ドットドロップス:お客様がデザインするスーツケース

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.201 2011/07/07
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「売り物」の個別化は、手間をかけなくてもできる! お客様にカ
 スタマイズしていただく仕組みを考えよう!

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◆「オリジナル」スーツケース ドットドロップス
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●「ドット」をデザインできるオリジナルスーツケース

フランスから、おしゃれなスーツケースが登場するそうです。その名
もドットドロップス。

ドットを自分で配置して、デザインできます。


-----------< 記事要約 >------------

○双日ジーエムシーはフランスのスーツケース「ドットドロップス」
 の国内独占販 売権を取得、7月下旬から販売開始。
○ドットドロップスは、ケース表面に165個の凸状の丸い点が浮き
 出ている。同じ大きさの丸いシール400枚が付属、好きな色を自
 分で貼ったり、はがしたりして、自分の好きな図柄などをデザイン
 できる。購入前に図柄を示して貼ってもらうことも可能という。
○顧客が個性を強調でき、空港の手荷物受取所でも一目で見つかると
 いう。
○想定小売価格は2万5000~3万5000円。全国の衣料品・か
 ばん専門店やインターネット通販などで販売する。

 

2011/05/20, 日経MJ(流通新聞), 6ページ
2011/05/23, 日経産業新聞, 20ページ

-----------< 記事要約 >------------
こんな感じに、色々なデザインを作ることができます↓

http://www.sojitz.com/jp/news/releases/20110517.html

http://www.sojitz.com/jp/news/releases/pdf/110517.pdf
11×15=165個のドットで、「売れたま!」をデザインしてみ
るとこんな感じになるでしょうか……?

 

○○●○○○○○●○●○○○
○●●●●○○●●●●○○○
○○○○●○○○●○●○○○
○○○ ●○○●●○●○○○
○○○●○○○○●○○●○○
○●●○○○○○○●○○○○
●●●●●○○●●●●●○●
○●○○○○○●●●●●○●
○●○●●○○○○●○○○●
○●○○○○○●●●●●○○
●○○●●●○○●●○○○●

 

どうですか?

 う れ
 た ま !
に見えます? 見えますよね? ね?(笑) 売れたま!の「ま」を
「マ」にすれば見やすくなりそうですが、そこは、ひらがなんです。
色を使えば、もう少し見やすくなりそうな感じはします。

ドットパターンを作るのは、結構難しいですね……

11×15=165個のドットでも、結構色々できるものですね。

デザインを考えるだけでも楽しいかも!

空港で、似たようなデザインのスーツケースが出てくるとまぎらわし
いですが、この「自分だけのスーツケース」なら、確かに迷わないで
すよね。

やっているうちに、何か欲しくなってきたかも……(笑)

 

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◆復習:3つの差別化軸
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●復習:3つの差別化軸とは?

売れたま!でも何度となく紹介している3つの差別化軸。差別化戦略
は大きく分けて3つしかありません。

1)手軽軸:早い、安い、便利
2)商品軸:商品・サービスが良い
3)密着軸:個別具体的ニーズに応える

となります。
これは私のオリジナルではなく、元ネタは、マイケル・トレーシー、
フレッド・ウィアセーマ両氏のValue Disciplinesを解釈・再定義し
たものです。
この、どの軸を選ぶかで、自社の戦略の構築はもちろん、戦術・行動
が全く変わって来ます。

軸に善し悪しはなく、「決め」の問題です。「最悪な軸」があるとす
れば、それは「軸を決めないこと」、さらには「決めたのにブレるこ
と」です。

 

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◆密着軸=売り物の個別化×売り物の個別化
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●お客様に「私だけのために」と思っていただくために

「密着軸」は、意外に誤解されやすいのですが、お客様に

「私だけのためのものだから買う」

と思っていただく、ということです。

「売り手がお客様に密着する」ことは必要ですが、それだけではダメ
で、「私だけのために」と思っていただけ、それに価値を感じていた
だけるから、その分高い値付けが可能になるわけです。

 

●私だけのために=売り物の個別化×売り方の個別化

お客様に「私だけのためのもの」と思っていただくために可能な手段
は、基本的には2つです。
1)売り物の個別化(カスタマイズ):オーダーメード

売り物を、お客様のニーズ・ご要望に合わせて、個別化します。わか
りやすいのは、スーツなどの「オーダーメード」ですね。

私は分厚い財布を常時所持しているため(別にお金がたくさん入って
いるわけではありませんよ)、スーツの内ポケットを大きくしてもら
ったりしています。

 

2)売り方の個別化(カスタマイズ)

売り方を、お客様に合わせて変化させます。例えば、親しみを求める
お客様には親しみやすく、などですね。

化粧品のカウンターでは、お客様の肌診断などを行い、肌に合った商
品の提案をしますよね。売り物は個別化していませんが(お客様に合
わせて商品の配合を変えたりしていません)、お客様にあった製品を
お勧めします。
メーカーの場合は、前者の「売り物の個別化」を、流通業の場合は、
後者の「売り方の個別化」を志向することが多いでしょう。

もちろん、両方できれば、売り物→売り方 という一気通貫で個別化
できることになります。
2011年6月6日、9日号のアディダスは、その両方を一気通貫で
行っている例になります。

 

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◆売り物の個別化を実現したドットドロップス
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●売り物の個別化

ドットドロップスは、当然「売り物」を個別化しています。シールを
貼ることで、

「私だけのためのスーツケース」

を作れるわけです。

この「私だけのための」が、典型的な密着軸ですね。

例えば、

・会社のロゴを入れる
・自分の似顔絵を入れる

など、「自分だけのためにカスタマイズ(個別化)された」スーツケ
ースになっているわけですね。

 

●低価格でカスタマイズできる「仕組み」

それでいて、このドットドロップスは、2.5~3.5万円と、通常
のスーツケースの価格ですよね。私のスーツケース(ゼロハリ)より
安いんですよね……(笑)。
通常は、オーダーメード品はすごく高くなります。通常商品の数倍の
価格になってしまいますが、ドットドロップスはそれほど高くはあり
ません。

そのヒミツは、2つですね。

そして、これが今回、ドットドロップスを取り上げた理由です。
1)生産ラインを変えないで済むカスタマイズ

このカスタマイズは、生産ラインを全く変える必要はありません。

通常の個別化は、何らかの形で、生産ライン上に「カスタマイズ」加
工をするプロセスを設けます。

ソバ屋さんだって、トッピング(卵、天ぷら、など)をソバに「載せ
る」という工程がありますよね。

しかし、ドットドロップスは、製品が出荷されるときは、皆同じもの
として出荷されます。

要は「シール付きスーツケース」として、同じ製品が出荷されるわけ
です。

 

2)お客様自身で「個別化」する「セルフカスタマイゼーション」

それが可能になったのは、お客様がご自身で「デザインを考えてシー
ルを貼る」という、「セルフカスタマイゼーション」とも言うべき仕
組みにしているからです。
デザインを考えるのも、シールを貼るのもお客様ご自身です。ですか
ら、生産プロセスに「カスタマイズ加工」するプロセスが不要になる
わけですね。
ですから、通常の、規格化された「大量生産商品」として生産できる
わけで、低価格化できたのでしょう。

 

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◆「見え方」の個別化
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●「見え方を個別化」するのは比較的ラクにできる

製品そのものの作りを「個別化」するのは大変です。

今回の例で言えば、例えばスーツケースの取ってや車輪をカスタマイ
ズするとなると、生産ラインは結構大がかりな変更になりますよね?

でも、「がわ」というか「回り」というか、見え方だけを個別化する
のは、今回のように比較的カンタンにできることもあります。

わかりやすいのは、「デコケータイ」ですね。

ケータイ自身は同じでも、その上に「デコレーション」していくこと
によって、「世界に1つしかない、自分だけのケータイ」を作るわけ
です。

「痛車」なんかもある意味そうですよね。
製品そのものを変えなくても、見え方を変えることでカスタマイズで
かいないかどうか、考えて見ましょう。
そして、何より、その「見え方」を考えるのは、お客様にとっても、
楽しいことなんですよ。

さっき、自分で「うれたま!」をレイアウトしていて、結構面倒では
ありますが、結構楽しかったです。
であれば、ドットドロップスの販促方法は……

そうですね、ネットで、このシミュレーションができるようにすれば
いいんですよ!

もしくは、丸い積み木のようなものを用意して、実際に店頭で、組み
合わせて作っていただくとか、ですよね。

これは、前号でとりあげた「あげる商品」になりますよね。

こうやって、売れたま!で紹介している数々のツールを連動させなが
ら考えて行くわけです。
また、「金」「銀」などの特別色のシールを期間限定でプレゼントし
てもいいですよね。
しかし、これは非常に面白い「ケース」ですよね! (あ、もちろん
「事例」と「スーツケース」をかけてますよ……って解説いりません
ね)。

 

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◆今日のまとめ
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●製品自体は個別化できなくても、「見え方」を個別化させることは
 できる。お客様に「見え方」をカスタマイズしてもらおう!

 

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