2005-08 キャリア戦略を考えよう

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.016 2005/08/18
◆◆◆◆◆◆◆◆ 今 日 の ポ イ ン ト ◆◆◆◆◆◆◆◆

●あなたの強みは何ですか? それは戦場での誰よりも強いですか?
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◆BASiCSでキャリアプランニング
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●BASiCSでキャリアプランニング

実戦マーケティング戦略の5つのピラミッドツールの中核をなすツー
ル、戦略BASiCS。

戦略とは、ライバルに勝つ(あるいは負けない)ための道具。各戦略
論のまとめ、BASiCSもそうです。

実戦マーケティング戦略では、マーケティング戦略の道具として使っ
ていますが、同様にキャリアプランニングにも使えます。

 

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◆復習:戦略BASiCSとは
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Battlefield:戦場 競合他社

Asset:あなたしか持っていないマーケティング資産

Strength:強み、独自の差別化ポイント

Customer:顧客 

Selling Message:売り文句
の5つが戦略BASiCSでした。

この5つが整合性を持ったとき、つまり

 顧客の選択肢に入る商品の集合(つまり戦場)の中で、
 あなたしか持っていないマーケティング資産に支えられた、
 独自の強みを高く評価してくれる、
 顧客セグメントに対して、
 魅力的な売り文句を投げかける

と、あなたの商品は顧客の強い支持を得ることになります。

詳細は、

図解 実戦マーケティング戦略 → http://tinyurl.com/a6ul5

 

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◆キャリアプランニングでのBASiCS
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これを、キャリアプランニングで活用するとこうなります。

●Battlefield:戦場

あなたが競合するライバル、相対評価されるときの対象者です。あな
たが新入社員なら、社長はライバルではないでしょう。同期の社員な
どが、比較される相手となります。その場合は、同期社員です。

あなたが課長なら、比較される相手は隣の課の課長かもしれませんし
別の部の同期の課長代理かもしれません。
●Asset:あなたしか持っていないマーケティング資産

あなたしか持っていない経験、人脈などが資産です。
●Strength:強み、独自の差別化ポイント

あなたしか持っていないスキル、ノウハウなどが強みになります。こ
れは、Assetによって支えられていなければなりません。

あなたしか持っていないスキルがあったとしても、それが、豊富な経
験などに支えられておらず、すぐ
●Customer:顧客 

ここがマーケティングと違い、あなたを評価する人となります。直接
の上司はもちろん、上司の上司、部下もここに入るでしょう。
●Selling Message:売り文句

あなたの強みを顧客が評価する形で言い表せる売り文句です。

 

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◆戦場はどこか?
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●戦場は社内とは限らない

今までの国内ビジネス環境では、転職もそう多くなく、競争相手は社
内の同期またはその上下1、2年くらいを見ておけば大丈夫だったか
もしれません。

しかし今は、中途採用も多く、また、自分の転職も視野に入れる必要
があります。

その場合、社内のライバルに加えて、年齢で上下5年程度の社外人材
を、あなたの競合として捉える必要があります。

業種が違う、同じ職種の人たちがライバルとなる可能性は非常に高い
です。

残念ながら、井の中の蛙でいられる時代は終わりつつあるようです。

 

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◆Asset(資産)とStrength(強み)は?
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●独自の経験に支えられた独自の強みは?
キャリアプランニングでは、Strengthは独自のスキルとなります。

しかし、それがあなた独自の経験、などの資産に裏打ちされていない
場合、スキルがスキルで終わってしまいます。

スキルは、学校や本で習ったレベルでは不十分です。本で読んで身に
付くスキルなら、競争相手に本を読まれたらすぐ追いつかれてしまい
ます。

ですから、スキルは、仕事で試すなどの独自の経験に裏打ちされて、
初めて差別化できるスキルとなります。

しつこく「独自の」と言っていますが、競争は相手がいますから、競
争相手が持ってないスキルで無いと、差別化ポイントになりません。

まず、最初のチェックは、

「ライバルが持っていないあなたの独自の強みはあるか? それは、
 独自の経験に裏打ちされているか?」

ですね。

 

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◆Battlefield(戦場)とStrength(強み)の組み合わせ
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●強みは、戦場で抜きんでているか?

強みは、あなたにとっての強みではありません。戦場において、競合
より優れた強みである必要があります。

あなたの強みが英語力で、TOEIC900点だったとしましょう。日本
人としてはすごいレベルです。しかし、外資系の会社だと英語が出来
るのは当たり前。ネイティブ並の帰国子女や、米国MBAがたくさん
いる職場だと、TOEIC900点でも普通です。

しかし、回りに英語が出来る人がいなければ、TOEIC700点でも、
十分目立つわけです。

当たり前の話かもしれませんが、意外とやりがちです。私の前々職で
私は英語が出来るので国際部なんかに行きたいと漠然と思っていまし
た。しかし、国際部に行ってしまえば、英語が出来るのは当然。する
と私の強みがなくなってしまいます。

しかし、地方の営業所にいると、英語が出来る社員は希ですから、英
語力が俄然光ります。
●強みは 相 対 的 
強みは、あくまでも戦場における 相 対 的 な評価であることに
気をつけてください。
例え、あなたが不得手だと思っていても、競合より優れていればいい
のです。

逆に、あなたが得意だと思っていても、ライバルたちがもっと得意な
ら、むしろ弱点にすらなります。
あなたは 誰 と 戦 う の か ? それによって、あなたの
強 み が 変 わ る かもしれません。
ですから、戦 場 と 強 み は 常 に セ ッ ト で 考え
る必要があるのです。よく、キャリアプランニングの本で、

「あなたの強みを考えよう」

などと書いてあります。間違いでは無いにしても、片手落ちです。強
みが戦場によって相対的に決まる以上、

「あなたの強みと、戦う相手を考えよう」

と両方を考えないと、意味がありません。

強みは、あなたにとっての強みではありません。その戦場にいるライ
バルよりも優れているものがあなたの強みなのです。

 

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◆今日のまとめ
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●あなたの「戦場」はどこですか? ライバルは誰ですか? それが
 決まらないと、強みも決められません。

●あなたの強みは、独自の経験に裏打ちされていますか?

●あなたが、あなたの強みだと思っていることは、あなたの戦場で抜
 きんでていますか?

 

 

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.017 2005/08/22
◆◆◆◆◆◆◆◆ 今 日 の ポ イ ン ト ◆◆◆◆◆◆◆◆

●あなたの強みは何ですか? それは戦場での誰よりも強いですか?
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◆強みを磨け!は正しいか?
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●強みを磨け!は正しいか?

キャリアプランニングで非常によく言われるのが、「強みを徹底的に
磨け!」です。

もちろん、これ自体はよいのですが、では、何をもって強みとするか
という重要な部分が抜け落ちています。

前号では、

・強みは戦場によって変わる。
・強みを決める前に、戦場(誰を競合とみるか)の定義が必要

と言うことを書きました。ここを具体的に突っ込んでいきます。

 

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◆Battlefield(戦場)とStrength(強み)
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●MBAは強みになるか?

例えば、あなたがトップスクールのMBAを持っていたとします。で
は、それは強みになるでしょうか?

その答えは………

戦 場 に よ り ま す 。

もし、あなたが外資系戦略コンサルティングファームや、外資系証券
会社に行くなら、それは強みではありません。

なぜなら、そのような会社では、みんなトップスクールMBAを持っ
ているからです。入るのに必要な条件ではあるかもしれませんが、強
みにはなりません。

しかし、MBAを持っている人が少ない会社では、それは強みになり
やすいでしょう。

では、英語が出来ることは強みになるでしょうか? 答えは

や っ ぱ り 戦 場 に よ り ま す 。

帰国子女ばかりの部や、外資系に行くと、出来て当然、となるでしょ
う。必要条件ではありますが、差別化にはなりません。
ですから、あなたの強みが、戦 場 に行くための 必 要 条 件
だとしたら、それだけでは不十分なのです。

 

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◆どんなスキルが必要か?
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●戦場にいる人が持っていないスキルが必要

先の英語の例で言えば、みんなが英語が出来る職場であれば、あなた
が英語が出来ることは必要ですが、あなたの強みにはなりません。

あなたが「ライバル」と定義した人たちが持っていないスキルが必要
なのです。

例えば、あなたがマーケティング部にいる、または行きたい、という
場合、マーケティングのスキルは持っていて当たり前です。それ以外
に、営業経験、開発経験などがあれば、強みになるかもしれません。

 

●スキルの組み合わせ

となりますと、戦場の人が持っていそうも無いスキルを開発すること
が有利になります。それは、今持っているスキルとは、離れたところ
にあるスキルになりやすいです。

例えば、私はマーケティングコンサルタントですが、他のマーケティ
ングコンサルタントの方があまり持っていないスキルとして、

・英語
・IT・データベースのスキル
・統計分析のスキル
・営業経験
・ディベートのスキル
・簿記(と言っても2級程度ですが)

を持っています。特に役立つのは、ITのスキルです。マーケティン
グコンサルタントで、ITに強い人はあまりいません。加えて、統計
分析が出来る人はまずいません。

逆も同じです。ITと統計に強い方で、マーケティング「も」出来る
方は希少です。

すると、顧客データの分析、マーケティングとからめた営業システム
の開発、などという分野で、

・vs 他のマーケティングコンサル : IT・統計が強み
・vs IT系の方々 : マーケティングが強み

と、どちらの方とも差別化できるわけです。

マーケティングと営業は割と近いスキルですので、両方出来る方は結
構いらっしゃいます。しかし、マーケティングとITという結構遠い
分野のスキルの組み合わせは、差別化しやすいのです。

このような ス キ ル の 組 み 合 わ せ が重要です。

これは、「強みを磨け」という考えからは出てこない発想です。

ただ、むやみに遠いところのスキルを磨いても無意味になります。マ
ーケティングとITの重なるところには、データベースマーケティン
グやSFAなどの仕事があります。組み合わせが活きる分野があるス
キルを選びましょう。

 

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◆Asset(資産)とStrength(強み)
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●ハードなスキルとソフトなスキル

BASiCSのStrength(強み・差別化ポイント)は、キャリアプラ
ンニングでは、スキルとなることが多いです。

しかし、ハードなスキルは、マネされてしまうため、差別化になりま
せん。ハードなスキルとは、机で勉強できる、形式知化されたスキル
のことです。

先に挙げた私のスキルでも、
・英語
・統計
・IT
・簿記
などは、知識系の、ハードなスキルです。やる気がある方が1~数年
勉強すれば、誰でも身につけられます。

BASiCSで言えば、Asset(独自の資産)が無いために、強みが
維持されないのです。

ではどうすればいいのでしょうか?

ハードなスキルの上に、ソフトなスキル、「知 恵」 を積み重ねて
いくのです。

例えば、英語も、TOEIC990点あった(これはハードスキル)
としても、英語で説得力のあるプレゼンが出来るとは限りません。

「このようなタイプの人には、このような表現が効く」
「この言葉は誤解を招くので使わない」

というような、ソフトスキル、知恵が無いと、説得力のある英語プレ
ゼンは出来ません。

例えば、人によっては、 issue (争点・問題点)という言葉を嫌う
人がいます。マイナスの響きを持ちかねないからです。そのような人
には、ポジティブな意味の opportunity(機会)という言葉を使う
必要があります。

英語のプレゼンは、このようなソフトスキルの積み重ねです。実践経
験を通じて覚えていくしか無いので、ハードスキルの上に、経験を積
み重ねて初めて、差別化できるスキルになるわけです。
マーケティングも同様です。マーケティングの基本的知識は、3ヶ月
もあれば誰でも覚えられます。

しかし、それを活用して結果を出す、他人に易しく教えられる、とい
うレベルに達するには、失敗も含めて、経験が必要です。4Pなどと
いう知識は3分で覚えられます。しかし、4Pだけでは不十分、とい
うことに気づくには、経験の積み重ねがいるのです。

 

●経験だけでもダメ

ハードなスキル(知識)が無くていいわけでは全くありません。経験
だけですと、その経験を体系化できないために、普遍化出来ません。

成功・失敗ともに、なぜ成功したのか、失敗したのか、という論理化
が出来ないと、応用が利きません。

例えば、宝飾品・化粧品などでは価格を上げると、それに伴って商品
価値が上がる場合もあります。そのような商品カテゴリーでは、価格
が品質のサインと取られるからです。

しかし、同じ事を、パソコンでやっても、恐らくうまくいかないでし
ょう。パソコンは、CPU、メモリなどの性能スペックがはっきりわ
かるからです。

「価格を上げたら売れた」(またはその逆)という経験だけでは、応
用が効かない(むしろ危険)なのです。

 

●差別化できるスキルの習得には時間がかかるからこそ戦略を!

そうなると、例えば、英語というハードなスキルを学ぶのに2年、そ
れを使ったプレゼン、交渉の経験を積むのにまた2年とすれば、英語
が実戦で使えるまでには4年かかることになります。

ハードなスキルは効率的にこなせても、ソフトスキルにはどうしても
時間がかかります。

だからこそ、戦場を選び、その戦場で差別化できるスキルを戦略的に
選ぶ必要があります。

それがキャリアプランニングの最重要ポイントの一つです。

 

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◆Selling Message:売り文句
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●あなたの売り文句は?

BASiCSの最後のSはSelling Message、売り文句。

「あなたの魅力を一言で言うと何ですか?」ということです。
例えば、私は、マーケティングという戦場で戦っているとして、

「高度な知識と泥臭い経験の両方を持っています」

という売り文句にしています。

MBAマーケターに対しては、「泥臭い経験」が、
経験を売りにするマーケターに対しては、「高度な知識」が、
それぞれ差別化ポイントになります。

おわかりかとは思いますが、ここは、BASiCSの最初のS、「強
み」をズバッとまとめることになります。

 

●スキル以外の殺し文句は?
先日お会いした優秀なビジネスパーソンの方は、

『「こう見えても真面目なんですよ」というのが私の殺し文句なんで
 すよ』

とおっしゃっていました。自分の他人への見え方も考慮に入れ、自分
の売り文句をはっきりと意識されているわけです。

 

あなたの魅力を一言で言うと何ですか? 

 

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◆今日のまとめ
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●自分の「強み」が、戦場に行くための必要条件になっていないか、
 チェックする。

●「戦場」にいる人が持っていそうもない、それでいて、その戦場で
 使えるスキルを持つと差別化する

●ハードなスキル(知識)だけでは不足。経験を重ねてソフトスキル
 化する。

●差別化できるソフトスキルの習得には時間がかかるので、慎重に、
 戦略的に選択する

●自分の売り文句を考える