ、そりゃそうかもしれないけど

勝 :これからそーれ・しちりあーのを数十店舗に拡大って言う場合
   は、マクロ傾向は知っておいたほうがいいから今やってるんだ

真子:はい……いつもいつも、ありがとうございます!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆疑問に思ったら調べてみよう!
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真子:でも、まだ納得いかない。若い人の方がお酒飲むと思うんだけ
   どなあ……大学生とかいっぱい飲んでるし。

勝 :そういうときは調べろ。データだけでもダメだし、思い込みだ
   けだと危険だからな。

真子:ね、ね、そういうデータないんですか?

勝 :確か、お酒は……
勝が、検索エンジンなどを使いながら、キーを叩き続ける間、真子は
そんな勝の姿を嬉しそうに眺める。
真子:ね、勝さん、ホントこういうの好きだよね~。楽しそうだし。

勝 :マーケティングは趣味みたいなもんだからな。全然苦痛は感じ
   ないよな。っていうか楽しいぞ。

真子:ああ、勝さん、やっぱり真子といて楽しいんだあ♪

勝 :ああ、こういうのはそうだな。

真子:え? ほ、ホント? 珍しいじゃないですか、素直に……

勝 :いや、真子ホント成長したよ。こういう会話ができるくらいに
   さ。知的会話ができるのは、楽しいぞ

真子:私もすっごく楽しいです、こうやって色々考えるの!

勝 :だろ? 国も結構色々なデータを用意してくれてるんだよ。

真子:ホントですね~

勝 :最近結構、例の「仕分け」で予算切られたりしてるけど、こう
   いうのはお金使ってほしいよなあ……法人税払ってるんだしさ

真子:そうだよねぇ……国しかできないもんね、こんな調査は

勝 :あった、これだ。厚労省のデータ。

 

●性・年代別「飲酒習慣者」の率

      男性     女性
平均   36.4    6.9

20代  13.4    4.9
30代  32.4   11.6
40代  45.2   13.2
50代  48.7    8.7
60代  43.4    4.8
70以上 25.0    1.4

厚労省 国民健康・栄養調査 2009
http://ow.ly/3IyxA

飲酒習慣のある人:週に3日以上飲酒し、飲酒日1日あたり1合以上
を飲酒すると回答した者

 

真子:え……えええ!? 若い人が飲まない!

勝 :だからうるせーよ。っていうかもっとオレから離れろ

真子:しょうがないじゃないですか。パソコンの画面が小さいんです
   から……もう、照れちゃって♪

勝 :ともかく、ほら、年配者の方が「飲酒習慣者」、要は週3日以
   上晩酌する人が多いんだよ。若者は晩酌なんかしないだろ

真子:そうなんだあ……

勝 :しかし今はありがたいよなあ……昔だったら、こういうのを調
   べるのには都立広尾図書館とかに行かないと無かったからな

真子:そうなんですね-。今はネットで何でもできちゃいますよね

勝 :だからこそ、データを「調べる力」じゃなくて「解釈する力」
   が大事になってくる。「使う力」だな。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆複数のデータを組み合わせて、立体的に見ていこう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :このデータからわかることは?

真子:20代は飲酒習慣者が少ない

勝 :それから?

真子:えっと……女性も少ない。あんまり飲まないんだね……でもさ
   うちの店に来てる若い女性は飲んでるよ?

勝 :全く飲まないわけじゃないだろ。これは週に3回以上飲む人の
   割合だから

真子:そっか。週1、2回くらい飲んでる人が多いのかもね

勝 :この年のデータでは、それはわからないみたいみたいなんだよ
   な……で、他に無いか?

真子:……女性40代の割合が高いのは意外だったけど……でもそれ
   ほど高いわけじゃないし……

勝 :前の、家計調査のページを出すか。この2つのデータを組み合
   わせてみろ
●性・年代別「飲酒習慣者」の率

      男性     女性
平均   36.4    6.9

20代  13.4    4.9
30代  32.4   11.6
40代  45.2   13.2
50代  48.7    8.7
60代  43.4    4.8
70以上 25.0    1.4
●年間のお酒出費(1人当たり)

20代   7,347円
30代   9,260円
40代  10,517円
50代  14,985円
60代  19,264円
70歳以上16,938円
勝 :どうだ?

真子:いや……だから若い人が飲まないし、お金を使わないんでしょ

勝 :そうか?

真子:だって……20代は、飲む人が少なくて、だからお酒の出費も
   少ない……

勝 :本当にそうか?

真子:え? あ……そうか! 飲む人が少なければ、1人当たり単価
   が高いのかもしれない!

勝 :そうなんだよ! 20代についてみると、飲酒習慣者が劇的に
   少ない。でも、年間のお酒の出費はそれほどでもない。

真子:ってことは……飲む人は、結構飲んでるってことだ!

勝 :そうかもしれない。もしくは、週3回は飲まないけど、たまに
   飲むときには結構お金使う、とかかもしれないな。

真子:気がつきませんでしたよ……そっか、飲むときはそーれ・しち
   りあーので飲むけど、家では飲まない、とか?

勝 :オマエだってそうだろ? 晩酌するか?

真子:家ではそんなに飲みません……あ、お酒は「ハレ」の日の需要
   なのかも!

勝 :そうだな。イタリアンレストランで発泡酒は飲まないだろ? 
   やっぱりスプマンテ(スパークリングワイン)とかだよな

真子:はい! そうやって自分のビジネスを見直していけばいいんで
   すね!

勝 :こうやってデータを組み合わせて見ていくと、また色々と仮説
   が出てくるだろ。それで、また事実を検証すればいい

真子:そうやって考えていくんですね~

勝 :こういう、国のデータは意外に見落とされてるから、結構使え
   るぞ。

真子:ええ、初めて見ました

勝 :よくTV番組で、「○○の消費が一番多い県は?」って言うの
   やってるよな

真子:ええ。

勝 :家計調査だと、県はわからないけど、「市」単位でなら、すぐ
   できるぞ。「県庁所在地」に限るけどな

真子:へえ、そうなんだあ……じゃあじゃあ、ワインの消費トップ3
   とかはどうなってるのかな? 

勝 :それ、すぐわかるぞ。調べる間に、考えてみろ。

真子:えっとね……じゃあ書いておくね……
勝のカタカタ、カチカチ、というキーボードを打つ音が響く。
勝 :やっぱりあったぞ。真子の答えは?

真子:東京、横浜、山梨!

勝 :「県庁所在地」だって言ってるだろうが。

真子:あ、そっかあ……山梨市ってワインの産地なんですけどね~。
   県庁所在地は……甲府だ。ね、ね、勝さん、答えは答えは?

勝 :こんな感じだな

 

●ワインの年間消費金額

1)東京都区部 3,077円
2)さいたま市 2,905円
3)甲府市   2,033円
4)神戸市   1,633円
5)札幌市   1,518円

(家計調査2009 総世帯、1人当たりに換算)

 

真子:やっぱり東京がトップかあ……でもさいたま市ってすごく高い
   ですね……甲府が高いのはよくわかるけど。勝沼が近いですし

勝 :横浜市なんかが入ってこないのは意外だな。でも1,361円
   で7位だな。

真子:惜しい! でもあんまり高くないんだね

勝 :横浜は広いからだろ。まあやっぱりワインの消費で神戸なんか
   が入ってくるのは何となくわかるよな。

真子:これ、面白いね~。ね、ね、お酒全体で見ると、どうなるの?

勝 :もうめんどくさいからヤだ。

真子:え~。じゃあ自分でやる。やり方教えてくださいよぉ!

勝 :もっとめんどくせーよ……まあ知っておいた方がいいか……
真子がきゃあきゃあはしゃぎながら表計算ソフトを操作し、メモを取
り続ける。しばらくした後……
真子:できた! 北九州市は、県庁所在地じゃないですけどデータに
   あったのでそのまま加えておきました。
●お酒の年間消費金額

1)松江市   20,713円
2)札幌市   19,761円
3)山口市   19,717円
4)北九州市  19,489円
5)山形市   19,426円
6)さいたま市 19,385円

(家計調査2009 総世帯、1人当たりに換算)
勝 :え? ホントか……?
勝が念のため計算結果を確かめる
勝 :ホントみたいだな……松江、山口、北九州あたりの方って、お
   酒好きなんだな……

真子:札幌、山形とかの北国はわかりますよね。寒いと飲みたくなる
   だろうし。

勝 :こういうデータには、何かが隠れていることが多い。松江、山
   口当たりのお酒事情を調べてみると面白いかも

真子:東京都区部は18,596円で9位ですね。

勝 :もっと高いかと思ったけどな……

真子:そう考えると、ワインの東京の高さはすごいよねえ。飲む人に
   限って言えば、年間数十万円じゃないの?

勝 :そうなんだろうな。酒全体とワインを比較するとよくわかる。
   まさにこうやって組み合わせて考えるんだ。いや、真子偉い。

真子:へっへえ。褒められたあ♪

勝 :疲れたな……そろそろ帰るか……

真子:ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ。まだ、若者がお酒飲まな
   いって問題が……

勝 :あ、それか……そもそも、お酒を飲まなく「なってる」がホン
   トか、検証しないとな……

真子:そうですよ~。そーれ・しちりあーのの将来にとっては死活問
   題なんですからあ!
今日はここまでにして、続きは次号で!

 

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◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●国や公的機関などから色々なデータが公開されている。それを組み
 合わせて、立体的に考えていこう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.113 2011/01/31
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「事実」と「推測」を分けて考え、仮説を考えながら数字を調べて
 仮説検証していこう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆前回のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:じゃあまずは前回のまとめですね。結構数字が多くて……

勝 :まず、年代別のお酒の出費のデータを出して

真子:はい! これですね。
●年間のお酒出費(1人当たり)

20代   7,347円
30代   9,260円
40代  10,517円
50代  14,985円
60代  19,264円
70歳以上16,938円

(家計調査2009 2人以上世帯、1人当たりに換算)
勝 :じゃあ、次は年代別の飲酒習慣率

真子:えっと……
●性・年代別「飲酒習慣者」の率

      男性     女性
平均   36.4    6.9

20代  13.4    4.9
30代  32.4   11.6
40代  45.2   13.2
50代  48.7    8.7
60代  43.4    4.8
70以上 25.0    1.4

厚労省 国民健康・栄養調査 2009
http://ow.ly/3IyxA

飲酒習慣のある人:週に3日以上飲酒し、飲酒日1日あたり1合以上
を飲酒すると回答した者

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「事実」と「推測」はきっちり分けよう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃあ今回はこれを考えていこう

真子:よく若い人がお酒を飲まなくなってるって言われるのは、ホン
   トだったんだあ……

勝 :待て、このデータからその結論は言えない。データからわかる
   こととわからないことは分けて考えろ

真子:え? だって、若い人のお酒の消費金額も飲酒習慣率も低いで
   すよね?

勝 :確かにそれは「事実」。

真子:だから、若い人がお酒を飲まなくなってるんでしょ?

勝 :それは「推測」。少なく「なってる」とは、1年のデータから
   じゃ言えないだろうが。いつと比べて言ってるんだ?

真子:あ、そっか。今も昔も若い人が飲まなかっただけかもしれない
   ってことだよね?

勝 :そう。30代、40代で飲酒習慣が増えてくるだけかもしれな
   い。それならこれから年を経れば飲むようになるはずだ

真子:なるほどぉ……

勝 :そういう「仮説」を立てるのはいいことなんだけど、「事実」
   と「推測」はきちんと分けて考えろ

真子:はーい。

勝 :特に真子は思い込みが激しいからな……昔っから。

真子:あはは、さすが勝さん、真子のことよくわかってるよね~

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆仮説の「思い込み」は危険。自分で自分の仮説を「叩こう」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :自分の仮説っていうのは、ハナっから否定するつもりで考える
   んだ。

真子:それじゃ仮説じゃないじゃないですか(笑)

勝 :いや、「仮説」だからそうすべきだ。自分は、自分の意見の最
   強の反論者であるべきだとオレは思うぞ

真子:へ? 矛盾してるじゃないですか?

勝 :しない。仮説検証ってそういうことだ。仮説の思い込みって結
   構怖い。仮説を立てると、それに合ったモノばかり見えちゃう

真子:なるほど、自分に都合の良いデータしか目に入らなくなっちゃ
   うんですね。「あばたもえくぼ」みたいなもんかあ……

勝 :それは「弱みは強み」ってことで意味が違う。そもそもあばた
   が目に入らなくなる、ってことだ。

真子:もう……細かいなあ……

勝 :だからそういうツッコミを入れて仮説検証するんだよ!

真子:きゃはは、そういうことなんだ~

勝 :人に突っ込まれて「う……それは……」ってなる前に、自分で
   徹底的に突っ込んでおいたほうがいいぞ。

真子:まあ、勝さんよりタチの悪い反論者なんていませんもんね~、
   きゃははは。人の議論の弱点を一瞬で見抜けるなんてね~。

勝 :うるせーな、でもそういうことだ。オレが自分の仮説に全力で
   反論して、その反論を返し切れれば、その仮説は多分正しい

真子:な、なるほど……

勝 :それなら、大抵の反論には耐えられるだろ

真子:BASiCS何かもそうやって考えられてきたんですか?

勝 :そうだよ。で、自分でツッコミを入れて、微修正を加える。そ
   うやって考え方を深めていくんだよ

真子:へえ、そうなんだあ……

勝 :オレがビジネス本とか戦略本読むときは、自分の理論への挑戦
   って受け止めるぞ

真子:また好戦的なんだから(笑)

勝 :「戦略なんて使えない」っていう意見とは、自分の中で大バト
   ルを繰り広げる。

真子:それでどうするんですか?

勝 :これなら著者に勝てる、っていうレベルまで考えを練る。

真子:著者の言いたいことは、本に書いてあることが全部じゃないで
   すよね? 不公平じゃないですか。

勝 :だから、「著者だったらこう反論するだろうな」と考えて、自
   分の意見への反論も容赦なくやる

真子:意地悪いねえ……ホント……

勝 :違うだろ。そうやってBASiCSとかが進歩すれば、売れた
   ま!読者にもさらにお役に立てるだろうが。

真子:た、確かに……っていうかその恩恵一番受けてるの、私かも…

勝 :その通りだ。わかってりゃいいよ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆傾向を見るためには、データはなるべく時系列で見よう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :で、若者はお酒を飲まなく「なってる」かどうかを見てみよう

真子:あ、そうだそうだ。そーれ・しちりあーのには大事な問題なん
   だからね。

勝 :これは時系列で見ないとダメだな。今20代の人が、将来的に
   晩酌するようになるなら別に問題ないしな

真子:えっと……あ、そっか、今50代で晩酌する人だって、昔はし
   てなかったかもしれないもんね。

勝 :ちょっと見てみよう。この調査、年ごとに発表形態が違うんだ
   よな……ちょっと待て、時間かかりそうだ

真子:はーい、じゃあ今までのところ、メモにまとめてまーす!

勝 :向こうの席に戻れ。邪魔だ。

真子:ヤですよーだ。あ、真子の魅力で気が散るんだ~。じゃあ、も
   っとくっついてあ、げ、るぅ

勝 :ふざけんな、邪魔だっつーの。

真子:だって勝さんがどうやって分析するか、見たいんだもーん♪
勝は「勝手にしろ」とつぶやき、しばらくパソコンをいじった後、ふ
う、と一息ついた
勝 :とりあえず4年区切りで見てみたよ

真子:あ、できたんですね……どれどれ?
真子が勝の横で、画面を覗き込む

 

●男性の飲酒習慣者(%)

     平均    20代   30代   40代  

2001 53.3  35.7  49.9  61.3
2005 36.7  19.4  35.4  48.1
2009 36.4  13.4  32.4  45.2
●女性の飲酒習慣者(%)

     平均    20代   30代   40代  

2001  9.1   9.3  12.6  13.8
2005  7.3   6.8  13.5  13.6
2009  6.9   4.9  11.6  13.2

厚労省 国民健康・栄養調査

2001(平成13)年
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/12/h1211-1b3.html

2005(平成17)年:7497サンプル
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou07/dl/01-04.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou07/01.html
*P.241 ファイルが重いのでご注意を!

2009(平成21)年:8000サンプル
http://ow.ly/3IyxA

 

真子:えー! 何コレ、すっごい下がってるじゃないですかあ!

勝 :2001年からの下がり方は異常値な感じもするけどな。

真子:たまたま、ってことですか?

勝 :そういうこともあるから、3年分を見た。

真子:え?

勝 :ある年とある年の2地点を比べるだけだと、どっちかに異常値
   が発生してる可能性があるからな

真子:??

勝 :ある年がたまたま高かったり低かったりしてるかもしれないっ
   ってことだよ

真子:あ、なるほど。私が調査対象に入ったら、20代の消費金額が
   すっごい上がるかも(笑)

勝 :そうそう、そういうこと。でも、3地点を比べて同じ方向を向
   いていれば、それはきっとそういう傾向だろう、と言える

真子:なるほどね~

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆大きく見た上で、細部をつっこんでいこう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :でも、さすがに2001~2005年の下がり方はおかしい。

真子:すっごい急激ですよね……

勝 :こういうところは一応確認したほうがいいな。ひょっとしたら
   調査方法が変わっているとか、そういうことがあり得るからな

真子:え、そうなんですか?

勝 :まずは大きく見た上で、当たりをつけてつっこんでいく。

真子:あ、なるほど、だから、2001、2005、2009年、っ
   って最初に見たんですね

勝 :そう。もうこうなりゃ徹底的にやるぞ。ちょっと待ってろ。

真子:はーい。ね、勝さん、お茶買ってきますね
真子がエスプレッソや小さなケーキなどを買い込んでくる。真子は勝
を頼もしそうに眺めつつ、横で考えをまとめたりしている。勝は一心
不乱にデータを眺めては表計算ソフトに入力している。

勝は、「ふう……やっとできた」と言って、エスプレッソを美味しそ
に、くいっと飲み干した。
●男性の飲酒習慣者(%)

     平均    20代   30代   40代  

2000 50.8  27.8  53.3  55.8
2001 53.3  35.7  49.9  61.3
2002 49.0  23.8  42.3  57.9
2003 42.9  35.0  44.8  53.5
2004 38.2  18.0  36.1  48.7
2005 36.7  19.4  35.4  48.1
2006 35.4  15.1  33.8  44.9
2007 36.6  16.0  36.1  49.2
2008 35.9  19.0  33.3  40.7
2009 36.4  13.4  32.4  45.2
●女性の飲酒習慣者(%)

     平均    20代   30代   40代  

2000  9.0   8.4  14.1  11.5
2001  9.1   9.3  12.6  13.8
2002  8.5   8.1   9.4  14.3
2003  9.3  14.3  15.9  15.4
2004  7.1   6.0  12.0  11.0
2005  7.3   6.8  13.5  13.6
2006  6.9   5.8  11.9  12.0
2007  7.9   6.3  13.2  15.7
2008  6.4   4.3  10.3  10.7
2009  6.9   4.9  11.6  13.2
厚労省 国民健康・栄養調査

2000年(平成12年)
www.mhlw.go.jp//toukei/kouhyo/data-kou14/data10/youran2-4.xls

2002年(平成14年)
http://www.mhlw.go.jp//houdou/2003/12/h1224-4e.html

2003年(平成15年)
www.mhlw.go.jp//bunya/kenkou/eiyou-chosa2-01/pdf/06a.pdf
P.194

2004年(平成16年)
http://www.mhlw.go.jp//bunya/kenkou/eiyou06/pdf/01-04.pdf
P.197

2006年(平成18年)
http://www.mhlw.go.jp//bunya/kenkou/eiyou08/dl/01-04.pdf
P.256

2007年(平成19年)
http://www.mhlw.go.jp//bunya/kenkou/eiyou09/dl/01-04.pdf
P.267

2008年(平成20年)
http://www.mhlw.go.jp//houdou/2009/11/dl/h1109-1b.pdf
P.37

*リンクサイトはこちら
www.mhlw.go.jp//bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html

*このデータに限りませんが、チェックはしていますが間違いがある
 かもしれません。ご使用になるときはご自身で確認されてからにし
 てくださいね。私は、責任を取れません。

 

真子:2001~2004年にかけて、急激に下がってますね。

勝 :そうなんだけどさ……

真子:そうなんだけど?

勝 :2003年から、調査内容が少し変わってるんだよな……

真子:えーやっぱり! 勝さんの言ってた通りだ!

勝 :少し質問の内容が増えてる。調査方法は変わってないみたいだ
   けど。

真子:その影響で飲酒習慣率が下がってるかもしれないってこと?
   景気の影響とかはないんですか?

勝 :お、いい質問だな。そうやって考えるんだよ。2003年あた
   りはむしろ景気拡大期に入ってるから、その影響ではないな

真子:でも2003年から後は同じ調査になってるんですよね?

勝 :質問票も見たけど、飲酒習慣を聞く質問自体は単純だから、信
   頼できそうには思う。でもあまりに変化が急すぎる。

真子:じゃあ2002年以前のデータは使わない方がいいってこと?

勝 :2001年から2004年にかけて、数字の動きの方向性は一
   緒だから大丈夫かもしれないが、注意はした方がいい。

真子:結局どうなんですか?

勝 :まあ2003年から使う方が無難だろうな。実際、厚労省もそ
   ういう使い方をしてるしな

真子:じゃあ2003年から見ていって、と……

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆仮説が浮かんだら、すぐ検証してみよう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:2003年の20代ってすごく飲酒習慣者が多いですよね?

勝 :これは異常値の可能性があるから、注意した方がいい。

真子:え?

勝 :だって2004年にいきなり半分近くに落ちるなんておかしい
   だろ? 真子、何か思い当たることはあるか?

真子:2004年かあ……何かあったかなあ……あ! 丁度日本でワ
   インブームが終わったころだ!

勝 :そうなのか?

真子:ワインブームが若い人に支えられた、って考えれば、ありえな
   くもないですよね。

勝 :おお、すげーぞ。さすがイタリアンレストランの社長。

真子:へっへえ。

勝 :早速調べてみよう
「確か国税庁にデータがあったはずだ……」と勝が言いながら、ネッ
トでワインの出荷を調べる。
勝 :確かにワインの課税数量は減ってるけど……

     課税数量  課税金額

1996  91   5,305
1997 130   7,553
1998 158   9,144
1999 133   7,676
2000 116   6,566
2001 111   6,251
2002 111   6,127
2003  94   6,304
2004  84   5,799

(国税庁 課税移出数量 千キロリットル、酒税額 百万円)

www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/jikeiretsu/xls/07.xls
真子:わあ、こんなデータもあるんだ……でもこれだけ見ると、ワイ
   ンブームのピークは98年だね……その後から下がってる……

勝 :そうだな。2004年に半分になる理由にはならないな。

真子:確かに……2000年頃から下がり続けてないとダメだだよね

勝 :でもいいトライだぞ、真子。こうやって、仮説を考え、事実を
   調べて、検証していく。まさにこうやるんだよ。

真子:だんだんわかってきました! こうじゃないか、って考えては
   データ集めて、ダメだったらまた考えて……

勝 :そうそう、それが思考のサイクルなんだよ。

 

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◆統計データは、注意して使おう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :ちょっと、調査のサンプル数を確認したほうがいいな。20代
   のサンプル数が少ないかもしれない

真子:サンプル数って何?

勝 :消費者を「サンプル」って呼ぶのは何か違和感があるけど、調
   査対象者数のことを「サンプル数」って呼ぶ

真子:なんか実験サンプルみたいでヤだ

勝 :でもまあ慣習だからな。で、調査対象者数が少ないと、それは
   危ない。2003年は、20代男性は、225人を調査してる

真子:多いの、少ないの?

勝 :一般論としては十分。でも、20人強の飲酒習慣者がたまたま
   入ったら、1割上がるような数だからな……

真子:たまたまかもしれないってことですか? でもそれを言ったら
   どうしようもないですよね……

勝 :そうなんだけどさ。統計は注意して使った方がいい。例えば、
   20代男性について、2008年と9年を比べてみろ

真子:えっと……あ! 4.3%から4.9%に増えてる!

勝 :だろ? ここだけ見ると、20代男性の飲酒は増えてる! っ
   て結論を導き出せる。

真子:でも、1年だけじゃわからないってさっき言ったじゃないです
   か。2007年の6.3%よりは減ってますよ

勝 :そうそう。だから気をつけろ、って言ってる。結論ありきのデ
   ータなんかカンタンに作れるってことだ。

真子:なるほど! そういう結論が導き出せるような数字が出てる年
   のデータを使えば、勝手に結論が作れる!

勝 :そういうこと。だからデータが出てるからって、鵜呑みにしち
   ゃいけない。それに自分の都合のいいデータだけ見てもダメ。

真子:あ、だから自分の仮説の最強の反論者であれ、って

勝 :そうなんだ。データって結構作れるんだよな。

真子:じゃあ、こうやって長期的に時系列で見ていけばいいの?

勝 :それも1つの手だな

真子:あとは?

勝 :真子、2007年から2009年にかけて、20代男性の飲酒
   習慣者の率は減ってると思うか?

真子:減ってるに決まってるじゃないですか。16.0から13.4
   %になってるんですよ?

勝 :じゃあ、検定してみるか

真子:はい? ケンテイ? カンテイ?

勝 :本当に、その数字が「減っている」ということを意味している
   かどうか、調べてみよう、って言ってる

真子:だから減ってますってば。数字見てないんですか?

勝 :その数字が、「減ってる」ということを必ずしも意味しないか
   もしれない。減ってないかもしれない。

真子:え? え? どういうこと? 数字は下がってるのに?
勝はノートPCに数字を入力しはじめた

勝は一体何が言いたいのか?

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「事実」と「推測」は違う。データを時系列で見たり、他のデータ
 と組み合わせて考えたりしながら、仮説検証しよう!

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.114 2011/02/03
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●統計データを見るときは、サンプル数や調査方法に気をつけよう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆前回のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
真子:前回のまとめ、ですよね。若者がお酒を飲まなくなっているか
   どうか、を今調べていて、こんなデータがありました。
●男性の飲酒習慣者(%)

     平均    20代   30代   40代  

2003 42.9  35.0  44.8  53.5
2004 38.2  18.0  36.1  48.7
2005 36.7  19.4  35.4  48.1
2006 35.4  15.1  33.8  44.9
2007 36.6  16.0  36.1  49.2
2008 35.9  19.0  33.3  40.7
2009 36.4  13.4  32.4  45.2
●女性の飲酒習慣者(%)

     平均    20代   30代   40代  

2003  9.3  14.3  15.9  15.4
2004  7.1   6.0  12.0  11.0
2005  7.3   6.8  13.5  13.6
2006  6.9   5.8  11.9  12.0
2007  7.9   6.3  13.2  15.7
2008  6.4   4.3  10.3  10.7
2009  6.9   4.9  11.6  13.2
厚労省 国民健康・栄養調査
www.mhlw.go.jp//bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html
勝 :20代女性についてみると、これは傾向値として、明らかに減
   ってるよな。

真子:それで、20代の男性についてはどうか、ですよね。

勝 :20代男性の2007年の16.0% と 2009年の
   13.4%を比べて、減ってると言えるか?

真子:そりゃ、2.6ポイントも減ってるんですから、減ってるんじ
   ゃないですか? で「続く」に。アニメみたいな終わり方(笑

勝 :ドカベンなんかすごかったな。ピッチャーが球投げて、ボール
   のアップで終わり、とか結構あった

真子:それ、いつですか……私、産まれてませんよ……

勝 :まあとにかく減ってるかどうか、だな。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆できれば、検定してみよう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃあ、16.0%から13.4%への「変化」で、減ってい
   るかどうか、検定してみよう

真子:は? 
勝がPCに入っている表計算ソフトのファイルを探していく。

「これだ」と勝が独り言のようにつぶやく。真子は、勝の操作を興味
深そうに勝の横で眺める。

「95%で有意差って、これ何?」と真子が聞くのを「後で説明する
から待て。何でオマエはそうせっかちなんだ」といなす勝。「何よ、
勝さんだってせっかちじゃん。自分のことをタナにあげちゃって~」
と茶化す。「数字の入力間違えるから黙れ」と、勝の真剣な顔を見て
「はーい」と、真子がクチにチャックをするような仕草をした。

勝が真子に、「ちょっとメモしてくれ。いいか」というと、真子が、
「はーい、どうぞ」とペンを走らせる

2007年:324人
2008年:379人
2009年:328人

勝は、そのメモを見ながらパソコンに数字を入力していき、「やっぱ
りな」とつぶやいた。
真子:わかったんですか?

勝 :ああ。統計的有意差はないな。2007年から2009年にか
   けて、20代男性の飲酒習慣者が減ってるとは言えない。

真子:へ?

勝 :統計的には、減ってない。つまり、実際の母集団において減っ
   てるかどうかはわからない、ってこと。

真子:でも、16.0%から13.4%に減ってますよ?

勝 :例えばさ、それが16.0%から15.99%への変化だった
   ら、減ってるって言えるか?

真子:それは減ってるとは言い難いですけど。誤差もあるだろうし

勝 :そういうこと。16.0%から13.4%への変化も、荒っぽ
   く言えば、「誤差の範囲」

真子:で、でもそんな大きい誤差……

勝 :サンプル数が300程度だと、これはよくある。

真子:そ、それじゃデータに意味が無いじゃないですか!

勝 :そんなことはない。2008年~9年にかけては統計的有意差
   がある。

真子:えっと、そこは……19.0%から13.4%へ落ちてる

勝 :それは、誤差と言うには大きすぎる差だ。そこには統計的有意
   差があった。

真子:さっきから言ってるトウケイテキユウイサって何ですか?

勝 :真子的に言うと「統計的にとっても大きな違い」ってこと。

真子:わーい、わかりました! ってわかりませんよ! 

勝 :誤差では起きえないような大きな差、だな。

真子:じゃあ……2008年~9年の、19.0から13.4に減っ
   てるのは「誤差」じゃないってことですか?

勝 :誤差っていうには「差」があまりに大きすぎる。でも16.0
   %から13.4%への変化は、誤差の範囲。

真子:その、誤差かどうかの基準って、何ですか?

勝 :2008年と2009年を比べると、95%水準で統計的有意
   差がある。2007年と2009年ではそれが無い。

真子:95%? あ、さっきのファイルに書いてあった数字だ……ど
   ういう意味ですか?

勝 :このあたりの言葉は、気をつけて使わないと誤解を招くんだよ
   なあ……ざっくりで良ければ説明する。

真子:ざっくりでいいですからあ。何が95%なんですか?

勝 :ざっくり「信頼度」と捉えておけばいい。

真子:何で100%の信頼度にならないんですか?

勝 :この調査は、20代男性を約300人選んで、それを日本全国
   の20代男性の「代表」としている。全員を調べてない。

真子:そりゃ全員を調べてたら大変なことになりますよ。

勝 :極端に言えば、そーれ・しちりあーののスタッフ10人から2
   人選んで、10人全体を推測してるようなものだからな

真子:そんなの、どの2人を選ぶかによって結果は違うに決まって……
   そうか! だから誤差が起きるんだ!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆統計データを見るときは、サンプル数に気をつけよう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :そう。300人っていう「サンプル」から、日本の20代男性
   全員を推測しようとしているから、どうしても誤差が出る

真子:だから、サンプル数が多いほど、誤差が少ない?

勝 :そういうこと。95%、っていうのは、そのための「信頼度」
   の基準みたいなもんだな

真子:95%なら何で信用できるの? 90%じゃダメなんですか?

勝 :お約束、みたいなもんだな。本当に厳密にしたければ99%に
   すればいいし、緩くてもよければ90%とかでもいい。

真子:決めの問題、ってこと?

勝 :ああ。絶対に正しいデータなんか無い。厳密にしようと思うほ
   どカネもかかるしな。

真子:まあそんなこと言ってたら何にもできないよね~

勝 :だから95%がお約束の数字とされてる。実際、95%水準で
   有意差があれば、データ上の見た目も「すごく」差がある。

真子:あ、今回の19.0→13.4、みたいに、ですね

勝 :そうそう。ただ、1~2割の違いだと、サンプル数によっては
   「誤差の範囲」ということがあるから注意しろ。

真子:たまたま違う結果が出る確率があるってことですよね。

勝 :まさにその「確率」。300サンプルで20代男性全員という
   母集団を「推定」するとき、選ばれた人次第で数字が変わる。

真子:なあるほど~。確かに、20代女性にそーれ・しちりあーのの
   スタッフが全員入ったら、すっごい偏るよね~

勝 :そう! ちなみに2008~9年の、男性全体での飲酒習慣者
   の率、35.9%と、36.4%も有意差はない。誤差の範囲

真子:サンプル数はどれくらいですか?

勝 :3000サンプル以上ある。

真子:ええ、そんなにたくさんの人調べても、0.5%だと差が無い
   んだあ……

勝 :だから、データを見るときは気をつけろ。真子に統計計算はム
   リだから、さっきみたいに長期的な傾向値で見ればいい。

真子:えー、私も計算したい! さっきの表計算ソフトのファイルは
   何だったんですか?

勝 :こういう検定を自分でカンタンにできるようにしてる。

真子:すっごーい。勝さんが自分で作ったんですか?

勝 :そうだよ。関数組み合わせただけの単純な計算だけどな。単純
   って言っても、真子がみたら卒倒するぞ、ははは

真子:ね、それ私にもメールで送ってくださいよ!

勝 :ダメ。統計の基本がわからないのにツールだけ使ってもしょう
   がない。やりたきゃ統計の教科書買って勉強しろ。

真子:ええー。勝さん、真子の数学の成績知ってるくせにぃ。勝さん
   が教えてよ~。また家庭教師してよ~、はあと。

勝 :オマエに勉強教えるのはもう懲りた。

真子:ええ~。ケチ!

勝 :ふ、ざ、け、る、な! オレだって泣きながら勉強したんだ!

真子:そ、そうなの?

勝 :そうだよ。オレは文系人間だからな。丁度オマエの年の頃に、
   MBAで必死で勉強した。英語だったし、泣きそうだったぞ。

真子:そうかあ……勝さんにもそんなときがあったんだあ。

勝 :マーケティング続けるなら、確率統計の基礎はやっておいた方
   がいいな。

真子:真子が数学苦手って知ってて言うなんて……意地悪だ。

勝 :あのな、数学苦手って先送りしても、結局後で勉強することに
   なるんだよ。オレは身をもって経験したからな

真子:えー……

勝 :大体人生で先送りしたことは、後でツケを払うことになる。だ
   からやる必要があるときにやっとけ。

真子:はーい。やっぱりラクはできないのかあ……でも質問するくら
   いならいいでしょ?

勝 :勉強してから、なら、わかる範囲で答えてやる。

真子:やったあ。でも、統計っていうと難しそう……

勝 :マーケティングだと、基本的には、こういうクロス集計と、そ
   の結果の検定ができれば十分だな。

真子:クロス集計って?

勝 :今回みたいなの。2つの軸、例えば性別と年代をクロス、つま
   り組み合わせて分析する。

真子:ほかに色々分析方法ってあるんですか?

勝 :すごくいっぱいある。でも、とりあえずはクロス集計ができれ
   ば十分。クロス集計に現れない分析結果は、何かがおかしい。

真子:あ、それで、そのクロス集計の結果の「差」が、本当にあるの
   かどうかをカンテイするってことかあ

勝 :「鑑定」じゃない、「検定」だ。

真子:え……あ、きゃははは。でもまあカンテイでも意味は同じだよ
   ねー!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆統計データを見るときは、調査対象者に気をつけよう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :あとは、調査対象者のバイアスも気をつけた方がいい。誰に聞
   いてるか、っていうのを把握したほうがいいな。

真子:例えばどういうことですか?

勝 :例えば、そーれ・しちりあーののスタッフに聞いたら、全員が
   「飲酒習慣者」だろ?

真子:そりゃそうですよ

勝 :だからそうならないように、平均的に聞かないといけない。

真子:あ、そっか。

勝 :問題は、調査方法によって、必然的にバイアスがかかってしま
   うこと。

真子:え?

勝 :例えば、この「飲酒」について、居酒屋にいる人に聞いたら、
   どうなる?

真子:みんな飲酒習慣者! ダメだよねー、それじゃ

勝 :そうそう。20代男性を「代表」しないよな。だから、ランダ
   ムに選んでこないといけない

真子:当たり前じゃん。

勝 :でもな、家庭訪問調査だと「家にいる人」だけが調査対象だし
   ネット調査だと「ネットを見られる人」だけが調査対象だろ?

真子:あ……そうか、「家にいる人」を対象者にすると、主婦とかが
   多くなる?

勝 :そうそう。ネット調査もそう。ネット使えない人には、ネット
   調査できないからな。

真子:あ! 調査手法によって、結局バイアスするんだ!

勝 :そう。だからホントは調査手法もチェックしたほうがいい。国
   の調査は大抵信頼できるけどな。

真子:そっかあ……色々気をつけることがあるんだねえ……

勝 :一番最初に戻ると、自分で仮説を信じ込まない、ってこと。自
   分に都合がいい調査結果があっても、それはホントか、と疑え

真子:はーい……
真子がメモをまとめていく。突如その手が最初の方へとページをめく
っていく。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「事実」と「推測」に分けて、結論を出そう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
真子:あれ? 結局若者はお酒を飲まなくなってるっていうのは?
   ホントなんですか? 違うんですか?

勝 :あ、そうだったな、ははは。忘れてた。

真子:もう! これからのそーれ・しちりあーのにとっては一大事な
   んですからね!

勝 :全体として10年単位で見るとお酒を飲まなくなってる、とい
   うのは本当だろう。このチャート見てみろ。

www.mhlw.go.jp//toukei/kouhyo/data-kou14/data10/youran2-4.xls

(Excelなどの表計算ソフトが立ち上がるのでご注意ください)
真子:ホントだ……昔は一貫して飲酒習慣者が多かったんですね

勝 :実際アルコールの消費量も下がってるだろ。国税庁のデータを
   見てみよう。厳密には消費量じゃなくて課税数量だけどな。
1998 9,676
2003 9,197
2008 8,726

(国税庁 課税移出数量 千キロリットル)

www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/jikeiretsu/xls/07.xls
真子:ホントだあ……これは、若者が飲まなくなってるのが原因なん
   ですか?

勝 :若者とは特定できないけど、減ってるよな。あと飲酒運転の厳
   罰化とかの影響もあるかもしれないし。

真子:結局、若い人が飲まなくなってる、というのはホントなんです
   か? 結論としては……

勝 :まず、この10年で見ると、男性も女性も飲酒習慣者は減って
   ると言っていい。全体として、だな。

真子:若い人、と限ると?

勝 :女性、特に20代女性が飲まなくなっている傾向は明確に出て
   いそうだ。これはほぼ「事実」と言っていい。

真子:うわあ……まずいなあ……若い男性は?

勝 :この数年は下がっている傾向が見えなくもない、と言った感じ
   だな。断言はしにくい。要経過観察。

真子:なるほど……どっちにしても、あんまり嬉しくないなあ……

勝 :社会全体の傾向は、必ずこういう統計データに現れる。ただ、
   統計データの方が遅れて出るから、注意しておいた方がいい

真子:はーい。でも何か新年早々、暗いニュースだなあ……

勝 :ちょっと待て。もっと戻って、約20年前、バブル真っ盛りの
   頃のお酒の消費はどれくらいだと思う?

真子:真子、産まれてないもん。

勝 :ウソつくな。

真子:バレたか。でも記憶はないですよ……今よりすっごく飲んでた
   んじゃないの? みんなあの時は良かったって言いますから。

勝 :1988年で8,543(千キロリットル)だから、実は、
   2008年より少ない。

真子:え? そうなの?

勝 :ああ。酒の課税数量のピークは2000年前後になってる。

勝 :減ってるとは言え、今の飲酒量はバブル時並。だから今だけを
   見て「日本人はお酒を飲まなくなった」って言えるか?

真子:そっかあ……今でもバブルのとき並には飲んでるんだ……

勝 :だから10年単位で見るとお酒の消費量は減ってるけど、超長
   期的に見ると、20年前の状態に戻っただけ。

真子:そうなんだあ……

勝 :今の状態が「不況」だとか、よく言うよな、って思うけどな。

真子:う……耳が痛い(笑)

勝 :これ、何か思い出さないか? この特集の最初の方でやった…
真子がノートのページを繰り戻していく。
真子:あ! 日本の国内に韓国1つ分のGDPが産まれた!

勝 :そうなんだよ。だからまだやりようは色々あると思うぞ。

真子:ハイ! 何か希望が出てきました! また来年の結果を見たい
   ですね。また来年も初詣に来ようよ、ね、勝さん?

勝 :知るか。もういい加減に自分でやれ。さあ帰ろう。

真子:でもお酒の消費は減ってるわけだからなあ……そーれ・しちり
   あーのに嬉しいニュースじゃないよなあ……

勝 :ほら、真子、帰るぞ。

真子:どうしよう……若い女性がお酒飲まなくなってるのは確かなん
   ですよね……勝さん、どうすればいいと思います?

勝 :もういいよ、帰ろうぜ、ハラ減ったよ。

真子:だ、ダメですよ。若い女性がお酒飲まないなんて、そーれ・し
   ちりあーのにとっては死活問題じゃないですか!

勝 :そんなのやり方次第だって言ってるだろうが。

真子:え!? じゃ、じゃあやり方次第では大丈夫なんですね!?
   ど、どうすればいいんですか?

勝 :もういいよ。そろそろ読者も飽きてきてるだろ。帰るぞ。

真子:大丈夫ですよ! こういう実際のデータに基づいた話はあんま
   り無いですから、きっと役立ちますよ!

勝 :そういうご意見は確かにツイッターでいただいたけどさ

真子:だから、大丈夫ですよ!

勝 :もう節分だぜ? これ、初詣特集だぞ?

真子:そ、そんなの知りませんよ、大体去年なんか3月まで「新春特
   別号」やってましたよ。実直くんたちの……

勝 :ありゃ「新春」だ。3月は考えようによっちゃ新春だからな。
   これは「初詣」だ。

真子:そんな屁理屈……それに、きっと読者さんも真子の魅力で……

勝 :オマエなあ……でも確かに、真子は妙に読者の人気があるから
   な……

真子:ホント!?

勝 :「新人OL つぶれかけの会社をまかされる」もすげー売れて
   るみたいだしな。真子の絵の表紙のお陰もあるだろうな。

真子:わー、やったあ!

勝 :今、紀伊國屋書店の新宿店で、「新人OL つぶれかけの会社
   をまかされる」が大々的に陳列されてるぞ。最新情報。

真子:えー! すごいじゃないですか!

勝 :真子のイラストがどどどん、って、POPもついてさ。

真子:きゃあ! やっぱり、真子のみ、りょ、く、はあと。ぜひ新宿
   の紀伊國屋に行ってみてくださいね!

勝 :というわけで、帰ろう

真子:ダメです! とにかく待っててくださいよ、お腹が減ったんな
   ら、今食べ物買って来ますからね!
真子が財布を持ってバタバタと立ち上がり、「待っててくださいよ」
と勝に念押しし、カフェのレジへと小走りに走っていく。勝はそんな
真子を眺め、「オレも甘いよなあ……」と溜息をつくと、再び、パ
ソコンをいじり始めた。

 

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◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●統計データを見るときは、サンプル数や調査方法に気をつけよう。
 できれば、「検定」してみよう。

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.115 2011/02/07
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●データを見るときは「全体」から「部分」へ深掘りしていこう! 
 仮説を作って、定量と定性のやりとりをしよう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆前回のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子は、ハラ減ったから帰る、という勝をなだめ、なんとかアドバイ
スをもらおうと、食べ物で釣る戦略(?)に出た。カフェのカウンタ
ーに駆け込み、パンやクッキーなどを大量に注文する真子。

 

真子:はあはあ、お待たせ~。食べ物買って来ましたよ~

勝 :お、オマエ……買いすぎだ……

真子:へっへー、私もおなか空いてたんですよ。じゃあ勝さんもお好
   きなのをどうぞ!

真子が勝の横に座る。「あっちいけ」という勝に「イヤですよ~」と
言いながら、真子がサンドイッチを手に取り、パクつきはじめた。
「ったく……」と言いながら、勝もパンを手に取ると、パソコンをい
じりながら、かぶりついた。
勝 :とりあえず、前回のまとめを頼むわ。もぐもぐ。

真子:ちょっと、食べてからにしましょうよ

勝 :早くしろ。ガツガツ。

真子:はーい。調査結果を見るときは、サンプル数を考えないといけ
   ない、ということですよね。

勝 :そうだな。

真子:300サンプルくらいの調査だと、数%の違いは「誤差」であ
   る可能性が高いから、注意する。

勝 :あとは?

真子:調査の方法。ネット調査か、家庭の訪問調査か、などでバイア
   スがかかる可能性がある。

勝 :OK。ふう……食べたらなんか人心地ついたな。

 

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◆「全体から部分へ」と要素分解していこう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :今回10回目だし、いい機会だから、ここでデータの見方をま
   とめてこう

真子:はい!

勝 :データを見ていくときは、こうやってブレークダウンしながら
   見ていく。

真子:ブレークダウンってどういうことですか?

勝 :全体から部分へ、ってことだ。大きい方から小さい方へ、要素
   分解しながら見ていく。

真子:今回の「全体」っていうのが……あ、そうか、飲酒量だ!

勝 :飲酒量のデータは? 前回出したろ?

真子:はい。確かこのあたりに……
真子がノートのメモを探す。

1998 9,676
2003 9,197
2008 8,726

(国税庁 課税移出数量 千キロリットル)

www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/jikeiretsu/xls/07.xls
真子:10年前と比べて、1割減ってるよね……

勝 :で、誰が減ってるのか見ていくわけだな。Apple to Appleで見
   るために、西暦年も合わせて……
●男性の飲酒習慣者(%)

     平均    20代   30代   40代  
1998 52.2  30.1  53.1  61.6
2003 42.9  35.0  44.8  53.5
2008 35.9  19.0  33.3  40.7
●女性の飲酒習慣者(%)

     平均    20代   30代   40代  

1998  9.4   8.5  12.7  12.5
2003  9.3  14.3  15.9  15.4
2008  6.4   4.3  10.3  10.7
*リンクサイトはこちら
www.mhlw.go.jp//bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html
真子:うーん、若者だけじゃなくて、全体的に減ってるね……

勝 :ただ、ここで減ってるのは「飲酒習慣者」だからな。週3回、
   1合以上飲む人が減ってる。ということは?

真子:あ、そうか、飲酒頻度が減ってるんだね。

勝 :そうそう。そういう仮説を立てながら、見ていく。それで、後
   で検証する

真子:でも勝さん、「人」だけじゃなくて、何を飲むかによっても違
   うかもしれないよね?

勝 :お、いいポイントだ。せっかくだから見てみよう。国税庁にそ
   んなデータがあったな……これだ。主要なものだけでいいな

真子:なんかお酒のニーズ分析講座になってきましたね、あはは。業
   界人必見。

勝 :こうやって、全体から部分へ、って仮説検証していく。
      1998   2008     変化

全体    9,676   8,726  -10%

清酒    1,093     653  -40%
焼酎      688     947  +38%
ビール   6,096   3,175  -48%
ワイン     158      88  -44%
リキュール   280   1,270 +354%
発泡酒   1,053   1,374  +30%
勝 :やけに伸びてるこのリキュールってさ、第3のビールだよな?
   いわゆる「新ジャンル」ってやつ

真子:あ、そうですよ。「金麦」とか「麦とホップ」とか、リキュー
   ルだったと思います。
金麦:www.suntory.co.jp/beer/kinmugi/index.html
麦とホップ:www.sapporobeer.jp/mugitohop/product/index.html
勝 :じゃあ、発泡酒とリキュールをビール「類」としてまとめてみ
   ると……こうなるな。
      1998   2008     変化

全体    9,676   8,726  -10%

清酒    1,093     653  -40%
焼酎      688     947  +38%
ビール類  7,433   5,226  -30%
ワイン     158      88  -44%
真子:ワインの課税数量が減ってるっていうのはシリーズ8号でやり
   ましたけど、焼酎以外は要はみんな減ってるんですね……

勝 :そーれ・しちりあーのの社長としてはどうする?

真子:焼酎の品揃えを真剣にやるとか……

勝 :例えばそういうことだな。

真子:また清川さんが「イタリアンに焼酎なんて邪道だ」とか言いそ
   うだけどな~、あはは。

勝 :そんなことないだろ、「清川さんの作ったおいしい料理に合う
   焼酎を提案したいの、はあと」って言えばいいだけだ

真子:きゃーははは、そうだね~。別にイタリアンだから焼酎出しち
   ゃいけないってことないよね~。ビールは出すんだからさ。

勝 :そうそう。ここでは、焼酎以外はみんな減ってる、ってことを
   おさえておいて、「人」に戻ろう。

真子:はーい。変な話、ワイン「だけ」が減ってるんじゃないので、
   少し安心しました~。

 

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◆ここか、と思える部分を「深掘り」していこう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃ戻って、「人」についての「要素分解」を続けよう。「飲
   酒習慣者」が減ってるのは事実。

真子:でも、それはさっき考えたみたいに、「頻度が減ってる」だけ
   かもしれないんですよね? 

勝 :1人あたりの飲む量を要素分解するとどうなる? 売上5原則
   と同じ要領で因数分解してみ。

真子:えっと……「飲酒日数」×「飲酒日数あたり飲む量」かな?

勝 :上出来。真子が食べ物買ってる間に飲酒日数を調べてみた。
   2007年のデータだけどな。

真子:うわー、手際いいね~。真子への愛を感じて嬉しいな♪

勝 :オマエのためじゃなくて読者のためだ。

真子:ね、これ、2009年のとかは無いんですか?

勝 :厚労省HPに載ってるものとしては、2007年が最新みたい
   だぞ。で、こんな感じ。
●飲酒頻度(2007年)

        20代男性  30代男性  40代男性

週3日以上*  21.3%  45.4%  60.9%
週1~2日   18.8%  11.9%   9.2%
月1~3日   19.4%  13.7%   9.6%
やめた・    40.4%  28.9%  20.3%
ほとんど飲まない
        20代女性  30代女性  40代女性

週3日以上*   9.1%  19.1%  25.6%
週1~2日   12.4%   8.7%   9.8%
月1~3日   24.6%  15.5%  12.0%
やめた・    53.9%  56.8%  52.6%
ほとんど飲まない
厚労省 国民健康・栄養調査 2007年
http://www.mhlw.go.jp//bunya/kenkou/eiyou09/dl/01-04.pdf
P.266

*「飲酒習慣者」は、週3日以上飲む人で、そのときに1合以上飲む
  人。ここでは、1合以上という条件が外されているので、この表
  の「週3日以上飲む人」は、「飲酒習慣者」では必ずしもありま
  せん。そのため、以前に出した飲酒習慣者の数字とはが異なりま
  すのでご注意下さい。繰り返しますが、使用は自己責任で。

 

勝 :ちなみに、40代が一番飲酒日数が多いけど、40代以上は大
   体同じ傾向になる。

真子:へえ、そうなんだあ。

勝 :だから、30代後半あたりに分岐点がありそうだ。よく見ろ。
「はーい」と言いながら、真子が勝のパソコンを覗き込む。すかさず
勝が真子をよけるように奥にずれると、真子は「こら、逃げるな~」
と言ってさらに真子が勝に近寄る。
真子:あ! 飲酒習慣者は、40代の方が多いけど、たまに飲むって
   言う人が20代では結構多い!

勝 :そうそう。「やめた・ほとんど飲まない」っていう人を比べて
   みると?

真子:あんまり変わらないね。特に女性。

勝 :そうなんだよ。20代は男女ともに、全然飲まないわけじゃな
   くて、40代より頻度が少ないってことだな。

真子:月1,2回以上は飲む人が男女ともにざっくり半分いるんだね
   ~。飲酒習慣者は減っても、全然飲まないわけじゃない!

 

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◆「定量」と「定性」のやりとりをしよう!
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勝 :ここまで「定量」的に数字で分析できたら、次は「定性」に渡
   してみる。左脳から右脳へ、だな。真子の得意なところ

真子:へっへえ。

勝 :それで、イタリアンレストランに来る頻度ってどれくらいだと
   思う?

真子:えっと……多分月に1,2回だと思います。

勝 :っていうことは……? さっきのデータを考えると?

真子:あ! 飲む場所が違うんだ! 毎晩外食してたら、いくらお金
   があっても足りない!

勝 :そうだろうな。40代以上の男性だと家で晩酌か、居酒屋だろ
   うな。20代は?

真子:外食で飲む! それもイタリアンレストランとかで! だから
   頻度が少ないんだ……

勝 :外食にお金を使う人は誰だった? データあっただろ?

真子:えっと、確かノートのこの辺りに……ありました! シリーズ
   の6号目でやってますね
●1ヶ月の外食出費(1人当たり)

20代  11,280円
30代   5,779円
40代   5,101円
50代   4,336円
60代   3,879円
70歳以上 2,995円

(家計調査2009 総世帯、1人当たりに換算)
勝 :で?

真子:あ! 20代が外食にお金を使う、そこでお酒を飲む、ってい
   うのとぴったり合う!

勝 :だろ? こうやって右脳と左脳、そして色々なデータを組み合
   わせて仮説検証していく

真子:!! ほ、ホントだ! すっごーい!

勝 :でな、こんなのも見つけておいた。
●週1~2日以上飲酒者の、1日あたりの飲酒量

       20代男性  30代男性   40代男性

1合未満   20.7%  24.5%   24.2%
1~2合   37.3%  32.4%   35.2%
2~3合   20.2%  22.5%   22.7%
3~4合   10.4%  10.9%   10.9%
4~5合    3.1%   5.7%    2.8%
5合以上    8.3%   4.0%    4.1%
       20代女性  30代女性   40代女性

1合未満   33.0%  40.5%   45.4%
1~2合   35.7%  37.8%   36.6%
2~3合   20.3%  12.7%   11.2%
3~4合    3.3%   4.0%    4.1%
4~5合    3.8%   2.7%    2.0%
5合以上    3.8%   2.3%    0.7%

(週に1~2回以上飲む人の、1日あたり飲む量:清酒換算)

資料:同上
真子:えっと……あれ、1日に飲む量についてはそんなに変わらない
   んですね。っていうか……20代の方が多い!

勝 :ああ。特に女性については明確に出てるな。若い方が、1日あ
   たりに飲む量が多い。

真子:そっかあ……20代は飲めないわけじゃないんだ! 飲「ま」
   ないだけなんだ!

勝 :ああ。体質的に弱くなってるとか、そういうことじゃない。っ
   ていうか若い方が酒に強いのは当たり前だ。

真子:だからやりようがあるってことだ!

勝 :そうだな。で、飲み方の違いは? TPOは? 特に女性。

真子:えっと……多分、40代の方はダンナさんにおつきあいしてる
   だけとか?

勝 :オレもそう思うよ。だから、男女ともに40代が一番高くなる
   んだろ。

真子:で、ビールコップ1杯、とかなんだよね、きっと

勝 :そーれ・しちりあーのに来る20代の女性はどれくらい飲む?

真子:1人でグラスワイン2~3杯だと思います……やっぱりこのデ
   ータとほぼ整合する!

勝 :だよな。こうやって「データ」と「現実」をつなげていくんだ
   よ。現実はデータに表れ、データを現実に解釈する。

真子:そ、そうです! データと現実がすっごい美しくつながります
   ね……あの、勝さん、まさかとは思いますけど……

勝 :?

真子:真子のためにあらかじめ調べて、シナリオ作ってくれてた、と
   か? じゃないとこんな美しくは……

勝 :いや、たまたま。全体から部分へ、と考えながら仮説検証して
   るだけ。現実とつながらなければ、別に解釈を考えればいい。

真子:そんなこと言ってますけど、勝さん、やっぱり真子のことを…
   ホントに嬉しいです♪ そこまで真子のこと考えてくれて……

勝 :誰がそんな面倒なことするか。

真子:また照れちゃって~。真子のためにここまで事前に調べてくれ
   て……すっごく嬉しいな♪

勝 :その仮説は既に否定されている。

真子:きゃはは……って、ふーんだ。でも仮説が外れたらカッコ悪い
   じゃん。真子に良いところ見せられないよ

勝 :そんなことのためにやってるわけねーだろ。で、飲み方の違い
   をまとめると?

真子:えっと……20代は、月2,3回外食するときに飲む。40代
   以上になってくると、週数回、家で晩酌か居酒屋って感じ?

勝 :多分そうだろうな。そうやって、数字と利用場面がつながるだ
   ろ? これが定量と定性のグルグル回し。

真子:すごーい! ちゃんと調査結果とつながる! そっかあ……こ
   うやって考えて行くんだあ……

勝 :数字は数字で止めない。利用場面は利用場面で止めない。必ず
   定量と定性をつなげていく。
真子の手が高速で動き、メモを取っている。
真子:うちの店に来たときに飲んでくれるんなら、そーれ・しちりあ
   ーのとしては、全然問題ないよ。晩酌しなくても。

勝 :でもな、飲む人がどんどん減っていったらまずいだろ?

真子:そ、そりゃそうですけど……

勝 :だから、お酒を飲んでいただくようになる提案も必要だよな

真子:提案って?

勝 :「売れる会社のすごい仕組み」※で教えただろ?

※「売れる会社のすごい仕組み」 佐藤義典著
売れる戦略構築から実行プロセスまでを物語で体感!
http://www.sandt.co.jp/shikumi.htm
真子:あ、あのマルサラワインみたいな「仕組み」作りだ!

勝 :そうそう。

真子:でも、そう言われてもあんな仕組みなんてそうそうできないし
   なあ……

勝 :そもそも真子が飲み始めたキッカケって何だ?

真子:へ? キッカケって?

勝 :真子はどうやって酒の味を覚えた? 最初はうまいと思わなか
   っただろ? コーヒーとかと同じでさ。

真子:そ、それは……飲んでいくうちにおいしくなって……

勝 :だからどうやって?

真子:そ、そう言われても……???

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「全体」から「部分」へ要素分解していこう。定量と定性、数字と
 利用場面などを考え、思考のグルグル回しをしよう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.116 2011/02/10
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●マニアトラップに陥っていたら、ビギナー顧客に喜んでいただける
 「邪道な提案」を積極的に仕掛けよう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆前回のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃあ例によって前回のまとめ、な。

真子:はーい。全体から部分へとブレークダウンしながら仮説検証し
   ていくのが大事でーす。

勝 :「ブレークダウン」っていうのは?

真子:「実戦マーケティング思考」※でやった「要素分解」!
※「実戦マーケティング思考」 佐藤義典著
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm
勝 :具体的に、お酒で要素分解すると?

真子:飲酒量=飲む人の数 × 1人あたり飲む量

勝 :で?

真子:飲酒量は減ってます。でも、「飲む人の数」では、全く飲まな
   い人って言うのは、世代を問わずそんなにいません。

勝 :だから?

真子:だから多分、「1人あたり飲む量」が減ってます。そして、
   1人当たり飲む量=飲酒日数×1日あたり飲む量

勝 :で? 若い人についていうと?

真子:「1日あたり飲む量」は、20代は多い! だから若者が飲め
   ないわけじゃないです。でも、「飲酒日数」が少ないです。

勝 :で、その少ない飲酒日数の日には、どこで飲むんだ?

真子:多分外食で! 外食の消費は、20代が多い! つまり、私た
   ちの提案次第で、若い人にも飲んでいただくことはできる!

勝 :OK。ガンバレ

真子:はい! 頑張ります!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆お酒を飲むキッカケは?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :で、真子はその「飲む20代」なわけだが、真子が飲み始める
   キッカケって何だった?

真子:えっと……何となく。

勝 :そうだけどさ、一番最初は? 自分で勝手に飲み始めたワケじ
   ゃないよな?

真子:どうだったっかな……そうだ! 売多家の集まりだ!

勝 :親戚に勧められて、だな

真子:確か、成人した年の売多家の集まりで、みんながお祝いに、っ
   て言われて、色々と……

勝 :そうだよな……っていうかその場にオレいたな、そういえば。
   真子最初っから結構飲んでたよな。すげーな、と思ってた。

真子:そうですよ! それがどうかしたんですか? まさか、若かっ
   た頃の真子を思い出して、な、ん、て♪

勝 :いいからこのデータを見ろ。さっき見つけたんだ。
真子はアタマの上にクエスチョンマークを浮かべながら、勝のPCを
再び覗き込んだ。
●初めて飲酒したきっかけ(20歳以上、%)

               男性     女性
親・親類等から勧められて   7.8   10.8
友人に勧められて      27.3   24.0
先輩・上司に勧められて   30.3   28.4
飲酒したくなったから    24.3   21.8
その他           10.3    9.3

(厚労省 2005年 国民健康・栄養調査結果)

http://www.mhlw.go.jp//bunya/kenkou/eiyou07/dl/01-04.pdf
真子:ええっと……要は、誰かに勧められて飲み始めるってことです
   よね? 親類とか、友人とか、先輩とか……

勝 :そうそう。男性も女性も、6~7割は他人に勧められて、飲み
   始めるんだ。

真子:自分で勝手に「飲みたくなる」人は少ないんだね~。そう言わ
   れればそうだよね。きっかけが無いと飲み始めないよね~。

勝 :で、この「飲むきっかけ」が年とともに変わってきてる
             男性20代 男性30代 男性40代

親・親類等から勧められて  10.8   9.3   6.4
友人に勧められて      30.0  27.7  26.9
先輩・上司に勧められて   17.7  25.6  32.3
飲酒したくなったから    26.9  28.0  25.9
その他           14.6   9.3   8.6

 

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◆お酒の味を教える「主体」が変わった。ではどうする?
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真子:えっと……「先輩・上司」に勧められて飲み始める人が減って
   ますよね。

勝 :そうだな。

真子:でも、それがどうかしたんですか?

勝 :これ、何でだと思う?

真子:職場で飲みに行くことが減った、ってことですか?

勝 :そーれ・しちりあーのではどうだ? スーツ着てくる男性のお
   客様は、誰と一緒に来てる? 上司・部下、って感じか?

真子:えっと……仲間でワイワイっていうのは多いですけど、上司・
   部下っていうのはあんまり……

勝 :だろ? 昔はさ、上司が無理矢理部下を連れて行って、無理矢
   理飲ませたなんてことが結構あった。

真子:えー!? そうなんですか!?

勝 :ああ。オレ、会社で飲まされて帰りの電車で一駅ずつ降りてそ
   の度に吐いた、なんてあったぞ

真子:えーー……それ、パワハラ、アルハラですよ。

勝 :そう。今はそう言われるからできなくなったけど、20年前は
   そんなの全然フツーだった。で、そうやって……

真子:あ! 無理矢理飲まされて、お酒の味を覚えるんだ!

勝 :そうそう。オレは覚えなかったけどな(笑)

真子:そっか、若い人は、上司に「飲め」って言われて飲み始めるの
   が減ってるんだね……

勝 :で?

真子:あ! 昔はそうやってお酒の飲み方を覚えていったのに、今の
   若い人はそういう「チャンス」がない!

勝 :真子にとっては「チャンス」かもしれないが、オレにとっては
   「ピンチ」だったけどな……

真子:勝さん、飲めないもんね~、あはは。真子なら嬉しいけど

勝 :ちなみに、60代男性では「先輩・上司に勧められたから」っ
   ていうのは37.2%と高い。はっきりした傾向が出てる

真子:昔ほどそういうのがなくなってきてる、ってことだよね。こう
   いう社会の移り変わりと、結構関係してるんだあ

勝 :そうそう。傾向の変化は必ず数値に出る。出てなければ、それ
   は気のせいだ。

真子:なるほどお……こういうデータ、大事だねえ……

勝 :「先輩・上司」の代わりに増えてるのはなんだ?

真子:親とか友人に勧められて、ですよね。

勝 :だから?

真子:だから、って?

勝 :だったらどうする? イタリアンレストランには誰と来る?

真子:えっと、友人と……

勝 :ここまで来れば、真子が何をすべきか、わかるよな?

真子:そうか! 店で、勧めてあげるとか、友達同士で勧めやすいよ
   うにすればいいんだ!

勝 :そう。昔の「先輩・上司」の役割を誰かが肩代わりしてあげな
   いと、飲み始める「チャンス」が産まれない

真子:そっか! それは私達の役割だ! 飲まなくてもお客様は困ら
   ないかもしれないけど、私達は困る!

勝 :そうそう。社会の変化はこうやって統計に出る。そして、その
   変化に合わせてやるべきことが変わっていく

真子:なーるほどぉ! そうやってデータを見ながら、やるべきこと
   を考えていくんだ!

 

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◆「マニアトラップ」に落ちていた真子
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勝 :あんまり飲まない人は、そもそも何飲んで良いのかよくわから
   ないぞ。

真子:そうなの?

勝 :飲む人にはわからないんだよ。ワインリストなんて怖すぎる。
   ピノノワールって何、って感じ。

真子:そうかあ……

勝 :ワインリストにはワインの味が書いてないし。どこの世界に、
   名前と生産地と価格しか書いてない商品カタログがあるよ?

真子:え?

勝 :HDレコーダーを「機種名:ABC123、生産地中国、価格
   5万円」って言って売るようなもんだぞ?

真子:そうだ、確かに……ワインリストには味が書いてない……でも
   うちのスタッフに話しかけて、聞いてくれれば……

勝 :業界の人はそういうけどさ、どう聞いていいかすらわからない
   ぞ。安いのくれ、なんて言ったら恥ずかしいとか思うしな。

真子:そんなこと無いんだけど……そうか、そう思ってるんだ…

勝 :カクテルだって、どれがアルコール強くてどれが弱いかもわか
   らないぞ。

真子:そ、そうなの!? 何が入ってるかを考えればわかるじゃん!

勝 :その、何が入ってるかがわかんねーんだよ。オマエ、マニアト
   ラップに落ちてるな。

真子:そっかあ……ショックぅ……反省。でも、強いカクテルでも、
   アルコールの量減らして、って言われれば対応しますよ

勝 :それ、お客様に伝えてるか?

真子:あ……伝えてません……

勝 :ほら。みんな酒の飲み方とかわかってると思ってるだろ? 典
   型的なマニアトラップだ。昔はそれで良くてもだな……

真子:今は、お酒の「ビギナー」が多いから、マニア向けにしちゃ、
   ビギナーが育たない……

勝 :そういうこと。

真子:そっかあ……飲む人が減ってるのは、私たちがやるべきことを
   やってなかったからかもしれないなあ……

勝 :結局、消費者への、特に「ビギナーへの提案」を酒業界がして
   こなかったんじゃないかって思ってる。

真子:ビギナーへの提案、かあ……

 

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◆「ビギナー」のために「わかりやすい」メニューを作ろう!
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勝 :提案のやり方は、「売れる会社のすごい仕組み」で、イヤって
   いうほどやったよな?

真子:ハイ! 

勝 :今回は、そのお酒編だ。どうすればいい?

真子:飲みやすいお酒メニューを作るとか、カクテルのアルコールの
   強さを書くとか、説明するとか……

勝 :そうそう。そんなの誰もやらないだろ? あのさ、そーれ・し
   ちりあーののメニューに「食べ物の量の多さ」を加えたよな?

真子:はい。

勝 :カクテルの場合は?

真子:あ!! アルコールの強さとか、甘さとかを星の数で表現すれ
   ばいい!

勝 :そういうこと。星5つだと「強いカクテル」とかさ。今、カク
   テルメニューってどういう順番で表記してる?

真子:さあ?

勝 :ほら、考えてねーだろ。お酒の知識が少ない、ビギナーの方に
   向けてはどうすればいい?

真子:あ! カクテルの、お酒の強さ順にするとか!

勝 :そうだ。せめて甘くて飲みやすいカクテルと、ドライでキツイ
   のを分ける、とかさ。

真子:うっわあ……やること一杯ありそうだ

勝 :接客も変わるだろ

真子:そっか、うちの店の接客もそうだね。お客様がマニアじゃなか
   ったら、わかりやすい言葉を使わないとね

勝 :だろ? 飲食店の場合ならメニューや接客、営業担当者がいる
   会社は営業トークになるだろうけど、考え方は同じ

真子:従業員がマニアトラップに落ちてないか、チェックしないとい
   けないなあ……

 

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◆お客様同士でお勧めしあう、「売れる仕組み」を作ろう!
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勝 :もっと言えば、昔は上司が部下に酒を勧めた。今はその機会が
   減ってる。それを、店の機会と捉えればいい。

真子:お客様はみんな友達と来てるよ

勝 :であれば、友達同士で勧め合うっていうか、一緒に飲んでもら
   う仕掛けをすればいい。なんかできないか?

真子:えっと……そうか、2人で頼むメニューみたいのを作る?

勝 :例えば、「2人セットでないと頼めない」ような限定メニュー
   を作るとかさ

真子:えー、それってどうなんですか? クレーム来ないかなあ……
   1人だと頼めない、って。

勝 :は? 別に「鍋は2人以上からのご注文です」なんて、居酒屋
   でもフツーにあるだろ。

真子:た、確かに……誰も文句言わないよね。

勝 :別に飲みたければ、1人で2杯頼むのをOKにすればいい。オ
   レ、1人で鍋2人分頼むぞ。量的にはちょうどいいしな。

真子:きゃはは! 真子を呼んでくれれればいいのに~。じゃあ、強
   いカクテルと飲みやすいカクテルのセットなんてどう!?

勝 :そうそう、それならカップルにもいいかもしれない。

真子:じゃあ、色違いのカクテル! 強い赤と飲みやすい青、とか

勝 :それ、いいな。真子の店の名前は?

真子:そーれ・しちりあーの…あ! 「そーれ」カクテルと「しちり
   あーの」カクテルのセットとか?

勝 :2本で1セット、2人以上限定、でな。オリジナルカクテル、
   その名も「そーれ」「しちりあーの」。それぞれの色は?

真子:もちろん、「そーれ」は太陽だから「赤」、「しちりあーの」
   は……シチリアの海の「青」とか!

勝 :そこに物語はいくらでも作れるよな? 真っ赤に燃える太陽の
   カクテルと、真っ青な海のカクテルの組み合わせ。

真子:もちろんです! それがこの店の魂だもん。

勝 :何でそんなペアカクテルが今まで無かったんだ?

真子:た、確かに……何か鳥肌立ってきた……何で 駅でゲーゲー吐
   くような人がそこまで考えられるの?

勝 :逆。飲まないから、わかるんだよ。飲む人にはわからないこと
   っていうのがいっぱいある

真子:私、専門バカになっちゃってたんだあ……まさにマニアトラッ
   プだ……怖くなってきました……

勝 :だろ? ちょっと前までド素人だったオマエが、あっという間
   にマニアトラップに落ちてる。まして業界が長いと……

真子:ホントそうだわ……

勝 :皮肉なことに、頑張るほどそうなる。だからみんなマニアトラ
   ップに落ちるんだな。

真子:ひょっとして、飲食店ってみんなそうなってるんじゃない?

勝 :そんな気がする。で、イタリア産のワインのお勧めってある?

真子:当たり前じゃないですか。イタリアのワインの生産量は、フラ
   ンスと同じくらいで、2つ合わせて世界の半分近くだよ?

勝 :そんなのオレが知ってるはずねーだろ。マニアトラップだ。

真子:そ、そっか……そんなの当たり前だと思ってた……

勝 :お酒業界全体がマニアトラップに落ちてるよな。

真子:じゃあ、「利き酒」とか「利きワイン」とかやれば、ビギナー
   にも飲んでもらえるかな?

勝 :はあ? 利き酒なんていうのがまさにマニアの発想なんだよ!
   真子、エスプレッソの「利き豆」やりたいか?

真子:エスプレッソは好きだけどそこまで興味ない。めんどくさいし

勝 :オレ、エスプレッソの利き豆大会をよく1人でやってる。最高
   に条件が合うと、苦いどころか甘いエスプレッソができるぞ

真子:勝さん、好きだよね~。ね、1人で寂しかったら、真子がつき
   あってあ、げ、る、はあと

勝 :いや、遠慮する

真子:ケーキ持って行ってあげるよ?

勝 :じゃあ来てもいい

真子:私よりケーキなの!? ほんっとにもう……でも、利き豆なん
   てエスプレッソマニアしかやらないよ~

勝 :利き酒もそうなんだよ! そんなのビギナーに出来るか!?

真子:あ……あああ! そうかあ……ビギナーのニーズはそこじゃな
   いんだあ!

勝 :ビギナーに利き酒って、そもそも酒自体に興味無い人に、利き
   酒も何もないだろうが。

真子:そうだよねー……はあ……ショックだあ……何でそういう発想
   になっちゃうんだろう……気をつけてはいたのになあ……

勝 :業界人とばっかり話してるからだ。オレみたいなド素人と話せ
   ばいい。だからこうやってつきあってるんだろうが。

真子:わーい、じゃあまたやってくださいね~

勝 :でな、イタリアンのウリのワインだけど、ワインをビギナーに
   飲んでもらう仕掛けはできないか?

真子:うーん、飲みやすいワインをお勧めするとか?

勝 :その程度じゃ何にも変わらない。飲めない人、極端に言えば、
   お子さんにも飲んでもらえるものを考えろ

真子:そ、そんなこと言っても……ワインにはアルコール入ってるか
   ら、ダメよ……

勝 :ほら、マニアトラップに落ちてる。

真子:え、え? ノンアルコールワインなんてあるの? フリービー
   ルみたいな?

勝 :なければ作ればいい。

真子:そ、そんなのムリだよ……さすがに……

勝 :そんなことないぞ。オレでも作れる。今年みたいな寒い冬には
   特にお勧めのワインだ。

真子:え、えええ? 勝さんにも作れる? そ、そんな……?
さて……勝が考えた「ワイン」とは?? ぜひ考えてみてください!

おわかりになられた方、ぜひメールくださいね。この売れたま!にご
返信いただくと、私に届きます!

 

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◆今日のまとめ
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●業界に長くいると、マニアトラップに陥りやすい。マニアにとって
 は「邪道」な商品で、ビギナー顧客を獲得し、育てよう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.117 2011/02/14
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●マニアトラップに落ちた、と思ったら、カプチーノセオリーを活か
 した「邪道」な商品を考えよう!
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◆前回のまとめ
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真子:前回のまとめはね、マニアトラップからの脱出! 私、完全に
   マニアトラップに落ちてた……

勝 :例えば?

真子:お酒を広めるために「利き酒大会」なんて思っちゃった。そも
   そも興味無い人に、そんなマニアックなことやってもダメ

勝 :どうやって脱出する?

真子:ビギナーにもとっつきやすいように、ハードルを下げてあげる
   こと。選びやすいメニューとか、飲みやすい商品とか……

勝 :そうだな。商品についても同じ。ハードルを下げた商品を出し
   てあげることが大事。

 

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◆ビギナー向け商品は、カプチーノセオリーで考えよう
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真子:で、前回勝さんが言ってた、飲めない人にも飲めるワイン、っ
   て? 私が知る限り、ノンアルコールワインなんて無いけど…

勝 :冬に、ワインビギナーにお勧めできるワインって何だ?

真子:別に、何でもいいけど……

勝 :あのなあ……冬のニーズは?

真子:暖まりたい! だからアルコール度数が強い方がいいじゃん。
   それこそマルサラワイン※なんてどう?

※この背景は、「売れる会社のすごい仕組み」でどうぞ!
勝 :ビギナーに、いきなり酒精強化ワイン?

真子:マルサラワイン、モノによっては甘くて飲みやすいよ。どう?

勝 :あのなあ、アルコール強くしてどうするよ。逆だろ、飲めない
   んだから、アルコール弱くしろよ……

真子:そ、そっか……でもそんなワインないよ

勝 :作ればいい

真子:作れませんよ……

勝 :ヒントは、「カプチーノセオリー」。覚えてるか? マニアト
   ラップ脱出のための商品戦略

真子:もちろん。私、カプチーノ大好きだもん。マニアトラップから
   脱出するための商品には、この2つが大事
1)とっつきやすく、ハードルを下げて、ビギナーに道を開く
2)本格(マニア)商品への導入になる
勝 :で?

真子:カプチーノは、こんな構成になってる。
1/3:エスプレッソ(濃いコーヒー)
1/3:ホットミルク
1/3:泡立てたミルク(フォーム)
真子:「マニア商品」であるエスプレッソがしっかり入ってるのに、
   すごく飲みやすい。だからマニア育成にもぴったり。

勝 :ワインでも同じだ。カプチーノセオリーで、ビギナーでも、飲
   めない人でも飲めるワインを作れ

真子:えっと……そうだ! ワインを使ったカクテルだ!

勝 :発想としてはそっちの方向だが、もっとそれを勧めてみろ。ノ
   ンアルコールワインだ。しかも冬にぴったり

真子:だからそんなの無いってば……

勝 :日本ではあんまり見ないな

真子:ええ? いい加減もったいぶらないで、教えてくださいよ……

 

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◆カプチーノセオリーで、「邪道」な提案をしよう!
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勝 :回答は、「ホットワイン」だな

真子:え? ホットワインって、ワインに砂糖とかシナモン入れて、
   温めて飲むっていうアレ?

勝 :そう、そのソレ。暖まるし、熱でアルコール飛ぶから飲みやす
   くなるだろ? 

真子:あ……な、なるほど! それはビギナーにも飲みやすい!

勝 :ショウガでも入れれば、風邪にも良さそう。冬にぴったり。

真子:そうだぁ! その手があったかあ……それなら飲めなくても、
   ワイン飲めるよね

勝 :そうそう。レモン入れてビタミンCもたっぷりの風邪予防。

真子:でも、甘いから食中酒に合わない、かなあ……

勝 :そう言うと思った。業界に染まってると、「食べ物には甘い飲
   み物は合わない」とか言うんだよな

真子:で、でも……

勝 :あのなあ、甘いカクテル飲みながらイタリアン食べてる人なん
   てたくさんいるだろうが。それはダメなのか?

真子:そ、そいうえばそうか……

勝 :ピザに甘いコーラは合わないのか? デリバリーピザのメイン
   ドリンクは甘い炭酸だぞ。真子、完全にマニアトラップだな。

真子:は、はい……その通りです……

勝 :食中に出したくなければ、寒い外から来て、あったまるための
   最初の1杯でもいいよ、別に。

真子:た、確かに……だけど、ホットワインなんて何で知ってるの?
   ヨーロッパでは結構飲むみたいだけど。

勝 :ニュージーランドにスキーに行くと、よく回りの仲間がスキー
   の帰りに店で飲んでる。オレもあれなら飲める。暖まるし。

真子:ちょっと、何それ! 自分だけずるい! ニュージーランドス
   キーなんて誰と行ってるんですか!?

勝 :誰と、ってスキー仲間みんなで

真子:えー、ずるい! 真子も連れてってくださいよお! 私だって
   ボードやるんですからあ……

勝 :日本は夏だぞ? ニュージーランドは南半球だからな。それこ
   そスキーマニアしかやんねー。

真子:そんな楽しそうなこと、何で今まで教えてくれなかったんです
   か!? 日本の夏にスキーできるなんて……

勝 :だって、オマエ、ワガママだからなあ……転んだら、寒い! 
   痛い! もう帰る!とか言い出しそうだからイヤだ。

真子:そんなことありませんよぉ。良い子にしますからあ……それに
   ニュージーランドってワインの注目生産地なんですよー

勝 :じゃあ仕事で行け

真子:公私混同はしませんよ。でも、行ったついでにワイナリー見よ
   うっと。ねー、ですから連れてってくださいよー、ねー、ねー

勝 :失敗した……言わなきゃ良かった。まあスケジュールが奇跡的
   に合えば、だな。

真子:やったあ! 真子、絶対合わせるもん。お部屋は勝さんと一緒
   でい、い、よ♪ うぃんく

勝 :無視。

真子:でもホットワインは盲点だったなあ……でも、あれ、そもそも
   お酒って言えないよね……熱でアルコール飛んでるし。

勝 :「邪道」ってマニアに言われるような商品こそが、マニアトラ
   ップ脱出の切り札になるんだよ!

真子:あ、そうだった……私、マニアなんだね……

勝 :マニアトラップ脱出で、「邪道」は褒め言葉。マニアにけなさ
   れてナンボだ。

真子:確かにね~。

勝 :ホットワイン日本で出してる店、知ってるか? オレはほとん
   ど知らない。多分みんな「邪道」って思ってるんだろ。

真子:「お酒」じゃないもんね……ホント業界自体がマニアトラップ
   だ! そうかあ、ワインをビギナーに売るにはホットワイン…

勝 :スーパーの店頭なんかでも冬にホットワインの提案とかサンプ
   リングとかやればいいんだよ。

真子:そんなの見たことないよね

勝 :スーパーで酒を売る1つの課題は、そもそも酒売り場に人が来
   ないってことだけど、ホットワインなら……

真子:飲まない家庭でも、ワイン売り場に来ていただける!

勝 :そうそう。ホットワインは、要は「ショウガ湯」とか「卵酒」
   とかのヨーロッパ版だろ?

真子:確かに、スーパーで「ホットドリンク」イベントとかやればい
   いのに!

勝 :っていうか真子もやれよ。ワインだけが酒じゃないんだから。
   日本で伸びてる酒は何だった?

真子:あ……そうだ。焼酎だ。ホット焼酎にしてもいいんだ……

勝 :そういうやるべきことやらないで、「若者のお酒離れ」とか、
   もっともらしい言い訳を言って欲しくないな

真子:お酒の飲み方を上司が教えてくれないなら、私達が教えてあげ
   なきゃダメなんだよね……

勝 :そういうこと

真子:ホットワインが売れれば、飲まない人にもワインが売れるね。
   当たり前だけど。

勝 :そういうことだ。別にワインが売れれば、嬉しいだろ? 飲み
   方はともかくさ。

真子:ホントそうだ……。熱でアルコールを飛ばせば、みんな飲める
   しね。

勝 :でな……前回、オレが「質問」しただろ? 読者さんに

真子:うん。

勝 :「ホットワイン!」というお答えがすごくあった。冬は卵酒代
   わりに飲んでます、っていう方も結構いらしたぞ。

真子:ええー! そんなにメジャーなんだ!?

勝 :ああ。ポテンシャルはあるはずなのに、何でやらないんだ?

真子:そっかあ……ホントやるべきことやってない……大反省

 

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◆カプチーノセオリーの商品は、「売りたい商品」につなげられる!
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勝 :ホットワインは、カプチーノセオリーにも合ってるだろ?

真子:ぴ、ぴったりだ……マニア商品のワインが入ってて、しかも熱
   でアルコールが飛んで弱くなってて、飲みやすい

勝 :そのうちさ、ワインの銘柄でホットワインの味が変わるとか、
   ショウガを入れる入れないのカスタマイズもできるよな?

真子:そっか、トッピングをオレンジピールにしようか、レモンにし
   ようかとかでもいいね。なんかスタバみたい♪

勝 :そうそう。それなら飲めない人でもワインが楽しめるだろ?

真子:うん、楽しそう!

勝 :そう、マニアトラップ脱出のカギは「楽しさ」。ビギナーに、
   いかに楽しんでもらえるか

真子:そっか……利き酒じゃダメなんだね……

勝 :カプチーノセオリーに合った商品は、そこからの「マニア化」
   がしやすいから、単なる一過性で終わらない

真子:うん。ホットワインに興味を持ったら、ワインを飲んでくれる
   かもしれない! 若者は飲めないわけじゃないから。

勝 :そういうことだ。プロダクトフローで言うところの「売れる商
   品」になる。しかも、コアには「売りたい商品」が入ってる。

真子:そうか! で、「売りたい商品」が、ワインそのものなんだ!

勝 :そうそう。そのうちワインそのものに興味を持ってくれるかも
   しれない。それに、季節に合わせた提案だって色々できる。

真子:どういうこと?

勝 :夏には、変だけど「アイスホットワイン」とかもいいだろ。ホ
   ットワインを冷まして、氷を入れる

真子:それは面白そう! 確かにそれは「売れる商品」になる! そ
   れなら、白ワインでやってもいいね! キレイな色になるよ!

勝 :アイスコーヒーと同じ発想だな。オレ、ダブリンのホテルでア
   イスコーヒー頼んだら、「どうやって作るの?」って聞かれた

真子:きゃははは、そうなんだ~。

勝 :これなら、そーれ・しちりあーのの、オリジナル「ノンアルコ
   ールワインドリンク」にできる

真子:ちょ、ちょっと待って、メモ取るから……
真子がすさまじい勢いでメモを取り続ける。その様子を勝は文字通り
目を細めて満足そうに眺め、ゆっくりと続けた
勝 :夏は、ソーダで割ってもいけるかもしれないな。やったことな
   いけど、もともと煮詰まって濃いから大丈夫だろ。

真子:す、すごい! ノンアルコールスパークリングワイン!

勝 :そういうこと

真子:よくそういうアイディア出てくるよね……勝さん、素人なのに

勝 :素人だから出てくるんだっつーの。で、業界人はそういうアイ
   ディアを「邪道だ」「そんなの売れない」の一言で片付ける

真子:それで売れない、とか言ってたら世話ないよね……反省です。

勝 :これ、マニアトラップのセオリー、そのまんま。業界あげてや
   ればいいんだよ

真子:業界あげて、って?

勝 :ホットワイン作るのが結構面倒なら、レンジでできるような器
   具をワインメーカーが開発するとかさ。

真子:た、確かに……いちいち鍋でコンロにかけて、って結構面倒だ
   もんね……

勝 :真子の店で、レンジでカンタンにできるレシピを配ってもいい

真子:勝さん、ホント尊敬する

勝 :何を今さら……

真子:もちろんそうなんだけど、何で飲まないのに……

勝 :飲む飲まないは関係ないの! こういうロジックは、業界問わ
   ずみんな同じだから。

真子:マニアトラップ理論がわかれば、そういう提案ができる、って
   ことか……マニアトラップ理論、恐るべし、だなあ……

勝 :マニアトラップ理論は、現実を普遍化した理論だからな。現実
   から入ってる理論だから、売れないはずがない。

真子:理論って大事だなあ……

勝 :理論が大事なんじゃない。「使える理論」が大事なんだ。戦略
   BASiCSとかもそうだけどさ。

真子:はーい。

 

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◆「商品」は「戦略課題」を解決する手段
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :そうやって「メニュー」を考える。「戦略」が先、商品とかメ
   ニューはその後。

真子:え?

勝 :戦略は、要は課題解決。ここまでやってきたように、飲まなく
   なってる。それはなぜか? って考えただろ?

真子:それは、職場で先輩とか勧める人が減ってきてるから。パワハ
   ラ、とか言われるし。

勝 :だから、友人に勧めてもらうようにする。もしくは、店で勧め
   るようにする。そのときには……

真子:はい、飲めない人にもわかりやすいメニューを作らないといけ
   ないし、ホットワインのような提案も必要だ!

勝 :全てが連動する。アルコール飲酒量の減少、社会背景の変化。
   商品もメニューもそれに対する対応策であり、解決策だ。

真子:ホットワインは社会の変化に対する解決策……単なるメニュー
   じゃない……戦略が戦術を統括する……また鳥肌立ってきたよ

勝 :こうやって考えると、データの重要性がよくわかるよな

真子:正月早々、すっごいやる気になってきました! ね、勝さん、
   もう少しだけつきあってくださいよ! ね、ね? お願い!

勝 :そんなににじり寄るな、離れろ

真子:もう、嬉しいく、せ、に♪

勝 :大体だな、イタリアンレストランは、飲まない人に対して、不
   親切すぎる。

真子:そ、そんなこと無いと思いますけど……

勝 :本当にそうか? 飲まない人が喜んで来れるようになってるの
   か?

真子:そ、そう言われると……

勝 :これだけお客様が変わってるんだぞ? 十年一日のイタリアン
   レストランでいいのか?

真子:ど、どういうこと?

 

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◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●カプチーノセオリーで、ハードルを下げ、かつ、その後のマニア化
 につながるような商品を作ろう!
※勝からの一言

今回、多くの方からメールをいただきました。ありがとうございまし
た!

1つをご紹介させていただくと……
===============================

アルコールがないワインは、ホットワインではないでしょうか?
ヨーロッパを放浪しているときにドイツかどこかで戴きました。

いつも内容がぎっしり詰まったメルマガで、本当に参考になります。

著書も「売れる会社のすごい仕組み」を始めて見て、そのわかりやす
さから逆流して以前の著書も拝見させて戴きました。

最新刊の「売れる数字」も目からウロコものでした。
また新たな著書を楽しみにしています。

===============================

「正解」!

別にホットワインだけが「正解」ということではありませんが、カプ
チーノセオリーに一番合っているのはホットワインでしょう。

ホットワインでは? とお答えの方がメールでもTwitterでも
結構いらして、驚きました。日本ではホットワインってほとんど聞き
ませんが、さすが売れたま!読者さん! 調べていただいた方もいら
っしゃったようですね。

別に正解不正解だからどうのこうのということではなく、こうやって
質問に対して、お考えいただく、というのが良い練習になりますね。

しかし、さすが売れたま!読者さんだなあ……

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.118 2011/02/18
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●社会のトレンドとケンカしても勝てない! 人口動態などの変化を
 きちんと把握しておこう!
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◆前回のまとめ
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真子:前回はマニアトラップだったよね~。カプチーノセオリーで、
   邪道な商品でビギナーを取る!

勝 :そうだな。で、何でそもそもそれをやらないといけないんだっ
   けっか?

真子:飲まない人が増えてきてる。飲むきっかけが減ってきてるから
   店がそれをやらないといけない!

勝 :もう少し普遍的に言うと?

真子:普遍的に言うと……あ、そうだ、社会の変化への対応!

勝 :そうそう。そもそも、このシリーズの後半のキモはそこだな。
   変わる社会にどう対応するか

真子:そもそも、「若者が飲まなくなっている」は本当か、っていう
   社会の変化を検証したんだよね

勝 :で、20代、30代の「飲酒習慣者」は、10年単位で見ると
   確かに減って来てる

真子:その原因仮説の1つが、「上司が飲ませる」ことが減って来て
   ること。だからお酒の飲み方を知る機会が減ってる。

勝 :だから?

真子:私たち飲食店だったり、アルコール業界がその「飲み方を知る
   機会」を肩代わりして提案する!

勝 :それが1つの方法だな。

真子:まだあるんですか?

 

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◆社会の変化への対応をしよう!
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勝 :アルコールメーカーなら、飲むようにする提案をする必要があ
   るけど、飲食店は、アルコールだけを売るのが仕事じゃない

真子:え? 食べ物を売るってこと?

勝 :それもそうだけど、飲み物は別にアルコール飲料だけじゃない
   だろ?

真子:あ、そっか。ノンアルコールドリンクを強化してもいいんだ

勝 :そう。飲まない人が増えているなら、素直にそれに対応すれば
   いい。今さ、男性の喫煙率が4割切ってる

http://ow.ly/3Y92y
(PDFファイルですのでご注意ください)
真子:喫煙率、大分大分減ったね~。どれどれ……2005年に4割
   切ったんですね

勝 :2000年頃から喫煙者が5割を切ってきてる

www.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-kou14/data6/youran2-4.xls

真子:あ……それで、分煙だ、って騒がれるようになってきた……

勝 :そうそう。それで2002年の健康増進法で、流れが決定的に
   なって、分煙が徹底されるようになった

真子:確かに、禁煙のトレンドってすっごい最近だよね……まさかお
   酒もそうなる?

勝 :それはわからない。ただ、飲まない人への対応をしなければい
   けないくらいには増えてきてるんじゃないか?

真子:うん……

勝 :飲酒習慣者が増えるトレンドは続きそうな感じだよな。だとす
   ると、対応を考えた方が良い

真子:ノンアルコールドリンクを増やすってこと?

勝 :そうだな。飲食店の飲まない人向けの飲み物メニューが貧弱す
   ぎる。コーラとウーロン茶とオレンジジュースしかないぞ?

真子:そうだよねえ……それはそう思います。あったとしてもジンジ
   ャーエールくらいだもんね……

勝 :ジンジャーエールって言っても、甘いのだろ? ウィルキンソ
   ン置いてる店は少ないしな。

真子:うちはウィルキンソン置いてるけど、確かに少ないよね……

勝 :別に、飲まない人だって金払いたくないわけじゃない。でもソ
   フトドリンクの選択肢が余りに少ない。

真子:どんなのがあればいいんですか?

勝 :甘くないのが個人的には欲しいな。コーラとかジンジャーエー
   ルは甘すぎる

真子:じゃあ、今はやってるノンアルコールビールとか?

勝 :それでもいいぞ。まだあんまりレストランにおいてないしな。
   甘くない炭酸飲料って実はほとんどない。

真子:なるほどお……スパークリングウォーターくらいだもんね……

勝 :アルコールフリービールが売れた理由の1つは、実は、甘くな
   い、食中の炭酸ドリンクが無いからだと思う。

真子:なるほど! 飲まなくなってきている社会への対応、ってこと
   だ

勝 :そういう側面もあるんじゃないか? 甘くないノンアルコール
   炭酸って、他に何かあるか?

真子:そ、そういえば……確かにない! 炭酸はみんな甘いね。

勝 :飲む人にはビールでもスパークリングワインでも何でもあるけ
   どさ。飲まない人の選択肢があまりにも少ない

真子:うーん……気づかなかったなあ……後は後は?

勝 :無炭酸のソフトドリンクだって少ないだろ? 水かウーロン茶
   くらいじゃないか? せいぜいアイスティー。

真子:うーん、そうだねぇ。

勝 :例えば、高級茶葉のアイスティーとか、アイスハーブティとか
   あってもいいよな。ゼロカロリー。

真子:た、確かに……その発想は無かった……

勝 :それなら、別に600円とかでも違和感ないぞ。ちゃんと店で
   作れば、だけどな

真子:そうなんだ!? ハーブティなんて原価安いよ?

勝 :あのなあ、原価と価値は関係ないんだよ! アルコール類の原
   価だって3割とかだろうが!

真子:た、確かに……

勝 :ハーブティに本物のフルーツをトッピングしてもいいだろ? 
   シチリアのオレンジとかさ

真子:う、うん……でも、誰もやらないね……

勝 :レモンフレーバーの炭酸水とかも置いてないよな。コンビニに
   あるものくらい置いとけばいいのにって思うぞ

真子:そっかあ……コンビニより貧弱なんだね……

勝 :ワインリストまで含めると、100種類以上のアルコール類が
   あるだろ? 飲まない人にとってもそんくらい欲しい

真子:選べる楽しさ、という意味ではそうだよねえ……

勝 :「飲まない人にとってのドリンクメニューの豊富さ」っていう
   のは、盲点になってるぞ。飲まない人が増えてるのにさ。

真子:気づかなかった……反省。

勝 :いくらなんでもコーラとウーロン茶とジンジャーエールだけ、
   っていうのは無いだろ

真子:そ、そりゃそうだよね……

勝 :別に、お金を払いたくないわけじゃない。そういう「提案」が
   店からないから、飲まないだけ

真子:確かに、私達、飲まない人のことを全然考えてなかったかも…

勝 :大体飲食店経営者なんていうのは自分も飲むクチの人が多いか
   ら、そういう発想がしにくいんだろうな。

真子:そうだ……採用のときも、飲む人を優先で採用してるから……
   それ、まずいかも……

勝 :それに、飲まない人向けのドリンクが充実していれば、飲む人
   だって飲まない人を誘いやすいだろ?

真子:そうだ! 確かに、それだけで差別化になる!

勝 :そういうこと。飲まない人が増えてるのなら、それを機会とし
   て活用すればいい。

真子:飲む人に対しても、「飲まない人を誘いやすい店です」って訴
   求できるのかあ……それ、面白いです!

 

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◆都心部では、むしろシングルが多数派!
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勝 :あとあるのは「お一人様」市場だな。レストランって複数人で
   来ることを前提としてるよな

真子:当たり前じゃないですか

勝 :あのなあ、今の独身者の割合ってどれくらいだか知ってて言っ
   てるか?

真子:え? 晩婚化してるのは知ってますけど……

勝 :ちょっと東京23区で見てみるか……年代別「シングル率」、
   正確には、(1-有配偶者率)を見てみるか……
          男性    女性
 20代     89%   83%
 30代     54%   44%
 40代     38%   32%
 50代     32%   30%

(2005年 国勢調査を佐藤義典が加工)
真子:30代でも、男女共に約半分がシングルなんだね……

勝 :ああ。まあこれは離婚とか死別された方がいらっしゃるけど、
   それも含めて、シングルだな。

真子:女性でも結構シングルの方、多いね~。何かちょっと安心しち
   ゃった

勝 :ちなみに、男性20~49歳について見てみると……61%が
   シングルだな。つまりシングルが多数派。2/3近い。

真子:えーー! そ、そんなに高いんだ!? 

勝 :女性20~49歳でも53%がシングル。つまり、20~49
   歳についていえば、東京23区ではシングルが多数派。

真子:それは知らなかった……確かに回りにシングルの人は多いなあ
   と思ってたけど……

勝 :真子、回りに独身男性こんなに一杯いるのにな、ははは

真子:う、うぐ……悪かったですね、一人で! 勝さんだってそうじ
   ゃないですか!

勝 :うるせーな。

真子:もう、20代で結婚して、子供産んで……っていう時代じゃ無
   いんだね……

勝 :少なくとも都心部は、な。

真子:確かに女性がお一人でいらっしゃること、結構あるんですよ…
   そういうのってやっぱり数字で出るんですね……

 

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◆社会のトレンドとケンカしても勝てない
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勝 :ファミレスが今厳しい状況にあるのは、そこに原因があるんじ
   ゃないかとオレは思ってる

真子:どういうこと?

勝 :すかいらーくの第一号店が1970年で、その時の1世帯あた
   り人員は、3.4人

真子:「家族」って感じだね~

勝 :そうだな。そのあたりから80年代までは、平均世帯人員が、
   3人以上で推移してる。

真子:両親と子供1~2人の「ファミリー」ってことだよね。それで
   みんなで「ファミリー」レストランに行ってた!

勝 :そう。それが、1990年には、平均世帯人員が3人を切る。
   2005年には2.55人

真子:DINKSとかも増えてるだろうしね

勝 :DINKSかどうかはわからないが、夫婦2人世帯は増えてる
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/kihon1/00/04.htm
真子:少子化だからね……夫婦だけならファミレスにはあんまり行か
   ないってことかな?

勝 :そうそう。ファミレスは、両親と子供2人のような世帯を想定
   してたよな。

真子:その社会構造の前提が崩れちゃったんだ!

勝 :社会のトレンドとケンカしたって勝てないからな

真子:うん……

勝 :あ、ここで言うトレンドは「はやり廃り」じゃなくて「波」っ
   ていう本来の意味だけどな

真子:ね、勝さん、ファミレスの売上って減ってるの?

勝 :どっかにデータがあったな……
勝が、パソコンの中のデータを検索していくと、あるファイルを探し
当てた。

      ファミレス       ハンバーガーチェーン

1998年 1兆5051億円    6153億円
2008年 1兆2430億円    6878億円
      -17%        +12%

(市場占有率2000年版、日経市場占有率2010年版)
真子:ホントだ……10年で結構減ってるね……うーん、うちにとっ
   ても深刻だなあ……

勝 :ハンバーガーチェーンは伸びているわけだし、前にもやったけ
   どGDP自体は伸びてるワケだから、経済のせいじゃないよな

真子:うん……社会のトレンドとケンカしても勝てない、か……

勝 :ファミレスも、やり方次第ではまだやりようがあると思うけど
   両親と子供2人のような世帯をターゲットにすると厳しいな

真子:数自体が減ってるんだもんね

勝 :大きく見れば、だけどな。店舗が2,3店ならやりようによっ
   て伸ばせるだろうけど、何十店になってくると……

真子:社会のトレンドを考えないといけないってことですね。トレン
   ドとケンカするな、か……

勝 :そう。真子がそーれ・しちりあーのを大きくしようとしている
   ときには、これは避けて通れない。

真子:そうですよね……ホントありがとうございました。

勝 :で、人口動態などのトレンドは、数字に表れる。だから、定期
   的に、数字を把握しておいたほうがいいぞ

真子:はい! 本当に勉強になりました。でも、なんか怖くなってき
   ました……

勝 :酒のことを考えると、だよな。

真子:ええ、そうなんです……

 

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◆飲まない人には不公平?
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勝 :オレ、そもそも思うんだけどさ、イタリアンにしても居酒屋に
   しても、飲まない人にとっては、不公平なんだよ。

真子:何で?

勝 :みんなで食べに行って、飲まない人もワリカンにすると、何で
   オレが飲んでない飲み代を負担しなきゃいけないんだ?

真子:確かに……

勝 :当たり前のようにワリカンにされるぞ。

真子:でも勝さん、その分食べるからいいじゃん

勝 :確かにそうだけど、説明がメンドくさい。

真子:な、なんで?

勝 :みんながお酒お代わりしてる間に、オレだけデザートお代わり
   するだろ? すると「何この人?」って言う目で見られる

真子:きゃははは、そりゃそうですよね~。

勝 :お酒のお代わりをシェアすることは無いけどパスタとかピザの
   お代わりはシェアするだろ。ずるいじゃねーか。

真子:あ~ははは、おっかしいぃ! そんなこと考えてたんだあ!

勝 :でも、そうなると飲み会断るからな。そういう人がこれから増
   えていくんだぞ?

真子:じゃ、じゃあ……あ、お酒を抜いたレシートを別に出すってい
   うのはどうですか? 飲まない人は、その分のワリカンだけ。

勝 :そうそう、そういう発想が必要になってくるだろうな。もしく
   は、さっき言ったみたいに、飲まない人には……

真子:あ、そっか! 飲まない人にも、楽しめるノンアルコールドリ
   ンクを出せばいいんだ!

勝 :そうそう。読者さんから、ホットワインの反響なんか結構あっ
   たぞ。

真子:そうなんだ!

勝 :ああ、結構驚いた。つまり、売り手には見えてないことが実は
   いっぱいあるんじゃないか、ってことだな

真子:うん、っていうことは、やり方次第で何でもできる、っていう
   ことだよね

勝 :そういうことだな。ガンバレ!

真子:はい! ホントありがとうございました!
そのとき、真子の携帯がけたたましく鳴った。
真子:え……あ、叔母さんだ……はい、もしもし?
電話の向こうで、「何時だと思ってるの!」という声が聞こえる
勝 :え? うわああ! こんな時間だ! 真子、戻るぞ!

真子:あ、叔母さん、今から帰るから! うん、勝さんも一緒だから
   大丈夫だってば、うん、じゃ

勝 :もう2月ですが、初詣特集、これにて終了。永らくのおつきあ
   い、ありがとうございました!

真子:今年もよ、ろ、し、く、ね、はあと

 

「売多真子と勝の初詣」シリーズ、これにて終了です!

 

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◆今日のまとめ
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●社会のトレンドとケンカしても勝てない。社会のトレンドは数字に
 表れる。定量的にトレンドを追おう!