2011-09 新人OL、社長になって会社を立て直す 発売記念号

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.122 2011/09/12
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●戦略を分析する切り口は、やはりBASiCS!
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◆「新人OL、社長になって会社を立て直す」 発売!
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●新刊、「新人OL、社長になって会社を立て直す」 発売!

新刊「新人OL、社長になって会社を立て直す」が、8月末~9月ア
タマくらいには書店に並び始めました。

 新人OL、社長になって会社を立て直す 
 佐藤 義典 (著)  1,140円

 アマゾンはこちらです↓
 http://ow.ly/6s63d
早速ツイッターでも、

「新人OL、社長になって会社を立て直す」読了。2泊3日の出張で3
回読みましたけど、毎回気づきがありました。ありがとうございま
す。しばらく、自分の仕事のこととして内容を考えてから、また読ん
でみます」

というお声をいただきました。ありがとうございます!
新刊といっても、2009年の「売れる会社のすごい仕組み」のリニ
ューアル本になります。この本もお陰様でマーケティング本としては
かなりの売上となりました(ありがとうございます!)ので、お持ち
の読者さんも多いと思います……が、さらに多くの方にお届けするべ
く、今回のリニューアルと相成りました。

リニューアルのポイントは……真子のイラスト!(笑)

だけではなくて(笑)、色々な部分で細かな改善、とくに読みやすさ
の部分で改良を重ねました。詰め込みすぎの印象があった仕組み本の
流れを思い切って整理しています。
逆に、削った部分も相当あります。

ということで、「新人OL、社長になって会社を立て直す」の補足の
意味もこめて、ヒロインの売多真子、メンターの売多勝にご登場いた
だくことにいたしました。
特別ゲストは、松井恵利(まつい・えり)ちゃん。真子の大学時代の
同級生であり、CD「経営戦略虎の巻」の特典小説、「つぶれかけの
果物屋を再建せよ!」のヒロインです。売れたま!初登場。OL勤め
をやめ、現在は果物を主軸にしたM’sジューシーヘルシーの経営者
の1人として頑張っていますが、そのあたりは「つぶれかけの果物屋
を再建せよ!」に詳しいです。

 

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◆そーれ・しちりあーのに、結集!
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ある土曜日の昼下がり、売多真子、売多勝、松井恵利の3人が東京・
S区のイタリアンレストラン、「そーれ・しちりあーの」の1号店に
集合。そーれ・しちりあーの拡大の礎となった、真子が社長を勤める
店だ。

ドアがぎい、と開き、スタッフから「いらっしゃいませ!」と元気の
良い声が響く。
勝 :こんちはぁ。社長の売多真子さんに会いに……

真子:あ、勝さん!
スタッフが笑顔で「はい、あちらに……」と応じるのと同時に、テー
ブルで作業をしていた真子がバネ仕掛けの人形のように立ち上がり、
嬉しそうに駆け寄る。
勝 :お、真子、久しぶり!

真子:勝さん、いらっしゃい……って、何で恵利も一緒なのよ。
勝と一緒に入ってきた若い女性に真子が毒づいた。ストレートの美し
い黒髪がふわ、と肩越しにたなびく。
恵利:え? 私も呼んでくれてたんじゃないの?

真子:そ、そうだけど……何で2人で一緒に来るのよ……

勝 :恵利ちゃんとは、来る途中に渋谷駅で偶然一緒になったんだけ
   ど、どうかしたか?

真子:あ、そ、そうなんだ……たまたま、なのね。
真子がホッとしたように息を吐いた。
恵利:真子、私が勝さんと一緒に来ちゃダメなの? ホント真子はわ
   かりやすいんだから、もう……

真子:な、なな、何よ……

勝 :しかし、こんな時間だっていうのにお客さん入ってるなあ……
   いや、すげーよ。

真子:へっへぇ、すごいでしょ……って、ほとんど勝さんのお陰だけ
   どさ。

勝 :いや、実行した人が偉い。実際に行動に移せる人は、少ない。
3人がテーブルに着席しながら、会話を続ける。午後だというのに、
お客様は結構多い。
勝 :今って、ドピオドピオの時間帯だよな?

恵利:真子、それ何?

真子:え? 本読んでないの? もう……午後2時からのデザート優
   遇サービスね。お陰様で大好評♪ 今日もたっぷりあるよ!

恵利:あ、そうなんだ……
恵利が少し残念そうに肩を落とす。
真子:あ……恵利、もしかしてケーキ持ってきてくれたの?

恵利:うん……うちの店のフルーツケーキ持ってきたけど……そうよ
   ね、ここにもあるよね……

勝 :恵利ちゃん、オレ食うよ。真子、別に構わないだろ? ちゃん
   と注文はするからさ。

真子:あのねえ、この店の社長の前で、堂々とデザート持ち込みなん
   ていい度胸してるわねぇ……ダメに決まってるでしょ。

勝 :あれ、この店でも恵利ちゃんの店のフルーツケーキ売ってるん
   じゃないのか?

恵利:そうなんですけど、今日は新作を持ってきて……真子にも食べ
   てほしくって……

真子:新作なの!? そ、それを早く言ってよ。食べよう食べよう!

勝 :オレはドルチェならいくらでも入るからな。まあそれはいいと
   して、早速始めるか。

 

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◆戦略フレームワークの定番 5 Forces
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勝 :真子が、広岡社長に「戦略を考えろ」って言われて、最初にや
   ったことって何だっけ?

真子:あー懐かしいねえ……本屋入って、経営戦略の本買い漁った。
   マイケル・ポーターさんとか、バーニーさんとか。

勝 :よくそんな有名人にたどり着いたよな。その嗅覚はすげーよ。
   で、本読んでわかったのか?

真子:またイヤミな質問を……わかるはわかりますよ。5 Forces*だ
   とか、何だとか……

恵利:ちょ、ちょっと……ずるい、真子、それ何? 教えてよ。

真子:私が恵利に勉強教えるのなんて、初めてじゃない、きゃはは!

恵利:だ、だって……勝さんだってそんなの教えてくれなかったじゃ
   ないですか……

勝 :その理由は後で。ほら、真子。5 Forcesって何だ?

真子:えっとね……マイケル・ポーターさんっていう経営戦略の大家
   の人が30年くらい前に考えた手法でね……

真子の説明を恵利がサラサラとノートにまとめる

 5 Forces
 ・代替品の脅威
 ・参入障壁の高さ
 ・供給者の圧力
 ・顧客の圧力
 ・業界内競合

 の5つがその「業界」の収益性・魅力を決めるという分析手法。
恵利:ふーん、そうなんだあ……「業界」の収益性ってこうやって決
   まるんだあ……真子、すごいじゃん。

真子:でもねえ……勝さんに電話もらったとき、一番最初の質問に答
   えられなかったんだよねえ……

勝 :あれ? それ何だっけ?

真子:もう! 「ここでいう業界を定義してみろ」って勝さんが言っ
   たんじゃん! (P.39)

勝 :あ、そうそう。あの質問ってさ、本の中であの後ほったらかし
   になってたよな。

恵利:イタリアンレストランの「業界」なんてイタリアンレストラン
   じゃないんですか?

勝 :そうなの? 誰もイタリアンレストランが業界なんて言ってな
   いけど、イタリアンレストランの競合は何?

恵利:イタリアンか、フレンチってところですか……?

勝 :質問を変えるね。今、オレ達イタリアンレストランにいる。も
   しこの店が満席だったら、オレ達はどこに行く?

恵利:え? 例えばスタバとか……あ!! そうか! それが本当の
   競合なんだ! ってCDでもやりましたね……

勝 :そうだよね。この店が閉まってたらどこにいく? その問いに
   対する答えが本当の「競合」であり「業界」になる。

恵利:じゃあイタリアンレストランとカフェが同じ「業界」ってこと
   ですか?

真子:それじゃ、もはや「業界」なんて無いってこと?

勝 :ある業界もある。「TV局」業界なんて寡占だからな。でも、
   それですら、ネットのTV局はそこに入るか、って考えると…

恵利:確かに「業界」の定義ができませんね。それがその5 Forcesが
   使いにくい理由ですか?

 

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◆5 ForcesはBASiCSの一部
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勝 :うん、その辺り、本であんまり説明できなかったから、ここで
   しておくけど……理由は2つある。ほら、メモ取れよ。

真子:はい!

勝 :まず、手法としての前提が違う。5 Forcesは、業界分析の手法
   であって、個々の企業の戦略を考えるのには向いてないと思う

真子:そ、そうなんですか!?

勝 :5 Forcesがわかったとして、例えばこの業界は収益性が低い、
   ってわかったらどうする? 真子、撤退するのか?

真子:ううん。それに、同じ業界でも儲かる会社もあれば、そうじゃ
   ない会社もあるよね。

勝 :その答えって5 Forcesからわかるか?

真子:えっと……わからない、かな……

勝 :そう。「飲食業って儲かるの?」という質問には答えられるけ
   ど、「うちの店はどうすればいいの?」には答えられない。

恵利:た、確かに……

勝 :それと、時代が違う。あれ、1970年代の話だからな。当時
   は、「業界」の定義が比較的明確だった。

恵利:どういうことですか?

勝 :現代みたいに、ニーズが多様化してなかったし、競合構造がも
   っと単純だった。

真子:どういうこと?

恵利:あ……そうか、マックとスタバとコンビニが競合する、なんて
   いう複雑な競合が無かった!

勝 :そうそう。BtoBでも同じ。広告戦場で電通とリクルート
   とYahoo!とGoogleが競合するなんてことが無く、単純だった。

真子:そっか! 昔はネットも無かったし、広告業界は広告業界だけ
   で競合してたんだ。

恵利:私の店の果物屋さんもそうでした。昔はスーパーなんて無かっ
   たから、競合が限られてた……

勝 :そういうこと。それに、今や顧客や供給先が競合になったり、
   競合が顧客になったり合併したりなんてのもあるからな。

真子:そっか……だから、5 Forcesで分析しようとしてもダメだった
   のね……

勝 :5 Forcesはそういう静的な「業界」構造を前提にしてるから、
   今はそのままじゃ使いづらいな。

恵利:じゃあどうすればいいんですか?

勝 :だからBASiCSでいいじゃん。真子、競合を知るための質
   問は何だった?

真子:「うちの店がなくなったら、お客様はどうする?」

勝 :そうだな。まずはそういう質問をして、「戦場・競合」を洗い
   出さないとな。

真子:ね、マイケル・ポーターさんって先生より、勝さんの方がアタ
   マいいってこと?

勝 :そんなこと一言も言ってねーだろ。向こうの方がアタマいいに
   決まってるじゃん。天下のハーバードの看板教授だぞ。

真子:勝さんだって世界一のMBAだって威張ってたじゃん。

恵利:その天下の先生が、何でこんな単純なことに気づかなかったん
   ですか?

勝 :さあ……マーケティングやったこと無いからじゃないか? 後
   やっぱり時代が変わったってことはあるだろうな。

真子:じゃあ、ポーターさんの本はダメってこと?

勝 :いや、全否定はしていない。5 Forcesは、BASiCSの一部
   の分析手法としてなら使える。ただ、一部でしかない。

恵利:BASiCSで全体像を掴んだ上でなら、部品としては使える
   ということですか?

勝 :そうそう。ただ、5 ForcesはBASiCSと大分かぶる。両者
   の関係を整理してみようか。
ナプキンにメモを書こうとする勝に、真子がすかさずノートを差し出
す。勝は走り書きで図を書いた。
 BASiCS          5 Forces
 B:戦場・競合 ← 一部    代替品・参入障壁・業界内競合
 A:独自資源  ← 一部    供給元
 S:強み
 C:顧客    ← 同じ    顧客
 S:メッセージ
真子:あ、なるほどねえ……確かに、5 ForcesはBASiCSの一部
   ではあるけど、全部ではないよねえ……

恵利:独自資源の部分なんかも、5 Forcesじゃ足りませんよね。

勝 :これが、5 Forcesを恵利ちゃんに教えなかった理由。わざわざ
   やる必要がない。BASiCSで十分。

真子:何よ、私にはやらせといて……

勝 :やらせてないだろ、オマエが勝手に本買って読んだんだろ。

真子:ぐ……そ、そうだけど……

勝 :まあ、全部ムダってわけじゃない。そのビジネスの構造を知る
   のには使えるからな。

恵利:でも、5 Forcesじゃ戦略は作れないんですよね?

勝 :正確にいうと、5 Forces「だけ」じゃ作れない。入り口として
   はいいかもしれないけど、それだけで終わっちゃダメ。

真子:結局BASiCSを全部やんなきゃ、ってことか……

 

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◆PEST分析とは……?
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真子:ね、勝さん、「PEST分析」っていうのも読んだ本の中にあ
   ったんだけど、あれは?

勝 :へえ、よく覚えてたな。それ何だ。言ってみろ。

真子:えっと……

 ○Politics(政治)
 ○Economy(経済)
 ○Society(社会)
 ○Technology(技術)

   で環境を分析するっていう手法。

勝 :それで?

真子:それで、って……

勝 :それで何がわかるんだ、って聞いてる。

真子:さあ……?

勝 :こないだ政権が変わったけどさ、それってP(政治)の変化だ
   よな? それってそーれ・しちりあーのにどう影響した?

真子:特に何にも影響しないけど……

勝 :恵利ちゃんの店には?

恵利:私にも特に影響はありませんでしたけど……

勝 :関係ないなら、何のために分析するんだ? 意味あるのか?

真子:そ、それは……私に聞かれても……

勝 :だって、PESTの4つを分析するんだろ? じゃあさ、Tの
   技術の発展って言えば、ケータイなんかはそうだよな。

真子:あ、それは関係あるかも。マックなんかはケータイクーポンが
   人気だよね。

勝 :真子の店には?

真子:うちはそういうのやんないから。

勝 :じゃあ関係ねーじゃん。

恵利:勝さんの言いたいことがわかってきた気がします。PESTっ
   て言っても、何でも分析してたらキリがない……

勝 :そう! 極端な話、リビアの政情不安は真子たちに何の関係が
   あるの? それもPの変化だぞ?

真子:だから関係無いってば。

勝 :だからPESTで何を分析するんだよ……

真子:じゃあやんなくていいっていうこと?

勝 :ううん。何を分析すればいいんだ、って聞いてる。

恵利:えっと……さっきのケータイクーポンの話からすると……自分
   に関係なければ意味がない?

勝 :そう! さすが恵利ちゃん。それも1つ。

真子:出た出た、恵利ちゃん、恵利ちゃん、ってさ……

 

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◆分析のための分析はするな!
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勝 :じゃあオマエも考えろよ。PESTなんていうともう無限だ。
   その中で、何を分析すればいい? 例えばケータイの場合は?

真子:ケータイは、T、技術革新だよね……例えば、店の地図情報が
   ケータイで流せれば、お客様は嬉しい……

勝 :そう!!

真子:え?

勝 :今のオマエの発言には、何が入ってた?

真子:え、えっと……あ!! お客様だ!!

勝 :そうだ。お客様に関係があれば、知っておく必要がある。

真子:そうかあ……忘れちゃいけないなあ……お客様だよ……
真子がゲンコツで自分のアタマをコツンと叩いた。
勝 :こないだの政権交代でも、事業仕分けで予算なくなって、売上
   なくなった、っていう人もいるぞ。政府がお客様で、さ。

恵利:へー、そうなんですか? その場合には、政権交代がすごく関
   係あるってことですよね。

勝 :だから、政権交代そのものじゃなくって……

恵利:お客様に対する影響、ですよね。わかってます。

勝 :うん。あともう1つある。お客様に対する影響と、後は……?

真子:あとは……??

恵利:えっと……ここまで、自分、お客様、と来て……あと関係ある
   のは……

勝 :さっきのケータイクーポンでもさ、真子の店はやらなかったと
   してもさ……マックはやってるだろ?

真子:うちがやらなかったとしても……? あ!! 競合がやる!

勝 :そう。競合に対する影響だ

恵利:えっと……PEST、って言っても、自分、お客様、競合に関
   係しなければ意味がない、ってことですよね?

勝 :そういうことだ。

真子:そりゃそうか……

勝 :地デジ化は何か関係あるか? これってS(社会)の変化かな

真子:それも関係ないかなあ……

勝 :じゃあ、BSE問題は? これもS(社会)の話だろうけど、
   オレのビジネスにはあんまり関係ない。

真子:あ! うちは大問題だよ! 肉の仕入れが……

勝 :だろ? 真子の店にも、競合にも、お客様にも影響があるんじ
   ゃないのか?

真子:うん……お客様が減るかもしれない。

勝 :牛丼業界なんか大騒ぎだったよな。吉野家なんかは、BSEへ
   の対応が今の苦戦の原因だ、って見ているらしい*

(*2011/09/11, 日経MJ(流通新聞), 3ページ)

恵利:へえ、そうなんですか……BSEはうちの店には関係ないから
   ビジネスによって分析すべきことが変わるんですね。

勝 :もちろん。で、恵利ちゃん、結局調べなきゃいけないのは何だ
   っけ?

恵利:はい、自分、お客様、競合への影響です。

勝 :それって何?

真子:それって……ああ! 全部BASiCSの要素だ!

恵利:え……ああ、ホントだ!

勝 :そう。結局、BASiCSの各要素について調べればいいって
   こと。

真子:勝さん、よくそう都合良く何でもBASiCSに持ち込めます
   ねぇ……相変わらず……。

勝 :あのなあ、真子たちに突っ込まれるようなことはオレ自身で何
   百回って考えてるんだよ……

恵利:じゃあ、逆に考えればいいってことですか? 例えば、競合に
   ついて考えるときに、PESTのそれぞれの要素を考えれば…

勝 :そう! さすが恵利ちゃん。そういうこと。
勝がイヤミたらしく真子をチラと見た。
真子:はいはい、もういいわよ……恵利と一緒だっていうときからこ
   ういう展開になるのはわかってたからさ。

勝 :まあそういうな。ちゃんとPESTを覚えてたのはエライぞ。
   PESTから入るとキリがなくなるよな?

恵利:そうですねぇ……政治、経済、社会、技術、なんていうと全部
   ですからね……

勝 :さっきの5 Forcesもそうだけど、こういうフレームワークで気
   をつけるべきは「分析のための分析」にしないことだな。

真子:あ、それわかる。埋めて満足しちゃうんだよね。仕事した気に
   なる。

勝 :そうそう。分析するのはいいけど、結局、お客様や競合にどう
   影響して、自分はどうすべきかを考えないとな。

真子:そうだよねえ…今も、お客様から入れなかった自分が悔しい!

勝 :へえ……そんなセリフが出てくるなんて、真子、進歩したな…

真子:そりゃ、今回の物語で色々学びましたからね!

勝 :じゃあ、その「学んだ」内容をまた聞いていこう。楽しみだな

真子:えええ……
このシリーズ、もちろんまだ続きます!
真子が「社長になって会社を立て直す」奮闘ぶりはこの本で!
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◆今日のまとめ
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●分析のための分析はやめよう。BASiCSの各要素への影響を考
 えた分析をしよう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.123 2011/09/15
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●フレームワークは、埋めてからが始まり! 一貫性の線をひいて、
 戦略を「練る」!
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◆乱戦のBattlefield
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勝 :たまたま見つけたニュース。ドコモがソニーエリクソンの「プ
   レステケータイ」出すって。PS1のゲームができるらしい。

真子:あー、勝さんゲーム好きだよねー。昔っからよくやってたねー

勝 :オマエにもよくつきあわされたよな。

真子:何よ、私が勝さんにつきあってあげたんじゃない。で、勝さん
   それまた買うの?

勝 :いや、前回の5 Forcesの続き。真子、5 Forcesって何だっけ?

真子:はいはい。前回の復習ね。

 5 Forces
 ・代替品の脅威
 ・参入障壁の高さ・新規参入
 ・供給者の圧力
 ・顧客の圧力
 ・業界内競合

 の5つがその「業界」の収益性・魅力を決めるという分析手法。
恵利:あ! ドコモがプレステ出すっていうのを、これで分析してみ
   ると、っていうことですか?

勝 :そうそう。ソニーは、PSPっていう携帯ゲーム出してる。そ
   の主要な競合は任天堂DSって言われてるけど……

真子:そっか、このプレステケータイもある意味競合だ。でも出して
   るのはソニーエリクソンっていうソニーの関連会社……

勝 :ソニーのPSPから見ると、ドコモはある意味の競合。携帯電
   話でゲームができるからな。

真子:でも、プレステケータイ、っていうところで見ると、ドコモは
   ソニーのお客様だよね?

恵利:そしてそこに、プレステの携帯機が出てくる……もうよくわか
   らないね……

真子:5 Forcesだと……ソニーから見て、ドコモは競合でもありお客
   様でもあり……

勝 :ドコモから見ると、ソニーは競合でもあり、供給先でもある。

恵利:確かにこれじゃ分析できない……

勝 :静的なフレームワークである5 Forcesは、こういうときには使
   いにくいね。

真子:でもさ、この状態が分析しにくいのははBASiCSだって同
   じじゃないの?

勝 :いや、5 ForcesとBASiCSは、前提が違う。5 Forcesは、
   基本的には業界分析の手法。だからやりにくい。

真子:BASiCSは?

勝 :お客様のアタマの中を考える手法。5 ForcesはBASiCSで
   は「戦場分析」のツールだけど……

恵利:あ、わかりました! 「戦場はお客様のアタマの中にある!」
   っていう、アレですね!

勝 :そうそう。お客様を具体化した上で、そのお客様のアタマの中
   にある選択肢の束を競合と考える

真子:それだと、この状況は分析しきれるの?

勝 :だって、お客様を特定すれば、その人にとっては競合が特定さ
   れるだろ? 真子、プレステケータイのターゲットは誰だ?

真子:うーん……PSPとか持ってる人はわざわざ買わないよね……
   って考えると、ゲームしない人かな?

勝 :恵利ちゃん、このプレステケータイ欲しい?

恵利:いえ、私はゲームはしないので……あんまり……

勝 :そうだよね。ゲームしない人は、そもそもプレステケータイに
   興味ないからターゲットにならない。

恵利:じゃあゲームマニア?

勝 :マニアは、PSPを持ち歩いて、PSPやるだろ。ゲームに最
   適化されてる分、やりやすいし。

恵利:え? じゃあ誰がターゲットなの?

勝 :誰、っていうか、「場合」。ありえるかもしれないのは、マニ
   アがPSPを持ち運ばないときにやるゲーム。

真子:あ、なるほど。会社行くときとか、PSP持ってかないよね

勝 :そうそう。PSPとかって結構重いしかさばる。そういうとき
   つまり「2台目のゲーム機」としての需要はあるかも

恵利:あと、数は少ないかもしれませんけど、マニアまではいかない
   ゲーム「ファン」でしょうか。PSPは持ってないけど……

勝 :そうかもしれないね。ゲームはしたいけど、PSPとかDS買
   うほどでも無い、っていう人。すると、どうなる?

恵利:あれ……? 実はプレステケータイとPSPは競合しない?

真子:え? 何で?

恵利:えっとね、顧客別に場合分けしてみるね。
恵利がサラサラと自分の「恵利ノート」にまとめていく。
1)ゲームしない人はどっちにしても買わない → 関係ない

2)ゲーム「マニア」はPSPを持ち運ばないときの2台目需要とし
  て買うかも → 「併用」なので競合しない

3)PSPを持つほどではないゲーム「ファン」は買うかも
  → PSPはどうせ持ってないので、競合しない
真子:あ……ホントだ! 競合しない! 一見競合しそうだけど……

勝 :プレステケータイ、PSP、DSは実際には競合はするだろう
   けど、こうやって考えて行くと、緻密に考えられるだろ?

真子:ホントだあ……これがBASiCSの考え方かあ……

勝 :フレームワークって、こうやって考えて行くんだよ。

 

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◆フレームワークの埋め方:一貫性と具体性
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恵利:勝さん、あ、あの……今のお話を聞いて思ったんですけど……
   ずっと聞いてみたかったことがありまして……

勝 :なに? 聞きにくいこと? 恵利ちゃんなら何でも聞いていい
   よ。

真子:出た出た。勝さん、彼女ならいないよ、きゃははは。

勝 :オマエは黙ってろ。

恵利:今さらなんですが……BASiCSを埋めていくコツって何で
   すか? 今の考え方を伺って、やっぱり聞いてみたくなって…

勝 :え? 確かに今さらだけど、良い機会だからやるか。CDでも
   散々やった「キーワード」2つは何?

恵利:あ、それなら。「一貫性」と「具体性」です。

勝 :そうだね。それを両方使って、「やりとり」していくのがポイ
   ント。さっきの「顧客」もそうだよね。

恵利:あ! まず、顧客像を具体化して、それぞれで、プレステケー
   タイとPSPが競合するかしないかを考えた……

勝 :そうそう。顧客を「ゲームユーザー」みたいに粗っぽく考えち
   ゃうと本当の競合構造なんかがわからなくなる。

真子:じゃあ、「具体化」してから一貫性を考えるのがポイント? 
   考える順番としては「具体性」が先なの?

勝 :お、真子、いい質問だ! 答えは「イエス」。曖昧な答えで考
   えるとカンタンに一貫性が取れる。

恵利:例えばどういうことですか?

勝 :例えば、「高付加価値を望む顧客に、高付加価値を強みとしよ
   う」って、一貫性はあるけど……

真子:具体性ゼロだよね。何のことかさっぱりわかんない。そっか、
   だからやっぱり「具体化」が先なんだね。

勝 :そう。逆に、ものすごく具体化すれば、一貫性が取れる。さっ
   きのプレステケータイの場合もそうだな

恵利:場合分けがきっちりできますよね

勝 :そう。結局、1人のお客様についてわからないのであれば、
   100人のお客様についてもわからない。

真子:あ……そうか! 1人のお客様について、「具体的」に考えて
   一貫性を取ればいい!

勝 :そういうこと。例えば、PSPやスマホの所有状況次第で、プ
   レステケータイに対するニーズが違うだろ?

恵利:それを一緒にするから混乱しちゃうんですね……

勝 :5 Forcesでも、BASiCS的な使い方はできないことはない
   んだけどさ。例えば、顧客ごとに5 Forcesを何枚も作る

真子:なるほどね。「顧客」がマニアの場合は「代替品」にPSPを
   おいて、「新規参入」には「ケータイDS」をおくとか。

勝 :そう! 鋭いじゃん。でもそれはビギナー顧客とか、モバゲー
   みたいなシンプルゲームファンにはあてはまらない

真子:その場合は、「新規参入」ならGoogleゲームとかがもし出てき
   たら、って考えるよね

勝 :そうそう。それにはマニアは興味ないだろうけど、ライトユー
   ザーならそれでいいかもしれないからな。

恵利:「代替品」も「新規参入」も「顧客」によって変わる! ホン
   トBASiCS「的」だわ!

勝 :そう。5 Forcesでも、要素間の「動的な関係」に着目すれば、
   意外に使えないこともないけど……

真子:5 Forcesのそういう使い方を解説している本は、読んだ限りな
   かったよ。

勝 :そうなんだよ。その意味では、BASiCSの本当の「強み」
   とは、その「動的な使い方」と、その「解説」なんだよな。

 

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◆フレームワークは、一度埋めてからが始まり
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勝 :恵利ちゃんさ、CDでBASiCSを実際に埋めてみたときは
   最初はうまくできなかったでしょ?

恵利:はい……BASiCSの各要素ごとに、1行くらいしか書けま
   せんでした……

真子:私もそうだった! 恵利、1行ならまだマシよ。私なんて、一
   言しか書けなかったよ、あはは

勝 :確かにひどかった。「新人OL、社長に……」でも、顧客ター
   ゲットは「元気になりたい人」とかだったよな、ははは

真子:今考えると、「誰、それ」って感じだよね~、きゃははは。

勝 :初めてやるときは、誰でもそんなもんだ。

真子:え? じゃあ、真子はフツーってこと?

勝 :実はそう。「新人OL、社長に……」で、真子のあの浅い浅い
   BASiCSをわざわざ出しているのは、そういう意味もある
   (P.56)

真子:ぶう、意地悪!

勝 :いや、それが始まりって意味だからな。で、その後色々望ちゃ
   んと考えたら、2回目は相当良くなっただろ?(P.84)

真子:うん!

勝 :この本が小説形式になってる理由の1つがそれ。「埋め方」を
   追体験して欲しかったんだよ、読者さんに。

真子:へえー。作者、ちゃんと考えてるじゃん(笑)

勝 :CDで出てきた恵利ちゃんの例もそうだよな。BASiCSは
   1回考えただけじゃ絶対に完成しない。

恵利:はい! すごくそれ思いました! CD何十回も、覚えるほど
   聞いて、それで何回も何回も書いてみて、それで……

勝 :フレームワークってそうやって考えて行くんだけどさ、そうい
   うフレームワークの「埋め方」ってあんまり教えてくれない

真子:はい……そうかあ、1回埋めてからが勝負ってことね……

勝 :そう! まさに、1回埋めるのは「始まり」にすぎない。1回
   埋めて満足しちゃ、絶対にダメだ

真子:1回埋めるのは、始まりかあ……

恵利:私も、「戦場・競合」だけで3回書いてみて、やっとそれらし
   くなりましたから……

勝 :1回埋めて満足すると、そこで思考が止まっちゃう。そこから
   「グルグル回し」が始まる

 

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◆一貫性と具体性:各要素が相互の制約要因となる
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真子:「グルグル回せ」って勝さん、よく言ってたよね。最初はその
   意味が全然わかんなかった……あははは。

勝 :2人とも、「マインスイーパ」ってやったことある? ウィン
   ドウズについてくる無料ゲームの……?

恵利:あ、あります。地雷の場所を当てる、アレですよね。

真子:やったことありますけど、それがどうしたんですか?

勝 :「グルグル回し」とかけて「マインスイーパ」ととく。そのコ
   コロは!?

真子:は??

恵利:えっと……私もわかりません……

勝 :そのココロは、相互に制約要因となる。

真子:わかりませんってば(笑)

勝 :マインスイーパって、「ここが1でここが3だと、ここに地雷
   がないとその条件が成立しない」って考えるよな?

恵利:え、えっと……は、はい……

勝 :で、逆に、「ここに地雷が無いと仮定すると、ここの数字がお
   かしい」みたいな考え方もできるよね。背理法みたいに

真子:背理法、ね……ハイリハイリフレ、ハイリホー♪ って何のC
   Mだっけ?

勝 :それ、古すぎ……背理法は、ある事柄を仮定し、それを否定す
   ると矛盾が起きるからその仮定が正しいっていう考え方

恵利:あ、昔やりましたね……

勝 :平たく言うと「こっちがこうだとすると、あっちがこうなるは
   ず」っていう考え方。それが「相互に制約要因となる」こと

真子:最初からそう言ってくださいよ……私が勉強苦手なの知ってる
   くせに……こ、の、い、け、ず♪ っと

恵利:私、わかりました! 例えば、お客様がマニアだと仮定すると
   競合がこうでないとおかしくなる、って考えるんですよね

勝 :さすが恵利ちゃん!

真子:もう……恵利がいるとこれだからイヤんなるよなあ……恵利は
   アタマいいからいいよなあ……

恵利:そんなことないわよ。ほら、さっきみたいに、マニアだとこう
   で、ビギナーだとこう考えてみたいに……

勝 :そうそう。BASiCSの各要素の相互のやりとり。それが、
   相互に制約要因となるってこと。

真子:??? マコ、ワカンナーイ!

恵利:ううん、単純よ。顧客がマニアだと、競合がPSPで、逆に、
   競合がPSPなら顧客がマニアになるって、考えていくのよ

勝 :そうそう。顧客は競合を規定し、同時に競合は顧客を規定する
   よな。強みとかの他の要素についても同じ。

真子:わかった! 競合が「リアルシシリー」っていう本格的な店と
   「イージーロマーノ」の低価格店ではうちの強みが変わる!

(このあたりの詳細は、「新人OL、社長になって会社を立て直す」
 でどうぞ)

勝 :やっと思い出したか……そういうことだ。だから、あの本でも
   競合店を2つ出したんだろうな。その違いを体感するために。

真子:なるほどね~。あれ、辛かったんだよなあ……

恵利:真子の辛さ、あの本からよ~くわかったわ……

真子:でも、あーゆー経験をしながら成長していくんだよ、きっと。

勝 :真子、大人になったなあ……で、BASiCSの要素は5つ。
   その中の2つの要素の「組み合わせ」はいくつある?

恵利:えっと……組み合わせなら、5×4÷2=10通りですね。

真子:え? え? どういうこと?

恵利:あのね、B,A,S,C,Sってあるでしょ? それぞれに結
   べる線は10本よね? BとA、BとS……って

  B-A
  B-S
  B-C
  B-Sm
  A-S
  A-C
  A-Sm
  S-C
  S-Sm
  C-Sm

真子:えっと1、2……10。ホントだ! それぞれに一貫性を考え
   るってことだよね。それはわかった!

勝 :で、組み合わせじゃなくて「順列」は?

恵利:順列だと、相互に方向性があるから、5×4=20ですが……
   あ! なるほど! 相互に制約要因って、そういう意味!

勝 :そう。例えば、S→C、C→S、っていう方向性を両方考える
   場合には、「組み合わせ」じゃなくて「順列」。

真子:??? マコ、マタワカンナーイ! そういうムズカシイ言葉
   使うののやめようよ~

恵利:真子、ほら、さっきの10本の線に、双方向の矢印入れると、
   何本になる?

真子:10×2=20!

勝 :そう。順列は、5×4=20。5C2じゃなくて5P2だから
   20。コンビネーションじゃなくてパーミュテーションな。

真子:パー……何?

勝 :オマエのアタマが「パー」なんだよ……。

恵利:ふふふふ

真子:出た出た、2人して……

勝 :今の双方向の矢印の数だよ。単なる組み合わせだったら、方向
   性は関係ないけど……

真子:あ、わかった! 強みは顧客を制約して、顧客が強みを制約す
   るから、1本じゃなくて、双方向の矢印になるんだ!

勝 :そう! 組み合わせだと単なる線の数だけど、順列は、その順
   番、方向性も大事になる。

恵利:BASiCSの考え方って、数学と共通点あるんですね……

勝 :うん。数学でも心理学でもミクロ経済学でも、使えるものは何
   でも使う。そうやってBASiCSを進化させてる。

 

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◆一貫性と具体性:線を引いて、つながりを可視化しよう!
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恵利:すみません……それで、あの、一貫性と具体性で考えていくポ
   イントは……?

勝 :あ、ごめん。本題。それぞれに実際に線を引きながら考えるの
   が一貫性を考えるポイントね。

恵利:実際に紙の上に線を引く、ってことですよね?

勝 :うん。さっきの20通り、それぞれに制約要因として一貫性が
   あるかどうかを考える。

恵利:それ、結構時間かかりますよね……やってみて思いました。

勝 :そうだね。1回やるだけで数時間はかかるだろうね。だって、

・S→C:この強みを評価するのはどんな顧客?
・C→S:この顧客が重視する強みはどんな強み?

   っていう、SとCの双方向を考えるだけで相当時間かかる。

恵利:この双方向の矢印が、全部で20本ですもんね……

真子:うわあ、大変だ……

勝 :それが戦略を「練る」っていうことなんだよ。

恵利:あ……フレームワークを1回埋めただけだと、本当に「埋め
   た」だけで、「練る」ことをしてない……

真子:そっか。だから1回目はすっごく浅いんだ。で、「練る」こと
   によって、どんどん深くなっていくんだ!

勝 :そう! みんな、この「練る」作業をしないんだよ。だから、
   すっごく戦略が浅い。

真子:なんでやらないの?

勝 :オレが聞きたいよ。なんでやらないんだ?

恵利:やっぱり大変だから、じゃないですか?

真子:でも、人がやらないことをやると差別化できるよね!

勝 :おお! 言うようになったなあ……さすが、競合店との激烈バ
   トルを戦い抜いた経営者だ

真子:へっへえ……でも、泣きそうな思いしたからなあ……

恵利:真子、実際泣いてたじゃない……

真子:え、恵利、何言ってるのよ……だって……自分にハラが立った
   んだもん……

勝 :まあそのあたりの真子の活躍は本に譲るとして、次回は、要素
   間のつながりから、さらに広げていこう。

 

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◆今日のまとめ
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●BASiCSの各要素は、相互に制約要因となる。2つの要素に双
 方向の矢印を引いて、一貫性・具体性を考えて行こう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.124 2011/09/19
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●BASiCSは、他のフレームワークの「魔法の入れ物」。他のフ
 レームワークを使うときも、BASiCSに戻ろう!
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◆前回の復習
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勝 :じゃあ真子、恵利ちゃん、前回の復習からね

真子:はーい。BASiCSとかのフレームワークは、1回埋めてか
   らが始まり! 何回もグルグル回して考える!

恵利:きちんと言うと、要素間の関係を、一貫性と具体性で、双方向
   で考えていく、ということですね。

勝 :双方向っていうのは?

真子:強みが活きる顧客は? と考えるのが強み→顧客、逆に、この
   顧客が重視する強みは? と考えるのが顧客→強み

勝 :で、BASiCSでその双方向の矢印は何本引ける?

恵利:5要素からの2つの要素の「順列」ですので、5P2=20、
   ですね。

勝 :OK。

真子:私、計算方法はよくはわかんなかったけど、矢印の数を数えた
   ら20本あるってことはわかったよ、あはは。

勝 :要は、それだけ考え甲斐があるってことがわかりゃいいよ。

 

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◆BASiCSはフレームワークの「魔法の入れ物」
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勝 :前回は、フレームワーク内の要素間のつながりを考えた。今日
   はもっと広げて、フレームワーク間のつながりを考えよう。

恵利:BASiCSと他のフレームワーク、ってことですよね?

勝 :さすが鋭いね。そこに行く前に、既存のフレームワーク間のつ
   ながりを見ていこう。真子、あげてみて。

真子:はーい。私が買った本であったのは……
真子がノートをパラパラとめくっていく。
○3C
 顧客、競合、自社

○SWOT
 強み、弱み、機会、脅威

○VRIO
 価値、希少性、模倣しやすさ、組織

○PEST
 政治、経済、社会、技術

○5 Forces
 供給者、顧客、代替品、新規参入・参入障壁、業界内競合

○STP
 セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング

○4P
 売り物、売り方、売り場、売り値

 

真子:まあざっとこんなもんいかなあ……

恵利:わあ、いっぱいあるんですねえ……

勝 :まだいくらでもあるけど、よく見るのはこんな感じか……

真子:たった7つあげただけなのに、カオスだよね~、まだまだある
   なんて、信じられないよね~、きゃははは

勝 :でさ、これを一度に考えて、フレームワークをつなげて、戦略
   にまとめられる? 例えば、パワポのプレゼンにできる?

真子:あはは、私にはムリに決まってるじゃん。恵利はできるよね?

恵利:えっと、単に表に入れるだけならできそうですけど、つなげて
   流れを持たせるのは難しそう……

勝 :そう。この7枚の表の穴埋め自体は、時間をかければできる。
   けど、それをつなげてストーリーを作るのは、まずムリ。

恵利:BASiCSの5つで流れを作るのだってあんなに苦労したの
   に……これ全部なんてとてもムリです……

勝 :で、単語は全部で……27個だな。これらの言葉をよく見て感
   想をのべよ。

真子:うーんと……漢字がたくさんある!

勝 :オマエは小学生か!

真子:冗談だってば。すっごいダブりがあるよね。顧客、なんて何回
   も出てくるし。競合も、だよね。

勝 :そうだな、ダブりがあるよな。じゃあ恵利ちゃんは?

恵利:言葉のレベルが違います。「政治」と「売り物」では、「言葉
   の抽象度」が違いすぎますよね

勝 :よく気づいたね。他には?

真子:言葉がバラバラ!

勝 :はあ? また小学生みたいな……

真子:ち、違うよ。言葉の「範囲」が広すぎるのよ。技術、組織、
   脅威、と……あまりに違って、まとめにくいんだよね

勝 :おお! 確かにそうだ。この27個の単語は、要は「とにかく
   全部」考えろ、って言ってるだけ。だから意味が無い。

真子:そうなのよ。何を分析すればいいのかわからないから本買った
   のに、「全部やれ」って言われても、ねえ……

勝 :戦略って、やらないことを決めることなのに、戦略を考えるフ
   レームワークが「やらないこと」を決めてないよな、あはは。

恵利:あ、あとは、言葉の定義が曖昧です。「経済」とか「代替品」
   とか、厳密に何を意味するのかがよくわかりません……

勝 :うん、さらに言えば、その言葉の「意味するところ」がよくわ
   からないね。だから、これを見ると……どうなる?

真子:ノートぶん投げたくなる(笑)

勝 :「そして僕は途方に暮れる♪」って歌い出したくなるな……

恵利:ま、勝さんもですか?

勝 :当たり前だ。しかも決まった解法が無いからな

真子:そう、フレームワークの要素は書いてあるけど、その埋め方と
   かは書いてないんだよね……

勝 :だから、この27個のレベルも違うし、ダブりもありまくりの
   考えを全部整理するのなんかムリ。

真子:じゃあどうすればいいの?

 

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◆BASiCSはフレームワークの「魔法の入れ物」
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勝 :実はさ、これらを整理する、「魔法の入れ物」があるんだよ

真子:「魔法の入れ物」? 何か楽しそう! なになに?

勝 :真子も恵利ちゃんもすごくよく知ってる入れ物

恵利:え? え? 何ですか? 

勝 :なんだよ……すぐ気付けよ、BASiCSだよ……

真子:え? BASiCSが入れ物?

勝 :そう。これらの概念を、BASiCSっていう5つの入れ物に
   入れて整理してみようか
○Battlefield(戦場・競合)
 ・3C:競合
 ・SWOT:機会・脅威
 ・PEST:政治、経済、社会、技術
 ・5F:代替品、新規参入・参入障壁、業界内競合
○Asset(独自資源)
 ・VRIO:希少性、模倣しやすさ、組織
 ・5F:供給者
 ・PEST:政治、経済、社会、技術
○Strength(強み)
 ・3C:自社
 ・SWOT:強み、弱み
 ・VRIO:価値
 ・STP:ポジショニング
 ・PEST:政治、経済、社会、技術
○Customer(顧客)
 ・3C:顧客
 ・SWOT:機会・脅威
 ・PEST:政治、経済、社会、技術
 ・5F:顧客
 ・STP:セグメンテーション、ターゲティング
○Selling msg(メッセージ)
 ・STP:ポジショニング
 ・4P:売り物、売り方、売り場、売り値
勝 :いくつかわかりにくそうなところを注記しておくと……

・PEST、及びSWOTの機会・脅威は、競合・顧客・自社に反映
 されて初めて意味を持つ
・SWOTの「弱み」は競合の強みとして表現される。競合にもその
 弱みがあるのなら、それは無関係(どちらも弱い)
・「ポジショニング」は、「強み」が「メッセージ」として伝わって
  意味を持つ
・4Pは、メッセージによって統括される
・VRIOの「価値」は、顧客が自社を選ぶ理由となる「強み」にな
 らないと意味が無い
真子:えっと……ホントだ! 全部の言葉がBASiCSっていう、
   「入れ物」に入ってる!

勝 :逆に言えば、BASiCSはこれらの言葉を全部まとめて、分
   解して論理的に再構成しただけ。だからモレもダブりもない。

恵利:なるほど……BASiCSは、これらのツールの「上位概念」
   なんですね……

勝 :そう! BASiCSは全ての戦略ツールの上位互換ツールな
   んだよね。「上位互換」を平たく言うと「入れ物」ってこと。

真子:上位互換って言われるとワカンナイけど、入れ物なら私にもわ
   かるよ、あはは

勝 :真子が今持ってるメークの道具、見せて。ポーチにあるだろ?

真子:な、何ですか、突然……やらしいなあ……

勝 :別にやらしくないだろ。

真子:でもいいよ、勝さんのためだけに、もっとキ、レ、イになって
   あ、げ、る♪

勝 :ホントオマエとは話が進まねーよな……

恵利:勝さん、じゃあ私のを……

勝 :あ、確かに恵利ちゃんのの方が良いや。うん、見せて

真子:な、何よ、私の出すわよ
2人がメーク道具を取り出して、机の上に並べ始めた。
勝 :そうそう、そういうこと。

真子:な、何が?

勝 :こういう風に、小袋に整理するだろ? 用途別に分けてさ。特
   に旅行のときは、100均の透明小袋に分けて整理するよな?

真子:だから、それがどうしたんですか?

恵利:私、わかりました。BASiCSの1つ1つの要素が、この小
   袋だ、ってことですよね。その中にまた色々な道具が入る……

勝 :さっすがあ! そういうこと!

真子:もう、何よこの2人……わかったわよ、まとめておくと取り出
   しやすいし使いやすい、てことでしょ。

勝 :お、真子にもわかったか。そういうこと。BASiCSってい
   う大きなポーチがあって、その中に、小袋が5つあって……

恵利:その中に、また細かい道具がいっぱい入ってるんですよね。

勝 :そういうこと。

真子:入れ物かあ……だから、勝さんはいつも「BASiCSだけや
   っとけばいい」っていうんだあ……今その理由がわかった!

勝 :オマエなあ……何を今さら……

恵利:他のフレームワークで分析することには意味は無いんですか?

勝 :BASiCSと「つなげて」考えるのなら意味があるけど、バ
   ラバラに考えるとかえって危険。

真子:な、なんで?

勝 :例えば、VRIOの「組織」は、「組織」だけを考えてもしょ
   うがない。「強み」を生み出す組織にしないとな。

真子:あ、確かになあ……組織だけいじっても、ダメだよねえ……

勝 :だから、他のツールを使ってもいいけど、常にBASiCSで
   はどの要素になるのかを考えながらやらないと、迷子になる

真子:そうだよねえ……BASiCSに戻らないと迷子になる、か。

恵利:そうしないと、各ツールがつながりませんよね……これだけの
   言葉をつなげるのは難しいので……

真子:そうか、他のツールを使ったら、一旦BASiCSの5つの小
   袋に戻して、そしてBASiCS全体の袋に戻せ、と。

勝 :そう! そうやって一貫性をとって使うのなら、他のフレーム
   ワークを使ってもいい。

真子:今の例え、私にもわかりやすかったぁ。私にわかれば、誰にで
   もわかるよね、へへへ。

勝 :BASiCSって、こういう経営戦略の各要素を全て網羅して
   るから、四次元ポケット並に広くて深い入れ物。

真子:た、確かに……でも、大事なのは、一貫性なんでしょ? 勝さ
   んいつもそう言ってるけど。

勝 :そう。フレームワークを「羅列」した本はたくさんあるけど、
   複数のフレームワークを「つなげる」本はあまり見ないよな

恵利:な、何でですか?

勝 :さあ? 実際に使うときには、全部つなげないといけないはず
   だけどなあ……オレもそこで悩んだんだけど。

真子:じゃあみんな実際には使ってないってこと?

勝 :または、バラバラに使ってるのかもしれない。バラバラに使う
   とまずいのは、さっき言った通り。

恵利:正直、勝さんはBASiCSの原理主義者みたいに思ってまし
   たけど、要はBASiCSが全部カバーしてるだけなんですね

勝 :げ……そんな風に思われてたのか……原理主義者っていうか、
   正確には「不精者」。たくさんのフレームワーク使うのが面倒

真子:面倒っていうか、不可能ですよ、私には、きゃははは

勝 :実質そういうこと。ホーキング博士とかならできるかもしれな
   いけど、まあまずムリだな。

真子:え、私、その靴なら持ってるよ! 履きやすいよね!

勝 :靴はホーキン「グ」じゃなくてホーキン「ス」だ!!

恵利:ふふふふ、お二人、ホント息ピッタリのボケツッコミですね

勝 :恵利ちゃん、真子のはボケじゃなくて「素」だからね

真子:ち、ちち、違うわよ、わ、わざとよ、そう、ボケだってば……
   あははは……は……

 

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◆BASiCSは「曼荼羅」
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勝 :オレさ、こないだ京都で仕事があってさ……

真子:ずるーい! 私もつれてって!

勝 :自分で行け。で、東寺に行ったんだよ。

真子:「教王護国寺」ね。京のシンボル、五重の塔。空海さん縁の寺
   で、密教の道場。

勝 :さすが元旅行代理店勤務だな。

恵利:どうされたんですか? 何か見たかったものでも……

勝 :東寺に歩いて行けるところにあるホテルに泊まったし、近くの
   イオンモール見たかったっていうのもあるんだけどさ……

真子:それ、きっと神様に呼ばれたんだよ! 勝さん、そういうの自
   分から行かないタイプだもん。

勝 :神様じゃなくて仏様な。で、密教の曼荼羅ってあるだろ?

真子:沙羅曼蛇(サラマンダ)? 

勝 :そりゃゲームだ。アレは確かにハマった。

恵利:サラマンダーなら、「火竜の咆哮!」

勝 :そりゃFAIRY TAIL。恵利ちゃんまで……で、その
   曼荼羅を見ながら、BASiCSも曼荼羅だなあ、って……

真子:あ、曼荼羅って仏教の「世界観」だよね。

勝 :wikiには「複数の要素がある秩序のもとに組み合わされ、全体
   として何らかの宗教的世界観を表したもの」って書いてある

恵利:確かに……この「宗教」っていう単語を「戦略」に置き換える
   とそのままBASiCSだ!

恵利:じゃあ、BASiCSって5つあるから、五芒星みたいな感じ
   ですね!

勝 :そうも言えるね。五角形でBASiCSの5要素を表現する読
   者さんも確かにいらっしゃるね。

恵利:五芒星の中心で孔雀が印を結んで「インダラヤソワカ」ってマ
   ントラを……

勝 :そりゃ孔雀王。懐かしいな。でもそんな感じ。BASiCSの
   五芒星の中心でこうやって印を結んで唱えるマントラは……

真子:勝さん、似合う似合う!

勝 :「イッカンセー ト グタイセー!」

真子:きゃははは! 一貫性と具体性、だね。

勝 :で、曼荼羅は、無限に深くなりながらも全体は常に保たれるだ
   ろ? BASiCSもそう。細部に行っても、全体に戻る。

真子:細部にいく「具体性」と、BASiCSで貫く「一貫性」……
   それがBASiCS曼荼羅、かあ……

恵利:さっきのフレームワーク理論で行くと、中央にいる仏様にあた
   るのがBASiCSで……

真子:曼荼羅の後ろにいるたくさんの像が、5 Forcesとかのフレーム
   ワークってこと?

勝 :そう! BASiCSが全てを優しく包み込み、厳しく一貫性
   の筋を通す。

真子:それが東寺での気づきだったと……

勝 :前から感じていたことではあったけど、あらためてそうなんだ
   ろうな、って。

恵利:そんなところに行ってもBASiCSのことばっかり考えてら
   っしゃるなんて、勝さんらしいですね~

 

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◆本からの気づきの深さが自らの成長
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勝 :でさ、講堂の大日如来には何も感じなかったけど、金堂の薬師
   如来像を参拝したら、アタマにぴぴぴぴ、って血流が来た。

真子:へえ……面白いねえ。勝さんの直感が反応したんだ。薬師如来
   が東寺のご本尊だよね。

勝 :そう! 何で薬師如来に反応したのかわからなかったけど、そ
   れ、後でパンフ見て知って、驚いた。

恵利:なんかあっちの方向に……

勝 :いや、オレはオカルトはキライ。でも、自分の体の反応は信じ
   る。特にアタマの血流はオレ敏感だから。

恵利:勝さん、霊感あるんですか?

勝 :ぜんっぜん無い。でも、自分のアタマの血流とかはいつも意識
   してるからわかる。薬師如来の前で立ち止まって検証したよ。

真子:じゃあ、やっぱり呼ばれたんだよ

勝 :呼ばれたかどうかはともかく、仏像にしても何にしても、自分
   の意識の投影だよな。自分の気づき以上に深くは気づけない。

真子:結局は自分次第ってことだよねえ……

勝 :そういう意味では、今回の「新人OL、社長に~」は、おこが
   ましいかもしれないけど、般若心経みたいなもんだ。

真子:は? 般若心経? 色即是空?

勝 :うん。色即是空、っていう言葉自体の意味は単純だけど、そこ
   にどれだけの思い・気づきを持てるかは自分次第。

恵利:それと、真子が出てる本の関係は、何ですか?

勝 :ある読者さんからさ、こういうコメントをいただいた。
「前作と比べて、より実践的な解説になってますよね。「この1行に
 たどり着くのに佐藤先生がえらい苦労した(ハズ)なのにー」と思
 いながら読了しています。

 でも思ったのですが、あまりに端的に述べられているので、1行1
 行の価値がわかりにくいように思います」
真子:確かに、「強みで考えるべき質問は「お客様が競合ではなく自
   社商品を選ぶ理由は何か?」です」なんてあっさりしてるよね

勝 :それはBASiCSのコアのマントラの1つだな。

恵利:でも、これすっごく深い質問ですよね? そのためには、顧客
   を知り、競合を知り、自分を知り、って……無限ループよ。

勝 :そう。この1文のとてつもなく深い意味が、「色即是空」と同
   じ。

真子:あ! この1文から、どれだけの深さをくみ取れるかは、自分
   のレベル次第ってことだ!

勝 :そういうこと。その理解の深さが、レベルに直結する。

恵利:確かに、私も昔なら、「ふーん」で終わっていたと思います。
   今は経営者として、この意味が骨身に染みて、痛いくらい……

勝 :でしょ? 真子が言った一言、「相思相愛のお客様づくり」*
   なんて、どれだけ深い意味か……説明に1週間かかるぞ。
   *P188

真子:勝さんも「お客様の行動を考えて仕組み化しよう」*なんて、
   カンタンそうに言ってくれて……どれだけ大変だったか(笑)
   *P183

勝 :だから、この本って、何十回も読んで欲しいんだよ。般若心経
   並とは言わないけど、ものすごい深さを持ってる

真子:あと、私の苦労もですよね(笑)

勝 :だから、「上級マーケター」になったとしても、この本の言葉
   の全ての意味はわからないと思う。
というわけで、次号に続きます!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆今日のまとめ
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●BASiCSは各フレームワークの「魔法の入れ物」であり、曼荼
 羅。BASiCSを中核に、各フレームワークを整理しよう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.125 2011/09/22
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●フレームワークを複数使うときは、互いに相性が良いものを使お
 う! BASiCSとマインドフローと相性が良い。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆前回の復習
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃあ真子、恵利ちゃん、前回の復習をお願い

真子:うん! BASiCSは曼荼羅(マンダラ)なの! 唱えるマ
   ントラは一貫性と具体性!

恵利:真子、それじゃわからないわよ。BASiCSは、3次元的に
   織りなす様々な戦略理論を統括するモノ、ですね

真子:何よ、恵利、良い子ぶっちゃって……曼荼羅は、「入れ物」の
   比喩。他のフレームワークをバラしてBASiCSに入れる

恵利:そして、BASiCSの他の要素との一貫性を考えながら、全
   体を見ていく、ってことです

勝 :OK。2人いると話が早いな。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆BASiCSの要素を組み合わせて使おう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

恵利:BASiCSがお勧め、っていうのはよくわかりましたけど、
   BASiCS以外に、お勧めのフレームワークはあります?

勝 :例えば、アンゾフのマトリックスなんかは、BASiCSと相
   性がいいよな。これな↓
       |  既存顧客  |  新規顧客  |
  ―――――――――――――――――――――――|
  既存の強み|        |        |
  ―――――――――――――――――――――――|
  新規の強み|        |        |
  ――――――――――――――――――――――――

(等幅フォントでお読みください)
勝 :わかると思うけど、ヨコが「C:顧客」、タテが「S:強み」
   の組み合わせ、だぞ

真子:そっか、BASiCSの要素をそのまま使ってるから、すぐに
   BASiCSに戻せるんだね

恵利:あれ? っていうことは、BASiCSの各要素を組み合わせ
   てこういうマトリックスを作ればいいってことですか?

勝 :そう!! 例えば、同じように、B:競合とA:独自資源でも
   作れる。

         | 戦場A | 戦場B| 戦場C|
  ―――――――――――――――――――――――|
  既存独自資源 |     |    |    |
  ―――――――――――――――――――――――|
  新規の独自資源|     |    |    |
  ――――――――――――――――――――――――
真子:なーるほどお! どの戦場で、どの独自資源が使えるかを考え
   れば、どこで勝ちやすいかがわかるよね!

勝 :さらに、どの戦場でも勝てる「汎用性の高い独自資源」もわか
   るだろ? だったらそれに優先投資すればいい

恵利:な、なるほど……BASiCSの要素を組み合わせていけばい
   いんですね。10通りできますね。

勝 :実はもっとある。
         | 戦場A | 戦場B| 戦場C|
  ―――――――――――――――――――――――|
  強み     |     |    |    |
  ―――――――――――――――――――――――|
  必要な独自資源|     |    |    |
  ――――――――――――――――――――――――

   こんな風に3つを組み合わせることもできる。

真子:うわ……でも、だったら最初っから、BASiCS全部を考え
   た方がいいじゃん

勝 :最終的にはそうなんだけど、例えば、顧客が決まっている場合
   には、顧客をあえて変数から外す手もあるからな……

恵利:そのあたりはケースバイケースってことですか?

勝 :うん。特定の要素を抜き出して考える理由は「分けて考えられ
   る」から。真子、わかるよな?

真子:うん! アイディアは、分けて考えた方が考えやすい!
   (新人OL、社長になって~ P.94~95)

勝 :そうそう。これは、発想ツールになるんだ。

恵利:えっと……このマスの中身を埋めていきながらアイディアを出
   すんですよね

真子:本でもやったよね。アイディア出しの方法!?

勝 :このツールを使うメリットは?

真子:わかってるよ。アイディア出しのツールと、ロジック整理のツ
   ールが一緒だと、一貫性がとりやすい!

勝 :「新人OL、社長~」の本の1つのメッセージがそれだよな。

真子:うん! 具体性ツール、つまりアイディア出しツールと、一貫
   性ツール、ロジック整理で同じツールを使う!

勝 :そうすると?

真子:一貫性・具体性が両立する!

勝 :そうだな。分けてバラバラに考えた後は、必ず、BASiCS
   に戻して、一貫性を確認する。

恵利:真子、すごいじゃない……

真子:えっへーんだ。私だって本の中で色々苦労してんのよ。

勝 :ツール選びの1つのポイントがそれ。一貫性と具体性が両立す
   るツールを使うこと。BASiCS以外で何があった?

真子:マインドフローと売上5原則!

勝 :そうだな。BASiCSとマインドフローは相性がいい。次は
   じゃあマインドフローを見ていこうか

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆互いに相性の良いフレームワークを使おう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:勝さん、使うフレームワークって少ない方がいいんだよね?

勝 :そうだな。手に馴染む道具を使ったほうがいい。あと、数もそ
   うだけど、互いに相性の良いフレームワークを使おう。

恵利:あ、前回やったみたいに、レベルの違う言葉がいっぱい出てく
   るとカオスになる……

勝 :違うフレームワークを5つ並べただけだと分析のための分析に
   なる。そうじゃなくて、フレームワーク間のつながりを考える

真子:具体的には?

勝 :次に進むに当たっては、そろそろ望ちゃんにも来て欲しいけど
   な……真子、望ちゃんはいないの?

真子:何よ、勝さん、恵利がいいって言ったり、望ちゃんがいいって
   言ったり……この浮気者。

勝 :ふざけんな、「新人OL、社長に~」の本当の立役者はオマエ
   じゃない。っていうか、本でオマエがそう言ってただろ

真子:う……確かに、望ちゃんと清川さんだけど……もう……じゃあ
   望ちゃん呼んでくるよ。ちょっと待ってて。
真子が、軽やかに立ち上がり、望がいると思われる事務所に向かう。
勝 :恵利ちゃん、望ちゃんとは面識あるよね?

恵利:もちろんです。うちのケーキをそーれ・しちりあーので扱って
   もらうときに、色々と……勝さんは?

勝 :あ、オレは、例の「新人OL、社長になって~」でね。望ちゃ
   んを怒鳴ったりもしたから、嫌われてるだろうけどね、あはは
望が店内に入り、勝たちを目敏く見つけると、たたたた、と駆け寄り
ぺこり、とアタマを下げた
望 :勝さん、ご無沙汰しています! その節はホントお世話になっ
   たのに、ご無沙汰してしまって申し訳……

勝 :あ、いいからいいから。今度デザート食べ放題でもさせてよ。
   ほら、望ちゃん、座って。真子も、な。

真子:勝さん、嬉しいでしょぉ、美女たちに囲まれて~

勝 :その「美女」の中に、真子を入れるなよ?

真子:はいはい、言うと思った、こ、の、て、れ、や、さん!

望 :今、どんなお話をされてたんですか?

勝 :望ちゃんも大活躍した、「新人OL、社長になって~」の振り
   返りとか、補足説明とか。

望 :え~、真子ちゃん、早く呼んでよ……私も最初から聞きたかっ
   たなあ……

真子:そ、そうなの? 望ちゃん、忙しいはずだから悪いかな、と思
   って……じゃあ後で教えてもらいなよ、恵利ちゃんに。

恵利:え、ええ? 私? い、いいけど……

勝 :真子が教えろよ。オマエの会社の大事な仲間だろうが……

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆BASiCS→マインドフロー、マインドフロー→BASiCS
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

望 :じゃあ早速なんですけど、勝さん、質問していいですか?

勝 :どうぞどうぞ

望 :戦略BASiCSもマインドフローも、すごく役に立つという
   のはわかったんですが、そのつながりがよくわからなくって…

勝 :さっすがあ。まさにそういう話を今してたところ。互いに相性
   の良いフレームワークを使おうって

恵利:BASiCSとマインドフローって、レベルが違う感じがしま
   す。BASiCSは戦略、マインドフローは、具体的戦術……

勝 :そうそう。一見そう見えるよね。

真子:ち、違うの? 私もそう思ってたけど……

勝 :実はね……BASiCSとマインドフローは同じモノ。同じっ
   ていうと語弊があるけど、表裏一体

真子:でも、大分違いますよね? 要素の数だってBASiCSが5
   つで、マインドフローは7つ……

勝 :恵利ちゃん的に言うと、孔雀王の五芒星と北斗神拳の北斗七星
   か……

恵利:そ、それ今言おうとしてました……

勝 :ははは、BASiCSとマインドフローは表裏一体、っていう
   のは、ページ数の都合で削除しちゃったんだよね……

真子:え、えええ!? 何その大人の事情……

勝 :だから今フォローしてるんだろうが。BASiCSとマインド
   フローの融合なんて、1日がかりのセミナーだからな。
勝が例によってナプキンにメモを始めると、すっと恵利がノートを差
し出す。「ありがと」と言いながら、勝がノートにサラサラと書き始
める。

 

 マインドフロー   BASiCS
 の7関門      の5要素
 認知・興味    C:顧客に合ったSm:メッセージで、興味を
 ・行動      もってもらう

 比較・購買    B:競合に対するS:強み(=選ぶ理由)
          とそれを支えるA:独自資源で競合に勝つ

 利用       C:顧客にあった利用場面提案をSm:メッセ
          ージで行い、利用促進

 愛情       どんなC:顧客が、どんなS:強みを評価し
          どんなSm:メッセージに挽かれてファンに
          なったのかを分析する
勝 :まあこんな感じだな。

真子:な、なるほど……確かに、BASiCSの組み合わせで、マイ
   ンドフローの各関門でやるべきことがわかる……

望 :マインドフローで、BASiCSが現実に落とし込まれる、っ
   ていうことですか?

勝 :そう!! まさにその表現。望ちゃん、さすが、BASiCS
   もマインドフローも実際にやった実行者だけあるね!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆BASiCSはNormative、マインドフローはDescriptive
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :で、ちょっと気取った言い方でいうと、BASiCSは、規範
   的・Normativeで、マインドフローは描写的・Descriptive。

真子:ど、どうしちゃったの、カッコいい表現だけど、勝さんらしく
   ないよ~。で……どういう意味??

恵利:真子、大学の授業でやったでしょ。「規範的」は「こうあるべ
   き」で、描写的、っていうのが「現実はこうだ」ってこと。

真子:やったっけ? それでもわからないんだけど……

勝 :BASiCSは、将来を見通しながら、「こうすべきだ」って
   考える色が強い。これが「規範的」。

恵利:その逆が「描写的」で、「記述的」って言われることが多いけ
   ど、現実を描写・記述してるだけ。

勝 :マインドフローは、その描写的な色が強い。実際、現実を数値
   化するフレームワークだからな。

真子:ちょっと、望ちゃんにもわかるように平たく言ってよぉ!

勝 :望ちゃんをダシにするなよ。BASiCSは理想を描き、マイ
   ンドフローは現実を描く、でわかるか?

真子:え? でもBASiCSでも現実を描くよね? マインドフロ
   ーでも理想を描くでしょ?

勝 :BASiCSで現実を描くのは、理想のBASiCSを描くこ
   とが目的だからな。BASiCSはあくまで未来志向。

恵利:マインドフローは、数値化に向くから、どちらかというと現実
   の描写・説明に適してるってことですか?

勝 :そう。正確に言えば、そう捉えると、「理想」と「現実」の
   「やりとり」ができるようになる。

真子:あ! それでわかった! 「やりとり」って、「新人OL、社
   長になって~」のメインテーマだよね!

勝 :何がわかったのか、言ってみろ。

真子:もう! 現実を見ながら理想を考えて、理想を夢見ながら、現
   実を踏まえて考える、ってことでしょ。

勝 :おお! 真子、すげーじゃん。その通り。で、具体的には?

真子:そうだよ、ね、望ちゃん、具体的には?

勝 :人に振るなよ……でも、望ちゃんが今回の本で一番成長したの
   は、確かに「具体性」だから、やってみて。

望 :え? わ、わたし? そうですね……

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆良いフレームワークは、お互いが「チェックポイント」になる
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勝 :まずは、BASiCS→マインドフローという方向で考えてみ
   ようか。典型的なのが、「比較」関門だけど……

望 :あ、そこはわかりやすいです。BASiCSの「強み」が比較
   関門ですから、BASiCSができてれば比較関門はOKです

勝 :そうそう。比較関門ですべきことは、「強み」を伝えるか、
   「強み」を商品・サービスで強化すること。

恵利:なるほど……BASiCSを実行に移すのがマインドフロー、
   ということですね。だからBASiCS→マインドフロー!

望 :はい、自分がやったことがわかりました。BASiCSで考え
   たことをマインドフローの各関門で現実に落とし込んだんです

勝 :逆に言えば、BASiCSができてないと、マインドフローの
   比較関門でつっかえる。つまり??

望 :つまり……? あ! マインドフローがBASiCSのチェッ
   クポイントになる!!

勝 :そう! マインドフローの「比較」関門でお客様が止まる、と
   言う場合は、BASiCSの「強み」を再確認した方がいい

恵利:なるほど~。マインドフロー以前の問題として、競合の設定が
   間違っている可能性があったりするわけですね。

勝 :そうそう。他にもあるよ。例えばマインドフローの「興味」関
   門を超えられない場合は? ほら、真子も考えろ

真子:え? そ、そんな、突然振られても……

恵利:何よ真子、人には振っておいて。「興味」関門で止まる場合、
   BASiCSの「メッセージ」を確認、ってことですよね?

勝 :そう! さすが! 恵利ちゃんと望ちゃんは話が早いなあ……
   上の表に書いただろうが……

真子:な、なによ、たまたまよ……

勝 :じゃあ、次は、逆。マインドフロー→BASiCSに戻してみ
   よう。例えば、愛情関門から、BASiCSに戻すと?

恵利:えっと……あ、そうか、愛情関門を超えた人っていうのは、既
   に「顧客」と「強み」の一貫性が取れている人!

勝 :そうそう。だからどうすればいい?

望 :どんな人が、どのように愛情関門を超えたのかがわかれば、現
   時点でのBASiCSがわかる!

勝 :そのためにはどうすればいい? ほら、真子も考えろ。あの本
   でやったぞ。オレ、望ちゃんに何て言った?

真子:うん! 望ちゃんに、「お客様のナマの言葉をメモしろ」って
   言って、私が茶化したら勝さんに怒られたよ……(P.85)

勝 :ははは、そういうのは覚えてるんだな。で? 何でナマの言葉
   をメモするんだ?

真子:だって、うちの店で食べてる方は、既に「購買」「利用」関門
   を超えた人だから、「顧客」と「強み」の一貫性がある。

勝 :OK。間違えてたら、社長としてメンツ立たなかったな、はは

真子:大丈夫ですよーだ……でもドッキドキでしたけど……。でも、
   来店者を見れば、うちの強みが活きるお客様がわかりますね。

勝 :そう。愛情関門を超えた人が、自社の有力な顧客ターゲットだ
   から、それでBASiCSの「顧客」が埋まる。

恵利:あ、さっきのBASiCS→マインドフローとは、逆ですね。
   今度はマインドフロー→BASiCS、ですね。

勝 :そう! 比較関門を埋めるのは、BASiCS。逆に「顧客」
   や「強み」をマインドフローを使って埋めて行く。

望 :勝さん、「強み」を埋めるには、お客様のナマの声を確認して
   ウチをお選びいただいた理由を探ればいいんですよね!

勝 :そう! それを望ちゃんにやって欲しかったの。これが、「新
   人OL、社長になって~」 P.174の本当の意味ね。

望 :え……? あああ! ホントだ!! 私、本の中で既にやって
   ました!

勝 :そうそう。意外に自分がやったことって気づかないでしょ。

望 :じゃ、じゃあ……自分でやったように見えて、実は勝さんの手
   のひらの上で……ええええ……

勝 :違う違う。「わかる」から「できる」に行くときは、そんな感
   じのプロセスをたどる。

望 :え? どういうことですか? 知らず知らずのうちにやる?

勝 :本を読むと、その時点ではわかった「つもり」になる。で、実
   際にやってみるとできない。で、自分で試行錯誤して……

望 :あ……こうやって振り返ってみると、実は自分が理論通りに動
   いてたことがわかる……

勝 :そう! 実は答えが本の中に書いてあった、ということには、
   やってみて「後で」気づくんだよね

望 :えええ……なんか踊らされていたみたいで……。今、タネ明か
   しするなんて、勝さん、ズルイです……

勝 :いや、実行したからこそ、わかる、から、できる、になったっ
   てこと。

恵利:すみません、今のお2人の会話から推測すると、愛情関門を超
   えたお客様様に、強みを聞けばいい、ってことですよね?

勝 :そう。そうやってBASiCSを埋めて行く。これが、マイン
   ドフロー→BASiCSの方向性ね

真子:あ! それが、さっき言ってた、「規範的」と「描写的」のや
   りとりだ! やっと私も追いついたよ、あははは

勝 :そう! 「こうあるべき」というBASiCSと、「実際はこ
   う」というマインドフローを相互に使って、ほら、せーの……

3人:グルグル回す!!

勝 :せーかい!! それが「規範的」と「描写的」のやりとり。そ
   れに適してるのが、BASiCSとマインドフロー

望 :すっごーい! そんなことを自分でやってたなんて……この2
   つ、相性いいっていうか、同じものだなんて……

勝 :マインドフローがわからないと、BASiCSが実戦できない
   と言っていいくらいにマインドフローは重要。

真子:そ、そうなんだ……

勝 :逆に言えば、マインドフローをよく知れば、BASiCSの理
   解がさらに深まる。だからマインドフローもきちんとやろう。

3人:はい!
次号に続きます!
この特集のテーマ、「新人OL、社長になって会社を立て直す」、ま
だお読みになられていない方はぜひ!

「新人OL、社長になって会社を立て直す」
 佐藤 義典 (著)  1,140円

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「売れる会社のすごい仕組み」のリニューアルであり、基本的には同
じ内容ですので、そちらをお持ちの方は、お買いにならなくて大丈夫
ですよ。

 

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◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●BASiCSとマインドフローと相性が良い。互いに「やりとり」
 して、「規範」と「描写」を使いこなそう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.126 2011/09/26
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●マインドフローは、他の相性の良いフレームワークと組み合わせる
 戦術を考えるのに最適!
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◆前回の復習
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

恵利:勝さん、前回の復習からですよね?

勝 :さすがよくおわかりで。

恵利:前回は、フレームワーク(考え方)をバラバラに使うのではな
   く、互いに相性の良いフレームワークを使おう、と……

勝 :そうだね。それで、フレームワーク間の「つながり」、すなわ
   ち一貫性と具体性で考えて行く。

望 :前回、戦略BASiCSとマインドフローは表裏一体、ってい
   うのは、新鮮な驚きでした!

恵利:「規範的」なBASiCSと「描写的」なマインドフローって
   言うのは、勝さんには珍しくアカデミックな対比ですよね。

勝 :珍しい、って……一応、オレもこう見えて結構勉強してるんだ
   けどさ……

恵利:い、いえ、そういう意味じゃなくて、勝さんは、わかりやすい
   表現がお好きなのかと思って……

勝 :恵利ちゃんだけならいいけど、真子がいるときはそうしないと
   真子がわからないからな、真子?

真子:はいはい。私にもわかる表現だと、規範的っていうのは「こう
   すべきだ」で、描写的は「こうなってる」ってことね。

勝 :ホント、大学の先生とかもそういう表現にしてほしいよな。わ
   ざ英語でPrescriptiveかDescriptiveか、とか言わないでさ。

真子:ホントですよ! それなら私にもわかるのに。

勝 :ムズカシイ言葉を使うときは、虚勢をはりたいか、ゴマかした
   いか、説明が面倒か、だな。で、その規範的と描写的は?

恵利:「こうすべき」と「こうなってる」をやりとりしながら考える
   のがBASiCSとマインドフロー。

望 :例えば、マインドフローの比較関門でお客様が止まってたら、
   BASiCSの「S:強み」を見直す、などですね。

勝 :素晴らしい。じゃあ今回も「フレームワークの組み合わせ」に
   ついて考えて行こう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆マインドフロー×4P
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :真子、4Pって覚えてるか?

真子:もっちろん! 前作の「新人OL、つぶれかけの会社をまかさ
   れる」でやったよね。

勝 :じゃあその4つ、英語で言ってみろ

真子:Product, Promotion, Priceと……あれ、何だっけ?

望 :あとは……Placeよ、真子ちゃん。「新人OL、つぶれかけの
   会社をまかされる」だとP.163ね。

真子:あはは、そうだそうだ。昔だから忘れちゃったよ。何か懐かし
   いなあ……マーケティングのマの字も知らなかった頃が

勝 :マーケティングを知ってる、っていうなら、じゃあ4Pくらい
   言えるようにしとけ。

真子:勝さんのい、じ、わ、る♪ これって覚えにくいんだもん。

勝 :4Pだと、確かにどのPかわからなくなるよな。オレもたまに
   忘れるんだよ……

真子:え? 勝さんが忘れるんなら、私が忘れても何の問題も無いよ

勝 :その開き直りはどうかと思うが、確かに覚えにくいから、あの
   本でもこういう言い方にしただろうが。
 ・売り物(Product):商品・サービス
 ・売り方(Promotion):広告・販促
 ・売り場(Place):チャネル
 ・売り値(Price):価格・価格帯
真子:そうそう、これこれ。で、これがどうしたの?

勝 :これこれじゃねーよ。この4Pはすっごい使いやすい。ホント
   は、「新人OL、社長になって~」でも出したかったけど。

真子:へー、勝さん、他の人が作ったフレームワークはキライなのか
   と思ってた。「ジブンガーZ」だから。

勝 :ふざけんな。3つの差別化軸だって、オレのオリジナルじゃな
   い。使える、と思えば使う。4Pも使いやすい。

恵利:このシリーズ3号目でも、「アンゾフのマトリックス」の例を
   あげてらっしゃいましたよね。

恵利が、キレイにまとまった自分のノート(真子いわく、「恵利ノー
ト)を見ながら言った。
真子:さすが恵利! うまくまとめてるね。

勝 :オマエが言うな。それはオレのセリフだ。

恵利:でも、あんまりフレームワークを増やさない方がいいっておっ
   しゃってましたよね?

勝 :そうそう、だから、どうすればいいと思う? フレームワーク
   がバラバラにならないようにするためには?

真子:さあ?

望 :えっと……BASiCSとマインドフローみたいに、「組み合
   わせて使う」んじゃないですか?

勝 :さっすがあ! 恵利ちゃんと望ちゃんは優秀だなあ……なあ、
   真子?

真子:ホントだねえ……さすがだよ。

勝 :オマエのそのイヤミをイヤミと取らない脳天気さはそれはそれ
   で大した独自資源だけどな……

真子:え? イヤミだったの? 何それ! ひっどーい!

勝 :なんだ、鈍感なだけか……で……マインドフローと4Pは、相
   性がすごくいい。だからこれも組み合わせて使う

望 :私、わかりました。というか、やってました。

勝 :え?

望 :「新人OL、社長になって~」の、P.127のマインドフロ
   ーの図がありますよね。

真子:どれだっけ?
真子が、本のページをパラパラとめくった。
真子:あ、これか。縦軸に、マインドフローの7つの関門が並んで、
   関門ごとに説明がある図ね。

望 :マインドフローのポイントって、お客様がどの関門で止まって
   いるかによって、打ち手が違うということですよね。

勝 :その通り。それで?

望 :ですから、このP.127の図の関門ごとの「行うべきマーケ
   ティング施策」を4Pで考えればいいんですね。

勝 :そう!! その通り!! 要はこんな感じ。
勝が、恵利に「恵利ノート」を借りると、その上に、図を書いた。
真子:勝さん、字がヘタなのはいいとして、もっと丁寧に書いてあげ
   なよ……恵利ノートが可哀想だよ……

恵利:い、いえ、勝さんに書いてもらえるなんて光栄で……

勝 :そうだそうだ。真子ももっとオレを敬え。で、こんな感じ。
      売り物←→売り方←→売り場←→売り値

  認知

  興味

  行動

  比較

  購買

  利用

  愛情
勝 :これ、さりげなく書いてるけど、このチャート、すっごい価値
   があるチャートだからな。オレの売り物、垂れ流し。

恵利:なるほど、縦軸にマインドフローの7関門、ヨコ軸に4Pを取
   って、埋めて行くわけですね

勝 :BASiCSができている、という前提で、具体的な戦術を考
   えるフレームワークとしてはこれが一番使いやすいな。

真子:でも、ポイントは埋め方だよね?

勝 :例によって、これはアイディア出しのツールでもある。具体的
   な打ち手を、関門ごとに考えて行く。

真子:この上でアイディアを出していくと考えやすいよね!

勝 :そう。で、真子、この意味はわかるな? 前号でもやった、
   「新人OL、社長になって~」のメッセージの1つ

真子:うん。アイディア出しのツールと、ロジック整理のツールが一
   緒だと、一貫性がとれる。一貫性と具体性が両立する!

勝 :前回、BASiCSは規範的で、マインドフローは描写的って
   言ったのは覚えてる?

恵利:はい。でも、このマインドフローの使い方は、あまり「描写
   的」って感じはしませんよね? むしろチェックリスト的な…

勝 :そう! よく気づいたね。4Pと組み合わせて、ヌケモレを防
   ぐという意味では、規範的というか未来志向的な描写的。

恵利:な、なるほど……未来を描写しているってことですね……

勝 :マインドフローの規範的な使い方は関門の「数値化」、だね。
   関門の通過率を分析して、低いところを改善していく。

真子:どうやって改善するの?

勝 :だから4Pを使ってだってば。改善すべき関門の打ち手を4P
   で考えるとどうなる? 真子?

真子:だから、打ち手が思いつきやすいんでしょ?

勝 :そりゃそうだけど、ここまでの流れを読んで発言しろよ。

恵利:描写的だと思っていたマインドフローは、規範的な使い方もで
   きる、っていうことですよね?

勝 :そう!! さすが恵利ちゃん!

真子:あ、そうか。恵利すごーい! でもだから何なの?

勝 :真子、オマエがさっき言ったことだよ。

真子:え? 私、何か言った?

恵利:ほら、真子、「アイディア出しのツールと、ロジック整理のツ
   ールが一緒だと、一貫性と具体性が両立する」って……

真子:??

恵利:課題の把握も、その課題の解決も、マインドフローで一気にで
   きちゃう、ってことよ。

真子:なーるほどぉ! 私、いいこと言ったじゃん。

勝 :その本当の意味はわかってなかったけどな。

真子:もう! いいじゃん、本でも結果は出せたんだからさ。

勝 :でさ、このマインドフロー×4Pチャートの、BASiCSと
   の関係は?

真子:え? そ、そんな突然言われても……ヒントはないの?

勝 :BASiCSとマインドフローは表裏一体。

恵利:あ……とすると、BASiCSがこの表の上で現実になる!

勝 :大正解!! 実は、このチャートがBASiCSを実行する際
   のポイントの1つ。

真子:マインドフローのポイント、じゃなくて、BASiCSのポイ
   ント、なの?

勝 :そう。こうやってBASiCSを具体化・現実化していく。

恵利:勝さん……これ、BASiCSの曼荼羅に加えて、さらに広が
   りを持つってことですよね……

勝 :そう! BASiCS、マインドフロー、4Pはこういう重層
   構造になって、互いに関連して……

真子:BASiCS、マインドフロー、4Pが重なって……こりゃ大
   変だね

恵利:ええ……BASiCSだけでも広くて深い曼荼羅なのに……

勝 :こういうのを、行ったり来たりしながら考えるのが、「戦略を
   練る」ってことだ。フレームワークをただ埋めたってダメ。

真子:曼荼羅の中を自由に飛び回る感じ?

勝 :むしろ「潜る」イメージかなあ……BASiCSって、実は、
   氷山の一角みたいなもんなんだよね……

恵利:水面下に、膨大な考え方があるわけですね。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆マインドフロー×4P 飲食業版
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
望が、勝の書いたマインドフロー×4Pの図をじっと眺めているのに
真子が目敏く気づいた。
真子:望ちゃん、どうしたの?

望 :やっぱり……と思って……

勝 :望ちゃん、何か考えてた?

望 :はい! 「新人OL、社長になって~」では、私はこんな感じ
   でまとめてたんですね。
望が、ノートを勝に差し出す。真子にも見覚えがある、シチリアにも
もって言った、あのノートだ。
真子:え? そうなの? 見せて見せて!

望 :お店のマインドフローを考えるのは社長の真子ちゃんの仕事で
   したが、料理自体のマインドフローを考えてみたんです。
       メニュー        スタッフの動き

  認知  わかりやすい料理名
      とその解説

  興味  おいしそうな写真
      こだわり素材の説明

  行動  スタッフのお勧めの言葉  自分の言葉でお勧め
      味の説明

  比較  こだわった点や
      ユニークさを説明

  購買  素材の価値を説明

  利用               お客様に食べ方を説明

  愛情               お客様に感想を聞く

 

真子:ねえ、こんなにいいチャートがあるなら、本に入れれば良かっ
   たのに……

勝 :ページ数が少なかったからなあ……こういうチャートまで入れ
   ると、3冊くらいになるぞ。

恵利:だから今、フォロー解説されてる、ということですよね。

真子:望ちゃん、すごいじゃん! メニューとスタッフの動きを連動
   させてるね。

恵利:望ちゃん、これ、うちの店でも使わせてよ。そうかあ、メニュ
   ーをもっと真剣に考えないといけないなあ……

望 :もちろんいいわよ。私も勝さんに怒られてやっとわかったけど
   メニューって、すごい大事な顧客接点なのよね。

恵利:言われてみれば当たり前ですけど……

勝 :メニューが貧弱だと、接客スタッフに負担がかかる。すると、
   「バラツキのワナ」が起きる。できる人はできるけど……

望 :できない人にはできない……だから、メニューとスタッフの役
   割分担を考えたんです

勝 :ポイントは?

望 :マインドフローの下の方をスタッフにやってもらおうかな、っ
   て。

勝 :それも正解!! 望ちゃん、さすが、売多スクール門下生。

望 :認知・興味は、メニューでできますけど、下の方の関門は、や
   っぱりスタッフからの一言があったほうがいいですよね。

勝 :そうだね。店内で言えば、メニューはマスの間接媒体。店員が
   直接媒体。だからその役割分担でいい。

真子:なるほど……店内では、メニューはマス媒体かあ……確かにそ
   うだね。だから、メニューにできることはメニューにさせて…

望 :店員は、お客様とのコミュニケーションに集中させるのよ

勝 :これはいい。本のP.184~185の間は、「話し合いを重
   ねた」の一言だけど、実際にはこういうことが起きてる。

真子:そ、そうなんだ……知らなかったよ……

勝 :オマエ、社長だろ。何やってたんだよ……まあ役割分担するこ
   と自体は悪いことじゃないけどさ。

恵利:そうなんだあ……本を読むとカンタンそうだけど……真子、大
   変だったのね……

勝 :真子もお気楽そうに見えて、このときはしんどかったと思う。
   偉かったな、真子。

真子:えへへぇ、勝さんにこんな褒められたの、初めてかも。まあ頑
   張ったのは、私じゃなくて望ちゃんとかだけど。

望 :そんなことないわ。真子ちゃんが一番大変そうだったわ。

恵利:勝さん、私は、このチャートの、私の店バージョンを作れ、と
   いうことですよね?

勝 :そう。さっきのマインドフロー×4Pを、そーれ・しちりあー
   のに落とし込んだらさっきの表になったけど……

恵利:それを考えるのは自分、ってことですね。

勝 :そうだね。縦軸はマインドフローで、それでヨコ軸を色々と工
   夫してみるといいよ。自分のビジネスに合わせて、ね。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆マインドフロー×マインドフロー
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恵利:それにあたって質問なんですけど、望ちゃんのこのチャートは
   店自体のマインドフローではないですよね?

勝 :そうだね。

真子:店のマインドフローは私が考えた。それは「新人OL、社長に
   なって~」のP.212~213ね。

勝 :そういうこと。望ちゃんのは、お客さんが来店してから始まる
   マインドフロー。

望 :真子ちゃんが考えた店のマインドフローの中の、「購買」「利
   用」「愛情」関門を抜き出したイメージです。

恵利:ええ? マインドフローの一部を抜き出して、またそれのマイ
   ンドフローを作ったってことですか?

勝 :そうだね。望ちゃんのは、「料理」のマインドフローと言って
   もいいね。料理の「認知」に重要なのがメニュー、ってこと。

恵利:な、なるほど……店のマインドフローと料理のマインドフロー
   ですか……

勝 :で、当然料理のマインドフローは、店のマインドフローの一部
   になるね。真子、他にもあるだろ?

真子:そうだね。ブログのマインドフローっていうのも考えたよ。本
   のP.212で一言言ってるだけだけどさ

恵利:それは何?

真子:ブログをどうやって「認知」してもらって「興味」を持っても
   らうかを考えたの

恵利:な、なるほど。どうなるの?

真子:ブログの「認知」は、来店してからがいいかな、と思って。だ
   から、来店されたお客様にブログのご案内を紙で渡したの。

望 :そーれ・しちりあーのを知らない人にブログを案内しても、あ
   んまり意味ないもんね。

勝 :店全体のマインドフローでみると、利用→愛情関門の強化策に
   なるよな。

恵利:す、すっごーい! 店全体のマインドフローがあって、それに
   料理のマインドフロー、ブログのマインドフローが重なってる

真子:それが、P.212の「ブログ自体の「知る」関門の突破策」
   の本当の意味ね。たった一言だけだけど、結構考えたんだ♪

恵利:真子、すっごーい! それはどうやって思いついたの? 本に
   は書いてなかったわよね?

真子:へっへー、望ちゃんと話しているうちに、そういう結論に達し
   たんだ。念のために勝さんに聞いたら、それでいいって。

勝 :そう。実はマインドフローも相当使い出があるフレームワーク
   だな。それぞれがそれぞれを強化し合う。

恵利:マインドフローだけでも、広くて深い曼荼羅なんだわ……私の
   理解、すっごく浅かったんですね……

勝 :マインドフロー×マインドフローの組み合わせ。まさに曼荼羅
   だね。

恵利:すごいなあ……私、マインドフローって単純でいいな、って思
   ってたけど、こんなに深いんだ……

勝 :BASiCS、マインドフロー、4Pを組み合わせると、マー
   ケティングのほとんどはカバーできるよ。それだけでいい。

真子:だ、だめだよ、まだ残ってるじゃん。

勝 :あれ? そうだっけ?

望 :プロダクトフロー、よね、真子ちゃん

真子:そうそう。あれ、シンプルだけど使いやすいよね!

勝 :あ、そうかそうか。マインドフローと相性いいよな。

望 :すっごく! だってそれが、この本の見せ場の1つになってる
   マルサラワインのチョコレートケーキの……

勝 :そういえばそうだよな。じゃあ次回はそれで行こう。

 

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◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●マインドフローは、使いやすくて、しかも奥深いフレームワーク。
 相性の良い他のフレームワークと組み合わせて使おう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.127 2011/09/29
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●マインドフローとプロダクトフローは相性が良い。組み合わせて使
 い、「美しい流れ」(=フロー)を作ろう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆前回の復習
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

望 :では、前回の復習ですね。前回は、マインドフローと、他のフ
   レームワークを組み合わせました。4Pなどですね。

恵利:マインドフローとマインドフローを組み合わせるというか、あ
   る関門を越える手段にもまたマインドフローがあって……

真子:マインドフローの「利用」「愛情」関門のために「ブログ」を
   作ったら、ブログ自体のマインドフローの「認知」を考える

勝 :それはどうするんだ?

真子:ブログの存在を「認知」させるチラシをお客様に配る!

勝 :まだ止まらない。その「ブログを知らせるチラシ」の「認知」
   はどうするんだ?

真子:えっと……スタッフがお客様に手渡しして……

勝 :そのチラシに「興味」を持っていただいて、「読む」という
   「行動」を取っていただくためには?

真子:あ、そっか……チラシの内容とか、キャッチコピーを考える!

勝 :その「キャッチコピー」を「認知」していただくためには?

真子:大きく目立たせるようにして……

勝 :それより、スタッフが手渡しするように一言添えた方がいいだ
   ろうが。

真子:確かに……って、そこまで細かく考えなきゃいけないんだ!

勝 :当たり前だ。BASiCSも、会社のBASiCS→事業部→
   製品、とBASiCSで掘っていくが、マインドフローも同じ

恵利:深いですよねぇ……

勝 :みんな、フラクタルってわかる?

真子:わかりませーん!

勝 :自己相似性。わかりやすくいうと、恒星が回って銀河系を作り
   地球は太陽の周りを回り、月は地球の周りを回って……

望 :みんな同じカタチですね。大きい球の周りを小さい球が回る

勝 :電子が原子核の周りを回るのもそうだよな。球形じゃないかも
   しれないけど

真子:ホントだ! みんな球の周りを回ってる!!

望 :えっと……マインドフローも、ある関門を越える媒体の、さら
   にマインドフローがあって、さらに……ということですか?

勝 :そうそう。厳密には違うかも知れないけど、イメージはフラク
   タル。

恵利:あ、あれ? まさか……曼荼羅もフラクタル? 大きな仏様の
   周りに小さな仏様があって、そのまた周りに……

勝 :そう! 曼荼羅を考えた人って、フラクタルをイメージしてた
   んじゃないかな。無限の深さを表すために。想像だけど。

恵利:なるほど……マインドフローも曼荼羅なんですね!

勝 :BASiCSもマインドフローも、みな同じ。自己相似性を持
   ってるんだよね

真子:え~、わかんない!

勝 :そうだろうな。十何年もかけて、何万回も考えると、わかるよ
   うになるよ。それまでは実直に考えて、実戦し続けるしかない

真子:はーい。まだ先は長いんだなあ……ふう……

勝 :ということで、今日の内容に行こうか。今日は、プロダクトフ
   ローだな。これもシンプルで使いやすいツール。

 

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◆プロダクトフロー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃ、真子、プロダクトフローを説明して。

真子:はーい。
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  あげる商品    売れる商品    売りたい商品

(等幅フォントでご覧下さい)
勝 :そうだな。じゃあ、望ちゃん、これとマインドフローの関係は
   どうなってる?

真子:なんで私に聞かないの?

勝 :真子には答えられなさそうだから。気を遣ってやった。

真子:あ、ひっどーい! わかるもん。こんな感じだよね。
                     ■■■
            ■■■      ■■■
   ■■■      ■■■      ■■■
  あげる商品    売れる商品    売りたい商品

  認知→興味→行動→比較→購買→利用 →愛情
真子:それで、「あげる商品」が、マインドフローの認知関門とか興
   味関門を通過させる役割を果たすんだよね。

勝 :おー、よくできた。

恵利:何言ってるのよ真子、例の「新人OL、社長になって~」の、
   P.181そのままじゃないの……

真子:あーもう、恵利は黙っててよ……でもね、今回はいい事例があ
   るんだよ、勝さん♪

勝 :へー、どうしたんだ?

 

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◆おみやげは、加賀屋の「クチコ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:こないだ、和倉温泉の「加賀屋旅館」に泊まってきたんだ♪

勝 :石川県のあの加賀屋か? 豪勢じゃねーか。稼いでる会社は違
   うねー。誠にいいご身分だことで……

真子:勝さんも真子と一緒に行きたかったんだあ♪ ご、め、ん、ね
   でも一緒に行ったのは望ちゃんだから心配ご無用だよ、はーと

勝 :何の心配もしてねーよ。

望 :「売れる数字」*で取り上げられてて、すごく興味があって…
   で、行ってみたんです。

*「売れる数字 ~組織を動かすマーケティング~」 佐藤義典著
http://ow.ly/32zKP
勝 :典型的な密着軸の事例だから、そーれ・しちりあーのと合うか
   もな。で、どうだったんだ?

望 :すっごく良かったですよ。全体の一体感っていうか……

真子:言葉にはしづらいんですけど、行き届いてるんですよね。色々
   と勉強になりました!

勝 :小学生の読書感想文みたいな感想しか無いのかよ……

望 :支配人さんが「大きい器をいかに小さく見せるか、という所に
   最大のエネルギーを使ってる」っておっしゃってました。

勝 :へー、面白いな。あそこ、規模としては相当大きいよな。旅行
   代理店の団体客が観光バスで乗り付ける規模の旅館だぞ。

真子:でも部屋に入ると、静かだし、そんなに大きいって感じはしな
   かったよ。

望 :あとね、建物の配置も上手だなって思いました。歩かされない
   ようにできてるので、大きい感じがしないんですよ

恵利:一貫性が取れてるってことなんだ……

真子:うん、そう思った。思い切って行ってきて良かったよ。

勝 :で、加賀屋がこのシリーズとどう関係あるんだ?

真子:そうそう、それでね、勝さんと恵利にお土産があるんだ。は
   い、これね!
真子が、勝と恵利に薄い包み紙を渡す。「ありがとー」と言いながら
2人が受け取る。勝が早速無遠慮に包みを開ける。

包みには、三角形の赤く平べったいものが入っている。
恵利:えっと……これ、何?

望 :クチコっていうの。能登の珍味よ、恵利ちゃん。

勝 :これ、結構高いんだよな。ありがと。で、なんでクチコ?

真子:それがねえ……知らない間に買ってたんだよねえ……あははは

望 :私達も、何で買ったのかな、って思って帰りの電車で考えてみ
   たんですよ。そしたら……

真子:あのねあのね、泊まった日の確か夕食にクチコが出てきたの!

勝 :夕食のおかずに、か? これ、酒のツマミじゃないのか?

望 :いえ、3mm四方くらいの小さいクチコが、丁寧な包装紙に入
   って……

勝 :あ、もうそれでわかったからいい。

恵利:ま、勝さん、私、聞きたいです……

真子:そうだよ、聞いてよ! それで、何これ、って客室係のお姉サ
   マに聞いたら、「クチコは能登の珍味で……」って説明が……

望 :たくさんのナマコの卵巣を干して、編んで作ったもので、お酒
   のツマミにいいですよ、って勧められたんです。

勝 :そうだよな。どっちかっていうと珍味の類だよな。

真子:それで終わらないの。その包装紙には「クチコは、ナマコの卵
   巣を干して……」みたいなことが説明してあって……

望 :思わず読んじゃって、で、貴重品みたいなので大事に味わって
   みたんです。そしたら、おいしくって……

勝 :で、加賀屋の売店で売ってたんだろ?

真子:そう! 朝、加賀屋の1Fで「朝市」っていうのをやってて、
   そこで売ってて「あ、昨日のクチコだ!」って思って……

望 :朝市のお店で、能登の珍味とかたくさん売ってるんです。そこ
   でも店員さんが説明してくれて……

真子:説明聞いて思わず買っちゃったんだよねぇ。「おみやげにサイ
   コー!」って思っちゃって……」

恵利:そうなんだ! どんな味がするのか楽しみだわ

真子:でね、他にもいっぱい買っちゃったんだよねぇ……ちりめん山
   椒とかさ……

恵利:な、なんで? それ、真子、好きなの?

真子:それがねえ……朝食に出たんだよ、そのちりめん山椒が……お
   いしかったんだよねえ……

勝 :で、朝市で「朝食に出たちりめん山椒です!」っていうPOP
   でもついてて、思わず買っちゃった、と。

望 :何でもお見通しですね。その通りです。

勝 :ホントセオリー通りに動くお客だな。でも確かにいい事例だ。
   フロー、つまり「美しい流れ」ができてる。

望 :はい、帰りの電車で分析してみて、私もそう思いました。

真子:望ちゃん、さっすがあ!

勝 :だからそれはオレのセリフだっつーの。じゃあその「美しい流
   れ」を望ちゃん、説明して。プロダクトフローだよね。

 

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◆マインドフロー×プロダクトフローの「美しい流れ」
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望 :はい、もちろん夕食に出た小さなクチコが「あげる商品」にな
   ります。

真子:で、「売れる商品」が、朝市で売ってたクチコ、だよね。

勝 :そこまでだったら、温泉旅館で出すおみやげのまんじゅうと同
   じな。これも本でやったよな?

真子:うん、「新人OL、社長になって~」のP.183の話ね。

望 :でも、すごいな、と思ったのは、クチコの「包装紙」なんです
   よね。ちゃんとクチコのことが詳しく説明してあって……

真子:あと、朝市で出てた店頭のPOP。「朝食で出たちりめん山椒
   です」って、ちゃんと書いてある。

勝 :つまり?

望 :つまり、「購買」までの「流れ」があるんですよね。まさに
   「フロー」ができてるんです。えっと……
望が、勝と恵利にノートのあるページを見せる。
      売り物        売り方

認知           夕食包装紙:     
             クチコの説明

興味                    接客係:
                      クチコの説明

行動   夕食サンプル:
     あげる商品

比較           夕食包装紙:   接客係:
             クチコの貴重さ  同左

購買   朝市:     朝市店員:
     売れる商品   お勧め説明

利用                    接客係:
                      酒のツマミに

 

恵利:ホントだ! 上から下まで、モレがありません。自然な流れが
   できてます……

真子:それで、思わず買っちゃったのよねえ……

勝 :そうそう、これがマインドフローとプロダクトフローの組み合
   わせの典型例。

望 :「美しい流れ」ができてますよね……

恵利:勝さん、1つの関門で複数の施策がダブってますよね。

勝 :うん。マーケティングって結局は確率論。だから、いかにして
   モレを減らすかが「流れ」を作るポイントの1つ

望 :実際に自分で体験してみると、施策がうまく「重なって」いる
   のがわかりました。

恵利:望ちゃん、「重なって」るってどういうこと?

望 :何て言うか、クチコの包装紙の説明、接客係さんの説明、なん
   かが少しずつダブってる感じ。「飛び」がないのよ。

恵利:そっか、モレる確率を下げてる、ってことだよね。

望 :これだけやられるとイヤミになっても良さそうですが、それが
   全然そうではなくて……

勝 :ホントにすごいのはそこかもな。「流れ」が自然で、イヤミに
   ならないところ。「美しい」んだよな。

望 :あ!!

真子:ど、どうしたの、望ちゃん……

望 :真子ちゃん、今思い出したんだけど……部屋に案内されるとき
   に客室係さんから「朝市」を朝やってるって聞いたよね?

真子:えっと……そうだっけ?

望 :そうよ。

勝 :あーなるほどね。すげー。

真子:な、何が?

望 :前回の話よ。マインドフローのマインドフロー。

真子:え? え?

望 :ほら、クチコを買ったのは「朝市」でしょ? その「朝市」の
   マインドフローよ。朝市を「認知」したのは……

真子:あ!! そもそも一番最初に説明をうけてたからだ!!

勝 :「朝市」の「認知」ができてたから朝市に行って、そこで買っ
   たわけだろ? そこでも「流れ」があるな。モレがない流れが

望 :ほら、「朝市は朝10時までです」って言われてたの思い出し
   て、あわてて9:45くらいに駆け込んだでしょ?

真子:そうだそうだ……うわあ……気づかなかったぁ……

勝 :そういう「自然な流れ」を作るのが、マインドフロー、プロダ
   クトフローの真髄だよな。

真子:でもでも勝さん、そーれ・しちりあーのの「マルサラワインの
   チョコレートケーキ」も「美しい流れ」ができてるよね?

望 :ま、真子ちゃん、それを考えたのは私達じゃなくて、勝さんじ
   ゃないの……

勝 :でもまあきちんと実行したのは真子と望ちゃんの功績だな。あ
   れも、マインドフロー&プロダクトフローの真髄。

真子:そうだよそうだよ。ここはぜひ私達の活躍を、お読みになって
   くださいね!
 新人OL、社長になって会社を立て直す 
 佐藤 義典 (著)  1,140円

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◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●マインドフローとプロダクトフローは相性が良い。組み合わせて、
 「美しい流れ」を作ろう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.128 2011/10/03
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●マインドフローと顧客ターゲットを精緻に考えることで、相乗効果
 が生まれる!
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◆ケーキ2つ、お茶2杯で「ドピオドピオ」!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

望 :前回は、マインドフローのケースとして、加賀屋での私達の体
   験を考えてみましたよね。

勝 :そろそろ、そーれ・しちりあーのの話に戻すか。面白いな、と
   思ったのが「ドピオドピオ」な。

恵利:え? 「ドピオドピオ?」 それ何ですか?

真子:うちの午後2時からのデザートプラン。ケーキ2つ、お茶2杯
   のお得なプラン。ドッピオはイタリア語で「2つ」って意味ね

勝 :スタバでエスプレッソ2ショット頼むときも「ドッピオ」だな

恵利:そっか、2時、2つ、2杯、だから……ドピオドピオかあ。真
   子、センスいいじゃん。名前カワイイし。

望 :名前はカワイイけど、結構色々考えて作ったのよ。元々の狙い
   は、午後2時からの閑散時間対策だったけど。

勝 :そこって、「新人OL、つぶれかけの……」のときから、色々
   考えたよな。サボテンの実とか、ビンコットとか考えてたよな
   (P.181~182)

望 :それはもちろん今でもやってますよ。サボテンの実なんかは話
   のタネにはなりますね。

真子:サボテンの実は、タネごと飲み込むしね~、まさに話のタネだ
   よね、きゃはは!

勝 :オレよりひどいオヤジギャグだな、それ……

 

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◆ドピオドピオの戦略的な意味は?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:ね、ドピオドピオで意外なことがあったんだ♪

恵利:なになに?

勝 :男性客が多かったんだろ。

真子:えええ! 何でわかっちゃうのよ! そうなの、思ったより男
   性の人気が高いのよ。

恵利:え? そ、そうなの?

勝 :っていうか、今、周り見りゃわかるだろ。
恵利が周りを見回すと、その表情が驚きで上書きされていく。土曜日
の午後、確かに30~40代と見られる男性客が結構いる。
真子:なあんだあ……今見てわかったのかぁ。

勝 :それもあるけど、恵利ちゃん、もっと詳しく見て。

恵利:え? えっと……?
再び周りを見回す恵利。真子もなになに、と首を回す。
恵利:あ……男性客はみんな1人でいらしてる!

真子:え? そ、そうなの?

勝 :何だよ、真子、気づいてなかったのか。

恵利:うちの店でも、結構男性がフルーツケーキを買っていかれます
   けど……家族用かと思ってたんですけど……

勝 :若い人も買ってるでしょ? それ、結構自分1人でガツガツ食
   べてると思うよ。

真子:きゃはは、勝さんみたい!

勝 :そうそう。で、男の甘党は、女性用のデザートじゃ全然足りな
   い。大きいコンビニデザートは、男性が買うみたいだぞ。

恵利:あ、だからデザート2つのドピオドピオが魅力的なんだ!

真子:な、な~るほどお! そう言われてみれば、男性は、ボリュー
   ムがあるのをぺろりと召し上がるよ

恵利:男性が1人で来る理由はあるんですか?

勝 :うん、もちろんあるよ。

真子:勝さんは、一緒に行ってくれる女の子がいないからだよね~♪
   マ・コ・が一緒に行ってあげるのに~♪

勝 :うるせーな。そこじゃねーよ。1人で来てる男性は何してる?
さらに周りを見回す一同。
恵利:あ……仕事してる! だから1人なんだ!

勝 :今日は土曜日だけど、結構そういう人多いよな。服装は?

真子:えっと……あれ? スーツじゃない……仕事してるのに……?

勝 :自由業が多いんだろ。オレみたいなコンサルタントとか、1人
   でやってるデザイナーさんとかさ。土曜日もフツーに仕事する

恵利:ど、どういうことですか?

勝 :最近「ノマド」って言われる、カフェとかで仕事する人は結構
   いる。そんな人に、ドピオドピオはぴったり。で、何でだ?

真子:えっと……仕事できて……デザートたっぷりで……お茶も2杯
   飲めて……ホントだ! へー、「ノマド」っていうんだあ……

勝 :っていうか、そういう人は結構昔からいたんだけど、ノマド、
   て名前がついて、呼びやすくなった。

望 :確かに、そういう方、平日は多いです!

勝 :ここは居心地よくて、デザートもお茶もたっぷり、のドピオド
   ピオがあって、ノマドには天国みたいなところだ。

真子:それに、望ちゃんみたいにカワイイ女の子もいるしね。ウチの
   看板ム・ス・メだからね♪ 結構話しかけられるでしょ?

望 :う、うん……そうだけど……

勝 :何で「真子みたいにカワイイ」って言わないんだ? 一体どう
   した? 何か悪いモノでも食ったのか?

真子:しっつれーねー、だって私、最近接客してないもん。してるん
   ならそう言うよ。

勝 :この店がウチのオフィスに近かったらオレも毎日来るよ。望ち
   ゃん目当てに。

望 :そ、そんな……私なんか……

真子:勝さん節操ないね、恵利がいいって言ったり、望ちゃんがいい
   って言ったり。でも、ホントは真子がお、め、あ、て、はあと

勝 :無視。で、ノマドの方々に来て欲しかったら、どうするんだ?
   ちなみにオレもノマドだけどな。

真子:わかってる。電源とWiFiだよね。パソコンお使いになるか
   らね。

勝 :そうそう。1巻目の「新人OL、つぶれかけの会社を……」で
   やった通りだな(P.74~75)

真子:でもまあそこまではやらなくていいかな、って気がする。女性
   メインにしたいし。

勝 :そこはもう「選択」の問題。どこを狙うかは「決め」の問題。
   決めるのはもちろん社長のオマエだ。

真子:はーい。わかってまーす。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ドピオドピオのマインドフロー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

真子:じゃあ次は、ドピオドピオのマインドフロー?

勝 :その前に、そーれ・しちりあーの全体として考えて見ると、ド
   ピオドピオは、どの関門の打ち手になる?

望 :そーれ・しちりあーのとして見ると、愛情関門ですよね。何回
   もいらしていただく、ファン化の打ち手、です。

真子:あと、利用関門の打ち手でもあるよね? 利用機会を広げても
   らう、という意味で。

勝 :そうだな。じゃあ今度はドピオドピオ単体でのマインドフロー
   を考えてみようか。

真子:このシリーズでやってきてる、マインドフローのマインドフロ
   ーだね。まずは認知関門から……

望 :午後にはドピオドピオのカンバンは出しますので、それでいら
   っしゃる方もいますが、やはり昼食から、ですね。

真子:うん、ランチにいらして、それでドピオドピオの存在を知って
   からいらっしゃる方が多いかな。

恵利:じゃあ、ランチのときにそのドピオドピオの存在を知らせるこ
   とが重要ですよね? 店内カンバンなんかで……

勝 :そうだね。ランチ自体が、ドピオドピオの認知~興味関門にな
   るってこと。ランチがドピオドピオの「呼び水」になる。

望 :あ、加賀屋で感じた「重なり合う感じ」っていう……

勝 :そう。違和感も押しつけもなく、自然な流れを作る。じゃあ、
   行動関門以降は?

真子:あまりやりたくなかったんですが、ランチの時に、ドピオドピ
   オの割引券配りました。

勝 :誰を対象に?

望 :ランチにいらした方全員に、ですが、やっぱりスーツのビジネ
   スパーソンの方はいらっしゃらなかったですね。

真子:そりゃそうだよね。そういうビジネスパーソンはドピオドピオ
   の時間はオフィスで仕事してるもんね。

勝 :そうそう。ターゲットを考えないとな。割引券以外に、何かで
   きないのか?

真子:うーん、アイスクリームプレゼントとかはできなくはないけど
   どうかなあ?

勝 :ケーキ2つにアイスクリームかあ……オレはフツーに食えるけ
   ど、すごいカロリーだな。

恵利:じゃあ、さっき言ってたサボテンの実とかは? ランチにいら
   した方のみのプレゼント特典はどう?

勝 :あ……確かにそうだ。あとビンコットもそうだよな?

真子:うん、それならいいかも! ドピオドピオのドリンクをビンコ
   ットに無料で変更できる特典!

望 :そうですよね……早速試してみたいです。今まで何でそんな当
   たり前のことに気づかなかったんだろう? 

勝 :深く知っちゃうと、単純なことに気づかなくなる。だから、恵
   利ちゃんとかオレみたいに「わかってる素人」がいるといいな

真子:わかってる素人、って、レストランは知らないけど、マーケテ
   ィングはわかってる人、ってこと?

勝 :そう。だから今日は恵利ちゃんにいてほしかったんだよ。

真子:ふーん。知らないから、わかることがある、かあ……

勝 :それはコンサルタントの存在意義の1つでもある。で、今度は
   逆に、ドピオドピオが「他の商品の呼び水」になるよな?

真子:もちろん! やっぱり、ドピオドピオのときにディナーを訴求
   したり、ですね。

勝 :じゃあ、それをプロダクトフローで整理すると?

恵利:私にやらせてください。売れる商品がランチ、売りたい商品
   がドピオドピオ、ディナーがもっと売りたい商品、ですね。

勝 :そんな感じだね。全体としてうまく流れてるからいいんじゃな
   いかな。

 

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◆マインドフロー×マインドフロー×ターゲティング
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望 :他の商品の「呼び水」、という意味では、ドピオドピオに来る
   お客様が料理教室にいらしたりするようになりました!

恵利:へー、料理教室なんてやってるんだ?

真子:うん。うちのシェフにやってもらってる。結構人気だよ。

望 :ドピオドピオとあえて同じ時間帯になるようにしてるのよ。だ
   から、ドピオドピオで料理教室を見て興味持ってくれるの

恵利:わざと同じ時間にやってるんだあ。だから、「認知」できるん
   だね。

真子:それに、料理教室でお友達になったマダムの方達が、ご一緒に
   ドピオドピオにいらしていただけるようになったんだ♪
   (「新人OL、社長になって~」 P.214)

勝 :まさに「ドピオ」だな。1人で料理教室行って、2人の友達に
   なって、ドピオドピオにいらっしゃる。

真子:え……きゃははは、おもしろ~い! うん、そうだね~。

勝 :でさ、その効果って最初から狙ってたんじゃないのか?

真子:え? あ、も、も、もちろん、そ、そうだよね、望ちゃん?

望 :あ、あの……正直に告白すると……たまたまです……

勝 :じゃあさ、なんでそれが起きたんだと思う?

真子:え? そ、それは……料理教室にもドピオドピオにも興味を持
   っていただいたからでしょ?

勝 :だからそれは何でか、って聞いてる。

望 :同じような嗜好をお持ちの方だから、ですか?

勝 :まあそうなんだけど、なんでその人達が互いに友達になられた
   んだと思う?

望 :それは……

恵利:あ、あの……似たような人達だからじゃないですか? 嗜好が
   同じで、その時間帯に店に来れて……

勝 :そう! 料理教室に参加するっていうニーズ、行動時間、マダ
   ム、などなどの共通点が多い方々だろ?

真子:そっかあ……それが、主婦とビジネスマンだったら友達になら
   ないよねえ……

勝 :あのさ、人は自分と同じような人と一緒にいると安心するんだ
   よ。これが、ターゲットを絞ることが重要である理由の1つ。

望 :え? あ、なるほど~。自分と同じ人と一緒にいると、安心す
   る、かあ……

勝 :だから、マインドフローやプロダクトフローを考えるときは、
   ターゲットを合わせて考えないといけないな

恵利:そうしないと、今のように、ドピオドピオと料理教室の行き来
   が起きない、ということですよね?

勝 :そういうこと。互いが互いの「認知」の呼び水になるっていう
   のは、ターゲットが同じだからこそ起きる。

望 :うわあ、マインドフローのマインドフローを考えながら、ター
   ゲットも合わせるんですね……

勝 :よく「相乗効果を生む!」って言うけど、ここまで具体的に考
   えないといけないんだよ。言葉だけじゃダメ。

望 :確かにそうですね……人を合わせて、時間を合わせて、商品を
   合わせて……具体的っていうか細かいっていうか……

勝 :っていうか、望ちゃんたち、それでうまく行ってるんでしょ?

望 :えっと……どっちかっていうと……たまたまで……

勝 :いや、そんなことない。午後の閑散時間のターゲットをマダム
   って決めたから自然にそうなったの。

恵利:なるほど! 顧客ターゲットを絞って考えれば、自然に相乗効
   果が出るんですね!

勝 :そういうこと。

真子:あ、勝さん、真子と勝さんは全然違うけど、真子は勝さんと一
   緒にいてあ、げ、る、はーと。

勝 :オマエ話の腰を折るなよ……オレ等は親戚だから似てて当然な
   んだよ、あんまり認めたくないけどさ……

真子:またまた照れちゃってぇ……

望 :今の内容って、本に書かれてなかったですよね?

勝 :うん。例えば、小さい子供連れの家族と、カップルの2人連れ
   が同じ空間にいると、どちらもイヤだろ?

望 :は、はい……どちらも気を遣いますよね……

勝 :でも、みんなが小さい子供連れの家族だったら、気兼ねなく騒
   げるし、子供同士が友達にもなるよな?

真子:そっかあ、だから、似たもの同士っていうか、マダムさんたち
   が友達同士になるんだね~

勝 :そういうこと。だから、ターゲットは絞った方がいい。子連れ
   の入店は歓迎なのか、お断りか、はっきりしたほうがいい。

真子:じゃないと、どちらにも迷惑ですもんね……

望 :真子ちゃん、どうする? ドピオドピオには、マダムさんと、
   さっきのノマドさん、両方いらっしゃるよね?

真子:なるほどね~。じゃあ、むしろノマド用に、電源入れよう!

望 :ど、どうして? 主婦の方と、ビジネスパーソン、両方来ちゃ
   うよ? 勝さんの今のお話と逆になるわよ?

真子:コーナー分ければいいのよ。電源がある机を2、3割に抑えて
   ノマドの方は、そちらに誘導する。電源あるから嬉しいよ。

勝 :その手もあるな。さすがに「男性お断り」はできないだろうか
   ら、席を分ける。電源をつけるコストも少なくてすむ。

望 :じゃあ、料理教室をやってる場所の近いテーブルはマダム向け
   にして、離れたところをノマドさん向けにすればいいのね。

勝 :そうそう、そういうこと。ドピオドピオにいらしたマダムには
   料理教室を見せたいだろ? ターゲットが一緒だからさ。

真子:そうか、そこまで考えないといけないか……

勝 :ノマドの人は落ち着いて静かに仕事したいだろうから、おしゃ
   べりしてる主婦の方とは席を離した方がいいな。

望 :なるほど……そうですよね。じゃあ、そういう対応にするよう
   スタッフに指導しないと……

真子:確かに密着軸の私達は、それくらいの気配りはしないとダメだ
   よね……うわ、そこまで考えてなかったよ……
真子がゲンコで自分のアタマをコツ、と叩き、舌をぺろ、と出した。
そんな真子を見て、勝が続ける。
勝 :まだあるぞ。マックもスタバも電源つきテーブルを増やしてる
   みたいだけど、電源がついてるのは1人用の席だよな。

真子:あ、なるほどね、4人テーブルに電源つけて、1人のお客様に
   長居されたら回転率が悪くなっちゃうもんね。

望 :あ、じゃあ、電源つきテーブルは、2人用の小さいのにした方
   がいいですね。ちょっと配置を考え直さないと……

勝 :オレさ、夜もよく会食するんだけど、パソコン使いたいんだよ
   な。例え夕食でも、仕事の会食のときは、さ。

真子:そうかあ……ノマドの夜編かあ……じゃあドピオドピオでそう
   いう訴求もありかあ……うーん……もっと考えないとなあ……

恵利:ドピオドピオ、っていうサービス1つ考えるにしても、これだ
   け考えないといけないのだねぇ……大変だわ……

真子:そうそう。ホント、こんなにアタマ使ったの、「新人OL、社
   長になって~」が生まれて初めてだったよ……

望 :しかもまだまだ考えることあるんだですよねぇ……

勝 :失敗するのは、考えるべきことを考えてないか、やるべきこと
   をやってないか、そのどちらか。それしかない。

真子:でも、やってみないとわからないこともあるよね。恵利はいつ
   も考えすぎなのよ。

勝 :オマエは考えなさすぎ。でもまあ、やってみないとわからない
   ことは確かだな。

真子:ねえ、「新人OL、つぶれかけの……」(P.72)でも聞い
   たけど、勝さん、何でここまでレストランのことがわかるの?

勝 :レストランビジネスは知らなくても、レストランの「選び方」
   は顧客としてわかる。大体「選び方」なんてどの業界でも同じ

望 :そうかあ、「達人マーケターへの道」でもやってましたけど、
   普遍化されてるから、ですよね。

勝 :そう。そして、その「普遍化」は体系化・論理化、ってことで
   それに向いてるのが……?
   
3人:マインドフローとプロダクトフロー!

勝 :そうそう、そういうこと。こういうツールが使いこなせれば、
   達人に近い考え方ができるってこと。

真子:私達がどうやって使ったか、その使い方はこの本でね♪
 新人OL、社長になって会社を立て直す 
 佐藤 義典 (著)  1,140円

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◆今日のまとめ
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●ターゲットを絞った上でマインドフロー、プロダクトフローを精緻
 に考えれば、相乗効果が生まれる! ツールを使いこなして、精緻
 に考えよう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.129 2011/10/06
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「お客様の言葉」を記録して、それを手がかりに、「定量と定性の
 サイクル」を回そう!
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◆「新人OL、社長になって~」は、3人の成長物語
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勝 :1冊目の、「新人OL、つぶれかけの~」は、マーケティング
   の基本をやったよな? ベネフィットとか、さ。

真子:そうですけど、今さらそれが?

勝 :で、それは同時に、真子の成長物語でもあった。達人レベルで
   言えば、まあ初級になったくらいか……

真子:そ、そんな昔のこと、持ち出さないでくださいよ……恥ずかし
   いじゃないですか。で、それがどうかしたんですか?

勝 :今回の、「新人OL、社長になって~」は、もちろんその続編
   であり、応用編なんだけど、同時に……誰の成長物語だ?

真子:あ、わかった! 私はもちろんだけど、望ちゃんと清川さんの
   成長物語だ!

勝 :ああ。真子はもちろん、望ちゃんと清川さんも、一皮むけたよ
   な。色々な意味で。

望 :はい。私も、僭越ですけど、伸びたかな、って思います……も
   ちろん勝さんのおかげなんですけど……

真子:今回は、望ちゃんと清川さんの助けなしには、成功はありえな
   かったからねぇ……

恵利:ねえ、どんなところが成長したの? 教えて教えて!

真子:うん、ちょっと恥ずかしいんだけどね……

 

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◆定量と定性のサイクルを回そう!
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真子:まずはやっぱり「数字のチカラ」だよねえ……せ・す・じ・評
   価とか、戦略指標とか……

望 :それで思ったのは、やっぱり「測ってみないとわからない」っ
   てことかなあ……

恵利:どういうこと?

望 :あのね、料理の味がおかしい、っていうコメントがお客様から
   出始めたのね。

真子:あ、私が、シェフの清川さんっていう人を、配置転換したの。
   それで、シェフがいなくなっちゃったんだよね。

望 :うん、はっきりとしたクレームというわけじゃなかったんだけ
   ど、それが何件か続いたから……

恵利:それでどうしたの? さすがに、「料理の味」は計測しづらそ
   うだよね……?

望 :だからね、料理が出てくるまでの時間を計ってみたの。キッチ
   ンの手際が明らかに悪くなってたから……

恵利:そしたら、やっぱり遅くなってた?

望 :そうなの。はっきり数字で出たわ。遅くなってる、っていう
   「感覚」が「数字」になったのよ

恵利:へえ……

望 :それで、「これは何かがおかしい」っていう確信を得て、その
   清川さんっていうシェフの人に問いかけたの。

勝 :そう、それがまさに「定量と定性のサイクル」なんだよな。

望 :それが今回、私が得られたことなんです。「おかしいな」と思
   ったら、それで止めないで、何かを測ってみること。

恵利:それが「定量化」ですよね。とにかく数値化する……

勝 :うん。今回、望ちゃんが偉かったのは、「味がおかしい」って
   言われて、それは数値化できない、って諦めなかったことだね

真子:うん、望ちゃん、えらい!

勝 :「味」は測れなくても、「キッチンに何か問題がある」ってい
   う風に捉えれば、「手際の悪さ」を数値化すればいいよな

恵利:なるほどぉ……別に直接その数字が測れなくてもいいんですね

勝 :そう、「洗い出したい問題」を測りたいわけだからね。味も、
   手際の悪さも、「キッチンで何かが起きてる」ってことでしょ

望 :「定量と定性」って勝さんにしつこく言われてたから……どう
   やって定量化しようかな、って考えて……

勝 :でさ、なんで「料理が出てくる時間が遅い」っていうことに気
   づいたの?

望 :キッチンを見てたんです。清川さんがいなくなってから何が変
   わったのかな、って。別に料理が変わった訳ではありませんし

勝 :そう!! 現場を見るんだよ。原因はどこにありそうか、と考
   えて、その現場を見る!

望 :そしたら、アタフタしてたり、前より、明らかにスムーズじゃ
   なくなってたの。清川さんがいたときはそんなことなかった。

真子:へえ、そんなことがあったんだねー。私も知らなかったよ。

恵利:「新人OL、社長になって~」のP.122にサラリと書いて
   あることなのに、こんな背景があったんだあ……

勝 :ビジネスにおいては、測れないモノなんか無い。真子、オマエ
   の今の幸福度ってどれくらい? 100点満点で。

真子:ええ? 何ですか、突然……えっと、90点くらいかな? な
   に、勝さん、真子をもっと幸せにしてくれるの? わーい!

勝 :実は数字自体はどうでもよくて、幸福度みたいな曖昧なもので
   さえ数値化できる、っていうのがポイント。

望 :あ! 確かに、それなら測れないものなんか無いですね……

勝 :顧客満足度とかだってもちろん数値化できるしな。

真子:で、どうなの? 90点って高いの? 低いの?

勝 :平均的な答えは70点くらい。真子は幸せで良かったな。まあ
   オマエはいつも幸せそうだから大丈夫だよ。

真子:何よ、それぇ……でも、確かに望ちゃんのこの成長があったか
   らこそ、せ・す・じ・評価が回ったんだよね!

望 :そう言ってもらえると嬉しいわ。

 

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◆人を動かす数字のチカラ
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恵利:で、その清川さん、っていうシェフの人に、味が変わった、っ
   て言ったの?

真子:あ、そうそう。いつもはね、すっごい怒りっぽい人なんだよね

望 :清川さんに「手際が悪くなってる」って言ったときも、内心ド
   キドキしてたのよ。また怒鳴られるかな、って思って。

恵利:それで、どうだったの?

望 :なんかね、拍子抜けするくらい、あっさり受け入れたわ。

真子:私も、清川さんが怒鳴って来たら、怒鳴り返そう、と思ってコ
   コロの準備してたんだけど、肩すかしだったよ、あはは。

勝 :それが数字のチカラだな。

真子:うん。あの清川さんも、数字に対しては「ウソつけ!」とか言
    わなかったしね。
   (「新人OL、社長になって~」 P.122)

望 :そうだよね……あの怒鳴ってばっかりの清川さんが……

真子:「たしかにおかしい」とか言っちゃってさ、そんなこと清川さ
   が言うの、初めて聞いたよ。

勝 :だから、今まで清川さんが悪かったんじゃなくて、真子達が説
   得できなかったってだけだからな。人のせいにするなよ。

望 :はい……反省してます。根拠も為しに「オマエのせいだ」とか
   って言われたら、私だってイヤですから……

勝 :あ、あと、その「根拠」っていう意味ではさ、望ちゃんがお客
   様の声をきちんとメモしていたのもエライよね。

望 :だって、勝さんにそうしろって、P.84で言われたので……

勝 :いや、ちゃんとやる、っていうのがエライよ。

恵利:そのメモって何ですか?

望 :あ、あのね、お客様の声を気がついたらメモしてるの。今回も
   それで「味がおかしい」っていうのに気づいたんだけど……

勝 :今、そのメモってある? ちょっと見せて。

望 :あ、はい、これです。
望が、ノートのページをパラパラとめくり、あるページを出した。そ
のページには、

○ちょっとソースの味が変わった?
○あれ……なんか味が変じゃない?

などという文字が望らしいきっちりとした文字で並んでいる。
恵利:あ、これが本のP.123の、アレなんだ!

望 :うん。これを清川さんに見せたの。そしたら、真剣に読んでた
   わ。

真子:前はさ、うちの「ウサギのアグロドルチェ」より競合店の方が
   おいしい、って言ってるって言ったら、すごい怒ったよねぇ

望 :そうそう「そんなの誰が言ったんだよ!」とか怒鳴られて……
   アレは悔しかったの……

真子:ごめんね、社長なのに守ってあげられなくて……

望 :ううん、今思えば、結局自分に説得力がなかったってことなの
   よね……ちゃんとメモをとって、こうして見せれば……

勝 :客観的な証拠になるよな。記録に残ってると。

望 :はい。そう思いました。だから清川さんにも「これはウソじゃ
   ない」って感じてもらえたんだと思います。

真子:清川さん、疑うどころか、真剣に読んでたもんねえ……

勝 :そういう「カタチ」にするっていうのは大事だよな。だから、
   メモ取れ、ってオレは百万回言うんだよ。ほら、真子!

真子:は、はい、取ってますってばあ……でも、後で恵利ノートをコ
   ピーさせてもらえば……

勝 :ふ、ざ、け、る、な、よ……

真子:じょ、冗談だってば……

 

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◆「お客様の言葉」を蓄積しよう!
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勝 :でね、この「お客様の言葉」をメモするときのポイントがある

恵利:な、なんですか?
恵利が「恵利ノート」にメモを取りながら興味深そうに勝を見た。
勝 :お客様の言葉をメモするときのポイントとかけて、サントリー
   の山崎ととく。

真子:はあ?

恵利:そ、そのココロは?

勝 :何も足さない、何も引かない。

真子:でたあ……オヤジ……

恵利:お客様の言葉をそのまんまメモする、ということですか?

勝 :そう。お客様の声を勝手に変えない。一言一句全部そのまま。
   「うんと、あれぇ」とかもそのまま、一言一句。そのまま。

恵利:でも、何でですか?

勝 :足したり引いたりするときには、人の「解釈」が入っちゃうか
   ら。「これはこういうことだろうな」って勝手な解釈が。

恵利:勝手な解釈が正しいとは限らない、ということですよね?

勝 :そう。違う人が見れば、また違う解釈があるかもしれない。

真子:例えばどういうこと?

勝 :例えば「味が変わった」って言われても、いつと比べてのこと
   か、わからないでしょ? 実際に味変えたかもしれないし。

真子:あ、そういうことかあ……その一言だけからじゃわからないか
   らだ……

勝 :「味が変わった」って言っても、それがポジティブかネガティ
   ブかもわからないし。

望 :確かに、新人のスタッフなんかの場合は、勝手に解釈されると
   それが正しいかどうか、難しいところですね……

勝 :そして、「解釈」以外に、もっと大事な理由がある。何だと思
   う?

真子:え? まだあるの? 何だろう?

望 :え? わ、私も……わかりません……

勝 :ヒントは、BASiCSの最後のS。メッセージ。

望 :あ!! わかりました! そのお客様の言葉を、そのままメッ
   セージにすればいいんだ!

勝 :そう。お客様の言葉は、わかりやすい言葉で表現されるし、売
   り手の言葉とは違うだろ? だからその言葉を勝手に変えない

真子:あ! そういえば、競合のリアルシシリーは、ウサギのアグロ
   ドルチェって料理を「甘酸っぱい煮込み」って言ってて……

恵利:それじゃ味がわからないよね……

望 :そうなのよ。だから、ウチでは「シチリア風の酢豚って感じで
   すかね」って言ったりするわ

勝 :で、その「酢豚」って言葉はどこからか、っていうと……?

望 :もちろんお客様です。「何かこれ酢豚みたいね」って言ってて
   確かにそうだ、と思いまして、メモ取ったんですよ。

勝 :そういうこと。お客様のナマの言葉をたくさんたくさん貯めて
   おくと、お客様コトバのボキャブラリーが増える。

真子:なるほどね~。それをそのままお客様に伝えれば、わかりやす
   いし、ピンと来るよね~。

勝 :そうなんだよ。だから、お客様のコトバをメモしろって言った
   んだ

真子:勝さん、P.84であんなにあっさり説明してるからわかんな
   いよ……

勝 :だから今こうやってフォローしてるだろうが。そこまで説明し
   てたら、本5冊くらいになるぞ

望 :私、この「お客様のコトバ」って、本当に勉強になりました。
   これがなければ、今のそーれ・しちりあーのは無いくらい……

勝 :それに、それは望ちゃんが成長したポイントに、ぴったり合っ
   てるんだよ

真子:え、そ、そうなの? 何それ?

勝 :それはな……

真子:う、うん……? 何ですか、もったいつけて……

勝 :次号で!!

真子:で、でたあ……

 

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◆今日のまとめ
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●定量と定性のサイクルを回す。そしてその中核になるのはお客様の
 言葉。一言一句そのままメモを取って蓄積しよう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.130 2011/10/10
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「具体性」を確認する言葉は「例えば?」 自分のアタマに、「例
 えば?」を繰り返して質問し、具体性を高めよう!
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◆「新人OL、社長になって~」は、3人の成長物語
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恵利:前回の復習は私からさせてくださいね。私が特に大事だな、と
   思ったのが、「お客様の言葉」です。

勝 :サントリーの山崎、だな

真子:それはもうわかった、ってば。何も足さない、何も引かない。
   話の腰を折られて恵利が怒ってるよ

恵利:ま、まさか怒ってません……それで、お客様の言葉をそのまま
   蓄積していく。望ちゃんのメモみたいに。

勝 :その理由は?

恵利:はい、勝手に解釈しないため、というのと、メッセージとして
   出せるからです。

勝 :ぴんぽーん。さすが。

真子:それで、最後にもったいつけて終わった、望ちゃんの成長した
   ポイントってなに?

勝 :「新人OL、社長になって~」では、主役の3人には、それぞ
   れの成長テーマがあるんだよ

真子:そ、そうなの?

勝 :うん。スキルテーマとメンタルテーマが設定されてる。

真子:え、ええ!? し、知らないわよ、そんなの……

恵利:あ、それ私も意識しながら読んでました。そうかなあ、と思っ
   て。真子のスキルテーマは、「戦略」ですよね。

勝 :さすが恵利ちゃん。ドラクエ的に言うと「真子はレベルが上が
   った! 戦略BASiCSを覚えた!」って感じ。

真子:め、メンタルテーマは?

恵利:ええ? 自分で気づいてないの? 「経営者とはどうあるべき
   か?」とかじゃないですか? 勝さん?

勝 :恵利ちゃん、すげーな。真子、オマエ最初に広岡会長に怒鳴ら
   れただろ? 何て言って怒鳴られた?

真子:「部下のせいにするな」って。

恵利:「新人OL、社長になって~」P.22ですね。

真子:うん。もう、思い出したくないけど……あの経験を忘れちゃダ
   メなんだろうなあ……

勝 :そうそう。人間は同じ間違いを繰り返すからな。

真子:私以外は? 清川さんとか、さ。

望 :清川さんは……何だろう? もっと大人になる、とか?

真子:あの人、全然大人になってないわよ。勝さん、ヒントちょーだ
   い!

勝 :あれだよ、ほら、「鈴木様」の件。P.138。

恵利:P.138、と……「お客様の笑顔。これが正解だ」

望 :あ! お客様視点、ですか?

勝 :そうそう。イタリアンレストランの売り物は、「アルデンテ」
   じゃなくて「お客様の笑顔」な。それがベネフィット。

真子:そうかあ、それがスキルテーマかあ……メンタルテーマは?

恵利:修行経験がないっていう、アレじゃないかな?

勝 :よくわかるね。清川さんのメンタルテーマが「コンプレックス
   の克服」

真子:へえ、結構考えて書かれてるんだねえ……

勝 :オマエの知能レベルと一緒にするなよ。

真子:してないもん。ねえ、これ、書いた人の経験談なのかなあ……
   やけにリアルだよね?

勝 :さあ。作者はコンプレックスとかなさそうな人に見えて、ある
   のかもしれないな。で、望ちゃんの成長テーマは?

望 :私はわかってます。スキルテーマは「具体性」ですよね? そ
   してメンタルテーマが「マイナス思考の克服」、です。

勝 :正解。さすがに自覚があるか、真子と違って。

真子:いちいちうっさいなあ。でもホント、望ちゃん前向きになった
   っていうか、明るくなったよ。

望 :ううん。まだまだ、だと思ってます。

恵利:でも望ちゃん、P.166みたいに「やるとしたらどうする」
   って考えよう、なんてすごいよ! ホントそうだと思った。

望 :ありがとう、恵利ちゃん。でも、「具体性」については、私、
   まだ不安なんですよね……

勝 :そうだろうね。いきなりできるようにはならないから。だから
   今日のテーマがそれ。「具体性」

 

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◆「ブランド力を上げろ!」の意味は?
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勝 :真子、「ブランド力を上げろ!」って言ったことあるか?

真子:もちろんあるけど?

勝 :それってどういう意味だ?

真子:どういう意味って、ブランド力を上げろって、意味ですけど…

勝 :望ちゃん、真子にそう言われたら、どうすればいいと思う?

望 :えっと、商品力を上げろって意味かな、と思って、より高級な
   食材などを使った高単価商品考えます。ウニとか、かな?

勝 :恵利ちゃんは?

恵利:私なら、もっと認知率を上げろ、って意味かな、って思って、
   広告なんかをすると思いますけど……

真子:え、ええ? そ、そうなの?

勝 :で、真子はどういう意味で言ったんだ? 「ブランド力を上げ
   ろ」って?

真子:お客様が何回もいらしてもらえるようにしろ、って意味で言っ
   たんですけど……

望 :え? そ、そうだったの? 私、てっきり、高級なモノを売れ
   ってことかと思ってた。

真子:えー? 全然違うんだけど……

勝 :まあそうなるわな。真子、「ブランド」って何?

真子:だ、だからリピート率とか……ファンの数とか……

勝 :それ、ブランドっていうか、「ロイヤルティ」だな。

真子:そ、そうなんだ……

勝 :「ブランド」という言葉自体は、そんな意味は持たない。

望 :え? でもヴィトンのバッグとか、「ブランド品」とかって言
   うじゃないですか? 

勝 :じゃあ、サマンサタバサはブランド品じゃないの? 「カワイ
   イ」っていうイメージで、人気あるブランドでしょ?

望 :そ、それは……そうですけど……

勝 :吉野家だってブランドでしょ? 早い、安い、うまい、ってい
   うのはすごくいい「ブランド」イメージだよね?

真子:た、確かに……じゃあ「ブランド」って何?

勝 :さあ? オレが聞きたいよ。

真子:な、何よそれ、自分で振っておいて……

勝 :まあ強いて言えば「商品・サービスなどについての、お客様の
   アタマに想起されるもの全て」って感じかな。

真子:そ、それって全部じゃん。

勝 :だからさっきみたいなことになるんだよ。高単価、認知の量、
   ロイヤルティ、全部を意味しうる。だから混乱するんだ。

恵利:そうか! 言葉として広すぎるんですね! だから、様々な
   「解釈」が可能になる……

勝 :そう。「ブランド」って言葉は抽象度が高すぎる。「モノ」と
   いう言葉と同じくらいの抽象度の高さだ。

望 :勝さんが真子ちゃんに聞いた、「ブランド力を上げろ」ってい
   うのは、では結局何なんですか?

勝 :「ブランド力を上げろ」って言うのは、アニマル浜口さんみた
   いに「気合いだあ!!」って叫ぶのと同じだな。

真子:「き、気合いだあ!」って、な、何よそれ……

恵利:そうかあ……言葉の抽象度が高いからそうなるんですね……

真子:ど、どういうこと? 何よ、いっつもいっつも恵利ばっかりわ
   かっちゃってさ……

恵利:ほら、さっきの話よ。「ブランド力を上げろ」は、具体性がな
   いのよ。具体性がないから、ピンと来ないの。

望 :だから、さっきみたいに、3人とも違うことをイメージしちゃ
   うのよ。それで「気合いだあ」と同じということですよね?

勝 :そうそう。望ちゃんが澄んだ声で「気合いだあ」っていうと、
   カワイイよなあ、ホント……。真子が言うと怖いけどな。

真子:もういいよ、それ、聞き飽きたから。

恵利:真子、大丈夫よ。「気合いだあ!」って、真子らしくって、ぴ
   ったりじゃん。

真子:あ、アンタねえ……勝さんに言われるならともかく……この恩
   知らずが……

恵利:あ、そ、そうだったね……

望 :え、何、恵利ちゃん、真子ちゃんに弱み握られてるの?

恵利:弱みってほどじゃないけど……勝さん紹介してもらって……

真子:そうだそうだ!

勝 :オマエが威張るな。ホント女3人よるとかしましいな……

真子:何よ、嬉しいくせに。大体望ちゃん呼べ、って言ったの勝さん
   じゃん。

勝 :あーうるさい。で、話をモトに戻すと、「競争力を上げろ」っ
   ていうのも「気合いだあ!」と同じだな。

恵利:はい、抽象度が高すぎるんですね。何の競争力か、さっぱりわ
   からない……

勝 :そういうこと。競争力、って言っても、製品なのか、アフター
   サービスか、営業応対力なのか、意味不明。

真子:そうかあ……確かにねえ……「競争力を上げろ!」っていうと
   何かもっともらしいけど……何も言ってないってことか……

望 :それは「気合いだあ!」とおんなじ、か……

勝 :大体、「ブランド力」とか「競争力」なんていう、曖昧な言葉
   を使うのは、わかってないかごまかしたいか、どっちかだ。

真子:し、しっつれーね! じゃ、じゃあどうすればいいんですか?

 

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◆「例えば?」は、具体性を聞く魔法の質問
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勝 :どうすればいい、って、「抽象度が高い」の反対をすればいい
   んだよ。

真子:えっと……「抽象度が低い?」

勝 :はあ……そんなの当たり前だ。オマエ、「達人マーケターへの
   道」、読んでないのか?? 

恵利:はい、はい! 先生、私わかります!

勝 :はい、恵利ちゃん。

恵利:はい! 「抽象度が高い」の逆は、「具体性が高い」です!
   ですから、具体性を上げればいいんですよね?

勝 :ぱちぱちぱち、さすが優等生の恵利ちゃん、よくできました!

真子:何よ、恵利、またいいこちゃんしちゃって……

勝 :オマエが「こまったちゃん」なんだよ。恵利ちゃんは「にこち
   ゃん」だな。

真子:あのねえ、いくら何でも古すぎるのよ……ロンパールームの時
   代なんて、私達、生まれてないんだからね!

勝 :人をオヤジ扱いすんな。オヤジだけどさ。

恵利:でも、確かに、どうすると「具体化」できるんですか?

勝 :「具体性」を確認する、「魔法の質問」があるんだよ。

真子:え、なになに? 勝さんが「魔法」なんて言葉使うの珍しいじ
   ゃん。いっつも「魔法なんてねーんだよ」とか言ってるのに。

勝 :オマエそういうところはよく覚えてるよな。

望 :私も知りたいです! 私の弱みですので……

勝 :望ちゃん、あのさ、真子に「ブランド力上げろ」って言われた
   ら、何て聞き返したくなる? それじゃよくわからないよね?

望 :「例えばどういうこと?」って。

勝 :それ! 「例えば?」って聞くの。それが具体性を上げる、魔
   法の質問。

真子:ええっと……ああ、なるほどぉ! 競争力を上げろ、って言わ
   れたら、「例えばどうすんのよ!」って聞けばいいんだ!

勝 :そんなケンカ腰に聞くなよな。普通に「例えば?」って聞け。
   で、真子、例えば、って聞かれたら、何て答える?

真子:リピート率上げて、って答えるよ

勝 :それが指標だよな。で、例えばどうするの、って聞かれたら、
   どうする?

真子:「もう1回来たい」って思わせるような対応するのよ、って答
   えるかな?

勝 :それで「顧客対応」という、やることが具体化されたらな。そ
   れでも、「例えばどんな顧客対応?」って聞かれたら?

真子:例えば、加賀屋みたいに、自然に居心地いい対応するのよ、っ
   て言うかな。

勝 :じゃあ、加賀屋みたいな対応って、例えばどんな対応?

真子:わかりました……降参です! そこまで考えてませんでした!
   私の考えが甘くてすみませんでした!!

勝 :コイツ、開き直りやがった。まあでも頑張ったよ。

恵利:勝さん、すっごーい! こうやって聞いてくと、どれだけ考え
   抜いたかがわかるんですね!

勝 :おお!! 恵利ちゃん、さすが!! そうそう、「例えば?」
   って聞くと、どれだけ考えたかがよくわかる。

真子:イヤな質問だなあ……って、自分が聞かれるからイヤなんだ。
   他人に使うのは楽しそうだ♪

恵利:真子、それちょっとイヤらしいよ……

真子:う、うるさいなあ……勝さんだって楽しそうだったじゃん……
   大体恵利だってさあ、いっつもいっつもいいこちゃんして……

恵利:な、何よ……真子だっていいこちゃんすればいいじゃん!

真子:う……何よ、私がそういうのできないってわかってて……

 

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◆アタマに「例えば」という質問を投げかけよう!
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勝 :こっちのうるさいのはほっといて、ね、望ちゃん? 今のでわ
   かったよね?

望 :はい! 「具体性が無いなあ」と思ったら、「例えばどういう
   ことなんだろう」って自分で考えればいいんですよね?

勝 :そうそう。今オレが真子に対してやったみたいに、徹底的に繰
   り返していけばいいの。例えば、例えば、って。

望 :でも、自分でやっても、まだ不十分かな、って……どこまでや
   ればいいんですか?

勝 :中学生にわかるくらいまで。

真子:ど、どういうこと? 中学生って。

勝 :あ、うるさいのが戻って来た。

真子:はいはい、愛しの望ちゃんとの2人きりの会話を邪魔してすみ
   ませんねー

勝 :ホント邪魔だよ。じゃあ、真子、リピート率を具体化して。そ
   れじゃ中学生にわかんねー。

真子:えっと……1回来た人が、次にもう1回くる確率。

勝 :オレ中学生の役、な。ねーおねーちゃん、確率ってなーに?

真子:えっとね、勝ちゃん、確率って言うのはね……あれ? 何だ?
   確かにどうやって測るんだろう?

勝 :ほら、意外と言えないだろ。ねーねー、おねーちゃん、回数じ
   ゃダメなの?

真子:そうか、回数か……そうだ、こうしよう。あのね、100人お
   客様が来るでしょ? その人の中で、もう1回来た人の人数よ

勝 :ねーねー、5年後にもう1回来た人も数えるの?

真子:そんなのしーらなーい。勝ちゃん、イヤな子供だねー。大人に
   なるとろくなものにならないよー。

勝 :ふーん、答えられないんだあ……ダメだねえ……じゃあこっち
   のもっとキレーなお姉ちゃんに聞こうっと。

真子:こ、コイツ……それじゃ中学生じゃなくって小学生よ……

勝 :ねーねー、望おねーちゃん、5年後じゃダメなのぉ?

望 :うん、ダメ。っていうか、来ないよ、5年後になんて。ね、勝
   くん、3ヶ月前に行ったお店、お姉さんに教えて?

勝 :んっとねえ……スタバぁ、マックぅ、一風堂ぉ、吉野家ぁ、一
   蘭でしょ…あとはわかんなーい。

望 :ね? 5年前なんて覚えてるわけないよね? で、今のお店は
   何で覚えてるの、勝くん?

勝 :あのね、おねーちゃん、毎月行ってるからだよ!

望 :ほら、そうでしょ? 3ヶ月前に行ったから覚えてるんじゃな
   いでしょ? 毎月行ってるからだよね?

勝 :ふーん、じゃあ1ヶ月以内にもう1回来た人を数えればいいん
   だあ!

望 :うん、私はそう思うよ。今月来たお客様の中で、来月もう1回
   来る人の割合を数えればいいの。

勝 :でも、どうやって数えるの? 名前わかるの?

望 :うん、ほら、予約するときに名前を言ってもらうじゃない?

勝 :なあるほどぉ! でも、ふらっと入ってくる人はぁ?

望 :顔を覚えるの。1ヶ月くらいなら覚えられるのよ。

勝 :ふうん、そうなんだあ! おねーちゃん、すごーい!

望 :でもね、勝くん、食生活は気を付けてね。ラーメンもいいけど
   そればっかりじゃダメよ。たまにはうちにも来てね。

勝 :うん、じゃあキレーなお姉ちゃん、今度一風堂一緒に行こう!
   ねえ、次の休みはいつなの?

真子:どさくさにまぎれて、何誘ってんのよ。一風堂なら私が行って
   あげるわよ。

勝 :ははは、いや、望ちゃんすげーよ! そうやんだよ!

真子:しかし、何この順応率の高さ……望ちゃん、よく勝さんについ
   ていけるわね……

恵利:望ちゃん、今の、すっごいわかりやすかった! 確かに、毎月
   行く店じゃないと、覚えてないわ……

勝 :今の説明なら、真子にもわかるだろ?

真子:し、しっつれーね!

勝 :でも、そういうことなんだよ。中学生にわかるくらいに具体的
   じゃなかったら、それはまだ足りない。何かごまかしてる。

望 :今、すっごいアタマ使いました……

真子:どーでもいい勝くんへの対応に、でしょ?

望 :そうなんだけど、ほら、中学生にわかる言葉、ってなると、リ
   ピート率もブランド力もダメでしょ?

真子:あ……ああ、そうかあ! 曖昧な言葉が使えないんだ!

勝 :なんだよ、今気づいたのかよ……平易な言葉で言えないのは、
   ごまかしてるか、考え抜いてないか、だな。

真子:えー、じゃあ、勝くん、マーケティングってなーに? これは
   難しいでしょ?

勝 :うんとね、お客様に買ってもらうことだよ、怖いおねーちゃん

真子:そ、そんな単純なの? って、何で私が怖いおねーちゃんなの
   よ!

勝 :だっておねーちゃん、そうやってすぐ怒るんだもーん

恵利:あの、今のがマーケティングの本質ってことですか? 「お客
   様に買ってもらうこと」っていうのが?

勝 :そう。学会の定義はあるけど、本質は何事もシンプル。例えば
   主語をお客様にしてるでしょ、今の定義は?
望がすかさずメモしたノートを見ながら言う。
望 :えっと……「お客様に買ってもらうこと」ですよね? ホント
   だあ……そうか、お客様視点、ってことですね。

真子:あ! 「売ること」って言ってない、ってことだ! 「買う」
   主語がお客様!

勝 :で、中学生の真子ちゃんは聞きます。ねーねー、どうやったら
   買ってもらえるのぉ、って。ほら、真子、聞け。

真子:ねーねー、どうやったら買ってもらえるのぉ? きゃははは!

勝 :お客様がもっと嬉しく、幸せになれば買ってもらえるんだ。ほ
   ら、真子ねーちゃんもチョコレート買うと幸せでしょ?

恵利:きゃああ! 今のが「ベネフィット」だあ! じゃあ勝くん、
   チョコレートなんてたくさんあるよね? どれ買うの?

勝 :うん、同じ100円で、より嬉しくなる方を買うよね? だか
   ら、もっと嬉しくなるようなモノを作ればいいんだ

恵利:嬉しいって「例えば」どういうこと?

勝 :ほら、いちごの味がしておいしい、とか、いっぱい入ってる、
   とか。

望 :わあ、今のが「強み」だ! すごいです……

勝 :で、恵利ねーちゃんはどんなのが好きなの?

恵利:うーん、私はビターなブラックかなあ。

勝 :望ねーちゃんは?

望 :私は、生チョコみたいのが好きだよ、勝くん♪

勝 :ほら、人によって好きなチョコレートが違うよね?

恵利:きゃあ、それが「セグメンテーション」ですねえ! すごい!
   こんな単純に説明できるんだあ! 

真子:な、なんかバカバカしいけど、確かにわかりやすい……

勝 :望ちゃん、これで答えになってるかな? どこまで「具体化」
   すればいい質問の、さ。

望 :はい! 勝さん、これも「例えば」で答えていただいたんです
   よね? 実演込みで。それが「具体性」なんですね?

勝 :おお、よくわかったね。さっすがあ。

望 :でも……すっごく大変です……これだけ平易で、わかりやすい
   言葉で語れるなんて……

真子:そうだよねえ……つい、ブランド力とか言っちゃうもんね……
   勝さんって、いつもこうやって考えてるの?

勝 :そうだな。わかりやすい表現を使うっていうのは、本質をとら
   えることだからな。ごまかせないんだよ。

望 :確かに、ブランド力とか競争力とかだとごまかせちゃいます。

勝 :最悪なのは、自分もごまかされちゃって、そこで思考が止まる
   こと。

恵利:あ、確かに……でも、難しそうですよね。

勝 :そんなことないぞ。どうすればいい? ほら、前号やったよ?

恵利:えっと……あ! お客様の言葉だ! お客様の言葉を使えばい
   いんだ!

勝 :そう。お客様は、「私はブランド力が高い店に行く」なんて、
   絶対言わないからな。

望 :そうなんですね……そうやってつながるんだ……お客様の言葉
   を集めるのは、それが「具体性」が高いからなんですね……

勝 :これで、できるよね?

望 :できるかどうかはともかく、頑張ります!

真子:私はどうすればいいですか? 中学生にわかる言葉教えてくだ
   さいよー。

勝 :真子か、オマエは……「気合いだあ!」

真子:きゃはははは……って、何よそれぇ……

勝 :でもさ、真子、オマエもう実際にやってるんだぜ? この具体
   化の作業を、そーれ・しちりあーので、さ。

真子:え? そ、そうなの? 私、やるじゃん!

望 :え、真子ちゃん、どこでやったの?

真子:さ、さあ? 勝さん、私、どこでやったの?

勝 :それはだな……

真子:そ、それは……?

勝 :それは……次号で!!

真子:もう、そういう引っ張り方するの、やめてくださいよ……

勝 :次は10回目だから、さすがにそろそろ最終回になるかもな。

 

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◆今日のまとめ
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●「具体性」を聞く魔法の質問は「例えば?」 中学生に分かる言葉
 で説明して、具体性を高めよう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.131 2011/10/13
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「魂」は「存在意義」。自社の魂をお客様の言葉で定義しよう!
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◆前号の復習:具体性を高めよう
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望 :じゃあ例によって、前号の復習ですよね。

勝 :うん。「ブランド力を上げろ」「競争力を高めろ」という指示
   は、「気合いだあ!」以外は何も意味してない。それはなぜ?

望 :指示に具体性が無いからです。「ブランド」も「競争力」とい
   う言葉も、抽象度が高すぎます。

勝 :抽象度が高いと何で問題なんだっけ?

望 :はい、従業員は何やってもいいからです。「売れる数字」*の
   表現を借りると、「行動を制限しない」からです。

*「売れる数字 ~組織を動かすマーケティング~」 佐藤義典著
http://ow.ly/32zKP

勝 :おー、よくつなげたね。そうそう、戦略指標もそういう発想だ
   な。「やらないことを決める」

望 :はい、そして、私の課題が「具体性」でした。

勝 :そうだね。論理思考がうまい人、すなわち「一貫性」ができる
   人は、その対極にある「具体性」が課題になる典型的な例。

望 :そうはっきり言われると、ぐさっと来ちゃいます……

勝 :ははは、ごめんごめん。

真子:ええええ、私にはぐさ、ところかぐさぐさぐさ……。望ちゃん
   には甘すぎるよ……

勝 :デキがいいからだよ。で、そのためにはどうする?

望 :そのためには、「例えば?」という問いをひたすら自分のアタ
   マに投げかけます。

勝 :その際のポイントは?

望 :「中学生にもわかるように」、ですね。

勝 :じゃあ、「ブランド力を上げろ」じゃなくって、どんな指示を
   出せばいいのか、って話。「具体的な指示」とは何か。

真子:ね、ね、前号で、私は「具体的な指示」をそーれ・しちりあー
   ので既に出してる、っておっしゃってましたよね?

勝 :うん。まだ気づいてないのか?

望 :えっと……「具体的な指示」……ヒントいただけませんか?

 

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◆朝礼の意味:100回言ってやっと伝わる
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勝 :「新人OL、社長になって~」のP.216、だな。

真子:え? どれどれ……ページをめくって、と……あ! これか!

恵利:え? あ、この「朝礼」のところ……確かに!

勝 :真子、朝礼で「ブランド力を上げろ」なんて一言も言ってない
   だろ? もっと具体的な指示を出してるじゃないか。

真子:え? どれどれ?

望 :あ! 「戦略指標」の数値発表から始めてる!

真子:うん、そうだけど……なんで?

望 :目指すべき数字を明確にすること自体が、具体的な指示になっ
   ている、ということですね?

勝 :そう! 追うべき数字が具体的に定義されていて絞られていれ
   ば、それはとってもわかりやすい指示になるだろ?

恵利:そうかあ……だから、真子、朝礼には戦略指標の発表から始め
   たんだあ……真子、やるじゃないの。

真子:え? あ、そ、そうよ、そう、そうに決まってるじゃない……
   あはは、は……

勝 :あの朝礼って、毎朝やってるんだろ?

望 :はい、そうです。

勝 :大体どれくらいで、スタッフに浸透した? 1週間じゃムリだ
   よね。

望 :ええ……全てのスタッフに「これが重要なんだ」っていうのが
   伝わったのが、2、3ヶ月でしょうか……

勝 :まあそんなもんかな。

恵利:そんなにかかるものなんですか?

勝 :うん、100回同じこと言えば、本気だっていうのが伝わるか
   な。

恵利:ひゃ、百回ですか!?

勝 :うん。誇張じゃなくて100回。3ヶ月毎日やって、まだ足り
   ないって感じ。

真子:あ、でも実際そうだよ。1ヶ月だと理解はするけど、まだカラ
   ダに落ちてない、っていう感じがする。

勝 :そうだろうな。アタマの理解とカラダの理解は別だからな。

恵利:へえ……そうなんだあ……

勝 :だから、「朝礼」っていうのは良い手段。ね、恵利ちゃん、3
   日前の昼ご飯何食べたか覚えてる?

恵利:え? えっと……い、いえ……ちょっと……

真子:勝さん、何よ、今度は恵利を誘おうっての? 昼ご飯なら私が
   一緒に行ってあげるのにぃ……

勝 :うるせー。3日前の昼ご飯を覚えてないってことは、1週間前
   の社長の言葉なんかとっくに忘れてるってこと。

恵利:え?

勝 :だから、週に1回の朝礼だと全然伝わらない。数として全然足
   りないんだよね。

望 :ああ、なあるほどぉ……まして、そのときにたまたま休んでた
   りしたら、2週間に1回……それじゃあ、全然……

恵利:あ……3日に1回でもダメってことだあ……だから毎日……

真子:そ、そう、そうなんだぞ!

望 :だから、売れたま!も週2回出てるんですかねぇ……?

勝 :さあ? でも週2回来ると、「何かいっつも来てる」って感じ
   はするんだろうな。良し悪しはあるにせよ。

真子:だから読者さんたちも、マ、コ、に首ったけ、はあと。

勝 :だといいけどなあ……まあ、とにかく、戦略指標なんかを浸透
   させるには、「毎日言え」ってことだ。

恵利:毎日だとしつこくないですか?

勝 :だからしつこいくらいで丁度いいの。「まった言ってるよ、何
   とかの一つ覚えみたいに……」で、やっと伝わったことになる

望 :なるほど……じゃあ朝礼は続けないといけないですね。

勝 :もちろん。で、朝礼でやってるのは戦略指標の発表だけじゃな
   いだろ?

 

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◆そーれ・しちりあーのの朝礼の「儀式」は?
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真子:はい! みんなで円陣を組んで……

勝 :あれ、オレも見たい。

真子:やーよ、恥ずかしいもん。

勝 :はあ?

望 :ううん、私、結構好きよ、あーいうの。勝さん、見にいらして
   くださいね。

恵利:望ちゃん、今あの円陣のアレ、やってみてよ。ね、真子もさ。

勝 :あ、それはいい。今2人でちょっとやってみて。小さい声でい
   いから

望 :ええ、いいですよ。

真子:ええ……やだよー。

勝 :オマエ、人に頼むときは世界の終わりみたいな感じで電話して
   くるクセに、自分が頼まれると断るのか?

恵利:そうだよ、真子……

真子:わかりましたー! やればいーんでしょぉ。はいはい。

望 :じゃあ、真子ちゃんは、マネジメントチームの方ね。私、スタ
   ッフの方やるわ。スタッフの方、やってみたかのよ、実は。

真子:へー、あの大人しかった望ちゃんがねー。

勝 :いいじゃねーかよ。オマエこそちょっと成長しろよ……

望 :じゃ、ほら、真子ちゃん……

真子:じゃあ行くよ……
望がコク、と愛らしくうなずく。

真子が手を差し出すと、望がそれに手を重ねる。釣られて、勝と恵利
も手を重ねた。
真子:そーれ・しちりあーのの魂はぁ!?

望 :居心地が良くて、楽しい!

真子:お客様になんて言ってもらいたいぃ?

望 :ホームパーティしてるみたい!

真子:店は舞台! 舞台の主役は!?

望 :お客様!

2人:私達は!?

2人:プロデューサー!

真子:今日もお客様にくつろいでもらうわよぉ! 
おおお、ぱちぱちぱちぱち! 勝と恵利が嬉しそうに拍手する。
恵利:すごいすごーい! よく覚えてるね。

真子:毎朝やってると、カラダが覚えるよ。

勝 :いや、いい言葉だよな。あの言葉、誰が考えたの?

真子:望ちゃん、清川さん、それに私。でも望ちゃんがノリノリだっ
   た。

恵利:ね、真子、「居心地が良くて楽しい」って、密着軸のメッセー
   ジだよね?

真子:もちろん。この広岡社長にも勝さんにも聞かれて、ずっとその
   「そーれ・しちりあーのの魂」を考え続けたわけだからさ。

勝 :そうそう。それもこの本の1つのポイント。「自分は一体誰な
   んだ」っていうのをひたすら考え続けた。

真子:すっごい苦しかったよ……出てきそうだけど、出てこないんだ
   よねえ。

望 :今思うと、「出てきそう」っていうのは錯覚だったような気も
   します……結局、考えが甘いっていうか浅いっていうか……

真子:うん、「達人マーケターへの道」でも言ってた「言語化」って
   大変だなあ、って思った……

勝 :広岡会長が言ってた、「それとわかればわかる」っていう感覚
   もわかっただろ?

真子:うん! アタマじゃなくてカラダが閃く、って感じかな?

望 :そうそう!

勝 :それ、真子らしい表現だな。

真子:わかっちゃえば、「何で気づかなかったんだろう?」ってこと
   なんだけど、気づくまでがねえ……大変なんだよねえ……

勝 :でもな、ひたすら考えたからこそ、そういう感覚になるんだか
   らな。適当に考えても、そういう感覚には鳴らない。

真子:そっかあ……じゃあ、あれだけ考え抜いたのはムダじゃなかっ
   たんだあ……

勝 :もちろん。っていうか、必要なプロセスだな。

恵利:それを、朝礼の言葉の最初に持ってきたのは、やっぱり一番大
   事だから?

真子:うん。「私達は誰?」っていう、魂の定義っていうか、それを
   スタッフに共有してほしかったんだ!

勝 :で、百回言えば伝わる、と言うことだな。

真子:うん!

 

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◆「魂」は「存在意義」
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勝 :でさ、その「魂」のさ、「居心地が良くて、楽しい!」のすご
   いところが1つあるんだよ。

真子:へえ、褒めてくれるんだあ。

勝 :オレは、いいところはいい、って褒めるんだよ。で?

真子:さ、さあ? わかりやすいところ?

勝 :それもあるけどさ。表現の問題ではあるけど、すっごい本質的
   なところ?

望 :表現の問題ではあるけど、すっごい本質的……???

勝 :あのさ、そーれ・しちりあーのの「魂」は、そーれ・しちりあ
   ーのの「存在意義」だろ?

真子:そ、そうですね……私達は何のために存在するのか……

恵利:「魂」は「存在意義」、ですか……
恵利の細い指がノートに書き込む。
勝 :まだわからない? 自分たちで考えたのに? 「存在意義」な
   んだよ?

望 :え? な、何ですか? すみません、ヒントを……

勝 :ヒントは、「主語」。誰にとっての「存在意義」なの?

恵利:主語……あ! お客様だ! 「お客様が」居心地が良くて楽し
   いんだ!

望 :え……あ、ああ! ホントだ! そうか! 「お客様にとって
   の存在意義」が魂なんだ!!

勝 :何だよ、ホントに気づいてなかったのかよ……それでよく作れ
   たな……

真子:よく作れたなって……そうだ! 望ちゃん、これってアレだ、
   私達自身の楽しさを表現したからだよ!

勝 :この言葉を見つけたのって、シチリアだろ? 自分たち自身が
   そう思ったからだよな? シチリアのお客様として、さ。

望 :そ、そういえば、そうです……そうかあ……自然にお客様発想
   になってたんですね……

勝 :これってさ、昔のセブン・イレブンのキャッチコピーと同じ。
   「あいててよかった」。

真子:そんなの知らないけど? いつの話?

勝 :はいはい、君たちは生まれてないだろうけど、昔はそうだった
   の!

恵利:長時間営業、ってことですか? コンビニが出てきたときの…

勝 :そう。ウリは「長時間営業・多品種少量品揃え」だったわけだ
   けど、セブン・イレブンはそう言わないで……

真子:「あいててよかった」っていう、お客様の言葉で表現した! 
   すごい、私達とおんなじ!

勝 :何が「私達とおんなじ」だよ……セブン・イレブンの方が何十
   年も先だろうが……あつかましい。

真子:そうだけどさあ……

勝 :で、まだあるんだけど。この言葉の他の主語は?

恵利:え? お客様、だけじゃなくて、ですか?

勝 :うん。誰にとっての存在意義? お客様以外に、さ?

望 :わかった!! 私達、ですよね。スタッフにとっても「居心地
   が良くて楽しい!」 それがここで働く意味だ!

真子:な、なるほどお! そうか!! そうなんだ!

勝 :スタッフが楽しくなかったら、お客様も楽しくないだろ? 密
   着軸なんだしさ。

真子:それ、そう思った。ほら、ソフトオープンしたときに、スタッ
   フの家族とか友人連れてきてもらったのね。

望 :あ! あのとき! うん、スタッフがみんな嬉しそうだった!
   お客様に対して、楽しそうにおもてなしをしてて……

真子:あのときに、この「魂」の正しさ、っていうか、いける、って
   思ったんだよね! お客様をもてなす楽しさ!

勝 :だから、この「居心地が良くて、楽しい」っていう「魂」の表
   現は、よく考えてあるよな。

恵利:お客様にとっての存在意義、従業員にとっての存在意義、それ
   が「そーれ・しちりあーのの魂」……鳥肌たってきた……

真子:そうなんだあ……私達は直感で「いける!」って思ったんだけ
   ど、こうやって論理的にタネ明かしされると……悔しい!

望 :あれだけ考えたのにねえ……

勝 :あのな、それがオレの仕事なの! こうやって「言語化」して
   タネ明かしするのが、それこそオレの「魂」だよ……

恵利:でも、あの朝礼のシーンの一言二言に、これだけの意味が込め
   られてるとは……

勝 :で、まだあるんだよね

真子:何がですか?

勝 :朝礼の儀式のその次の言葉。「魂」で終わりじゃないだろ?

望 :えっと…「お客様になんて言ってもらいたいぃ?」ですよね?

勝 :そう。この言葉のタネ明かし。

恵利:ま、まだあるんですか?

勝 :うん。それはね……

真子:次号に続く! んでしょ?

勝 :よ、よくわかったな。

真子:や、やっぱり……前号で最終回とか言ってなかったっけ?

勝 :最終回になる「かも」って言っただけだ。前号よくみろ。

真子:ず、ずるーい!

勝 :まあそれだけ真子たちのあの朝礼はよく出来てるってことだ。

真子:わーい、褒められたあ! でも、タネ明かし、何だろうね!?

 

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◆今日のまとめ
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●自社の「魂」は、お客様にとって、そして従業員にとっての「存在
 意義」。カラダが閃くまで考え抜こう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.132 2011/10/17
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「お客様の理想の褒め言葉」は戦略そのもの。「お客様の言葉」を
 蓄積し、その中から「理想の褒め言葉」を選ぼう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆前号の復習:「朝礼」の意味
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

望 :じゃあ例によって、前号の復習、からですが……

勝 :じゃあ、真子、望ちゃん、あのP.216の朝礼の円陣組んで
   叫ぶヤツ、もう1回やって。復習代わりに

真子:えええ……またあ?

勝 :いいからやれ。

真子:はーい。望ちゃん、行くよ。
真子:そーれ・しちりあーのの魂はぁ!?

望 :居心地が良くて、楽しい!

真子:お客様になんて言ってもらいたいぃ?

望 :ホームパーティしてるみたい!

真子:店は舞台! 舞台の主役は!?

望 :お客様!

2人:私達は!?

2人:プロデューサー!

真子:今日もお客様にくつろいでもらうわよぉ! ふぅ……
勝 :おつかれぇ……ありがと。

恵利:「そーれ・しちりあーのの魂はぁ!?」という問いにも、深い
   意味が込められているんですね……

真子:うん。「居心地が良くて、楽しい!」の主語は、お客様であり
   従業員。って勝さんに言われて気づいたんだけど

勝 :この「主語」の違いは、すごく大きい。売り手視点か、お客様
   視点か。

恵利:今日は、その次の言葉、ですよね?

 

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◆「お客様の理想的な褒め言葉」
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勝 :次の、「お客様になんて言ってもらいたい?」も秀逸な問い。
   真子、望ちゃん、よく考えたよ。

真子:へっへぇ、褒められた。でもさ、どこが秀逸なの? いや、ち
   ょっとは自信あるんだけど……

望 :説明しろ、って言われたらできないのよね……

真子:そうそう。

勝 :これさ、「お客様の理想的な褒め言葉」だろ?

真子:え? お客様の理想的な褒め言葉……って、うん、確かにそう
   だね。それそれ。

恵利:「お客様になんて言ってもらいたい?」ですから、お客様にと
   っての褒め言葉、ですよね。それがどうしたんですか?

勝 :だからそれなんだよ。

望 :え? だからなにがそれなんですか?

勝 :「お客様の理想的な褒め言葉」っていうのは、「お客様が、競
   合ではなく、自社を選ぶ理由」のことだな。

望 :お客様が、競合ではなく、自社を選ぶ理由……ええ、確かにそ
   うですね。
望が言葉を噛みしめるように、繰り返し、メモを取っていく。
勝 :ここ、すごい大事なポイント。真子もいいか?

真子:えっと……他の店じゃなくて、そーれ・しちりあーのに来る理
   由だから……そうだね、ホームパーティみたいにくつろげる

勝 :で、それを求めて、そーれ・しちりあーのにいらしていただけ
   る、ってことだよな?

真子:そうだけど、ベネフィット、ってこと? お客様にとっての嬉
   しさ、ってことで。

勝 :もちろんそうだけど、もっと深い。

 

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◆「お客様の理想的な褒め言葉」は「C:顧客ターゲット」を決める
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望 :「お客様の理想的な褒め言葉」は、「お客様が、競合ではなく
   自社を選ぶ理由」……

勝 :この一文の中には3つの要素がある。お客様、競合、自社、の
   3つ。まずは「お客様」から考えて行こう。

真子:はーい。

勝 :「ホームパーティしたい人」ってどんな人?

真子:お友達同士で、気兼ねなくくつろいで、リラックスして楽しみ
   たい人、かな。パジャマでくつろぐ感じ。

勝 :それってどんな人?

真子:え? それじゃダメなの?

勝 :今のはベネフィットの描写だろ。人の描写をして、って言って
   る。

望 :お財布にはちょっと余裕があって、舌もそれなりに肥えてて、
   海外旅行も年1回くらいはする人、って感じでいいですか?

恵利:ね、それってこのあたりに住んでるマダムとか、そういう感じ
   ってこと?

真子:あ、そうそう! 東急線沿線だからね。

勝 :なんでそういうターゲットになったの?

望 :うちのリピーターの方々の言葉を拾ったんです。で、その方々
   がおっしゃってる言葉がですね……
望が、白く細い指でノートをパラパラとめくっていく。あるページで
手を止めた。
・この店、私の店って感じがするのよ
・ここ、なんか居心地がいいわね

(新人OL、社長になって会社を立て直す P.174)
望 :リピーターの方には、こういう言葉をおっしゃっていただく方
   が多いんですね。

恵利:そうか、自分の家みたいだから居心地がいい、ってこと? そ
   れで「ホームパーティ」なの?

真子:そうだね。騒ぐと言うよりは、気兼ねなく楽しむって感じ。そ
   れが「ホームパーティ」なのよ

勝 :そういう人をターゲットにしてる、ってことだろ?

真子:そうだけど、それが?

勝 :「ホームパーティみたい」って褒め言葉を決めると、顧客ター
   ゲットが自動的に決まる。そういうのを求める人になるよな?

真子:だからそれが何なのよ……

恵利:わかりました! このような褒め言葉自体が、ターゲティング
   になっているってことです!

望 :あ! そうか、ターゲットをわざわざ描写しなくても、ニーズ
   が描写できれば、ターゲットが決まる!

勝 :そういうこと。ニーズを決めれば顧客が決まる。だから、褒め
   言葉を決めることは、ターゲットを決めることと等しい。

真子:あ……やっとわかった! ホームパーティみたい、って言って
   くれる人をターゲットにしてるんだ!

勝 :だからそうだって言ってるだろ。それがまず1つ。

 

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◆「お客様の理想的な褒め言葉」は「S:強み」を決める
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恵利:「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」に入ってる言葉は、
   あとは、競合、ですか?

勝 :競合は決まってただろ? イージーロマーノだよな?

真子:うん!

恵利:そっか、競合は選べないもんね。お客様が決めるんだから。

勝 :そうそう。で、次が「自社を選ぶ理由」。で、競合のイージー
   ロマーノじゃなくて、なんでそーれ・しちりあーのに来るの?

真子:だから、ホームパーティみたいにくつろげるからですよ

勝 :イージーロマーノじゃくつろげないのか?

真子:そう言われると……

望 :イージーロマーノも、それなりの味と雰囲気はあると思います
   が、手軽軸ですから、気が利きませんよ。

勝 :この店は?

望 :お客様が振り向いたら、スタッフの誰かと目が合って、すぐ注
   文できるとか、そういうところが違うと思いますけど。

勝 :それが「ホームパーティ」みたいってこと?

望 :そうですね、あとは、肩肘張らなくていいとか、そういうとこ
   ろですかね……

勝 :それを戦略用語で言うと、何?

恵利:「強み」ですよね? 競合じゃなくてそーれ・しちりあーのに
   来る理由。

勝 :そう! だから?

望 :えっと……さっきのパターンだと、「ホームパーティみたい」
   っていう言葉自体が、うちの強みを定義してる……あ!!

勝 :そう! 気づいた? ホームパーティみたい、っていうお客様
   の理想の褒め言葉で……

恵利:「顧客ターゲット」と「強み」が表現されてる!!

勝 :そうなんだよ。そういう言葉は使ってないけど、そうなってる
   だろ? BASiCSのCとSが同時に定義されてる。

真子:なあるほどぉ……

恵利:えっと、BASiCSのBの「競合」は既に「強み」に入って
   るという理解でいいですか?

勝 :そうだね。競合じゃなくて自分を選ぶ理由が「強み」だからね

真子:そうかあ……この「褒め言葉」でお客様も強みも決めてるんだ
   ねえ……やるじゃん、私達。

 

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◆「お客様の理想的な褒め言葉」はBASiCSそのもの
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望 :勝さん、まさか……「ホームパーティしてるみたい」が、その
   まま「メッセージ」になるっていうことでは……

勝 :ぴんぽーん! さすが望ちゃん! 正解!!

恵利:そうかあ……「メッセージ」は「強み」を伝える、ってことで
   すよね……

望 :ということは、「お客様の理想の褒め言葉」で、顧客、競合、
   強み、メッセージが定義される、ってことですか?

勝 :そう。あとは、「独自資源」だけ。この「お客様の理想の褒め
   言葉」を競合がマネできないようにすればいい。

真子:それは社長の私の仕事だよね。組織とか人材採用・育成を考え
   て……独自資源を育成する。

勝 :そうだな。これでBASiCSの全要素がカバーされるだろ?
   「お客様の理想の褒め言葉」は、BASiCSそのもの。

真子:えっと……「お客様になんて言ってもらいたいぃ?」の答えが
   BASiCSそのものなの?

勝 :そうだよ。

真子:え、えええええ! す、すごいじゃん!! あの一言に、そん
   な意味があったの?

勝 :朝礼で毎朝、戦略BASiCSを社員全員に浸透させてる、っ
   ってことだな

望 :きゃあああ! すっごーい!!

恵利:の、望ちゃん?

望 :真子ちゃん、す、すごいじゃない! そこまで考えてたんだ!

勝 :あの朝礼の言葉って誰が考えたの?

真子:さ、さあ……? 誰からともなく……

勝 :戦略BASiCSで考え続けて、どっかから何かが降りてきた
   ってことなんだろうな……あんなのを自然に思いつくとは、さ

真子:そうなんだあ……

勝 :で、それを実行するべく従業員を動機付けするのが戦略指標。

恵利:あれ? っていうことは、この「お客様の理想の褒め言葉」っ
   て、戦略指標*で言うところの「顧客反応」ですか?
*戦略指標の詳細は、拙著 「売れる数字 ~組織を動かすマーケテ
ィング~」 佐藤義典著 でどうぞ!
http://ow.ly/32zKP
勝 :そう! すげー、恵利ちゃん、よく気づいた! 正確に言うと
   「勝利の方程式」の一部の「顧客反応」ね。

恵利:あ、はい、「顧客反応」は……「お客様の好意的な反応」です
   よね……
恵利が「恵利ノート」をめくって応えた。
勝 :そう。その「褒め言葉」をお客様から引き出すべく、従業員の
   行動を動機付けするのが「戦略指標」な。

望 :これ……全部つながってるんですね! BASiCSから戦略
   指標まで……

恵利:す、すごい……鳥肌立ってきた……「お客様の理想的な褒め言
   葉」が核になって、全部つながってる!

勝 :結局、「お客様の理想の褒め言葉」がわかればいいの。マーケ
   ティングなんてそれだけ単純。

真子:そ、そりゃそうだけど、ここまで来るのにどれだけ大変だった
   か……

勝 :だから、理論で考えるんだよ。「お客様の理想の褒め言葉」は
   すっごく「単純」。でも、そこに辿り着くのは大変だったろ?

真子:うん……泣きそうになった……

勝 :っていうか泣いてたじゃねーかよ。P.24で大声出して。

真子:い、いいじゃん! 

恵利:でも真子、すごいわよ……あの朝礼の「お客様になんて言って
   もらいたいぃ?」にこんな意味があったなんて……

真子:は、はは、は……そ、そうだよ、そうなのよ……

 

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◆「お客様の理想的な褒め言葉」を蓄積しよう!
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恵利:勝さん、この「お客様の理想の褒め言葉」って、どうやって
   「作れば」いいんですか?

勝 :お客様の言葉だから、売り手が勝手に「作る」ことはできない
   よ。望ちゃん、これはどうやって決めたの?

望 :「ホームパーティ」っていう言葉自体は、私達がREIさんの
   ところでくつろいでるとき、REIさんがポロって言って……
   (新人OL、社長となって~ P.173)

真子:あとはこれよ、望ちゃんのノートよ。お客様の言葉をいっぱい
   メモしてたよね?
真子が、望の手許にある、ぎっしりと文字が書き込まれたノートを指
さした。
望 :まさか、勝さん……だから、お客様の言葉をメモしろって……
   本のP.85で怒られたのは、今でも覚えてますけど……

勝 :「お客様の理想的な褒め言葉」は、「作る」んじゃなくて、
   「選ぶ」んだよ。お客様の言葉の中から。

真子:でも、ホームパーティみたい、っていう言葉は私達が作ったん
   だけど、それでもいいの?

恵利:でもそれは、真子達がお客さんとしてREIさんのところでく
   つろいでるときでしょ? 売り手の言葉じゃないわよ

真子:あ、そうか……そうか、私達自身がお客さんになれば、わかる
   んだ……

勝 :まあそれは「達人」でも無い限り難しいけどな。とにかく、
   褒め言葉は「選ぶ」。選ぶのは、売り手である君らだけど。

恵利:選ぶ権利は売り手にあるけど、あくまでもお客様の本当のナマ
   の言葉の中から選ぶ、ってことですね

勝 :そう。だからこのシリーズの8回目、10月6日配信号でも、
   「お客様の言葉を蓄積しよう」ってやっただろ?

真子:なあるほどぉ! 勝さん、すごいじゃん! 「お客様の理想の
   褒め言葉」を選ぶために、褒め言葉を貯めるんだ!

勝 :わーい、真子に褒められたぁ! って、ふざけんな。

望 :全ては「お客様の言葉」なんですね……

恵利:私も、望ちゃんみたいなノートを作って、お客様の言葉をメモ
   します!

 

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◆今日のまとめ
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●「お客様の理想の褒め言葉」はBASiCSそのもの。「お客様の
 言葉」を日頃から蓄積し、その中から選ぼう!

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.133 2011/10/20
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●主役はお客様。自分たちは「プロデューサー」として、お客様の
 「喜び」を演出しよう!
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◆「お客様に何て言ってもらいたい?」
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恵利:前回の復習ですよね。前回は、「お客様の理想的な褒め言葉」
   が、戦略の根幹、というのが衝撃でした……

望 :うん……それが「C:顧客」、「B:競合」に対する「S:強
   み」を決め、「A:独自資源」を導き……

真子:「Sm:メッセージ」で伝えるんだよね。戦略BASiCS、
   全部がそこに入ってる。

勝 :というわけで、朝礼の、「お客様に何て言ってもらいたい?」
   っていう質問は、戦略の究極の質問でもある。

真子:ね、私が読んだどの戦略本にもそんなこと書いてなかったよ

勝 :そりゃそうだ。大体、経営戦略本なんて「自社」視点ばっかり
   だからな。

真子:な、なんで?

勝 :戦略で言うところの「戦う」の主語は「自社」だからな。

真子:当たり前じゃん

勝 :違うだろ。真子、P.223でそう言ってたじゃねーか

真子:え??

恵利:えっと……P.223、と……競合に勝つより、お客様の喜ぶ
   顔を見る方が楽しい、って言ってるわよ、真子?

真子:えっと……ああ、言った言った。そうか、戦う、っていうより
   は、お客様にもっと喜んでいただくんだね

勝 :そうそう。「戦う」のは自社でも、「選ぶ」のはお客様。だか
   ら主語は、「自分」じゃなくて?

3人:お客様!!

勝 :ははは、そうそう。「軍事戦略」はまさに敵と「戦う」ことだ
   けど、「経営戦略」は、お客様に選んでもらう戦い。

恵利:あ、だから「強み」の定義は「お客様が競合ではなく自社を選
   ぶ理由」なんですね!

勝 :その究極の問いが「お客様になんて言ってもらいたい?」、な

真子:ホント、今回、お客様に対して、ココロからありがとう、って
   言いたいと思った……

望 :私も……お客様がオープンキッチンで楽しんでいただいてるの
   を見たら、私、実はまた泣きそうになって……

恵利:わかる……きっと、真剣に考えてやったからだよ……

真子:きゃはは、望ちゃん、泣き上戸だからね~

勝 :ツッコミどころ満載のご発言だが、面倒だから次行くぞ。

 

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◆「私達は、プロデューサー!」
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勝 :朝礼の次の言葉は、確か……

 店は舞台! 舞台の主役は!?
 お客様!
 私達は!?
 プロデューサー!

真子:うん、あってるあってる。

勝 :これも良い言葉だよな。で、何でこうなったの?

真子:その通りの意味だよ。主役はお客様。私達はあくまで脇役。

恵利:プロデューサーってどういうこと?

真子:企画・アイディア・進行・演出の総責任者。お客様が楽しむた
   めの全てのことをする、っていう意味。

恵利:へえ……結構考えてるのね……

望 :主役じゃないのよ。主役は、あくまでお客様。しかも、脚本も
   何にもない、出たとこ勝負。

真子:芸人さんでもない。私たちは、目立っちゃいけないからね。

望 :かと言って、「コンシェルジェ」とか「執事」ほど消極的でも
   ないの。楽しんでもらうための提案はしたい

恵利:だからプロデューサーなんだあ……

真子:あのね、TVで、あるお店のスタッフ教育を見たんだ。それが
   「店に出たら、自分は女優だと思え」って言うんだよね……

恵利:へえ。「ボールを持ったら観客全員が自分を見ていると思え」
   みたいですね……

勝 :そりゃ「シュート」だ。恵利ちゃん、好きだよな……

望 :うちはそれとは違うと思うの。「女優」だと「自分が見せる」
   意識になっちゃう。ベクトルが逆なのよ。

恵利:結婚式でも、新婦よりハデなドレス着ちゃダメだよね。主役は
   新婦だからね。

真子:だから、お客様が楽しんでるところにさりげなく寄り添って、
   店員をちらと見たら、すかさず気づく、っていう気配りね。

望 :色んな考え方はあると思うけど、うちは「女優」じゃないな、
   と思って。主役はお客様であるべきだと、私達は思うの。

真子:でも、積極的に仕掛ける。楽しんでもらうために、サプライズ
   だって演出したい。だからプロデューサーなのよ。

勝 :そういう、「喩え」ってわかりやすいよな。プロデューサーっ
   て密着軸らしい喩えだな。

真子:でも、「プロデュース」するためには、お客様を見てないとい
   けない。商品も良く知らないと、演出できない。経験もいる。

恵利:へえ、たった一言なのに、そこに、色んな考えが詰まってるの
   ね……

真子:いやあ、今回は考えたよ。アタマから湯気出るかと思ったよ、
   ははは。

 

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◆静止画イメージ・動画イメージで、意識共有!
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勝 :でさ、こういう言葉とか、「お客様の理想の褒め言葉」とか、
   どうやって考えた? アイディア出しするときとか。

望 :実際に、みんなにシチリアのビデオ見せたりしましたよ。私達
   が行ったときに撮ってきたのを。

真子:そうそう。REIさんのところでのホームパーティの写真とか
   みんなで見て……

勝 :なあ、それ今無いのか? 写真とか。

恵利:あ、私も見たい!!

望 :あ、上のオフィスにありますので、私が持ってくるね!

勝 :じゃあその間にデザートもらうか。

恵利:やっぱりあの、マルサラワインのチョコレートケーキ!

真子:あの仕掛けも考えたからなあ……まあ考えたのは望ちゃんだけ
   どさ、ははは。

勝 :まあ、それは本で読んでもらうとしよう。

望 :はーい、持って来ました! 恵利ちゃん、これが写真よ……

恵利:うわああ、海が青い! キレイな海だねぇ……

真子:太陽がまぶしいんだよねえ……焼けるよ、ホント。

恵利:ね、今度みんなでシチリア行こうよ!

真子:あ、行こう行こう! ね、勝さんもさあ!

勝 :海辺だと集中できないんだよなあ……のんびりしちゃって、本
   が書けない。ありゃ不思議だな。山の方が集中できる。

恵利:勝さん、たまには休んでくださいよ……ホント、倒れますよ。
   シチリア行きませんか?

勝 :まあ、恵利ちゃんと望ちゃんとなら行ってもいいかな。

真子:また照れちゃって……真子と2人きりで行きたいくせにぃ。

勝 :無視。で、みんなで共有したホームパーティの写真は?

望 :えっと……あ、これです。REIさんのところで……

恵利:わあ、楽しそう! このソーセージがサルシッチャだよね!

真子:でね、でね、これがマグロのグリルで……

恵利:でも、REIさん、いいおうちだねえ……いいなあ……何これ
   真子、変な顔ぉ!

勝 :どれ?

真子:え……きゃああ、勝さんは見ちゃダメ!

勝 :なんだ、変な顔って、真子はいつもこんなもんだろ?

真子:何それええ! しっつれーしちゃう!

勝 :まあそれはいいとして、これをスタッフで見て……どうした?

真子:だから、同じ楽しさっていうか、イメージを共有したかったの
   よ。ホントはみんなシチリアに行ければ良かったんだけどさ

望 :口で言うより、こうやってイメージで共有した方が、やっぱり
   伝わりますよ。「シチリアの太陽」のイメージとか。

勝 :そうだよな。これが、まさに「動画イメージ」であり「静止画
   イメージ」なんだよな。イメージっていうか本物だけどさ。

恵利:え……あ! 「実戦マーケティング思考」*の!!
*「実戦マーケティング思考」 佐藤義典著
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm
勝 :そうそう。言葉だけじゃ伝わらないけど、こうやって、同じ
   「絵」を見れば、それは意識を共有しやすいよな。

真子:うん、こういう楽しさ、っていうと、みんなすぐわかってくれ
   た!

望 :そうなんです、ホント今回は「具体性」のパワーを身をもって
   実感しました……

勝 :そういう意味では、今回、朝礼とか、こう言った「絵」を使う
   とか、戦略指標とか、「スタッフの意識共有」は頑張ったよな

真子:うん! ここ、そーれ・しちりあーの本店が、総本山みたいな
   感じで、人材の教育訓練センターになるの。

望 :それで、全国各地のそーれ・しちりあーのに散っていって、そ
   こで、うちの「魂」を広めていく……

恵利:「魂」を広める、か……聞いてるだけでワクワクするわ! う
   ちの店も、頑張る!! 真子、負けないわよ!

 

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◆「会社」とは何か? 「会社」は誰のモノか?
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勝 :「魂」か……なあ真子、オレがこの本で一番言いたかったこと
   って、もうわかるよな?

恵利:え……何かな? やっぱりお客様の立場に立って、とか、そう
   いうことですか?

勝 :まあそれはそうなんだけどさ、それだけじゃなくって……

望 :ええ? なんだろう……?

真子:私、わかるよ。あれでしょ、P.224~225の。会社って
   何か、会社って誰のモノか?

勝 :そう。「会社」とは何か? 「会社」は誰のモノか?

恵利:商法上は株主のモノですよね?

勝 :じゃあ、そーれ・しちりあーのが株式会社じゃなくて個人事業
   だったら、事業の本質は何か変わるの?

恵利:そ、それは……別に……そうか……制度は本質じゃないんです
   ね……
真子は親が子供を見るような目で、望と恵利を見て、勝に微笑みかけ
た。勝も微笑みで返す。
勝 :オレも、米国資本主義の権化みたいなMBAスクールに行った
   んだよ。その意味では、本当にアメリカ1のところに。

恵利:アメリカではきっと「会社は株主のモノ」っていうんですよね

勝 :そうだね。みんな真剣にそう思ってる。ある意味すごい洗脳。

望 :日本では「従業員のモノ」とか言いそう……

勝 :確かにそうなんだけど、じゃあ従業員が変わったら、そーれ・
   しちりあーのは変わるの?

望 :そ、それは……

勝 :商法なんて制度上の問題だし、従業員だって絶対にいつかはや
   めるわけだしさ。

恵利:確かに……お客様が変わっても、社員が変わっても、続く会社
   は続きますよね

勝 :そう。それがビジネスの本質。

望 :本質、ってどういうことですか?

勝 :オレの母校の校歌にさ、「集まって散らばって、人は変わって
   も、仰ぎ見るのは同じ理想の光」みたいな歌詞がある

真子:歌詞、微妙に変わってますね。大人の事情(笑)?

恵利:いい言葉ですよね……人は変わっても、理想は変わらず、生き
   続ける……会社もそうだ、ってことですよね?

望 :そーれ・しちりあーのも、そうありたいな。私達がいなくなっ
   ても、ここで変わらずお客様が笑って、楽しんでくれて……

勝 :そう! 変わらぬ何か、があるんだよ。

恵利:それが「会社は何か」の答えなんですか?

真子:まあ、おっきなヒント、って感じかな。

勝 :答えは言わない。本には書いてあるけど、自分で考えて。まあ
   正解があるわけじゃないんだけどさ。

恵利:そっかあ……じゃあ本の「答え」を見る前に、しばらく悩んで
   みようっと。会社とは何か、誰のものか……

望 :私も! 恵利ちゃん、また眠れなくなりそうね、ふふふ。

勝 :そうやって悩んで、悩み抜いて、また気づいて……そんなこと
   の繰り返しだよな。永遠に。

真子:まあそれが楽しいんだけどね

勝 :言うようになったな。じゃあ、そろそろお開きにするか!

恵利:はい! とっても勉強になりました!

望 :また頑張ろうね!

真子:うん!!

勝 :じゃあ、お疲れ様! って、まだデザートが来てない! ケー
   キ! ケーキ! ケーキ!

真子:ああ、うるさいなあ……もう……子供みたいだなあ……

恵利:私も食べるぅ! ケーキケーキ!

望 :はいはい、ちょっと待っててくださいね……私が用意しますか
   ら……

真子:じゃあ、又、本の中で真子と会ってくださいね、真子とのや、
   く、そ、く、はーと♪

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(シリーズ、完結!)

 

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◆今日のまとめ
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●会社とは何か? 会社は誰のモノか? ビジネスの本質とは? 考
 えてみよう!

 

このシリーズは、拙著「新人OL、社長になって会社を立て直す」の
補足として書かれたものです。

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