2013-12 弱みで勝つ!

 

この記事は、2013年12月30日~2014念1月27日に渡っ
てメルマガ「売れたま!」で集中連載された記事を、加筆修正したも
のです。

戦略の基本は「強みを活かす」ことですが、なかなか明確な「強み」
を作ることは難しく、むしろ「弱みばかり」となりかねません。

だったら、「弱み」を「強み」にできれば、「強みばかり」にできま
すよね?

登場人物は、拙著の登場人物です。

ではお楽しみください!

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.270(累計1081) 2013/12/30

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 1回目のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「強み」「弱み」は解釈次第。弱みを「ひっくり返す」ことで、強
 みに転化しよう!

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◆年末年始特別号!
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もう年末! 年末年始恒例の「特別号」は、お馴染のこの2人!

我らがヒロイン「売多真子」(うれた・まこ)と、真子の親戚にして
そのメンター「売多勝」(うれた・まさる)です。2人は以下の本の
登場人物です。シリーズ10万部超のベストセラー!

○「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
http://ow.ly/qBY9o

売多真子が、勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
マーケティングの最初の1冊としてオススメ。

○「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
http://ow.ly/6s63d

上の本の続編。真子が社長になり、ライバルと戦っていく! 戦略構
築から実行プロセスまで、社長の視点を物語で体感!

今回のテーマは……「弱みで勝つ!」

今回のシリーズはそれほど長くならない予定です。多分、10回くら
いで終わるかと思います。

今日が1回目です。では、スタート!

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◆売多真子と売多勝の年末は、売多家大集合!
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大晦日の夕方、ごった返す特急列車の通路側の席でノートパソコンを
開き、ブツブツとパソコンに話しかける中年男性が1人。売れっ子
マーケティングコンサルタント、売多勝(うれた・まさる)だ。その
隣の窓側席はまだ空席。席が誰かを待っているようだ。

ジリジリジリ、と発車ベルが鳴り、電車が動きだす。

勝 :真子のヤツ、乗り遅れたな。うん、これで仕事に集中できる。
   あ……お菓子はアイツの担当か……まあいいや。

しばらくすると遠くから「スミマセーン、通してくださーい!」と言
う甲高い女性の声が響く。

ガン、ガガン、とバッグが座席にぶつかる鈍い音が近づいてくる。

「やー、勝さーん、お待たせー!」

勝を見つけると嬉しそうに声をかける20代半ばとおぼしき女性、売
多真子(うれた・まこ)。

真子は、躊躇無く靴を脱ぎ、勝の席の肘掛けに足をかけて上ると、旅
行カバンを荷台に押し込む。

真子:いやー、危ないところだったよー。一番後ろの車両にギリギリ
   のタイミングで乗れて良かった♪

ノートパソコンを閉じてカラダを横にする勝の前にムリヤリカラダを
ねじこみ、窓際の席にどん、と腰を下ろす真子。

真子:車内が混んでたからここまで来るのも大変だった~

「ち……来やがったか……静かに仕事ができると思ったのに」という
勝に、「そんなこと言うなら、お菓子あげないよーだ」と返す真子。

真子が、勝との間を隔てていた肘掛けを上に持ち上げ、自分の席のテ
ーブルにお菓子を並べていく。勝がそれに手を伸ばすと、片っ端か
ら口に入れていく。

真子:ちょ、ちょっと、全部食べないでよぉ。

勝 :いっぱい買ってあるんだろ?

真子:そ、そーだけど……ね、今年の売多家大集合は、去年と同じ場
   所だねー。

勝 :まあ、年末年始にあれだけの人が集まると、予約も大変だろう
   からな。その方がみんなラクなんだろ。

年末年始恒例の、売多家大集合。昨年同様に、温泉地の老舗旅館に一
族が集まる。多忙な売多真子・勝もこのときばかりは馳せ参じる。

勝 :じゃあオレは仕事するからな。話しかけるなよ。

真子:ダメだもーんだ。あのね、あのね、こないだ……

勝 :…………

真子:ま、さ、る、さん、ったらあ……

勝 :…………

真子:ね、きゃは、うふふふ♪

勝 :…………

真子:まさるさんまさるさんまさるさんまさるさん!!!

勝 :うるせーようるせーようるせーようるせーよ!!

真子:だってー、せっかく艶っぽく囁いたのに無視するんだもん。

勝 :あーはいはい、あーあ、真子が乗り遅れれば良かったのに。

真子:ねーねー、また本書いてるの?

勝 :書いてる、っていうか、ネタを考えてる。

真子:じゃー、マコちゃんがリクエスト♪

勝 :あるのか?

真子:うん。ほら、「白いネコは何をくれた」で日向実直くんがよく
   言ってた「弱みは強み」ってヤツ。

勝 :「弱みを強みに」って、売れたま!でも何回かあっただろ。前
   号にもそんなネタが少しあったし。

真子:でもさー、単発でちょっと出てくるだけじゃん。本でもメルマ
   ガでも。あれ、ちゃんとやってほしーなーと思って。

勝 :なるほど……真子なんかは弱みだらけだからな……それが全部
   強みになったらすげーよな……

真子:そーなの……って、違うもん!!

勝 :冗談だよ。で、そのリクエストに応えると、何かオレにいいこ
   とはあるのか?

真子:マコちゃんからたっぷりの愛情がお、か、え、し、はーと♪

勝 :望ちゃんとか恵利ちゃんに言われたら嬉しいけど、真子にそう
   言われると最早「呪い」だからな……デメリットしかない。

真子:まったー、ホントは嬉しいくせにー。

勝 :ほら、くっつくなよ、離れろ。でもまあ確かにネタとしては、
   アリか……

真子:そうだよ、「弱みで勝つ! 最弱のマーケティング戦略」なん
   て本出したら、売れるんじゃない?

勝 :売れるかどうかはともかく、目はひきそうだな……

真子:そうだよそうだよ、じゃあさ、今回の2人きりの旅行で、真子
   が話相手になってあげるよ!

勝 :2人きりでも、旅行でもないだろ。これから売多家の集まりに
   参加する2人がたまたま一緒の電車で隣にいるだけだろ。

真子:そんなのいーの。とにかく「弱みで勝つ!」、やろうよ。ね、
   ほら、お菓子もっとあげるから!

勝 :……わかった、わかった。でも今回は、そんなに長くならない
   からな。

真子:うん!

では、「弱みで勝つ!」特集、はじまりはじまりぃ~~

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◆BASiCSにおける「強み」の定義
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勝 :「弱みで勝つ!」に入っていく前に、原則論にもどろう。

真子:うん。

勝 :まずは「強み」の基本的なところから。BASiCSにおける
   「強み」の定義はなんだ?

真子:「強み」は、「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」

勝 :そうだな。そこに入ってくる言葉のなかで「競合」と「自社」
   は今回はちょっと外す。残るのは?

真子:えっと……「お客様」と「選ぶ理由」?

勝 :そうなるよな。「競合と違う」という前提に立つとそうなる。

真子:「前提」って?

勝 :「弱みがある」ってことは、「競合より弱い」ってことだろ?

真子:そうじゃなきゃ、「弱み」って言わないよね。競合と同じだっ
   たら、「強み」でも「弱み」でもないから。

勝 :そうそう。「弱みがある」という前提に立つと、既に競合とは
   「差別化できている」ということになる。

真子:マイナスの意味で、だよね?

勝 :そう。そのマイナスをプラスに転化するのが「弱みで勝つ!」
   発想。

真子:そっか。符号は違うけど、絶対値は同じってことか。

勝 :……す、すげー! 真子がそんな難しいこと知ってるなんて!
   ぜ、絶対値だって、絶対値!

真子:……ば、バカにしてるでしょ……

勝 :ともかく、「強み」とは「お客様が選ぶ理由」だということで
   いいな?

真子:うん。

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◆あばたもえくぼ:「騒がしい」ことは、強み? 弱み?
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勝 :じゃあ次。マクドナルドの店内って、結構「騒がしい」よな?
   音楽とかかかってるし。

真子:うん。ちょっと前だと、Tacataとか、ずっとかかってた。

勝 :あー、かかってたな。で、その「騒がしい」ことは、強みか?
   弱みか?

真子:そりゃ、「弱み」じゃないの?

勝 :なんで?

真子:なんで、って、静かな方が「落ち着ける」じゃん。

勝 :「落ち着きたい人」、「落ち着きたいTPO」ではそうだな。

真子:そうじゃないときなんてあるの?

勝 :じゃあさ、グループ何人かで行って、「騒ぎたいTPO」の場
   合は、静かな店と、騒がしい店と、どっちに行く?

真子:え……あ!! 「騒がしい店」に行く!! 静かな店だと、騒
   ぎづらい!

勝 :そうだよな。じゃあもう一度聴く。「騒がしい」ことは、強み
   なのか? 弱みなのか?

真子:どっちでもある!! そっかあ……「弱みは強み」って、そう
   いうことかあ……

勝 :「騒ぎたい人」にとって、または「騒ぎたいTPO」では、
   「騒がしい」ことが店を「選ぶ理由」すなわち「強み」になる

真子:うん……「選ぶ理由」だから、お客様によって、そしてTPO
   によって、色々変わる、ってことだ……

勝 :そう。「絶対の強み」なんていうものは存在しない。

真子:ホント?

勝 :なんかあるか?

真子:例えば「価格が安い」なんていうのは「絶対の強み」じゃない
   の? 高い方がいい、なんていう場合はないよね?

勝 :真子、何か欲しいモノないか? プレゼントしてやる、って言
   ったとしたら、どうする? 何が欲しい?

真子:え……きゃ、きゃああ!! やあ……ええ、どーしよー……
   や、やっぱり指輪……い、いーの? じゃあ、表参道の……

勝 :騒ぐなよ、仮定の話に決まってるだろ。

真子:え、えええ……なあーんだあ……

勝 :指輪をプレゼントするとして、道ばたで売ってる500円の指
   輪でいいか? ガラスでもキレイだぞ。

真子:イヤだイヤだ! もっと高い方がいい!

勝 :ほら、「高い方がいい」っていう場合があるだろ。ギフト需要
   の場合なんかだと、「安い」ことは「弱み」になるぞ。

真子:あ……ホントだ……安いことが絶対の強みじゃないんだ……

勝 :だから、「絶対の強み」なんてない。

真子:で、でも……勝さんがくれるなら、500円の指輪でも、い、
   いーかなー、なんて……愛が詰まってれば、値段なんて……

勝 :妙な誤解を招くからやめておく。

真子:ええ……まあいいや。勝さんからの愛はもうたっぷりもらって
   るもんねー。

勝 :そんなことをした覚えはない。まあ、「あばたもえくぼ」って
   言うし、真子がカワイイっていう人もきっといるよ

真子:え? 真子はカワイイってことだよね?

勝 :だから「あばたもえくぼ」だって。まさに「弱みは人によって
   は強みとなる」

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◆人間万事塞翁が馬:強み・弱みは「解釈」次第
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勝 :ともかく、「騒がしい」ことは、単なる「事実」であって、も
   ともと「強み」でも「弱み」でもない、ってことだ。

真子:「強み」になるか「弱み」になるかは、「お客様」「TPO」
   次第ってことだよね。

勝 :そうそう。だから「強み」は「お客様が選ぶ理由」。お客様次
   第で、そしてTPO次第で「選ぶ理由」になるかならないか。

真子:なるほど……「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」ってい
   う強みの定義は、結構ちゃんと考えられてるんじゃん。

勝 :ふざけんな。オマエに言われたくねー。で、結局「強み」「弱
   み」は、「事実の解釈」の問題。

真子:「事実の解釈」って?

勝 :「騒がしい」っていう「事実」があるだろ? それが強みにな
   るか弱みになるかは、解釈次第ってこと。

真子:ってことはさ、どんな弱みも解釈次第で強みになるの?

勝 :全部が全部とは限らないけど、大抵の「弱み」は「強み」にな
   るぜ。例えば「経験がない」ことは「強み」か弱みか?

真子:一般的には「弱み」だけど……

勝 :「変な先入観がなく、まっさらな目で見られる」なら、経験が
   ないことは「強み」って「ひっくり返す」ことができる。

真子:な、なるほど。

勝 :松下幸之助氏は「病弱」だったと言われるけど、それは?

真子:それもやっぱり「弱み」だよねえ……

勝 :だからこそ人を使うのがうまくなるって「ひっくり返せる」。
   自分で出来る人はなんでも自分でやっちゃう。

真子:う……そ、そっか……

勝 :だから、何でも解釈次第。「人間万事塞翁が馬」って知ってる
   よな? 息子がケガしたことは、良いことか、悪いことか?

真子:それ知ってる! ケガしたから徴兵されずにすんだんだっけ?

勝 :そうそう。全ての物事は、解釈次第で良くも悪くもなる。不幸
   も「ひっくり返す」ことで幸せになるんだよな。

真子:なるほど、「ひっくり返す」んだ! 弱みを「ひっくり返す」
   ことで強みになるんだね。

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◆コインの裏表:「ひっくり返す」ワザを覚えよう!
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勝 :うん。「コインの裏表」だな。同じコインでも、「ひっくり返
   す」と裏になるよな?

真子:きゃははは、当たり前じゃん。

勝 :だからそうだって。同じ「病弱」でも、「裏」から見るか、
   「表」から見るかで全然違うわけだ。

真子:あ、なるほど。「ひっくり返す」ってそういう意味か。

勝 :じゃあここでその「ひっくり返す」練習をしようぜ。「お金が
   ない」ことは、「弱み」か?

真子:普通は「弱み」だけど……うーん……お金があると、お金に頼
   っちゃう、とか?

勝 :そうそう。お金が無い方が「知恵」を出せる。新しいプロモー
   ションとかは、お金が無い会社が知恵を絞って始めるんだな。

真子:なるほどー。

勝 :「臆病で意思決定ができない人」は、どうひっくり返せる?

真子:あ、それは「慎重で熟慮できる」人だよね!

勝 :そうそう。逆に、「自分の信念を貫き通す、意志が強い人」は
   どうひっくり返す?

真子:「人の意見を聴かないワガママ」!

勝 :そうそう。いいじゃないか。全部「同じことの裏表」だよな。
   じゃあ商品の「知名度が無い」ことは?

真子:それは本当に「弱み」だねえ……

勝 :そうか? 例えば、「吉野家」なんかは知名度が高いけど、吉
   野家が「ラーメン」を始めたらどう思う?

真子:なんか変だよね……あ! 知名度がなければ、イメージを自由
   に作れる!

勝 :そういうことだ。

真子:へー、何でも「ひっくり返せる」もんだねー。

勝 :な、真子、日本のGDPは依然世界3位と大きいけど、それは
   良いことなのか?

真子:そ、そりゃ、市場が大きい方がいいでしょ?

勝 :でも、国内に市場がなければ、国外に出て行くだろ? なまじ
   っか国内市場があると、外に出る気にならない。

真子:なるほど……

勝 :日本企業が「内弁慶」になるのはその理由もあると思ってる。
   だから国内市場が大きいことは良いこととは限らない。

真子:た、確かに……なんでも「ひっくり返せる」んだ! ね、勝さ
   んはどうやってそういう発想ができるようになったの?

勝 :「英語ディベート」で徹底的に鍛えたから。

真子:ディベートってそんなことやるの?

勝 :相手が出した主張を、そのまま「ひっくり返す」。「そんなこ
   としたら経済に悪い!」って相手に言われたら……どうする?

真子:え? どうするの?

勝 :「経済なんて悪くなった方がいい! 武器が買えなくなるから
   戦争にならない!」って「ひっくり返す」。

真子:うっわー、すっごい開き直りだ!

勝 :開き直りじゃないぞ。経済が悪いときよりいいときの方が戦争
   が起きやすい、なんていうデータだってあったからな。

真子:そ、そーなんだ!

勝 :そういうことを真剣に考えて調べるわけ。極端な話、人が死ぬ
   ことは本当に不幸なのか、とか。

真子:何でもひっくり返せるの?

勝 :大抵のものは、な。ちなみに英語は「Turnaround」
   だな。文字通り「ひっくり返す」わけ。

真子:へー、英語でもそういうんだ。

勝 :オレの顔は不細工だけど、それも考えようによっては幸せだぜ

真子:え? な、なんで?

勝 :だって、顔で人を選ぶような女性は、絶対にオレを選ばないか
   らな。オレの中身を見て、オレを選んでくれるわけだろ?

真子:な、なるほど……中身を見てくれる女性しか勝さんを選ばない
   のか……真子もそう、だ、か、ら、ね♪

勝 :だから、この「ひっくり返す」ワザを覚えると、人生が少しラ
   クになるな。

真子:そ、そーだね……悲しいときも、「これはいいことなんだ」っ
   って思えるかも……

勝 :ただ、オレの例で言えば、残念ながらオレを選んでくれる人は
   過去にあんまりいなかったけどな、あはははは。

真子:そっか……真子はカワイイからダメなのか……顔で選ぶ男の子
   しか真子を選んでくれない……うう、カワイイことは不幸だ!

勝 :オマエはホント幸せだわ……

「次は~○○駅~、どなた様も、お忘れものの無いよう……」

車内アナウンスが流れると、車内は多くの人が荷物を網棚から下ろし
て、降車する準備をしている。

「あ、あれ? いつの間にか、もう着いた?」
「え? うわあ!! か、片付けろ! は、早く降りるぞ!」
「やああ、ちょっとちょっと、荷物が網棚だよぉ!」
「オレだってそーだよ! 早く下ろせよ!」
「や、勝さんが出てくれないと、私が出られないよ!」
「ちょ、パソコンが落ちるだろーが! ちょっと待てよ!」
「あー、もうドアが開いてるよ!」
「何でオマエと来るときは、いっつもいっつもこうなんだよ!」
「えー、私だけのせーじゃないじゃん!」

「と、ともかく読者様に年末のご挨拶をだな……」
「あ、そ、そーだね。じゃ、せーの」

「良いお年を!!」

(次号に続きます!)

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◆1回目のまとめ
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●「強み」「弱み」は解釈次第。弱みを「ひっくり返す」ことで、強
 みに転化しよう!

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.271(累計1082) 2014/01/02

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 2回目のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●弱みを「ひっくり返す」と「強み」になる。色々な角度から考えて
 弱みをひっくり返して「強み」にしよう!

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◆売多真子と売多勝の年末は、売多家大集合!
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売多家一同が集まった、正月の温泉旅館。

元日の朝、久しぶりに集まった親戚同士、そこかしこで新年の挨拶が
取り交わされている。真子も、親戚一同と新年の挨拶を交わす。

「あ、おばさん、あけましておめでとうございまーす」
「あーら、真子ちゃん、おめでとう。ホントキレイになったわねー」
「いえいえー、ホントのこと、ありがとうございまーす」
「まだ独り身なんだってねー。おばさんが紹介してあげようか?」
「大変大きなお世話、ありがとうございまーす、遠慮しまーす」
「あらそーかい。愛しの勝ちゃんは、どーしたんだい?」
「そろそろ起きてくると思いまーす。昨日も大分遅くまで仕事してま
 したしぃ……」
「勝ちゃんは昔っから宵っ張りだったからねぇ……真子ちゃん、起こ
 して来ておあげ。昨日も一緒だったんだろ?」
「はーい。全くもう、勝さんは真子がいないとダメだなー」

ガラガラ、と戸が開き、いかにも今起きたばかり、という勝が登場。

「誰がオマエがいないとダメなんだよ……完全に逆だろうが。あ、お
 ばさん、あけましておめでとうございます……ふわあ」
「勝さん、遅い! もうお屠蘇ないよ!」
「今、部屋でエスプレッソ飲んできたからいらない」
「あー、自分だけ、ずるい! 真子も飲む!」
「後にしろ、後に。今は新年の挨拶の最中だろうが」
「こんなに遅く来て、何言ってんのよー」
「とにかく、読者の皆様にご挨拶だ。せーの」
「うん」

あけましておめでとうございます! 本年もよろしくお願いします!

真子:勝さんは朝ご飯、食べないんだよね? もう食べちゃったよ?

勝 :あー、いらねー。

真子:ね、じゃー、またあのカフェに行かない? 旅館の中にある、
   あの店。去年も行ったよね?

勝 :あ、そういえばあったな。アフォガートとかあったよな。

真子:そーそー。ね、いこーよぉ。

勝 :なんで元日の朝からオマエとコーヒー飲まなきゃいけないんだ

真子:だってコーヒー私も飲みたいんだもん。

勝 :じゃあ一人で行ってこいよ。

真子:えー……ねー、昨日の「弱みで勝つ」の続きやろーよー。ちゃ
   んと、ノートも持ってきてるからぁ……ほら。

勝 :あ、それか……しかし正月からまた真子と……神様、オレの日
   頃の行いそんなに悪かったでしょうか?

真子:きゃははは、日頃の行いがいいから、元日の朝からこんな美女
   と一緒にいられるんだよ。決まり、じゃあ行こう!

親戚:あらあら、毎年毎年、相変わらず2人で、ベタベタして……

勝 :そんな人聞きの悪い……コイツが勝手に……

真子:はーい、2人きりでベタベタしてきまーす!

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◆まずは前号の復習から!
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旅館のフロントの前の広大なカフェスペースの隅っこに陣取り、注文
をすませた真子と勝。

勝 :じゃあ、まずは前号の復習から。

真子:うん。まず、今やってるのは「弱みで勝つ!」

勝 :その前提となるのは?

真子:「絶対の強み」なんて存在しない。「騒がしい店」は騒ぎたい
   人にとっては「強み」、静かにしたい人には「弱み」になる!

勝 :そうだよな。まさに「あばたもえくぼ」ってヤツだな。

真子:それで、強みは「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」だか
   ら、お客様の「解釈」で強み・弱みは決まるんだよね。

勝 :そうそう。

真子:だから「弱み」を「ひっくり返す」ことで「強み」にできる。
   まさに「逆転の発想」だね。

勝 :例えば?

真子:例えば、勝さんは不細工だけど……

勝 :うるせーよ、不細工で悪かったな。

真子:勝さんが前号で自分で言ったんだよー。でも、勝さんの本当の
   良さをわかってる人しか勝さんを選ばない。

勝 :だからその意味では、オレが不細工なことは「強み」だな。

真子:ねー、負け惜しみじゃないの?

勝 :負け惜しみだとしても、そう思えば少しは気が休まるだろ?

真子:でもだいじょーぶ。真子は勝さんの良さをわかってるから♪

勝 :真子しか選択肢がないなら、「弱み」になるだろうが。

真子:サイコーじゃん♪

勝 :それはともかく、「ひっくり返す」解釈をすることで、弱みが
   強みになるわけだな。

真子:その「ひっくり返す」解釈がポイントだよね!

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◆弱みを強みに変える3ステップ
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勝 :じゃあ、あらためて「弱みを強みに変える」方法がこれ、な。

勝が真子のノートにさらさらと書いていく。

○弱みを強みに変える3ステップ

ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解釈」を探す
ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客に提案する

真子:うん。ステップ1)は、まずは「弱み」を羅列するんだよね?
   「弱みで勝つ」んだから。

勝 :「弱み」じゃないっつってんだろ。さっきの「騒がしい」も、
   単なる「事実」であって、強みでも弱みでも無い。

真子:あ、そっか。それが「強み」になる人も「弱み」になる人もい
   るのか。弱みに見られちゃうような「事実」ってことだね。

勝 :そうそう。ステップ2)が、その「騒がしい」ことが「強み」
   になるような「解釈」をする。「ひっくり返す」わけだ。

真子:それが「騒がしい」なら、「安心して騒げる」とか、だよね。

勝 :そう。それで、ステップ3)がそのひっくり返した「安心して
   騒げる」ことが「強み」になるようなお客様を探して提案する

真子:うまく「ひっくり返せ」てれば、ステップ3)は「強みが活き
   るお客様を探す」っていう、普通のプロセスだよね?

勝 :そうだな。「騒がしい」が強みになるようなお客様には、どん
   な人がいる?

真子:だから「騒ぎたい人」でしょ? 学生さんとか?

勝 :まだあるだろ。「騒ぎたい」というより、「騒ぐ人がいる」よ
   うなグループとか。

真子:あ!! 子連れ? 小さいお子さんがいる家族とか!!

勝 :そうそう。小さい子供が走り回ったり、突然泣き出す赤ちゃん
   がいる家族だと、静かな店だと行きづらいよな。

真子:なーるほどぉ。あ、じゃあじゃあこういうのは? あんまり人
   に聴かれたくない話をする人たち。

勝 :なんで? そういう人は個室とか借りるだろ?

真子:そうだけど、そこまでヒミツでもなくて、ちょっとしたビジネ
   スの話とか。静かなところだと、声が響いちゃうでしょ?

勝 :あ、なるほどな。騒がしいと、周りに聞こえないわけだな。そ
   れ、面白いな。

真子:そうそう。

勝 :まさにそうやって「ひっくり返す」わけだ。アイディア次第で
   いくらでも「強み」になりそうだろ?

真子:うん!

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◆「1店舗しかない」を「ひっくり返す」
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勝 :まずは「ステップ2)その「事実」が「強み」になるような
   「解釈」を探す」、つまり「ひっくり返す」方法から見ていく

真子:うん!

勝 :まずはこれから。読んでみろ。

勝がノートパソコンを真子に向けると、真子はモニタに見入る。

-----------< 記事引用 >------------

◇『インターネット通信販売では全国の名店や地域の特産物を使った
 鍋料理のお取り寄せが人気だ』『調査はネット通販「楽天市場」で
 昨年10月1日から12月27日に販売した鍋料理のセットを個数
 ベースでランキング作成した』

◇『1位は福岡で居酒屋「博多やきとり・もつ鍋 若杉」を展開する
 Skyward(福岡県粕屋町)の「博多牛もつ鍋(2~3人
 前)」(3750円)』『多いときで1日あたり400~500セ
 ットが売れる。楽天市場内でもつ鍋は1万点以上の商品があるが
 「博多牛もつ鍋」は2010年1年間を通じて最も購入された』

◇『一般的にネット通販ではカニなどの海鮮素材がはいった鍋料理が
 人気の上位を占める傾向がある。今回の「博多牛もつ鍋2~3人
 前」は福岡で一店舗しか運営しておらず、全国的な知名度はない店
 が首位をつかみ取ったかたちだ。高級海鮮素材に比べ手ごろな価格
 で、「福岡でしか食べられない味を家庭でも楽しめる」という点が
 かえって訴求点になったようだ』

2011/01/14, 日経MJ P.3

-----------< 記事引用 >------------

真子:なーるほどぉ。「福岡に1店舗しかない」っていうのは、「こ
   こでしか食べられない」って「ひっくり返せる」んだね。

勝 :そうそう。「少ない」っていうことは「希少価値」につながる
   んだよな。

真子:なるほど、「これしかない」じゃなくて、「これしかない」か
   らこそ、「希少価値」があるんだね。

勝 :そういうこと。例えば、ヒト・カネがなくて販路を広げられな
   い場合なんかがこれにあたる。

真子:「ここでしか買えない」ていう希少価値か……え、でも、じゃ
   あ、1店舗しかない店なんて、すっごい強みじゃん!

勝 :だからそうだって。「ない」とか「少ない」ことを嘆いてても
   しょうがない。それより、それを強みにすることを考えよう。

真子:そっかあ……

勝 :オレのコンサルもそうだぜ。戦略BASiCSを教えられるの
   は、今のところ世界で1人しかいないんだぞ?

真子:……そう言われると、勝さんがなんかすっごい人に聞こえてく
   るよね、実際はこんなオヤジなのにね、きゃははは。

勝 :オレは帰るぞ。じゃあな。

真子:あ、冗談です冗談ですぅ……あ、ほら、勝さんの頼んだアフォ
   ガートが来たよ、ね、ね?

店員が2人の注文したものを運んでくる。真子はエスプレッソ、勝は
アフォガートだ。

勝は「お、来た来た」と嬉しそうにアフォガートを受け取ると、早速
エスプレッソをバニラアイスにかける。

真子はその様子を見てほっ、と息をつくと、自分のエスプレッソを口
にした。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「不便なところにある」を「ひっくり返す」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃあ、次はこれな。「遠いところ、不便なところにある」は
   弱み、か??

真子:普通はもちろん弱みだけど……?

-----------< 記事引用 >------------

◇『昨年7月に開業した「海洋堂ホビー館四万十」だ。廃校の体育館
 を改装した内部には高さ10メートルの帆船や、精巧な動物の食玩
 (菓子のおまけ)など1万数千点が並ぶ。フィギュア製造で知られ
 る海洋堂(大阪府門真市)が四万十町の協力を得て開発し、グルー
 プ会社が運営する。初年度来館者は9万数千人と予想の3倍。東京
 や北海道に加えアジアや南米からの客も多い』

◇『館長で海洋堂創業者の宮脇修氏はかねてからホビー館の構想を温
 め、都市部で誘致話もあった。だが亡父の出身地の同町を訪ねた
 際、この廃校を案内された瞬間に「ここにつくる」と決めた』

◇『第1の理由は「『こんな場所にこんなモノが』という驚きが大
 切」という発想だ。元来、1964年に模型店として創業した海洋
 堂は、帆船模型を浮かべるプールやプラモデルの自動車を走らせる
 サーキットなど、意外性のある設備で注目され、飛躍につなげた経
 緯がある。大自然の真ん中に人工物の極致である模型の博物館とい
 うミスマッチの妙。アクセスの悪さも、逆に驚きを増す魅力と映っ
 た』

2012/07/08 日経MJ P.1

-----------< 記事引用 >------------

真子:こ、これどこにあるの? どうやって行くの?

勝 :東京から行くと……高知龍馬空港まで飛んで、高知駅から電車
   で1時間半の打井川駅について、そこからバスで10分だって

真子:ひゃー、と、遠いねー。でもだからこそ「こんな場所にこんな
   モノが」って思ってもらえるのか……

勝 :「アジアや南米」から来るとなると、東京とか大阪にあるより
   も、こういうところにある方が、有り難みが増すのかもな。

真子:う、そ、そーかも……

勝 :ちなみに、HPはこれ、な。

http://www.hobbykan.jp/index.php

真子:やー、「へんぴなミュージアム」とか書いてあるー! 不便な
   のをウリにしてるんだねー。

勝 :あとさ、記事には書いてないけど、土地とか維持費も相当安い
   はずだぜ。「廃校の体育館」だからな。

真子:あ! た、確かに! 東京でこれやろうとすると、結構お金が
   かかるだろうけど、ここなら……

勝 :だろ? あと、こういうのもあるぜ。

-----------< 記事引用 >------------

◇『石徹白(いとしろ)は人口約280人、65歳以上が45%超
 の、岐阜県郡上市にある小集落。古くから山岳信仰の拠点として知
 られている。ここの古民家に昨年移住した平野馨生里氏は5月、衣
 料、雑貨を扱う「石徹白洋品店」を開いた。月6回の営業日には最
 低3~4組の客が集落外から訪れる』

◇『平野氏は「大量生産・大量消費型の商品に満足できない人が実は
 多い」とみる。石徹白は不便な山奥にあるが、非大量生産を象徴
 し、同店のストーリー性を補強する土地でもある。ここに注目した
 ファンが目的買いに訪れ、インターネット上でも話題を呼びつつあ
 る』

2012/07/08 日経MJ P.7

-----------< 記事引用 >------------

真子:なるほど……「エコ」をウリにするような店が、都会のど真ん
   中にあるよりは、こういう場所にある方が、納得がいくね。

勝 :「山岳信仰」で知られてる場所なんて、パワースポットみたい
   だよな。

真子:あー、確かにぃ……自然のパワーが詰まってる、って感じがす
   るよねー。エコな服にはぴったりだ。

勝 :それに、そういうのが好きな人は、むしろこういう場所に行き
   たいのかも。

真子:不便だからこそ、の価値かあ……

勝 :そうそう。「不便」というのは、事実でしかない。不便だから
   こその価値、を「解釈」して作ればいいだけ。

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◆「成分調整牛乳」を「ひっくり返す」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :まだまだあるぜ。次はこれ。

-----------< 記事引用 >------------

◇『日経POS(販売時点情報管理)データで7月18日~8月14
 日の販売金額をもとに、同一商品で別コードなど重複を調整した上
 で上位10品目をまとめてランキングを集計した。牛乳のほか、原
 料となる生乳から乳脂肪分などを取り除いた「成分調整牛乳」や、
 脱脂粉乳などを加えて製造する「加工乳」を含めて「牛乳類」とし
 た』

◇『メーカー別シェアで首位となった森永乳業を支えるのが、
 2009年3月に投入した成分調整牛乳「まきばの空」だ。長期停
 滞が続く牛乳類市場で消費の掘り起こしを狙った戦略商品で、価格
 面の競争力だけでなく牛乳が持つ特徴を抑えて飲みやすさを追求』

◇『開発のきっかけは08~09年に相次いだ生乳価格の上昇』『そ
 こで、生乳から一定の乳脂肪分を取り除き、他商品の原料に転用す
 ることで生産コストや販売価格を抑えられる成分調整牛乳に着目し
 た』

◇『とはいえ、ブランド力があり固定客の多い牛乳と異なり、なじみ
 の薄い成分調整牛乳を売り込むには価格だけでは不十分。味やデザ
 インなど消費者を引き付ける付加価値が必要と考えた』

◇『同社の調査では牛乳について「健康的で安全」と考える消費者が
 多い一方、「後味が残る」「クセがある」との意見も目立った。そ
 こで、生乳を100%使用しつつ乳脂肪分を0・1%刻みで調整
 し、コクや味わいの最適なバランスを研究。最終的に2・5%に設
 定し、「牛乳のおいしさとすっきりした飲み口を両立させた」(ミ
 ルクマーケティンググループの長谷川久仁夫マネージャー)』

2011/09/02, 日経MJ P.3

-----------< 記事引用 >------------

真子:えっと「まきばの空」っていうのが、成分調整牛乳で……?

勝 :成分調整牛乳って、「無調整牛乳」より乳脂肪分が少ない、低
   価格の牛乳代替品って考えられるけど……

真子:あ、乳脂肪分が少ないから「飲みやすい」ってことか!

勝 :そうそう。このときのランキング1位が明治の「おいしい牛乳
   1リットル」で2位がこの「まきばの空 1リットル」*。

真子:へー、他の牛乳より売れてるってことだ!

勝 :数字はこうなってる

                 平均価格   金額シェア

1位 おいしい牛乳 1リットル 212.1円  9.6%

2位 まきばの空 1リットル  157.4円  7.9%

*2011/09/02, 日経MJ P.3

真子:あ、あれ? 本数としては「まきばの空」の方が多い?

勝 :よく気づいたじゃん。シェアは「金額」だから、飲まれてる容
   量としては、まきばの空が1位になるな。

真子:やっぱり「飲みやすい」からかなあ。

勝 :そうかもな。2013年10月にリニューアルされて、乳脂肪
   分は2.0%と、2.5%からさらに減ったみたいだぞ。

www.morinagamilk.co.jp/products/brand/makiba/
www.morinagamilk.co.jp/corporate/release/2013/0924_1671.html

真子:「よりすっきりとした味わいにリニューアル」って言ってるん
   だね!

勝 :そうだな。「コストを下げる」という意味合いがあるのかもし
   れないけど、より飲みやすくなったのなら価値が高まるな。

真子:なるほどねぇ……ホント何でも「ひっくり返せる」もんだねー

勝 :そうそう。「モノは考えよう」というか、知恵を出せば何でも
   ひっくり返せるもんだ。

勝が、残ったエスプレッソを1口飲むと、残りを全部バニラアイスに
かけた。

「ねー、勝さん、アイス1口ちょーだい!」

真子は言うが早いが、スプーンを勝のアイスに入れると、自分の口に
運ぶ。

「あ、こら、ダメだっつーの!」
「いーじゃん、もう1個頼もーよ。マコちゃんのお、ご、り♪」

「もう1個頼んでもいいが、腹減ってきた……って、もうお昼だな」
「あ、ホントだー。ね、ね、じゃあさ、初詣行こうよ!! その帰り
 に、どっかに寄らない?」
「よし、そうするか。じゃあ出るぞ」

勝は、残ったアイスとエスプレッソをまぜ、茶色の液体を作り出すと
一気に口に流し込み、幸せそうな笑みを浮かべた。

(次号に続きます!)

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◆2回目のまとめ
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●弱みを「ひっくり返す」と「強み」になる。色々な角度から考えて
 弱みをひっくり返して「強み」にする方法を考えよう!

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.272(累計1083) 2014/01/06

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 3回目のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「制約要因」は「強み」を作る源泉。「アレができない」と嘆くよ
 り、開き直って「知恵」を出そう!

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◆売多真子と売多勝の年末は、売多家大集合!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●ここまでのあらすじ

売多家一同は、毎年、年末年始は一族で集まるのがならわし。その集
まりに売多真子・勝も参加している。

今年は、昔ながらの温泉旅館で新年を迎えた。

年が明けた1月1日、真子と勝は初詣兼昼食に出かけ、初詣をすませ
た。

勝 :やっぱり1日の初詣は混んでたな……体が冷えた。

真子:ねーねー、勝さんは初詣で何をお願いしたの?

勝 :だから、初詣は神頼みじゃないっつってんだろ。初詣は「自分
   の目標を宣言する場」だぞ。実現するのはあくまで自分。

真子:そーだけどさー、だから、何を「宣言」したの?

勝 :そりゃ、BASiCSのさらなる普及だろ。

真子:それだけ?

勝 :他に何があるんだ? オレの戦略指標は知ってるだろ? 目標
   は絞るから実現されるんだぞ?

真子:そ、そーだけど、だ、だから、ほ、ほら、カワイイ女の子と、
   もっと仲良くなりたい、とか、な、ないの?

勝 :残念ながらそんなアテが無いからな。目標があまりに非現実的
   だと、神様どころか、自分の心が信じないんだよな。

真子:あ、アテなら、す、すぐそばにいるじゃん! すっごくカワイ
   イ女の子が……

勝 :望ちゃんとか恵利ちゃんとか? 実際すっごくカワイイけど、
   期待薄、だろ。だからアテが無いのと一緒だ。

真子:じゃ、じゃなくて……へー、でもそう思ってるんだ……。じゃ
   あ、まだ……ね、それで私が何を宣言したか、聞かないの?

勝 :そりゃ、わかってるからな。

真子:え、ええ!? そ、そっか……わかって言ってるんだ……

勝 :「そーれ・しちりあーの」の戦略指標の実現だろ? あれから
   何か変えたのか?

真子:え? もう……ふーんだ。

勝 :なんなんだよ、オマエから聞いといて。で、メシどこで食う?
   オレ、トンカツ食いたい。

真子:ま、またー? 昨日食べてたじゃん、トンカツ年越しソバ。

勝 :1年の終わりを「勝つ」で締めて、また1年を「勝つ」で始め
   るんだよ!

真子:あ、じゃあ、あそこのおソバやさんは? トンカツはわかんな
   いけど、カツ丼ならあるよ、きっと。

勝 :お、そーしよう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆まずは前号の復習から!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ソバ屋で、最後の空席を幸運にも確保し、一息ついて注文を終えると
すぐに勝がノートパソコンを開く。

勝 :ほら、時間もったいないから続き、続き。

真子:うん。復習からだよね。まずはこれから、かな。

真子がバッグからノートを出して開いた。

○弱みを強みに変える3ステップ

ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解釈」を探す
ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客に提案する

勝 :それはオレが書いたんだけどな。それで?

真子:「弱み」を「強み」に「ひっくり返す」やり方は、色々あるん
   だよね。

勝 :前号の例を、ちょっと今まとめてみろ。

真子:うん……こんな感じかな。

○福岡に1店舗しかない→ ここでしか食べられない希少価値

○不便なところにある → 「こんな場所に」という驚きがある
             「エコ」と相性が良い
             コストが安い

○成分調整牛乳    → 脂肪分が低く、すっきりして飲みやすい

勝 :そうそう。「成分調整牛乳」なんかは、「飲みやすい」だけじ
   ゃなくてさ、「ローファット」って呼ぶと……

真子:あ!! ダイエットにいい!

勝 :そうなんだよ。

真子:成分調整牛乳の方が安いことが多いのに、むしろ価値が高まる
   のかあ……「ひっくり返せる」もんだなあ……

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆制約要因を「絞り込み」としての「強み」にひっくり返す
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃあ、もっと見ていくぞ。まずはこれ。

勝が、テーブルの上でノートパソコンを真子に向ける。

-----------< 記事引用 >------------

◇『温水洗浄便座の先駆けで衛生陶器最大手のTOTOが、海外での
 存在感を着実に増している。中国では、巨大市場を狙い世界中から
 参入したライバル企業を退け、高級衛生陶器の販売シェアでトップ
 を獲得した』

◇『国内ではTOTOの衛生陶器はごく一般的な商品でそれほど高級
 感があるとはいえない。だが、中国ではTOTOの商品を使ってい
 るのは富裕層が多く、ステータスの高い高級ブランドとして定着し
 ている』

◇『同社が中国で高級ブランドを築き上げていった背景には、中国市
 場独特の事情があった。ライバルが少ない国内と違い、中国には
 100社以上の企業が参入していた。他社との差別化を図るために
 は、独自性を打ち出すことが不可欠だった。同社の安部壮一国際事
 業本部長は「他社よりも価格が高いこともあり、おのずと高級ブラ
 ンドとしてやっていくしかなかった」と話す』

◇『TOTOの衛生陶器を高級品として現地で認知してもらうために
 まず取り組んだのが、高機能のアピールだ。国内で最高級品に位置
 付けられる高付加価値製品をいち早く中国市場にも投入。高級感の
 あるショールームをつくり「高いけれども機能が優れていることを
 アピールした」(安部本部長)という』

◇『北京五輪のスタジアムや北京の空港など、現地で誰もが知ってい
 るような場所へも同社の最高級品を設置していった。ターゲットと
 する富裕層にアピールするため、五つ星ホテルや高級病院の要人用
 の個室などへの設置にも力を入れた』

◇『こうした戦略が奏功し、2000年代に入って以降は高級品市場
 のシェア首位を維持し続けている』

2013/08/16 日経MJ P.6

-----------< 記事引用 >------------

真子:へー、これ、ウォシュレットの話だよね? TOTOが「高級
   ブランド」なんだー。日本だと「フツー」って感じだけど……

勝 :そうそう。何でそうなった?

真子:えっと……低価格なメーカーが既に一杯あったから?

勝 :そういうことなんだろうな。現地メーカーだと、価格じゃ勝負
   にならないだろう。頑張っても、価格で勝つのはまずムリ。

真子:「安くできないんなら、高いなりに売ろう!」ってなったのか
   な?

勝 :オレもそう思う。価格が高いのは、もう「制約要因」として、
   しょうがない。だったら「高く売ろう」って開き直った。

真子:「制約要因」?

勝 :うん。変な話、「価格勝負をする」っていう手段があったら、
   TOTOは「高級ブランド」1本に絞れたと思うか?

真子:ううん。最悪「どっちつかず」になってたんじゃないかな?

勝 :オレもそう思うんだよ。この「制約要因」があったからこそ、
   「高く売る」っていう「絞り込み」ができたんじゃないかな。

真子:なーるほどねー。「制約があるからこそ、戦略の一貫性が取れ
   た」ってことかあ……

勝 :そうそう。だから「アレもできない、コレもできない」って嘆
   くんじゃ無くて……

真子:開き直って、「だったらこれに集中しよう!」って思えばいい
   んだね。

勝 :そうそう。口で言うのはカンタンだけど、これは結構難しい。

真子:わかる。文句言う人が絶対いるもんね。TOTO、偉いね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆電車の「ゆっくり」という制約要因を「強み」に
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :次行くぞ。次は、コレ。

-----------< 記事引用 >------------

◇『10月15日には、JR九州が仕掛ける日本初のクルーズトレイ
 ン「ななつ星 in九州」が“就航”する』『7両編成ながら客室
 数はわずか14。すべてがスイートルームだという』

◇『クルーズを標榜するだけあって、移動中も飽きることがない。ゆ
 ふいん料理研究会プロデュースの和洋食や、入手困難な地酒が、柿
 右衛門窯の器や薩摩切子のグラスで供される。ゲストの社交場とな
 るラウンジカーでは、ピアノの生演奏も楽しめる』

◇『極めつきがこの車両独自の設計で、水戸岡氏のアイデアにより、
 窓をベッドの高さに合わせて通常よりも低い位置に設置していると
 いう。車窓に流れゆく夜景や満天の星を横たわったまま眺める』

2013/04/01 日経MJ P.6

-----------< 記事引用 >------------

真子:あ、この「ななつ星」って、予約が取れないヤツだ! 私も、
   乗りたいなあ……

勝 :そうだよなあ……オレもすっげー乗りたい。で?

真子:これって、電車だから「ゆっくり移動する」っていうのを、強
   みにしたんだよね。飛行機より遅いけど……

勝 :そうそう、移動を楽しむんだよな。「遅い」のなら、それを楽
   しんでしまおう、と。で?

真子:で? って、まだあるの?

勝 :あるだろ。寝台車だぞ。

真子:あ、そっか。寝台車だから……あ! 夜空が見られる!!

勝 :そう。郊外を走るなら、お星様がキレイだろうな。都会だと、
   なかなか星は見えないけどな。

真子:それで、車窓が寝ながら見られるようにしてるんだ……何にも
   ないところを走るときにも、車窓からは星空が見える!

勝 :これも「制約要因」だよな。電車の移動速度とか、走る場所と
   か、寝台車っていうのは決まってるわけだから、変えられない

真子:うん、「変えられないとして、どうすれば価値を高められるの
   か」って考えたんだろうね。

勝 :そうだと思う。「決められた範囲でやるしかない」なら、その
   決められた範囲で、頑張る。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「制約」は「創造的発明」を促す
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:でもさー、やっぱり制約なんて無い方がいいんじゃないの?
   制約がないほうが、色んなことできそうだし。

勝 :そんなことないぞ。制約があった方が「創造的な発明」が増え
   るっていうデータもあるぜ。

真子:そ、そーなの?

勝 :前に売れたま!でもやった*けどな。

*2011/05/02 アイディア発想 前編:制約はアイディアを生む

真子:そーだっけ?

勝 :大体、自由に考えて、売れるアイディアがバンバン出るなら、
   倒産なんて起きないだろ。誰も苦労しねー。

真子:そ、そりゃそーだけど……

勝 :「部品も作るものも自由」より、「部品と作るものを指定」し
   た方が創造的な発明が2倍以上になるっていうデータもある。

*創造的認知 P.75(森北出版:Ronald A.Finke, Thomas B Ward,
and Steven M. Smith 小橋康章訳)

真子:な、なんで?

勝 :例えばさ、今「ご飯、何でもいいから作って」って言われて、
   何を作る?

真子:確かに、和洋中くらい指定してもらった方が作りやすい……

勝 :だろ? 制約があるからこそアイディアが出る。カネもそう。
   カネがあるとカネに頼るから、知恵が出ない

真子:あ! それはわかる! お金が無い方が、アタマを使って何と
   かしようって考える! ゲリラ的なことしてみたり……

勝 :そうだよな。だから、お金があることが「強み」だとは、あん
   まり思えないんだよな……お金がないから考えるわけで、さ。

真子:そっかあ……うちの会社、全然お金無いからなあ、きゃははは

勝 :だからこそ、あの手この手で色んなことやってくんだろうが。

真子:そーそー。そっかー、「制約は創造の母」なんだねー。

勝 :いいこと言った。「アレもできない、コレもできない」って嘆
   くんじゃなくて、その状況で「知恵」を出すわけだ。

真子:なるほどねー、「制約を活かす」ってことかー。

「ねー、勝さん、私もお金ないから……」
「だから「知恵」を出せって」
「お金を出してくれる人を見つければいいんだ! ね、勝さん?」
「金なら、オレも無いからな。他を探せよ」
「ウッソだー。稼いでるくせにー。ねー、高級フレンチとかつれてっ
 てよー」
「安い材料を使って、おいしく作るのが楽しいんだろうが」
「どうやって?」
「こないだ、スジ肉の煮込みとか作ったら、すげーうまかった。2日
 間煮込んだら、500円のスジ肉が、超ゴチソー。超感動」
「あー、そんな楽しそうなことやってんなら、真子も呼んでよー」
「恵利ちゃんがいたからなぁ……」
「え、な、なに、ちょ、ちょ、ちょっと、恵利と何してんのよ!」
「冗談だよ、恵利ちゃんがうちになんか来るはずねーだろ」
「……意地悪」

「お待たせしましたー」

愛想の良い従業員が、真子たちの食事を運んでくる。

「カツカレーの大盛りは、どちら様でしょうか?」
「あ、オレオレ」
「天ぷらうどんのお客様は……」
「あ、それもオレ」
「きゃはは、炭水化物ばっかりー。あ、カツ丼大盛りは私でーす」
「じゃあ、いっただきまーす。今年最初のご飯だな」
「カツばっかりで縁起がいーね。しかも美女とい、っ、しょ♪」
「無視。いっただきまーす」

(次号に続きます!)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆3回目のまとめ
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●「制約は創造の母」。制約要因に嘆くより、「知恵」を出そう!

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
 ~MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン~
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.273(累計1084) 2014/01/09

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 4回目のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「弱み」が「強み」になるような「使い方」を考えよう! その際
 には、他人の目をいれよう!

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◆売多真子と売多勝の年末は、売多家大集合!
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●ここまでのあらすじ

売多家一同は、毎年、年末年始は一族で集まるのがならわし。その集
まりに売多真子・勝も参加している。

今年は、昔ながらの温泉旅館で新年を迎えた。

年が明けた1月1日、真子と勝は初詣兼昼食に出かけ、初詣の後に、
ソバ屋に入った。

真子は、カツ丼大盛りを、勝はカツカレーと天ぷらうどんを注文。

「真子、カツ丼うまい?」
「うん! おソバ屋さんのカツ丼らしいカツ丼だよ。1口食べる?」
「いや、いい」
「じゃあ私は勝さんのカツカレーのカツもーらいっと……」

真子が勝のカツカレーのカツをつまむと、カレーにつけて頬張った。

「あれ? いつもみたいに怒らないの?」
「正月早々怒りたくない。1切れまでは計算のうちだった」
「へっへー、じゃあも1つ……」
「ダメだ、っつーの!」
「けちぃ……」
「だいたいオマエ、カツ丼食ってるだろうが」
「だって、ご飯だけ余りそうなんだもん」
「知るか、そんなの」
「じゃあ、こっちの天ぷらうどんの天ぷらちょーだい」
「やるわけねーだろ。天ぷらうどんに天ぷらなくてどうするよ」
「ちぇっ」
「ちぇっじゃねーよ……あーあ、失敗したなあ……」
「え? な、なな、なにが?」
「カツカレー、大盛りにすれば良かった……全然足りねー」
「なんだ、そんなことか……じゃあ、この後、ケーキ食べに行こ♪」
「そうするか……まあとりあえず、始めるぞ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆まずは前号の復習から!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:うん。復習からだよね。前号は、「制約は創造の母」っていう
   事例を見てきたよね。

勝 :そうだな。前号の事例をちょっとまとめてみろよ。

真子が「うん」と言って、ノートに書き出していく。

TOTOの中国での温水洗浄便座の展開

○制約要因
・中国では低価格の競合が多く、自社は高い価格になっているため、
 自社製品を高く売る必要があった

○制約要因を「強み」にひっくり返した
・高く売るために、「高級品」としてマーケティングを行った結果、
 「高級ブランド」として定着。

JR九州のななつ星in九州

○制約要因
・電車はゆっくり動く
・寝台車

○制約要因を「強み」にひっくり返した
・車窓から寝たまま星空が見えるようにして、夜寝る時間を楽しんで
 もらう

勝 :そうそう、そんな感じだな。

真子:だから、「制約は創造の母」。制約があったほうが、知恵を出
   せる、っていうことだよね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「強み」になるような「使い方」を考える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:ねーねー、勝さん、考え方としてはわかったけど……

勝 :わかったけど……? 具体的な考え方がわからない、ってか?

真子:な、何でわかっちゃうの?

勝 :顔にそう書いてあるから。

真子:ほ、ホント?

勝 :真子はわかりやすいからなあ……「弱みを強みに変える3ステ
   ップ」って、何だっけ?

真子:これだよね?

○弱みを強みに変える3ステップ

ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解釈」を探す
ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客に提案する

勝 :そうそう。ステップ1)は、まあできるよな。

真子:うん。ステップ2)の、「解釈」が難しいよー。

勝 :「強み」は、結局は「価値」「嬉しさ」だよな。「価値」は、
   何に現れる?

真子:「価値は使い方に現れる」だよね? 売多勝妄言集、だっけ。

勝 :名言集だ!! 「価値は使い方に現れる」。だから?

真子:だから……そうか、「強み」になるような「使い方」を考えれ
   ばいいんだ!!

勝 :そういうこと。例えば……

-----------< 記事引用 >------------

◇『川崎市の工場夜景ツアーが好調だ。夕暮れとともにバスや屋形船
 に乗り込んで京浜臨海部のコンビナート地帯を巡る小さな旅。参加
 者の7割は女性で週末は満席が続く』

◇『市は「かつての公害都市から観光都市へ」(阿部孝夫市長)を掲
 げ、05年に「かわさき観光振興プラン」をまとめた。東京都と横
 浜市に挟まれ、目ぼしい景勝地もないなかで、観光客を集めるには
 全国有数の工場群を生かすしかない』

◇『着目したのが夜景に美しさを見いだす「工場萌(も)え」現象。
 幻想的で荘厳な夜景をツアー化で多くの人に楽しんでもらおうと考
 えたが、料金が高くては女性客や家族連れをつかめない。飲食物は
 持ち込み可、価格も数千円に抑えたところ、爆発的な人気を集め
 た』

◇『地元の長八海運が運航する屋形船。「煙突から出ているのは水蒸
 気。有害な煙じゃありません」「工場が夜も動くのは電気料金が安
 いから」「白の照明は工場、オレンジは倉庫。明かりを見るだけで
 分かります」。ガイドの大矢一彦氏のうんちくが止まらない』

◇『学生プロモーターの存在も大きい。昨年10月、川崎にキャンパ
 スを置く専修大学や明治大学の学生ら12人が第2期「川崎産業観
 光学生プロモーター」に就いた。任期は1年。1期生はバスツアー
 での人気メニュー「工場夜景カレー」を考案。揚げパスタで煙突、
 生クリームで水蒸気を表現するなど話題を呼んだ』

2013/03/04 日経MJ P.4

-----------< 記事引用 >------------

真子:なるほどぉ……川崎市の工場見学ツアーか……

勝 :「かつての公害都市から観光都市へ」って、すげーコピーだな

真子:ホントだあ……「公害」を生み出した工場を、「観光」の目玉
   にしちゃうなんて、ホント「弱み」を「強み」にしたんだ!

勝 :だよな。工場も「使い方」を考えれば、「強み」になる。

真子:うん、屋形船から夜景見たら、きっとキレイだよね。

勝 :「煙突から出てるのは水蒸気。有害な煙じゃありません」って
   結構大事なポイントだな。

真子:うん、へー、そうなんだ、って感じだね。あれが「有害な煙」
   だったら、「公害都市」のまんまだもんね。

勝 :そういうこと。

真子:「工場夜景カレー」なんかも面白いね。食べてみたい!

勝 :そうやってどんどん膨らませていけば、立派な観光資源として
   の「使い方」ができるわけだ。

真子:「強みになるような使い方」を考える、って言われると、やり
   やすい感じがするね!

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◆毎日出ている「路線バス」
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勝 :そういう意味では、これもそう。「路線バス」を観光ツアーと
   して使う。

真子:え?

-----------< 記事引用 >------------

◇『九州産交バス(熊本市)が発売している路線バスを利用した日帰
 りバスツアーが好調だ。参加者が1人でも毎日催行され、前日夕方
 まで申し込み可能な手軽さが受け、多い月は利用者が1千人を超え
 るまでになった。コースの新設も容易で、路線バスの利用拡大に役
 立つとして注目を集めている』

◇『熊本県の人気観光地のひとつ、黒川温泉。熊本市を出発して大分
 県由布市へと向かう路線バスから昼前に降り立った観光客を温泉旅
 館の送迎車が迎える。旅館で食事や温泉を楽しみ、温泉街を散策し
 たあとは再び送迎車でバス停へ。路線バスに乗って夕方には熊本市
 へ帰り着く。天草や阿蘇山とならぶ人気コースのひとつだ』

◇『価格は1日コースが5900円、半日コースが3千円の均一設
 定。専用バスのツアーほど安くないが、個人で路線バスを乗り継ぐ
 などするより割安で現地バス停から観光地までの交通手段を手配す
 る必要もない』『利用者が休日に集中せず、平日にも分散している
 のが特徴だ』

2013/01/23 日経MJ P.13

-----------< 記事引用 >------------

真子:どういうこと?

勝 :普通に路線バスって走ってるだろ? それを使って例えば温泉
   旅館とかに行って、楽しんでくるパックみたい。HPはこれ↓

http://www.kyusanko.co.jp/daytrip/

真子:あ、なるほど~。貸し切りバスじゃなくて、普通に走ってるバ
   スを使ったパック旅行か。そりゃ、1人からでも行けるわけだ

勝 :そうそう。いずれにせよ毎日走ってるわけだからな。

真子:だから、行き先さえうまく確保できれば、コースもいっぱい作
   れるんだね。

勝 :雲仙とかの温泉旅館なんかに行くコースもあるみたいだけど、
   旅館にとっては集客になるから、協力するよな。

真子:私、旅行代理店にいたけど、それは盲点だったなあ……

勝 :バスはすごくゴージャスじゃないかもしれないけど、「毎日走
   ってる」という「事実」を「強み」にした「使い方」だよな。

真子:うん、アタマいーね。バスのうまい「用途提案」にもなってる
   よね。「こんなところに行けるんだ!」みたいな。

勝 :そうだよな。黒川温泉まで、普通のバスで行けるんだよな。

真子:うん。ねー、勝さん、行こうよ、温泉!

勝 :は? オマエ今、どこにいると思ってるんだ。

真子:あ、そっか、温泉地にいるんだ、きゃははは。やっだー、マコ
   ちゃん、今勝さんと2人で温泉に来てるんだ-。

勝 :それ、事実の「解釈」じゃなくて「歪曲」だからな。

真子:一緒に来てるのは事実だもーん。

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◆「何にもない場所」に何がある?
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勝 :観光の例ばっかりだけどさ、ニュージーランドに、テカポ、っ
   ていう場所あるんだよ。南島の真ん中のあたり。

真子:へー、そこには何があるの?

勝 :何にもない。

真子:へ?

勝 :でも、素晴らしいものが見える。

真子:何言ってるのかさっぱりわかりませーん。

勝 :「何も無いからこそ、見える」ものはなーんだ?

真子:そんな「星の王子様」みたいなこと言わないでくださーい。
   うーんと……自然、とか?

勝 :まあそうなんだけど、「星空」な。

真子:なるほど!! 何にもないから、星空がキレイなんだ! 周り
   に明かりがないから!

勝 :そういうこと。世界自然星空遺産(World Heritage Starlight
   Reserve)を目指してるらしいぜ。

真子:へー、そんなのあるんだ! 聞いたことないけどなあ……

勝 :だからまだ無いんだろ。目指してるところ。でも、星空観光ツ
   アーとかは人気みたいだぜ。

真子:なるほどねー。何にもないことが「強み」なのかぁ……

勝 :違う、「強み」に「した」んだ。こういうのって、そこに住ん
   でる人には気づかない。毎日見てる当たり前の風景。

真子:でも、その星空って、私たちが行ったら、きっと感動しちゃう
   よね。

勝 :そうそう。渋谷のスクランブル交差点ってさ、外国人観光客が
   よくビデオ撮ってるんだよな。

真子:あ、撮ってる撮ってる! きっと、あんな風景が珍しいんだよ
   ね、きっと。私たちには当たり前の風景でも。

勝 :そうそう。オレが毎週のように行ってるラーメン屋、一蘭でも
   アジア人観光客がよく記念写真撮ってるわ。

真子:私たちには「何もない」と思っても、「すごい」と思う人がい
   るってことか……

勝 :その意味では「ひっくり返す考え方」をする際には、「他人の
   目を入れる」ってことも大事だな。

真子:じゃあ、うちの会社がやる際には、勝さんに入ってもらおうっ
   と。

勝 :オマエは自分でやれよ。

2人は、少し残っていた食べ物を一気に口に入れた。

「ふう……食ったなあ……」
「ごちそうさまぁ!」

二人は何かに祈るように、同時に手を合わせる。

「何か、ハラ減ったよなあ……」
「何言ってんの、この人? 今、カレーとうどん食べたじゃん」
「なまじっか食うと、ハラ減るんだよな」
「きゃははは、なまじっかじゃないじゃん、2人分じゃん」
「あのな、食う量なんて、多分に相対的なんだよ!」
「何が相対的、よ。絶対的に大食いじゃん。次はソバでも頼みなよ」
「そんなに同じものばっか食えねーよ。大食い番組見てて、何がすご
 いって、よくあんなに同じもの食えるよな、って……」
「あ、それわかる。じゃあ違うモノ食べよう! ケーキケーキ!」
「そうするか……コーヒー飲みたいしな」
「うん、じゃあカフェに行ってケーキ食べよう!」

2人は、お茶を少し口に含むと、荷物を片付け、再び風が吹きすさぶ
通りへと出て行った。

(次号に続きます!)

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◆4回目のまとめ
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●「強み」は、競合との「嬉しさの差」。「嬉しさの差」が、「お客
 様が競合ではなく自社を選ぶ理由」=「強み」となる!

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.274(累計1085) 2014/01/13

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 5回目のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●弱みを強みにするには、「開き直ってネタにする」という遊び心を
 持とう!

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◆売多真子と売多勝の年末は、売多家大集合!
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●ここまでのあらすじ

売多家一同は、毎年、年末年始は一族で集まるのがならわし。その集
まりに売多真子・勝も参加している。

今年は、昔ながらの温泉旅館で新年を迎えた。

年が明けた1月1日、真子と勝は初詣兼昼食に出かけ、初詣の後に昼
食をすませ、カフェへと向かう。

「うわ、風強いなあ……ほら、くっつくなっつーの」
「いーじゃん、寒いんだからくっついた方が合理的だよ」
「歩きづれーよ。確か、ここらへんにカフェあったよな……」
「あ、ここだここ。勝さん、入ろ、入ろ」

賑わう正月のカフェ。席を確保した後で、ケーキとドリンクをカウン
ターで受け取る。

「勝さん、席あって良かったねー」
「結構混んでるよな」
「今空いてるくらいだったら、もうなくなってるよ、きゃははは」
「オマエ、身もふたもないな……実際そうだけどさ」

勝が自分のアイスコーヒーを一気に飲み干していく。

「ふう……食後のアイスコーヒーってなんでこんなにうまいんだ」
「ホントホント。わ、ケーキおいし」

真子がケーキを一口食べると、満面の笑みを浮かべた。

「じゃあ続き、だな」
「うん!」

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◆まずは前号の復習から!
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真子:じゃあ復習っと。前号は、「弱みを強みにひっくり返す」コツ
   として、強みになるような「使い方」を考える、ってやった。

勝 :例えば? いつもみたいに前号の事例をまとめてみろ。

真子が「うん」と言って、ノートに書き出していく。

○弱みが強みになるような「使い方」を考える

 川崎市の工場 → 工場夜景を楽しむ

 路線バス   → 1人からでも予約できる「日帰りバスツアー」

 ニュージーランドのテカポ → 何もない → 星空がキレイ

勝 :そうだな。で、何で「使い方」を考えるか、っていうと? ほ
   ら、売多勝名言集の……

真子:「価値は使い方に現れる」から! まあ、自分の発言を「名言
   集」とかって言っちゃう人に、ロクな人、いないよねー。

勝 :お、褒めてくれてありがと。アタマのネジが何本がぶっとんで
   ないと、大きなことはできないからな。

真子:うわ、すっごい開き直りだー、きゃははは。

勝 :これ、本気で言ってるぞ。弱みは強みだ、っつってんの。

真子:そっかあ……マコちゃんの弱みは、いい人過ぎることかあ……

勝 :イヤ、オマエのアタマのかなりネジも緩んでるから大丈夫だ。

真子:わ、褒めてくれてありがと。

勝 :そうそう、真子のアタマは働きが悪くて羨ましいよ。

真子:うっさいなー。

勝 :「弱みを強み」にひっくり返す際には、実際「開き直ってネタ
   にする」くらいの図太さがないとできないんだよな。

真子:私たちにぴったりだね。

勝 :オマエと一緒にすんなよ。オレは繊細なんだよ。

真子:きゃははは、何が「繊細」よ。

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◆開き直って「ネタ」にしよう! 「困りごと解決プロジェクト」
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勝 :「開き直ってネタにする」くらいのたくましさが実際必要。

真子:あ、「おしい! 広島県」とか?

勝 :それそれ。あと、島根県の「自虐カレンダー」とか。

真子:あ、「日本で47番目に有名な県」とかだよね。「最下位じゃ
   ん!」ってツッコみたくなる。

勝 :そういうこと。そこまで「開き直ってネタにする」くらいのこ
   とができると、本当に「強み」になるんだよな。

真子:恥ずかしがってちゃダメかあ……

勝 :やるんだったら本気でやる。まさにその「開き直ってネタにし
   た」のがこれ。

勝が、ケーキ皿の間を縫ってノートパソコンを真子に向ける。

-----------< 記事引用 >------------

◇『広島県の安芸太田町は人口約7200人、高齢化率約45%とい
 う山がちな過疎の町。そんな町が1人の強力な“触媒”の作用で活
 性化しつつある。安芸太田町観光協会の常務理事・事務局長の吉田
 秀政氏だ。2011年5月の就任以来、奇抜な観光振興策を次々打
 ち出してきた』

◇『「女子大生が猿被害を防ぎます」。同観光協会は昨年12月、安
 田女子大学(広島市)と協定を結び、こんな企画を実施した。猿の
 エサになるユズの収穫に学生の力を借り、猿による被害を未然に防
 ぐ。過疎化に伴う町民の悩みのタネを観光や交流の目玉にする「困
 りごと解決プロジェクト」の一例である。34人の女子大生が参加
 し、作業を通じて地元住民と交流しながら、数十年後の日本を先取
 りした少子高齢化社会を実体験した。旅行代金兼授業料は1人
 2500円。地元にカネが落ちるだけでなく、若者との交流で住民
 が生き生きとする効果も狙った』

◇『昨年2月と今年1月に実施した「雪かき体験ツアー」や、11年
 夏の「三段峡滝つぼ清掃ツアー」も同様。前者では日本最南端の豪
 雪地帯であることもPRした。吉田氏は「どんなものにも光と影が
 ある。『マイナス』が実は『宝物』だったと、町民の皆さんに気づ
 いてほしかった」と話す』

2013/03/25 日経MJ P.4

-----------< 記事引用 >------------

真子:すごいねー、「猿被害」を観光のネタにしちゃうんだ!

勝 :「困りごと」を開き直ってネタにして、「一緒に解決しよう」
   ってすごいよな。

真子:うん。でも確かに、「猿被害」なんて都会じゃ見られるはずな
   いから、面白そう。

勝 :そうだよな。地元の人にとっては大変なことだけど、観光客か
   らすれば「面白いネタ」なんだよな。

真子:この「雪かき体験ツアー」だって、要は「雪かきを手伝え」っ
   てことでしょ? それ、観光にしちゃうんだー。

勝 :そうだよな。自分にとっては「困りごと」だけど、観光客にと
   っては「ここだけの体験」になるわけだ。

真子:「マイナスが実は宝物だった」なんて、まさに「弱みは強み」
   っていうのを自覚してらっしゃるんだね。

勝 :「トム・ソーヤーの冒険」のペンキ塗りの話って覚えてるか?

真子:あれ? 確か、ペンキ塗りをやらされてたけど、それを楽しく
   やってるように見せて、友達にやらせた話、だっけ?

勝 :そうそう。しかもお菓子とかと引き替えに友達に「塗らせてあ
   げた」んだよな。

真子:あ! なるほど、「困りごと解決プロジェクト」じゃん!

勝 :そうなんだよ。トム・ソーヤーはまさにこの「ひっくり返す」
   発想を使ったわけだ。

真子:うーん……真子の「困りごと」も誰かやってくれないかな……

勝 :ホントにな……今のところ全部オレのところにそれが来てるか
   らな……オレがオマエのためにペンキ塗ってるんだ。

真子:きゃははは、そっか、また勝さんに塗らせてあげるよ。嬉しい
   でしょ? 真子に協力できて。

勝 :ふざけんな。そんなこと言うならもう帰る。

真子:あ、ウソですウソですぅ……

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◆「日本一気持ち悪い水族館」
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勝 :こんなのもあるぜ。「日本一気持ち悪い水族館」

真子:え?

-----------< 記事引用 >------------

◇『「旅行の目的は深海生物。なんでこんな形を、とか気持ち悪い、
 とか、すべてが『初めて』な感じです」。沼津港深海水族館(静岡
 県沼津市)を友人と訪れた都内の会社員、守川由希子さん(29)
 はこう語る』

◇『2011年末に開業したこの水族館、目指したのは「日本一気持
 ち悪い水族館」(石垣幸二館長)だ。駿河湾を中心に、世界から集
 めた深海魚を展示する。開館当時は「年間7万入れば上出来」との
 声も出たが、ふたを開ければ初年度の来場者は24万人に達した。
 目玉は「生きた化石」と呼ばれるシーラカンスで、冷凍保存2体と
 はく製3体を目当てに海外からも客が訪れる。石垣館長は「未知の
 部分も多く、知的好奇心をかきたてられるのでは」と深海魚人気を
 分析する』

2013/07/17 日経MJ P.24

-----------< 記事引用 >------------

勝 :ちなみにHPはこれな。

http://www.numazu-deepsea.com/

真子:うわ……「イロカエルアンコウ」に「オオグソクムシ」……。
   確かに気持ち悪いね。

勝 :その意味で一貫性があるだろ。今更どこにでもある水族館作っ
   たって、誰も来ないよな。

真子:そりゃそーだよね……

勝 :でさ、「日本一美しい水族館」を競ったら、勝てると思うか?

真子:ううん。どこの水族館も狙ってるから……あ! そうか! 
   「美しさ」は勝ちにくい「戦場」なんだ!

勝 :そういうこと。「気持ち悪い」戦場、って、他に誰もいないん
   じゃないか?

真子:なるほど、あえて「勝ちやすいところ」を狙ったわけだ。

勝 :そうそう。「日本一気持ち悪い水族館」というのは、うまい
   「戦場の定義」だと思う。

真子:そっかー。あえて誰もやらないことだから、競合が少ないんだ

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◆「売れないランキング」
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勝 :まだあるぜ。「売れないランキング」

-----------< 記事引用 >------------

◇『良品計画子会社のIDEE(イデー、東京・豊島)は2009年
 7月、自社の通販サイトに風変わりな商品番付を追加した。その名
 も「売れない商品ランキング」だ。「自信を持って仕入れたもの
 の、これまでオンラインショップでは1~2個しか売れなかった」
 商品を、社員の一言を添えて紹介する』

◇『下位にランクインしたひょろ長い手足のぬいぐるみは「表情が愛
 らしく、スタッフのなかで人気」とフォロー。迫力あるゴリラを印
 刷したTシャツは「絶妙な色あわせで動物がとても丁寧に再現され
 ています」と自賛する。今や「売れない商品」の閲覧数は1日当た
 り約7000件。サイトの平均的な閲覧数の1・5倍ほどに跳ね上
 がった』

◇『「このままお買い上げいただけませんと、近い将来廃番や取り扱
 い中止の可能性も」という切実な訴えに、つい財布のヒモがゆるむ
 人も。たとえば本物の子豚から型を取った貯金箱(シルバー、
 3万6750円)は1月のランキング入りから約3カ月間で売り上
 げが4割増加。約6カ月後には下位10商品中9商品の購入数が伸
 び、「売れない」汚名を返上した』 

2010/09/29, 日経MJ P.3

-----------< 記事引用 >------------

真子:きゃはは、これもすっごい開き直りだねー。「そんなに売れな
   いのか」って逆に興味持っちゃう。

勝 :もはや悪ノリに近いけどな。

真子:うん、でも面白いよ。

勝 :あと逆に「自信がある」っていうのが伝わるよな。「全く売れ
   ませんが、商品に自信がある」って言われると。

真子:あ、そーだね。これ、うちでもやろうかな。「全く注文があり
   ませんが、おいしーです!」みたいの。

勝 :面白いと思うぜ。真子もやれば?

真子:え?

勝 :真子自身の自虐PR。「全く注文がありませんが、商品には自
   信があります! 誰も言ってくれませんがカワイイです!」

真子:きゃははは、そーだよねー……って、そんなことないもん!
   注文一杯あるもん! 断ってるだけだもーんだ。

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◆「悪ノリ」か「遊び心」か
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勝 :結局さ、「弱みを強みにしよう」っていうのは、そもそもムリ
   があることなわけじゃん?

真子:うわ、また開き直った。

勝 :違う違う。ムリがあることをやろうとしてるんだから、多少の
   「悪ノリ感」みたいのはしょうがない、ってこと。

真子:どういうこと?

勝 :っていうのはさ、こういう「開き直った」ことをやろうとする
   と、「不真面目だ。けしからん」っていう人が出てくる。

真子:あ、なるほど……そんなこと言ってたら何にもできない、って
   ことだ。

勝 :そうそう。人の中傷とかはもちろんダメだけど、「おしい! 
   広島県」とか島根県の「自虐カレンダー」とかは、全然アリ

真子:まあ確かに、そういう悪ノリ感があったほうが面白いよね

勝 :「悪ノリ」も「ひっくり返して」言えば、「遊びゴコロ」だか
   らな。モノは言いよう。

真子:きゃははは、確かにそうだ。

勝 :むしろ「悪ノリ」が、弱みを強みにするセオリーと言ってもい
   い。そもそも無茶をしようとしてるわけだからな。

真子:悪ノリできるくらいに開き直ろう、ってことか。

勝 :そういうこと。

「オマエが「私はキレイ」とかって言うのも「自虐ネタ」だろ?」
「ち、違うもん! 誰も言ってくれないだけだもん」
「誰も言わないってことは……なあ……」
「ひ、ひっどーい! そんなこと言う人からはケーキもらおっと」
「あ、人のケーキ食うなよ!」
「罰だもーん」
「オマエ、代わりのケーキ買って来いよ」
「意地悪な人には買ってあげない。真子ちゃんカワイイね、って言っ
 てくれたらいくらでも買ってあ、げ、る♪」
「そんな屈辱的なこと言うくらいなら自分で買うわ」

勝が立ち上がった

「な、なんでそんな意地っ張りなのよー。それくらい言ってくれても
 いいのにー」
「今度はなんにしよっかな。モンブランがいーかな」
「きゃははは、ケーキ選ぶときの勝さん、ホント幸せそうだよね」
「幸せだよなー、ホント」
「うん、真子といられて幸せ、って言ってくれたから買ってあげる」
「んなことひとっことも言ってねーだろ」

2人は2つめのケーキを買いに、大騒ぎしながらカフェのカウンター
へと向かった。

(次号に続きます!)

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◆5回目のまとめ
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●弱みを強みにするには、「開き直ってネタにする」という遊び心を
 持とう! 悪ノリするくらいに開き直ろう!

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.275(累計1086) 2014/01/16

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 6回目のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「弱み」も魅せ方次第で強みになる。強みになるような魅せ方を、
 色々と考えてみよう!

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◆売多真子と売多勝の年末は、売多家大集合!
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●ここまでのあらすじ

売多家一同は、毎年、年末年始は一族で集まるのがならわし。その集
まりに売多真子・勝も参加している。

今年は、昔ながらの温泉旅館で新年を迎えた。

年が明けた1月1日、真子と勝は初詣兼昼食に出かけ、初詣の後に昼
食をすませ、カフェへと向かった。

カフェでまったりと過ごしながら、レッスンは続く。

2人はカフェのカウンターで2つめのケーキをめいめい選び、飲み物
を注文すると、大騒ぎしながら席に戻る。

「ケーキってホントいくつでも食べられるよな……」
「ホントそーだねー、きゃははは」
「このケーキ1つのカロリー消費するのに30分走らないとな」
「えー、そんなにー?」
「そんなもんだな。ジョギングのペースなら1時間くらいかな」
「食べる前にそんなこと言わないでよー」
「走ればいいんだよ、走れば」
「意地悪。ね、ね、でも、頭使うと、カロリー使うんだよね?」
「そう言われてるけどな」
「じゃー、今パンクしそうなくらいアタマ使ってるから……」
「どうなんだろうな。確かにオレは食ってる割にはあんまり太らない
 けどな」
「ずるいなー。私、水飲んでも太るのに……」
「水だけ飲んでて太るわけねーだろ。そんなのノーベル賞だぜ。世界
 の貧困問題を解決するんだから。絶対どっかで食ってんだよ」
「っていうか、今食べてるよね、2つめのケーキ、きゃははは」
「まさにそういうことだろ」
「まー、お正月だからいーじゃん」
「それ、2月でも3月でも言うんだよな」
「そうそう、きゃははは」
「とにかく始めるぞ」

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◆まずは前号の復習から!
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真子:じゃあ復習からね。前号は「弱みを強みにひっくり返す」コツ
   として、「開き直ってネタにする」っていうのをやったよね。

勝 :どんな事例があるんだっけ? またまとめてみろよ。

真子:うん。

真子がノートにまとめている間に、勝は幸せそうにケーキをつまむ。

○開き直ってネタにする

広島県安芸太田町 「困りごと解決プロジェクト」
・猿の被害や雪かきなどの町の困りごとを観光資源にしてしまう

静岡県沼津港深海水族館 「日本一気持ち悪い水族館」
・深海魚などの「気持ち悪い」魚を展示 → 勝ちやすい「戦場」

IDEEの通販サイト 「売れないランキング」
・自信があるのに売れない商品を集めたサイト

勝 :OK、OK。

真子:勝さんも、よくこういうネタ、集めてくるねー。

勝 :結構あるもんだよな。でさ、こういうことをするのに大事な
   「心構え」っていうのはなんだっけ?

真子:「悪ノリ」!

勝 :そうだな。まあ言ってみれば「遊びゴコロ」だよな。もちろん
   社会に害悪を及ぼすようなのはダメだけど……

真子:あんまりマジメだと、落ち込んじゃうよね。笑い飛ばせるくら
   いじゃないと。

勝 :そうそう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「魅せ方」を変えてひっくり返す
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃあ、次の「ひっくり返す」コツな。「魅せ方を変える」こ
   とでひっくり返せる。

真子:見せ方?

勝 :魅せ方のみ、は、魅力の「み」。例えばさ……

-----------< 記事引用 >------------

◇『鹿児島県の桜島の火山灰を缶詰にした降灰体感缶詰「ハイ!どう
 ぞ!!」(100円)が売れている。2013年4~11月の販売
 個数は12年度の約2倍。桜島大正噴火から100周年を記念した
 シリアルナンバー入りのプレミアム缶と記念缶が13年5月に登場
 したことが大きい』

◇『「ハイ!どうぞ!!」は鹿児島県垂水市役所の屋上に積もった灰
 を市職員がボランティアでふるいにかけ、障害者支援施設が缶詰に
 している。市外からの来訪者のお土産や小学校の教材に使われた
 り、同市出身者の結婚式の引き出物に活用されたりすることもあ
 る』

◇『日常生活に影響する降灰を逆手にとった商品としてパッケージに
 もユーモアが盛りだくさん。原材料名は「桜島の降灰、垂水市民の
 苦悩」、使用期限は「皆様の興味が無くなるまで」といった具合
 だ』

2014/01/01 日経MJ P.15

◇『桜島の東に位置し、秋から冬にかけて風の影響で桜島の降灰に悩
 まされる垂水市。市役所の屋上に積もった灰をふるいに掛け、缶詰
 にした「ハイ!どうぞ!!」は、2010年の発売以降、これまで
 に1万7千缶以上を売り上げた』

◇『桜島の大正噴火(1914年)から来年で100年になるのを記
 念し、鹿児島県垂水市が、桜島の火山灰の缶詰「ハイ!どう
 ぞ!!」の特別版を販売、観光客らの人気を集めている』

◇『特別版は、1914個限定シリアルナンバー入りの「プレミアム
 灰缶」と、大正噴火100年のロゴを入れた「記念灰缶」。ラベル
 には噴火の写真を使い「いつもより丁寧に詰め込みました」とアピ
 ールしている』

2013/05/11 日本経済新聞 西部夕刊 社会面 P.20

-----------< 記事引用 >------------

真子:きゃーーははは、「ハイ!どうぞ!!」だってー! 灰だから
   ハイ、だ!! 勝さんみたいなオヤジギャグだー!

勝 :それくらいわかりやすい方がいいんだよ! ネタなんだから。
   ちなみに垂水市は、桜島と地続きみたいだな。

真子:え? 桜島って、島じゃないんだ!

勝 :島だけど、1914年の噴火で地続きになったらしい。

真子:へー、そーなんだ!

勝 :今年は1914年の桜島大正噴火から100年だから、百
   周年だって。HPはこれ↓な

www.city.tarumizu.lg.jp/kakuka/kankou/haikan/haikan.htm

真子:原材料名は「桜島の降灰、垂水市民の苦悩」かあ……。ホント
   弱みは強みだあ……

勝 :鹿児島は仕事で何回か行ったけどさ、新聞に「降灰予報」とか
   火山灰が流れる風向きとか載るらしいぜ。

真子:な、なんで?

勝 :灰が飛んでくると洗濯物が干せないから、らしい。気象庁も予
   報出してるぞ↓

www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/STOCK/kouhai/kouhai.html

真子:あ、ああー! ホントに「苦悩」が原材料だ……

勝 :パッケージがいちいち面白い。「内容量 ありがたくない、空
   からの恵み100cc」

真子:きゃーははは、そりゃそーだねー。ありがたくないよ……

勝 :「保存方法 好きな場所で保存してください」

真子:やー、投げやりだー!

勝 :プレミアム版は「いつもより丁寧に詰め込みました」。

真子:きゃははははは! ツッコミどころ、満載!!

勝 :行政がここまでやるの、マジですげーと思う。反対とかもあっ
   ただろうけど、よく押し切ったわ。ホントすげー。

真子:ホントだねー。どーせ「ネタ」なんだしね、きゃははは!

勝 :こういう「遊びゴコロ」は、必ず「けしからん」とか言う人が
   出てくるんだけど……

真子:そういう人をいかに説得するか、だよね。

勝 :そう。誰かに迷惑をかける場合はダメだけど、この缶は誰にも
   迷惑がかからないよな。

真子:そっか、許容範囲かどうかは、それが基準か……誰かに迷惑を
   かけないか……

勝 :うん。まさに「弱み」である「灰」を「缶」に入れて、お土産
   としてユーモアたっぷりの名前とかパッケージにして……

真子:「魅せ方」を変えてひっくり返した!! ネーミングもいいよ
   ね、「ハイ!どうぞ!!」なんて。

勝 :そういう、ユーモアのセンスっていうか、何が面白いかがわか
   る、っていうのは大事だよな。

真子:うん。「ネタ」にするわけだからね。

勝 :オレが桜島行ったとき、売ってなかったな。道の駅で売ってる
   みたいだけど。

真子:桜島、行ったんだ?

勝 :ああ、仕事の帰りに行った。でも、火山灰なんか手に入らない
   からな。これ、マジで欲しいんだけど。

真子:しかも100円!

勝 :で、ふざけてるようで結構マジメで「障害者支援施設」が作っ
   てるわけだから、社会の役にも立ってる

真子:そうかあ……2万個近く売ったわけだから、200万円だもん
   ね。しかも中身の原材料は空から降ってくるからタダ!

勝 :ホント知恵次第で何でもできるもんだよなあ……

真子:うん、あとは「開き直り」と「悪ノリ感」だねー。

勝 :ホントコレは「悪ノリ缶」だな。

真子:で、でたー……

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◆「弱みがひきたつ魅せ方」を考えよう!
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勝 :さらに開き直っていくとさ、もう「弱みがひきたつ魅せ方」を
   考えるくらいになっていく。

真子:え? どういうこと?

勝 :例えばこういうこと。「半顔メーク」。

-----------< 記事引用 >------------

◇『顔の半分だけお化粧を施し、残り半分は素顔、という不思議な写
 真を公開する女性が出現、「半顔メーク」女子として話題を呼んで
 いる』『「軽い気持ちで写真を撮ったら、気持ち悪かった。すごい
 反響に自分でも驚いてます」。半顔メークの“震源地”となったの
 は、タレントでブロガーの桃さん(28)。4月、自身のブログ
 で、顔の左半分だけ化粧した半顔メーク写真を公開、瞬く間にネッ
 ト上で広まった』

◇『「元がかわいかったら、半顔メークなんて面白くもなんともな
 い」。タレント活動もしながら、あえて「面白い」舞台裏を公開し
 たのは、女性たちに「努力すれば何とでもなる、とやる気と希望を
 持ってもらいたかった」から。実際、この日のブログには「勇気が
 わいた!」などのコメントが900件近く寄せられた』

◇『メーク理論や流行に詳しい資生堂ビューティートップスペシャリ
 スト、西島悦さんは「女性たちが男性ではなく、『自分』に目を向
 けるようになった結果では」とみる』

◇『同時に、女性の「変身願望」を満たし、表現できる点も大きい。
 結果が出るのに時間がかかるダイエットなどに比べ、化粧はすぐで
 きるうえ「顔立ちが平たんなアジア系女性はメーク映えし、化粧に
 よる変身効果が大きい」(西島さん)。半顔メークは変身前後が一
 瞬で分かるだけに、手応えもつかみやすい』

2013/05/08 日経MJ P.16

-----------< 記事引用 >------------

真子:あー、これ、私も見たことあるー! すごいよねー。

勝 :「あしゅら男爵」思い出したわ。マジンガーZの。

真子:な、なにそれ?

勝 :体の左半分が女性で、右半分が男性の、敵の幹部。顔も真ん中
   で真っ二つ。

真子:うわ、インパクトあるねー……って、半顔メークもそうか。

勝 :「元がかわいかったら、半顔メークなんて面白くもなんともな
   い」なんて、すごいわ。

真子:と言いつつも、この人、カワイイ感じの人だけど。

勝 :あ、そうなの?

真子:うん。でもすごい落差だよ。確かに「弱みがひきたつ魅せ方」
   って感じかも。

勝 :その「落差」をウリにしてるわけだからなあ……よく思いつい
   たよな。

真子:「顔立ちが平たんなアジア系女性はメーク映えし、化粧による
   変身効果が大きい」んだったら、化粧品メーカーと組めば……

勝 :あ、確かにな。メークの効果がぱっと見てわかるわけだしな。
   グローバル展開もやりやすくなるな。

真子:うん。日本のメーク技術を世界に発信できるね。

勝 :「顔立ちが平たん」なのは、単なる事実。

真子:そっか、モデルさんでも意外にそういう人、多いみたいだよ。
   そういう顔だと、メークが映えるんだって。

勝 :なるほど、キャンバスに絵が描きやすい、ってことか。

真子:やっぱり、「顔立ちが平たん」なのは、強みでも弱みでもない
   んだね……それをどう活かすか、か……

勝 :それを活かす「魅せ方」を考えれば、こういう「売り方」もで
   きるんだよな。

真子:それ、もうやってる化粧品会社もありそうだねー。

勝 :メークの威力がぱっと見てわかりやすいわけだからな。

ケーキを食べ終わった勝が、ケーキと一緒に買ったエスプレッソを飲
み干す。

「ふう……今何時だ?」
「え? えっと……わああ! もう夕ごはんだよ!」
「え? うわ! こんな時間か! 帰るぞ!」
「急ぐことないじゃん。まだ夕食には間に合うよ」
「間に合うけど、また「まーた1日中真子ちゃんと一緒だったのね」
 とか言われるからイヤなんだよ!」
「だって実際ずっと一緒だったじゃん」
「そうだけど、イヤなものはイヤだ」
「そんなの何を今さらだよー、もう観念しなよ」
「一体何を観念すんだよ。ほら、片付けろ」
「やだ、まだマコちゃんケーキ食べてるのにぃ」
「じゃあ早く食えよ」
「もう……せかさないでよー、ちゃんとノートまとめてるんだから」
「あーあ、今年も正月がこうやって終わっていくのか……」*

(ここでの時間は1月1日の夕方です)

「いーじゃん、毎年そうなんだから。いつもと変わらないお正月が、
 一番の幸せなんだよ」
「まあそうか……2人とも健康でいられることに感謝、だな」
「やっだー、マコといるのが一番の幸せだ、って言われちゃった♪」
「オマエが言ったんだろ」
「きっとこれからも毎年こうやってお正月を過ごすんだよ、私たち」
「その呪われた運命は何とか変える必要があるな」
「ムリムリ。ごちそーさまー。じゃあ行こう、勝さん」
「よし、デザートの後はご飯だな」
「毎年、お正月は食べてばっかりだねー」
「オマエはお正月だけじゃなくて、毎日だろ」
「ちがうもーんだ」

2人は急いで店を後にする。

「ありがとうございましたー」という、2人への店員の言葉が店に響
いたときには、2人はもう店を出て小走りで歩き出していた。

(次号に続きます!)

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◆6回目のまとめ
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●「弱み」も魅せ方次第で強みになる。いっそ、「弱みがひきたつ魅
 せ方」まで開き直ってみよう!

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.276(累計1087) 2014/01/20

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 7回目のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「弱み」を「強み」と考えてくれそうな「顧客」を探し、「強み」
 として提案しよう!

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◆売多真子と売多勝の年末は、売多家大集合!
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●ここまでのあらすじ

売多家一同は、毎年、年末年始は一族で集まるのがならわし。その集
まりに売多真子・勝も参加している。

今年は、昔ながらの温泉旅館で新年を迎えた。

年が明けた1月1日、真子と勝は初詣兼昼食、カフェ、と出かけ、そ
の間もレッスンは続いた。

2人は夕方も過ぎた頃に宿に戻ると、まさに夕食が始まらんとするタ
イミングだった。

「たっだいまでーす」
「あら、真子ちゃん、お帰り。勝ちゃんも。ちょうどご飯だよ。2人
 とも嗅覚いいねぇ。昔っから2人とも食い意地はってたからねぇ」
「……コイツと一緒にされるとすっげー心外なんですけど」
「何よー、マコちゃんと一緒で光栄に思ってよ」
「いーからお座り。2人はまた一緒がいいんだろ? ほら、そこに」
「いや、オレは別の席の方が……あ、ほら、あっちに空席が」
「だーめ、せっかく席があるんだからここに座るの、ほら、勝さん」
「何でここまできてオマエと……」
「時間もったいないから、さっきの続きしようよ。食べながら。ほら
 鍋の下の燃料に火を……」

真子が手際よく2人の鍋の固形燃料に火を付ける。

「まあとにかく食うか。いっただきまーす」

目の前に並ぶそれなりに豪華な料理をぱくつく2人。

「ねー、ケーキの後のご飯っておいしーねー」
「何言ってんだ、オマエ」
「だってそーじゃん」
「違う。あのケーキは昼飯のデザートだろ。これは夕飯だ」
「きゃーははは、だから違う食事なんだ! すごい理屈だー」
「理屈じゃ無くて実際そうだろ」
「まーいーけどさ。あ、勝さん、ご飯お代わりは?」
「お、頼む」

真子がいそいそと勝の茶碗にご飯を盛る。

「はい、大盛りにしといてあげたからね」
「お、ありがと。じゃあご希望通り食いながら続きをするか……」
「はーい」

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◆まずは前号の復習から!
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真子:じゃあ復習だね。今は「弱みを強みにひっくり返す」コツをや
   っていて、前号は「魅せ方」でひっくり返すのをやったんだ。

勝 :例えば?

真子:例えば、桜島の火山灰を「缶詰」にして「ハイ!どうぞ!!」
   って名前をつけて売った鹿児島県垂水市。

勝 :この商品の「魅せ方」としての工夫は?

真子:んーとね、まずは「ただの火山灰」を「缶詰」にして、お土産
   として持って帰りやすくしたところ。

勝 :そうだよな。缶に入れることで一気に「お土産感」が高まるよ
   な。あとは?

真子:パッケージの魅せ方も「内容量 ありがたくない、空からの恵
   み100cc」とか、遊びゴコロ満載!

勝 :そうだな。

真子:もう1つは「半顔メーク」。メークの効果がわかりやすいよう
   な「魅せ方」にした。ある意味で「弱みを引き立たせた」よね

勝 :そういうこと。「弱み」をあえて強調するような「魅せ方」だ
   ったからこそ、面白かったんだろうな。

真子:うん!

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◆「弱みが強みになる顧客を探す」
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勝 :じゃあ次が最後の「弱みを強みにひっくり返すコツ」。真子、
   「弱みを強みに変える3ステップ」は?

真子:うん、これだよね。

真子がノートを勝に見せる。

○弱みを強みに変える3ステップ

ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解釈」を探す
ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客に提案する

勝 :ここまでは、ステップ2)をやってきたな。

真子:うん。どう弱みを強みに「ひっくり返すか」っていう解釈を考
   えるんだよね。

勝 :次はステップ3)。「弱みが強みになるような顧客」を探す。

真子:どういうこと?

勝 :当然、「弱み」だから、多くの人にとっては「弱み」なんだけ
   ど、人を選べばその「弱み」が「強み」になる、ってこと。

真子:人を選ぶって、た、例えば?

勝 :例えばこういうこと。

勝が、所狭しと料理が並ぶテーブルにノートパソコンを置くのを諦め
て、畳の上において真子に見せる。

-----------< 記事引用 >------------

◇『タイでいま、ちょっとした北海道ブームが起きている。日本政府
 観光局(JNTO)バンコク事務所の益田浩所長は「旅行先として
 日本の人気が高まる中でも、北海道の伸び率は最も高い」と証言す
 る』

◇『さらに昨年10月末に就航した新千歳―バンコクの直行便で火が
 付いた。運航するタイ国際航空は当初、搭乗客の5割を日本人、4
 割をタイ人、1割をタイ周辺国と見ていた。だが、円高修正も影響
 し、年明け以降の「搭乗客の約6割はタイ人」(同航空)だ』

◇『「こんな体験はタイじゃできない。家族連れや若者に絶対うけ
 る」。4月下旬でも一面雪景色の阿寒湖畔。雪上バナナボートやス
 ノーチューブに乗ったタイ人男女が笑顔ではしゃぐ。砕氷船にも乗
 船、「湖が凍るなんて見たことない」と目を丸くした』

◇『「タイ人は雪が大好き。4月だとそんなに寒くないのに雪遊びが
 楽しめるのはいいね。うまくPRすれば、札幌の雪まつりのように
 人気が出るよ」と反応は上々だ』

2013/05/10 日経MJ P.1

-----------< 記事引用 >------------

真子:へー、タイ人って雪が好きなんだ!

勝 :タイではまず雪なんか降らないだろうから、珍しいだろうな

真子:なるほど! タイでは「湖が凍るなんて見たことない」ってい
   うことになるんだ! だから珍しくって価値がある!

勝 :まあ、湖が凍るのはオレらにとっても珍しいけど、熱帯性気候
   の国からいらした人にとっては、すごいんだろうな、きっと。

真子:そっかあ……だからタイ人は雪が好きなんだ。私も好き! ボ
   ードできるし!

勝 :そりゃオレだってパウダースノー好きだよ。スキーするから。
   でも雪国に住む人にとっては、雪って「敵」だよな。

真子:そ、そーなの?

勝 :雪国の人は、「雪なんか見たくもない」って言う。雪かき大変
   だし、地面は凍って滑るし、家のドアは開かなくなるし……

真子:日常生活では不便しかないのか……

勝 :だから雪国に住む方にとっては雪は「敵」だけど……

真子:でも、「雪を見たことがない人」にとっては、価値がある!

勝 :そう。「弱みが強みになる顧客」を探せばいい。「不便」をも
   たらす「敵」は、熱帯の人にとってはとっても魅力的。

真子:「敵」も顧客を変えれば「味方」になるんだねー。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「小型だとプロには売れない」。それは弱みか?
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勝 :「売り先」つまり「お客様を変えてみる」っていうのは、弱み
   を強みにする上で、セオリーの1つ。これもそう。

-----------< 記事引用 >------------

◇『大人数でのパーティーやイベント向けに、生産者らが生クロマグ
 ロ(本マグロ)を1匹売りする動きが目立ってきた」

◇『松前さくら漁業協同組合(北海道松前町)はインターネット販売
 サイトを運営する「ほのぼの本舗」(兵庫県伊丹市)と提携。昨年
 秋から一般消費者向けにクロマグロの直接販売を始めた。サイズ
 は20~40人前にあたる1匹8~14キロ程度が中心』

◇『松前町では10~300キロまで様々なサイズのマグロが揚が
 る。一般的にプロの間では大型の方が引き合いが強い』。

2013/08/05 日経MJ P.14

-----------< 記事引用 >------------

真子:マグロまるごと一匹を売るんだ!

勝 :そうそう、ここでいうプロは飲食店とかだろうけど、そうじゃ
   なくて、一般消費者に売るわけだな。

真子:それを、パーティとかイベント向けに使う、っていうことだね

勝 :マグロの解体ショーをパーティとかでやれば、盛り上がるしな

真子:それがマグロの「弱み」なの?

勝 :「20~40人前にあたる1匹8~14キロ程度」は、マグロ
   としては小型。でも、プロには「大型の方が引き合いが強い」

真子:あ、なるほど、その小型なマグロは「プロ向け」には売りにく
   いから「弱み」なのか。

勝 :そう。100人前のマグロなんか、パーティで食い切れないか
   もしれないだろ? だから……

真子:そっか! プロ向けには「小型」は「弱み」でも、消費者の、
   パーティ向けには「小型」が「強み」になる!!

勝 :そういうこと。うまい「使い方」でもあり、うまい「顧客ター
   ゲット」を見つけた、ということでもあるな。

真子:なるほどねー。弱みを強みにするためには、お客様を変えてみ
   ろ、ってことかぁ。

勝 :正確に言えば、「弱みが強みとなるようなお客様を考える」っ
   ていうことだな。

真子:うん。

勝 :だから「弱みを強みに変える3ステップ」の「ステップ1)」
   は、「弱み」ではなく「事実」として「羅列」する

真子:この場合、「小型のマグロ」っていう「事実を羅列」するって
   ことだよね?

勝 :そうそう。それで、その「小型が強みになるお客様は誰か」っ
   て考えるわけ。「小型」が「弱み」とかいちいち分類しない。

真子:「弱み」って分類しても意味ないもんね。だからどうってこと
   もないし。

勝 :そういうこと。「弱み」ってレッテルを貼るとやる気がなくな
   るという害もあるしな。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「弱み」が弱みにならない「顧客」を探せ!
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勝 :あと、使うのが面倒とか、そういう「弱み」がある場合には、
   それが「面倒にならない人」とか「場合」を探してもいい。

真子:??

勝 :例えばさ……

-----------< 記事引用 >------------

◇『ライオンは戦略商品と位置付ける浴室用防カビ剤の販売促進で、
 引越社(名古屋市)と連携する。3月から4月にかけ引越社を利用
 して引っ越す客を対象に、最大2万個の防カビ剤を試供する。入居
 直後のきれいな浴室に防カビ剤を施してもらい、効果の実感やその
 後の購買、リピートにつなげる』

◇『「アリさんマークの引越社」を展開する引越社の利用客に配るの
 は、昨年9月に発売した浴室用防カビ剤「ルック おふろの防カビ
 くん煙剤」』『浴室の天井や換気扇の裏など隅々まで除菌成分の銀
 イオンの煙を充満させ、黒カビ発生の原因菌を取り除く。1~2カ
 月ごとに使うと、防カビ効果が高まってカビ取り掃除の手間が省け
 るようになるという』

◇『ただ防カビ剤は使う前にカビ取り掃除が必要で、試し買いの妨げ
 になっていたという。そこでカビ取り掃除が要らない引っ越し直後
 のきれいな浴室に着目。北海道を除く全国で引っ越しサービスが利
 用できる引越社の顧客に、防カビ剤を無料で配る。きれいな状態を
 保ちたい客の意識をくすぐり、まず入居後すぐに浴室に防カビ剤を
 使い、その後も定期的に使うように促す』

2013/03/04 日経MJ P.13

-----------< 記事引用 >------------

勝 :お風呂用の防カビ剤だな。使えば効果はあるんだけど、使う前
   には、風呂のカビ取りをしなきゃいけない。

真子:お風呂のお掃除って大変だよね……確かに、カビ取りしなきゃ
   いけないと思うと買いたくなくなるね。

勝 :だから、そのカビ取り掃除がいらない引越直後に使えば……

真子:なーるほどぉ! カビ取りをしなくていい! 

勝 :それで、その後カビが発生しなくなるわけだろ?

真子:アッタマいーねー。「引っ越した人」なら、「カビ取り掃除し
   なきゃいけない」っていう、「弱み」がなくなるんだ!

勝 :だから引越会社を通じて配ってもらうわけだ。

真子:確かにそれなら引越会社がぴったりのパートナーだね。引越す
   るお客様をたくさん抱えているわけだから!

勝 :そうそう、これ考えた人、ホント賢い。「掃除する」っていう
   障害をどうなくすか、誰ならいいか、よく考えたよな。

真子:でもこれ、弱みが「強み」にはなってないよね?

勝 :厳密には「弱みが強みになる」じゃなくて、「弱みが弱みにな
   らない」顧客を探したわけだけどな。
 
真子:「引越したばかりの人」っていう弱みにならない「顧客」をう
   まく探したね。

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◆弱みを強みにする顧客を探すためには「よそ者」の目を入れよう!
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勝 :じゃあ事例はこれで終えるとしよう。な、真子、「顧客を変え
   れば弱みが強みになる」っていうことの意味は?

真子:だから「顧客を変えれば弱みが強みになる」んでしょ?

勝 :だからそれはどういうことだ、って聞いてる。特に組織にとっ
   てそのことが持つ意味は?

真子:え? 組織にとって?

勝 :だからさ、同じ組織の人とか、既存顧客だけを見ていたら、
   「違う人にとっては弱みが強み」になることに気づかないだろ

真子:あ! そっか、「違う」人の視点を入れる必要があるんだ!

勝 :そうそう。地域興しなんかでも「ヨソ者、バカ者、ワカ者」の
   存在が必要ってよく言われるけど、これも同じだな。

真子:「ヨソ者」の視点があれば、弱みが強みになる、っていう発想
   がしやすくなるってこと?

勝 :そう。同質化した組織だとそれがやりにくいから、いかに「違
   う視点を持つ人」の意見を聞くか、っていうのが課題になる。

真子:私にとっては、勝さんが「ヨソ者」だね。うちの業界の人じゃ
   ないから、いーたい放題で言ってくれる。

勝 :オレもいい加減真子から解放されて、本当の「ヨソ者」になり
   たいけどな。

真子:そんなこと言わないの、感謝してるんだ、か、ら♪ それにこ
   んなカワイイ子と一緒にいられて嬉しいでしょ?

勝 :まあ、望ちゃんと一緒にいられるのは嬉しいけど。ともかく、
   同じ業界にいない人の意見をどう取り入れるか、だな。

真子:「お客様に聞け」っていういつもの勝さんの主張は?

勝 :既存顧客だと、今の「強み」を評価している人だから、ある意
   味「同じ業界にいる」人になっちゃう。発想が近すぎる。

真子:そっか。むしろ全く関係のない人がいいんだ。

勝 :そういうこと。できれば、色んな視点を持ってる人の意見を聞
   ければ、理想的。

真子:そんな人いるの? 勝さんとかはそうかもしれないけど……

勝 :探すのが難しければ、異業種の友人との飲み会とかでもいいん
   だぜ。テーマを決めて飲み会とかお茶会をする。

真子:なるほどねー。じゃあ、うちも同期会をうちの店でやればいい
   んだ。久々にやろっかなー。

勝 :それってみんな同い年の女の子?

真子:うん。なにー、勝さんも来たいの? カワイイ子いっぱいいる
   けど、ダーメ。

勝 :そんなこと言ってねーだろ。オマエの学生時代の女の子の友人
   なんて、それこそ「同質の集団」だろうが。

真子:あ……そーかぁ……確かに似たもの同士だなあ……

勝 :だから、例えば、この親戚一同をご招待するとか、だろうな。
   住んでるところ、食生活、年齢、バッラバラだろ。

真子:えー、イタリアンに来たことなさそうな人ばっかだよ?

勝 :だからいいんだろ。

真子:「真子ちゃん、こんな店じゃダメよ」とかお説教されそうだ…

勝 :オレを巻き込むなよ。「勝さんのアドバイスでそうしたので、
   勝さんにお説教してください」とかオマエ言いそうだからな。

真子:きゃーはははは、その手があったか。

勝 :ただ、ターゲット顧客じゃないから、どの意見を取り入れるか
   は考えないといけないけどな。そうじゃないと顧客像がブレる

真子:そーだね。

勝 :これで、「弱みを強みにひっくり返すコツ」は終わり!!

真子:えー、もー終わりなの!?

勝 :なんだ、お勉強は早く終わってほしいんじゃないのか?

真子:だって……これが終わっちゃうと……

勝 :終わっちゃうと?

真子:……ほ、ほら、弱みは強み、ってすっごく大事だから……

勝 :まーそういうことなら、いくらでもやってやるけどな。

「ふう……あらかた食ったな……」

いつの間にか、2人の前にたくさん並んでいた皿は、ほとんどが空に
なっていた。

「勝ちゃん、これじゃ足りないだろ? 今、残った料理を集めてあげ
 るよ。これは私たちにはちょっと多いからねぇ」
「あ……はい……余ってるなら食いますけど」
「きゃーははは、出た、いつもの残飯整理係だねー、勝さん」
「残飯とかいうな」

2人の前に、もう2人分くらいの食事が再び並ぶ。

「ほら、勝ちゃん、真子ちゃん、お食べ」
「はーい! ありがとうございまーす!」
「オマエまだ食うの?」
「うん! って勝さんに言われたくないよ」
「ダイエット中とか言ってなかったか?」
「お正月はいーの。それにアタマ使ってるからだいじょーぶ!」
「今はいいけど、夜にハラが減るんだよな。夕飯の時間が早いから」
「あ! おにぎりでも作っとこうか?」
「おにぎり?」
「うん。夜食にするの。具になりそうなおかずがいっぱいあるよ」
「それはいいアイディアだな。じゃあおひつのお代わりもらうか」
「うん! そこらへんのテーブルにご飯余ってるよ。もらってくる」

真子が元気よく立ち上がり、親戚一同の座るテーブルを回り始めた。

(次号に続きます!)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆7回目のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「弱み」を「強み」と考えてくれそうな「顧客」を探し、「強み」
 として提案しよう! ヨソ者の意見を取り入れよう!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.277(累計1088) 2014/01/23

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 8回目のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「弱み」を「強み」と考えられる「心構え」を持とう!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆売多真子と売多勝の年末は、売多家大集合!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●ここまでのあらすじ

売多家一同は、毎年、年末年始は一族で集まるのがならわし。その集
まりに売多真子・勝も参加している。

今年は、昔ながらの温泉旅館で新年を迎えた。

年が明けた1月1日、真子と勝は初詣兼昼食、カフェ、と出かけ、帰
ってきて夕食の間もレッスンは続いた。

夕食を終えた2人は、夜食用のおにぎりを、親戚一同が手つかずで残
したおかずとご飯を使って作り始める。

「やっだー、勝さんのおにぎり、おっきー、きゃははは」
「しかもさ、具が所々で違うから、1つで色んな味が楽しめる」
「きゃははは。ね、おにぎり、これだけあれば足りるかな?」
「夜食っていうか、完全にフルの食事だな……」
「こんなにたくさん、一体誰が食べるんだろーね」
「オマエだろ」
「勝さんじゃん」
「まあさすがにこれくらいでいっか。夜食だしな」
「うん。じゃあ、コンビニの袋におにぎり入れて……っと。うん」
「食材がまだあるな……もう1つ作って、今、試食しよう」
「それはいい考えだ。私も作ろうっと」

作ったばかりのおにぎりにかぶりつく2人

「あ、おいしーねー」
「うん、結構うまい。おにぎりで食べるのもいいな。真子、エライ」
「へっへー」
「じゃあ復習から、な」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆まずは前号の復習から!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:うん。「弱みを強みにひっくり返す」コツとして、前号は「弱
   みが強みになる顧客を探す」というのを見てきたんだよね。

勝 :例えば? まとめてみろよ。「顧客」と合わせて「使い方」も
   考えるように。

真子:あ、そっか。顧客が変われば使い方が変わるからか。

勝 :そういうこと。

真子が「うーんと……」と言いながらノートをまとめていく。「うん
できた!」と言うと、勝に見せた。

○弱みが強みになる顧客を探す

1)タイの北海道ブーム

弱み:寒くて雪が降ると色々不便

顧客:タイ人
使い方:観光

強み:南国のタイ人にとっては雪が珍しいから大好き、湖が凍ること
   も見たことがなく、新鮮な驚き

2)小さいマグロ

弱み:小さいマグロは、プロには人気があまり無い

顧客:一般消費者でパーティ・イベントをする人
使い方:マグロ解体ショー

強み:小さいから食べきれるし、価格も安い。解体もしやすい。

3)浴室の防カビ剤

弱み:防カビ剤を使う前に、お風呂のカビ取り掃除が必要で面倒

顧客:引っ越したばかりの顧客
使い方:引っ越したばかりなら浴室は掃除されている

強み:お風呂のカビ取り掃除は不要、すぐに使える

勝 :お、そうそう、よくまとまってる。

真子:「顧客」と「使い方」を変えるだけで、全然違う姿になっちゃ
   うんだね。

勝 :そうなんだよ、だから「弱み」とか言って嘆く必要は全然ない
   んだよな……っていう話をしないといけないな。

真子:?

勝 :「心構え」の話。だから、このシリーズ、もう終わると思った
   けど、まだかかるわ。

真子:きゃははは、やっぱりー。いくらでも伸ばしてい、い、よ。延
   長料金もむ、りょ、お♪

勝 :何の店だよ。だからとにかく、弱みだっつって嘆いていても、
   弱みは強みにならない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆心構え1:「冷徹な態度で事実を羅列する」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:嘆いていてもしょうがないもんね。

勝 :まさにそう。弱みを強みに「ひっくり返すやり方」については
   ここまで話して来たよな?

真子:うん。

勝 :その「やり方」同様に、ひっくり返す「心構え」も大事。

真子:「心構え」って?

勝 :「そんなのムリ」「誰も欲しがらない」「弱みばっかり」とか
   嘆いてばっかりだと、売れるもんも売れなくなる。

真子:あ、嘆いててもしょうがない、っていうことだ。

勝 :そう。

勝 :真子、「弱みを強みに変える3ステップ」は?

真子:うん、これだよね。

真子が勝にノートを見せる。

○弱みを強みに変える3ステップ

ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解釈」を探す
ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客に提案する

勝 :このステップそれぞれに必要な心構えがあるんだよな。

真子:そ、そーなんだ?

勝 :そう。まず『ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客
   観的に羅列する』で必要なのは「冷徹な態度」。

真子:あ、「客観的に羅列」するわけだから、淡々とやっていくんだ

勝 :うん。自分の弱みをえぐっていく痛さみたいなものはあるかも
   しれないけど、「弱みでは無く単なる事実」と割り切る。

真子:例えば、どんな感じ?

勝 :じゃー実際、真子でやってみようぜ。心の動きがわかるだろ。
   真子の弱みは何だ?

真子:ええ……「アタマがあんまり良くない」とか? イヤだなあ…

勝 :な、ちょっと痛いだろ。でも書く。オレだったら「不細工」と
   か、「外見的優位性なし」とか。

真子:なんだかなあ……

勝 :だから機械にでもなったつもりで「冷徹」にやる。「アタマが
   あんまり良くない」だと曖昧すぎるから、もっと具体化する。

真子:えー……「理解力がない」とか……「飲み込みが悪い」とか?

勝 :例えば、そういうこと。

真子:ねー、これって自分でやった方がいいの?

勝 :他人にやってもらってもいいけど、他人に「理解力がない」と
   か「飲み込みが遅い」って言われたらカチンと来ないか?

真子:勝さんいつも私に言ってんじゃん。

勝 :だからそのときにカチンと来ないか?

真子:カチンとは来ないよ。「コイツ、自分がアタマがいいと思って
   ムカツク」とかは思うけど、きゃははは。

勝 :オマエな……それを「カチンと来てる」っつーんだよ。まあ、
   何でも言い合える人とやるのはいいかもしれないな。

真子:その方が私はいいかも。落ち込まないし。

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◆心構え2:「開き直って、エネルギーに変える」
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勝 :次の『ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解
   釈」を探す』で必要なのは、「開き直り」

真子:きゃーははは、そーだね。「アタマが悪くて悪かったわね!」
   っていう開き直り!

勝 :そうそう。今までの事例から見ても……例えば、シリーズ2号
   目の「海洋堂ホビー館四万十」では、なんて言ってる?

真子が「ええっと……」と言いながら、ノートをめくっていく。
「あ、これか」

-----------< 記事引用 >------------

「『こんな場所にこんなモノが』という驚きが大切」

2012/07/08 日経MJ P.1

-----------< 記事引用 >------------

勝 :そうそう。こんな不便なところにある、っていう事実を理解し
   た上で、それを逆手に取ろう、って考えてるのがわかるよな。

真子:うん、「こんな場所」って、失礼だよね……

勝 :まあそうだよな。あと、シリーズ3号目のTOTOの中国での
   温水便座では?

真子:えっと……これか。

-----------< 記事引用 >------------

『同社の安部壮一国際事業本部長は「他社よりも価格が高いこともあ
り、おのずと高級ブランドとしてやっていくしかなかった」と話す』

2013/08/16 日経MJ P.6

-----------< 記事引用 >------------

真子:「やっていくしかない」って開き直ってるね。

勝 :そうそう。価格が高いのを投げていてもしょうがない、ってい
   う良い意味での開き直りが伺える。

真子:ねー、そういう弱みを「エネルギーに変える」ことができると
   いーねー。「何くそ」って、いう……

勝 :!! いいこと言うじゃねーか。まさにそうだよ。「ふざけん
   な、どうせダメで元々、やってやる」みたいな。

真子:うんうん、「失うものなんかない!」みたいな。

勝 :その意味では、追い詰められた方がそういうエネルギーが出て
   くるよな。

真子:あ、危機感があれば、ってこと?

勝 :そうそう。真子、「勝つ人」って誰だっけ?

真子:「一番勝ちたい人」!

勝 :そうだよな。一番勝ちたい人はさ、事実を羅列する痛みにも、
   開き直ってエネルギーに変えることもできるんだよな。

真子:あ……大事なのは「想いの強さ」ってこと?

勝 :そう。プライドだ何だ、なんて言ってるうちは、まだ開き直れ
   ないんだよな。

真子:そっか……プライドを捨てて勝ちに行くんだ……でもじゃあ、
   プライドの高い勝さん、ダメじゃん。

勝 :オレなんかは「負けることが最大の屈辱」だと思ってるから、
   勝つためならなりふり構わないぞ。プライドより勝利だ。

真子:妙なプライドだね……

勝 :ともかく、本当に勝ちたきゃ、開き直れるだろ。

真子:それはそうか……真子は、アタマが悪くっても、アタマがいい
   人に助けてもらえばいーんだもんね。

勝 :まさにそういうことなんだけどさ、オレを巻き込むなよ。

真子:やっだー、勝さん、「自分がアタマがいい」ってやっぱり思っ
   てるんだー。

勝 :そりゃ思ってるよ。少なくとも真子よりはいいだろ。

真子:あー、言っちゃったー。いっやみー。

勝 :ここで変に「いやいや、オレなんかすっごくバカで……」って
   いう方がよっぽどイヤミだろうが。

真子:あーやだ、どっちもイヤミだねぇ……あ! そうか、「アタマ
   が良くない」と、イヤミじゃない、っていう「強み」になる!

勝 :まあそう「開き直る」ことができれば大丈夫だ、あははは。

真子:それ、褒めてるんだよね?

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◆心構え3:「悪ノリ感」、しかし中傷はしない
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勝 :で、『ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客
   に提案する』ときは、「悪ノリ感」「遊びゴコロ」だな。

真子:あー、あのシリーズ6号目の「半顔メーク」なんかそーだね。

勝 :そうそう。「悪ノリして楽しんじゃえ」っていう態度が必要。

真子:半顔メークは、これだよね。

-----------< 記事引用 >------------

『「元がかわいかったら、半顔メークなんて面白くもなんともな
い」』

2013/05/08 日経MJ P.16

-----------< 記事引用 >------------

勝 :そう。開き直った上で、楽しんでしまおう、っていうのがホン
   ト、すごい。シリーズ5号の「売れないランキング」も同じ。

真子:あ、うんうん。「売れない」って開き直って、悪ノリしてる。

-----------< 記事引用 >------------

◇『良品計画子会社のIDEE(イデー、東京・豊島)は2009年
 7月、自社の通販サイトに風変わりな商品番付を追加した。その名
 も「売れない商品ランキング」だ。「自信を持って仕入れたもの
 の、これまでオンラインショップでは1~2個しか売れなかった」
 商品を、社員の一言を添えて紹介する』

◇『「このままお買い上げいただけませんと、近い将来廃番や取り扱
 い中止の可能性も」という切実な訴えに、つい財布のヒモがゆるむ
 人も』

2010/09/29, 日経MJ P.3

-----------< 記事引用 >------------

勝 :「売れない」のを楽しもうという開き直りと悪ノリ感がいい。
   その典型がシリーズ6号の桜島の灰缶、「ハイ!どうぞ!!」

真子:きゃーははは、そーだね-。ホント「悪ノリ感」だね。ツッコ
   ミどころ満載。

-----------< 記事引用 >------------

◇『原材料名は「桜島の降灰、垂水市民の苦悩」、使用期限は「皆様
 の興味が無くなるまで」』

2014/01/01 日経MJ P.15

◇『特別版は、1914個限定シリアルナンバー入りの「プレミアム
 灰缶」と、大正噴火100年のロゴを入れた「記念灰缶」。ラベル
 には噴火の写真を使い「いつもより丁寧に詰め込みました」とアピ
 ールしている』

2013/05/11 日本経済新聞 西部夕刊 社会面 P.20

-----------< 記事引用 >------------

勝 :これ、「けしからん、不謹慎だ」という声があるかもしれない
   けど、オレはそう思わない。

真子:なんで?

勝 :誰も中傷してないし、傷つけてないから。

真子:あ、確かに。桜島は怒るかもしれないけど……

勝 :人間は傷つけてないだろ? 逆に言えば、いくら「悪ノリ感」
   でも、誰かを中傷したり、差別するようなものはダメ。

真子:あー、傷つく人がいるのは良くないね……

勝 :そう。だから、そこは配慮が必要。気候なんかだと、誰も傷つ
   けないだろ。「日本一寒い!」とか、大変だけど……

真子:誰も中傷してないもんね。あれ? 半顔メークは?

勝 :半顔メークは、「傷つく人」がいるとすると「自分」だろ?
   自分がいいって言ってんだからいいんじゃないのか?

真子:そっか。自虐ネタはいいのか。

勝 :傷つくのが自分だけなら、な。他人の中傷はダメ。それは「自
   虐」ではない。

真子:「他虐」になっちゃうもんね。こうしてみると、結構、したた
   かさっていうか、しなやかさ、って大事だね。

勝 :そう。逆境でもそれを「冷徹」に分析して、「開き直った」う
   えで「悪ノリ」できる、「心の強さ」が大事。

真子:めげちゃったらダメってことかあ……

勝 :そう。「鉄の固さ」じゃなくて「竹のしなやかさ」が必要。す
   ごい逆風でも折れずに、後ろに流せるしなやかさ。

真子:あー、固いと折れちゃうけど、柔らかいとかえって折れないも
   んね。

勝 :そうそう。柔らかいからこそ、逆風でも折れない。まさに「弱
   みは強み」。

真子:ねーねー、真子はどーかなー?

勝 :オマエは向いてる。オマエの開き直りと、「何でも良いように
   解釈する厚かましさ」は見習いたいくらいだ。

真子:そーなの?

勝 :その自覚はないのか?

真子:ないよ。私、開き直ってもいないし、厚かましくもないよ?

勝 :すげーな……自然にやってるのか……そりゃタチが悪いな。

真子:勝さんこそ無いの? タカビーで厚かましいっていう自覚。

勝 :オマエと違って、オレはあるよ!

真子:自覚があるのにやってる方がタチ悪いじゃん、きゃははは!

勝 :……

「あ、あれ? ま、勝さん、見て、誰もいないよ?」
「え? ……あ、ホントだ。オレらだけだ。いつの間に……」

旅館の食堂は、従業員の片付けも終わり、いつの間にか2人だけが残
されていた。

「あ……もうこんな時間か……」
「ね、勝さん、このシリーズ、終わりに近いんだよね?」
「そうだな」
「終わりに近いなら、お風呂入ろうよ、お風呂」
「風呂と終わりとどういう関係があるんだよ」
「だって、お風呂の後に続きやっても、今日中に終わるでしょ?」
「あ、そういうことか。そうだな、終わると思う」
「だからさ、一旦お休みしようよ」
「そうだな、この場所も片付けるだろうからな。じゃそうするか」
「うん! わーい、お風呂だお風呂」
「じゃあ30分後に集合な」
「えー、30分じゃお風呂入れないよー」
「オマエの風呂、長すぎなんだよ」
「やっだー、真子と会うのが待ちきれないんだぁ!」
「時間が中途半端になるからだよ! じゃあ1時間後。遅れるなよ」
「はーい」

(次号、まとめ&最終回!)

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◆8回目のまとめ
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●「弱み」を「強み」と考えられる「心構え」を持とう! 逆風を受
 け流せる「竹のようなしなやかさ」を持とう!

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.278(累計1089) 2014/01/27

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 9回目のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「弱み」を「強み」に変えて、たくましく生きていこう!

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◆売多真子と売多勝の年末は、売多家大集合!
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●ここまでのあらすじ

売多家一同は、毎年、年末年始は一族で集まるのがならわし。その集
まりに売多真子・勝も参加している。

今年は、昔ながらの温泉旅館で新年を迎えた。

年が明けた1月1日、真子と勝は初詣兼昼食、カフェ、と出かけ、帰
ってきて夕食の間もレッスンは続いた。

夕食を終えた2人は、夜食用のおにぎりを作り、お風呂に入って、ロ
ビーに集合した。

「いいお風呂だったねー、勝さん」
「ホント、あったまったな」
「真子のお肌もぴ、ち、ぴ、ち♪」
「あーそーですか」
「何よー、ホントは見たいくせにー。ほら、見てよー」
「いーよ。それより、おにぎり持ってきてるよな?」
「うん、ここにあるよ。も、もう食べるの?」
「いや、まだだけどさ。まあオマエが食い物を忘れることはないか」
「きゃははは、そりゃそーだねー」
「じゃあ始めるぞ」
「はーい」

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◆まずは前号の復習から!
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勝 :じゃあ前号の復習を頼む。

真子:うん。前号でやったのは「弱みを強みにひっくり返す」ための
   「心構え」。いつもみたいにまとめてみるね。

勝 :おう。

○弱みを強みに変える3ステップ

ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解釈」を探す
ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客に提案する

○弱みを強みにひっくり返すための「心構え」

ステップごとの心構え

ステップ1)冷徹な態度で事実を羅列する

・弱みとされることを羅列していくと心が痛むが、機械になったつも
 りで淡々と羅列していく。

ステップ2)開き直って、エネルギーに変える

・開き直って事実を受け入れ、それを「強み」になるような解釈を探
 してそれを「何くそ、やってやる」というエネルギーに変える

ステップ3)「悪ノリ感」、しかし中傷はしない

・悪ノリ感、遊びゴコロを持って「弱みが強みになるような顧客」に
 強みとして提案する。自虐はいいが、他人の中傷はしない。

勝 :OK。じゃあラストの内容だな。

真子:うん!

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◆焼きうどん理論:のびた麺は「使い方」次第で強みになる!
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勝 :あのさ、こないだオレ「焼きうどん」作ったんだよ。しかも、
   乾麺から。

真子:うわ、そういうところマメだね。なんでわざわざ焼きうどんな
   の? 乾麺からだと、麺を煮て、も1回炒めるなんて超面倒!

勝 :そうだよな。前の晩にうどん作りすぎて、面倒だからつゆにい
   れたままほっておいたら、次の朝、超のびててさ。

真子:きゃははは、麺がスープを吸っちゃったんだね。

勝 :だからだよ。のびた麺食うのはイヤだし、どうしようかな、と
   思って……

真子:あ、それでそのまま炒めて焼きうどんにしたわけね。

勝 :そういうこと。焼きうどんなら、むしろ麺がのびてないとダメ
   だろ? コシのある麺で焼きうどん作ったら……

真子:堅過ぎちゃうね。それで、おいしかったの?

勝 :ああ。キャベツと肉を炒めて、その上にのびた麺を入れて、カ
   ツオ節かけるだけだからすぐできるぜ。うまかった。

真子:それがどうしたの? あ、真子に作ってくれるんだ!

勝 :まだわからないか? のびた麺だからこそ、焼きうどんが作り
   やすいんだぞ?

真子:え?

勝 :だから、乾麺から焼きうどんを作ろうと思ったら、茹でる工程
   が入って面倒だろ? のびた麺ならすぐできるだろ?

真子:そ、そりゃそうだけど……

勝 :だからさ、「のびた麺」は、「強み」か「弱み」か、ってこと
   だよ。普通は弱みだよな?

真子:あ! そうか! 「のびた麺」は普通は弱みだけど「使い方」
   次第で「強み」になるんだ!

勝 :そういうこと。弱みが強みになるような「使い方」を考える、
   っていうこと。

真子:そっかー、のびた麺も「使い方次第」かー。

勝 :これを「焼きうどん理論」と名付けよう。「弱みも使い方次第
   で強みになる」ことを意味する。

真子:きゃははは、「焼きうどん理論」って……もっとカッコイイ名
   前にしなよー。「弱み転換理論」とかさ。

勝 :そんなありきたりでつまんねー名前つけてどうするよ。

真子:だってー、「焼きうどん理論」なんて……せめてさー、のびた
   パスタとかにしたらー?

勝 :だから、カッコイイことが強みか弱みか、って話なんだよ!!
   このくらいだっせー名前の方がインパクトがあるだろ。

真子:「ださい」って自覚はあるんだね。まー、勝さんらしーよね。

勝 :「デキル主婦」っていうのはさ、こういう「弱みを強みに」み
   たいなことを無意識にやってるんだろうな。

真子:あー、残り物をうまく使って……とかね。

勝 :そうそう。冷たくなったご飯でも、「冷たい」という強みを活
   かした料理とかさ。チャーハンとか。

真子:やっだー、勝さん、真子のために「デキル主夫」してくれるん
   だー。

勝 :望ちゃんとか恵利ちゃんのためなら、主夫になってもいいけど
   なあ……私のこと、大切にしてく、れ、そ、う、あははは。

真子:な、何私のマネしてんのよ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆総まとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :よし、内容はこれで終わり。最後に総まとめに入ろう。

真子:はーい。

勝 :恵利ちゃんがいれば、もうまとめができてるんだけどなあ……

真子:そんなことないもん、真子だって頑張ってるもん。

勝 :お、そうなのか?

真子:うん。毎回の「復習」でまとめてあるじゃん。

勝 :そうか、じゃあ全部まとめてみろよ。

真子がノートをめくりつつ、ここまでの内容をまとめていく。真子が
「できた!」と言ってノートを勝に見せた。

●「弱みを強み」にするための基本的な考え方

○「弱み」がある、ということは、既にある種の競合との差別化がで
 きているということ。-の符号を+にできれば、強い強みになる

○あばたもえくぼ:絶対的な「強み」など存在しない。騒がしいこと
 は、騒ぎたい人・騒ぎたいTPOにおいては強みになる。

○人間万事最奥が馬:強み・弱みは解釈次第

○コインの裏表:弱みは「ひっくり返す」ことで強みになる

●弱みを強みに変える3ステップ

ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解釈」を探す
ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客に提案する

●弱みを強みに「ひっくり返す」事例

○1店舗しか無い → ここでしか買えない・食べられない
・「少ない」ことは希少価値につながる

○不便なところにある → こんなところに!という驚きにつながる

○成分調整牛乳 → 飲みやすさ

●「制約」は「創造的発明」を促す。「制約」を強みに転化する事例

TOTOの中国での温水洗浄便座の展開

○制約要因
・中国では低価格の競合が多く、自社は高い価格になっているため、
 自社製品を高く売る必要があった

○制約要因を「強み」にひっくり返した
・高く売るために、「高級品」としてマーケティングを行った結果、
 「高級ブランド」として定着。

JR九州のななつ星in九州

○制約要因
・電車はゆっくり動く
・寝台車

○制約要因を「強み」にひっくり返した
・車窓から寝たまま星空が見えるようにして、夜寝る時間を楽しんで
 もらう

●弱みが強みになるような解釈をするコツ

1)弱みが強みになるような「使い方」を考える

○川崎市の工場 → 工場夜景を楽しむ

○路線バス   → 1人からでも予約できる「日帰りバスツアー」

○ニュージーランドのテカポ → 何もない → 星空がキレイ

2)開き直ってネタにする

○広島県安芸太田町 「困りごと解決プロジェクト」
・猿の被害や雪かきなどの町の困りごとを観光資源にしてしまう

○静岡県沼津港深海水族館 「日本一気持ち悪い水族館」
・深海魚などの「気持ち悪い」魚を展示 → 勝ちやすい「戦場」

○IDEEの通販サイト 「売れないランキング」
・自信があるのに売れない商品を集めたサイト

3)「魅せ方」を変えてひっくり返す

○鹿児島県垂水市 桜島の火山灰を缶詰にした「ハイ!どうぞ!!」
・ただの火山灰を缶詰にし、遊びゴコロ満載のパッケージにした

○半顔メーク
・顔の半分だけメークした、メークの効果がわかりやすい「魅せ方」

●弱みが強みになる顧客を探す

1)タイの北海道ブーム

弱み:寒くて雪が降ると色々不便

顧客:タイ人
使い方:観光

強み:南国のタイ人にとっては雪が珍しいから大好き、湖が凍ること
   も見たことがなく、新鮮な驚き

2)小さいマグロ

弱み:小さいマグロは、プロには人気があまり無い

顧客:一般消費者でパーティ・イベントをする人
使い方:マグロ解体ショー

強み:小さいから食べきれるし、価格も安い。解体もしやすい。

3)浴室の防カビ剤

弱み:防カビ剤を使う前に、お風呂のカビ取り掃除が必要で面倒

顧客:引っ越したばかりの顧客
使い方:引っ越したばかりなら浴室は掃除されている

強み:お風呂のカビ取り掃除は不要、すぐに使える

●弱みを強みにひっくり返すための「心構え」

○弱みを強みに変える3ステップ

ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解釈」を探す
ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客に提案する

○各ステップごとの心構え

ステップ1)冷徹な態度で事実を羅列する

・弱みとされることを羅列していくと心が痛むが、機械になったつも
 りで淡々と羅列していく。

ステップ2)開き直って、エネルギーに変える

・開き直って事実を受け入れ、それを「強み」になるような解釈を探
 してそれを「何くそ、やってやる」というエネルギーに変える

ステップ3)「悪ノリ感」、しかし中傷はしない

・悪ノリ感、遊びゴコロを持って「弱みが強みになるような顧客」に
 強みとして提案する。自虐はいいが、他人の中傷はしない。

真子:ど、どう?

勝 :いいんじゃねーか。まあ毎回の復習をまとめただけだけどな

真子:違うもん、ちゃんと真子がまとめたところもあるもん。

勝 :まあいいよ、まとまってるから。

真子:でも、ここまで時間かけてやってきたことが、たったこれだけ
   にまとめられちゃうのかあ……なんか寂しいね。

勝 :違うだろ、ここまで時間かけてやってきたからこそ、この「ま
   とめ」を見ても意味がわかるんだろ。

真子:あ、そっか。知らない人がいきなりこれを見ても、わからない
   もんね。

勝 :そういうこと。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆SWOT分析厳禁!
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勝 :あ、あと言っておかなきゃいけないことがもう1つあった。

真子:何々?

勝 :SWOT分析ってあるよな?

真子:あ、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機
   会)、Threat(脅威)で環境分析する、ってアレ?

勝 :それそれ。

真子:これ、弱みを強みに、っていう発想だと、強みとか弱みとかっ
   て分けられないよね?

勝 :そう! 意味がないだけじゃなく、害が多いフレームワークな
   んだよな、これ。

真子:え? どんな害?

勝 :まず、強み弱みの分類があまりに「恣意的」なこと。強気な人
   がやると「強み」になり、弱気な人がやると「弱み」になる。

真子:あ、そりゃそうだね。私がやると「強み」ばっかりになりそう
   だね、きゃははは。

勝 :同様に、ある提案をつぶしたいときはカンタン。全ての要素を
   「弱み」と「脅威」にしてしまえばいい。

真子:きゃははは、そりゃそーだ。

勝 :それで、最大の害が「弱みばっかりだー」と思うと、やる気が
   なくなること。

真子:う……確かに……

勝 :よくSWOT分析は「戦略立案のためのツール」とか言われる
   けど、強み弱みは、戦略次第だろ?

真子:うん。お客様を選べば、弱みが「強み」になる、っていう例を
   見てきた!

勝 :だとするとさ、強み弱みは戦略次第で決まるのに、戦略を作る
   ときに強み弱み分析なんかできっこないよな?

真子:あ……ああ! そうだ! 戦略で強み弱みが決まるなら、戦略
   ができる前には、強み弱みは決まらない!

勝 :それがSWOT分析を戦略に使う際の致命的な自己矛盾。

真子:え、じゃ、じゃあどうすれば……?

勝 :だから、そもそも強み・弱みなんて分ける必要がない。真子、
   弱みを強みに変える3ステップは?

真子:これだよね。

○弱みを強みに変える3ステップ

ステップ1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
ステップ2)その「事実」が「強み」になるような「解釈」を探す
ステップ3)その「解釈」を受け入れていただける顧客に提案する

勝 :だからこれでやればいーじゃん。強み弱み、って分類しない。
   事実を羅列する。

真子:な、なるほど……分類しなければいーんだ。

勝 :そう。それで「強み」と「顧客」を考える。これこそ戦略の根
   幹。だからSWOT分析は不要。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆競合対策としての弱み分析はどうする?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:えー、でもさー、競合対策としての「弱み分析」はした方がい
   いんじゃないの?

勝 :お、いいこと言った。

真子:へっへー。で、どうするの?

勝 :真子、BASiCSにおける「S:強み」の定義は?

真子:「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」だよね。

勝 :そうだよな。同じロジックで、競合の「強み」は?

真子:えっと……「お客様が自社ではなく競合を選ぶ理由」かな?

勝 :そうだよな。ほら、「競合のBASiCS」を作れば、そこに
   おける「競合の強み」が「自社の弱み」になるだろ。

真子:あ……ホントだ。そっか、競合のBASiCSを作れば、自社
   の弱みがわかるのか。

勝 :そういうこと。だからあえて「弱み分析」はいらない。強みは
   「競合と比べて」だけど、「弱み」も同じ、競合と比べて。

真子:あ……そうか、「強み」も競合次第だけど、「弱み」も競合次
   第なんだ!

勝 :そう。競合も弱ければ、それは弱みではない。

真子:「弱み」も、競合と比べてみなとわからないんだ!

勝 :だから、それが「自社でなく競合を選ぶ理由」になっていれば
   「弱み」だし、ならないのであれば、弱みではないよな。

真子:うん!

勝 :もちろん「料理がまずい」なんていうのは飲食店としては致命
   的だけど……

真子:まあ、飲食店としては論外だよね。

勝 :そういうこと。それは「強み弱み」以前の問題だよな。

真子:そっか。だから「競合のBASiCS」を書いてみればいいん
   だね。

勝 :そういうこと。「競合の強み」が「自社の弱み」になっている
   はず。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「影」あるところに「光」あり。たくましく生きていこう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :な、真子、「光あるところに影あり」ってよく言うだろ? 華
   やかなものにも影がついて回る、っていうような意味で。

真子:あー、なんか小説やドラマでよく聞くね。

勝 :「弱みを強みに」する発想は、この逆なんだよな。「影あると
   ころに光あり」なんだよ。

真子:え?

勝 :だからさ、「影」を探せば、その反対側には必ず「光」がある
   わけだろ? 光がなければ影はできないんだから。

真子:あ!! なるほど、「影」から「光」を探していくのが「弱み
   を強み」にする発想なんだ!

勝 :そう。影があれば、必ず光がある。弱みがあれば、必ず強みが
   ある。

真子:そっかー。じゃあ、影があったら「反対側に光がある!」って
   喜ぶくらいじゃないといけないんだね。

勝 :そうそう。一番最初にもやったけど、「影がある」ってことは
   そこだけ周りから「際立っている」つまり差別化できている。

真子:あ……そうか、光か影かは、絶対値が+か-かの違いだけで…

勝 :それをうまく「ひっくり返して」やればいいだけ。差別化が難
   しいこの時代、「影」があることはむしろ有り難い。

真子:だから、影ばっかりでも嘆く必要はないんだよね。

勝 :だからむしろ「喜ぶ」くらいの肝っ玉が必要だよな。大抵の人
   間は影ばっかりだと、そこで落ち込んじゃうから。

真子:そっか、だから「心構え」も重要なのか。

勝 :そう、心構えの方が重要とすら言える。大体、経営の現場では
   実際は、弱みばっかりなんだよ。

真子:あー、開き直ったぁ!

勝 :だってそうだろ? 強みばっかりの会社なんてないぞ。いい会
   社、って言われてても、中に入ると結構大変なんだぜ。

真子:そ、そーなんだ……

勝 :そう。だから「弱みで勝つ」のは、「影ばっかり」の場所でも
   影の反対にある一筋の光を探していく「たくましい生き方」。

真子:そっか……「弱み」ばっかりでもめげない、へこたれない、っ
   てことか……生き方の問題、か……

勝 :大体、一見恵まれてるように見える人でも、何かしらのコンプ
   レックスって抱えてるもんだぜ。

真子:そ、そーなの?

勝 :すっげーキレイな芸能人でも、顔にコンプレックスを持ってた
   りするんだよな。だからこそキレイになろうと頑張るんだろ。

真子:な、なるほど……

勝 :だから、弱みばっかりだったとしても、嘆いていないで、その
   弱みを強みにすべく、たくましく生きていこう、ってことだ。

真子:たくましく生きていこう、か……真子も頑張ろうっと。

勝 :これでシリーズ終了! 読者の皆様、おつきあい、ありがとう
   ございました!

真子:はい、これからも真子たちをよろしくお願い申し上げます♪

2人:ありがとうございました!

「勝さんは、このたくましく生きていく心構え、ホントすごいよね」
「お、そ、そうか?
「だって、勝さん、いいところなんか全くない「影」ばっかりの人間
 なのに、こんなに立派に生きてこられて……きゃははは!」

勝がノートパソコンをバンと勢いよく閉じ、立ち上がる。

「もうオマエと二度と会うこともないな。オレは明日、1人で帰る」

早足で立ち去っていく勝を慌てて追いかけていく真子。

「え、あ、ちょ、ちょっと……」
「……」
「あ、う、ウソです、ウソですぅ……」
「……」
「勝さまあ、それは真子のことですから……」
「……」
「ねえ、勝さん、ったらぁ」
「うるさい、影ばかりの人間に話しかけるな」
「だから冗談ですってばあ……」
「……」
「影ばっかりならむしろ喜べ、って言ってたのにぃ……」
「影じゃなくてオマエのその態度にむかついてんだよ!」
「ね、ねえ、どこに向かってるの?」
「光ばっかりのオマエには関係ない」
「じゃあついて行こうっと」
「ダメだ、来るな。影が移るぞ」
「ダメだもーん、影があるところには必ず光があるんだもーん」
「……」
「ねえ、おにぎり持ってるの、私だよ?」
「……」
「あ、今、ぴくっとしたー、きゃははは」
「うるさい」
「じゃー、勝さんのお部屋に行って、一緒におにぎり食べよーよ」
「オマエは来るな、おにぎりだけよこせ」
「ダメだもーんだ。真子もモレなくついてくるんだもーん」
「来るなっつってんだろ」
「ねー、せっかくの2人きりの夜なんだから、機嫌なおしてよー」
「誰のせいだ。大体2人きりの夜でも何でもねーだろ」
「じゃー、おにぎりどこで食べる?」
「だからおにぎりだけよこせ、っつってんの」
「もー、意地っ張りだなー。じゃあ勝さんの部屋に行こう!」
「来るなっつってんの」
「わかった、じゃあついでにお菓子も持ってくるね!」

2人の正月は、これから始まる。

(ありがとうございました! これにてシリーズ完結です)

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◆9回目のまとめ
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●「弱み」を「強み」に変えて、たくましく生きていこう!

これでシリーズ完結です。お読みいただきありがとうございました!

私も「弱み」ばかりの人間です。

それでも、家族がいて、守るべき存在もいます。弱みばかりでも、勝
たなければいけないときがあります。

弱みばかりだからこそ、必死に弱みを強みにする方法を色々と考えて
きました。

お役に立てれば嬉しいです。