注文率ほぼ100%の販促:プロダクトフロー

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.200 2011/07/04
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●低コストで魅力的な「あげる商品」を考え、「売れる商品」の注文
 につなげよう!

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◆成功率ほぼ100%の追加注文獲得手法
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●お酒の追加注文を得る、成功率ほぼ100%のヒミツの方法は?

ある居酒屋で、成功率ほぼ100%という脅威の販促手法が生み出さ
れたそうです! その仕掛けは……?


-----------< 記事要約 >------------

○滋賀県草津市の居酒屋「坐空」がアルコールの追加注文に成功。成
 功率は「ほぼ100%」という。
○ヒミツは、酒の試飲を勧めること。来店から約1時間経過し、2人
 組ならドリンクを4杯くらい注文したタイミングで、飲んだお酒の
 感想を訊ねる。例えば梅酒を好みそうな顧客には「メニューに載っ
 てない、とっておきの梅酒が……」などと話しかける。興味を持っ
 てくれたら、その顧客が好みそうな酒の瓶3、4種類をテーブルま
 で持っていき、目の前でミニグラスに注ぎ、試飲してもらう。
○ミニグラスに注ぐ酒の原価は1杯当たり20~30円。4杯でも原
 価は100円前後。1杯でも追加注文が取れれば元は取れる。
 

○時間がかかるために余裕のあるときにしかできないが、ある7営業
 日を調べたところ、13組(客数は39人)に試飲を薦め、54杯
 (3万5750円分)の追加注文を得ていた。

2011/04/22, 日経MJ(流通新聞), 15ページ

-----------< 記事要約 >------------

コロンブスの卵というか、言われてみればなるほど、ですよね。

原価100円で、これだけ追加注文が取れればすごいですね!

 

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◆復習:プロダクトフロー
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●お客様を「売りたい商品」へと誘う「商品の流れ」

商品には、3段階の商品があります。

1)あげる商品
2)売れる商品
3)売りたい商品

です。

お客様は、いきなり高額な商品を買ってはくれません。まずは敷居の
低い、買いやすい商品から入ってもらい、徐々になじんでいってもら
おうという流れ(フロー)です。
○あげる商品=販促物

あげる商品は、試供品・おためし商品など、手にとっていただいたり
試していただいたりする商品です。

○売れる商品=売れるけどあまり儲からない商品

売れる商品は、通常は低価格で買いやすい商品です。
ガムで言えば、1パック120円の商品です。
○売りたい商品=あまり売れないけど儲かる商品

売りたい商品は、高価格、高利益率など買いにくいけれども儲かる商
品です。

 

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◆低コストで魅力的な「あげる商品」を作ろう!
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●「あげる商品」で追加注文を獲得!

プロダクトフローは、単純ですが、非常にパワフルなコンセプトなん
です。

今回は、
あげる商品: 4種類のお酒の試飲

売れる商品: 追加注文

売りたい商品:再来店? 次回来店時の再注文?

という感じでしょうか。

割とプロダクトフローのセオリー通りの実行例です。
ロジックは単純で、
○売りたいお酒があったとしても、それをカンタンにご注文はいただ
 けない。味もわからないから、お客様はリスクを感じる。試飲とい
 うお客様にとってハードルの低い「あげる商品」を提供することで
 そのリスクを下げ、「売れる商品」を買いやすくする
ということです。
非常に単純ですが、非常にパワフルなコンセプトす。
拙著「売れる会社のすごい仕組み」*では、ヒロイン真子は「マルサ
ラワイン」を売るための相当ひねった仕組みを考え出しました。が、
あんなに複雑なことをしなくても、単に試飲していただくだけで、
100%に近い「追加注文率」を達成できる(場合もある)んです。
*「売れる会社のすごい仕組み」 佐藤義典著  青春出版社
 売れる戦略構築から実行プロセスまでを物語で体感!
http://www.sandt.co.jp/shikumi.htm

 

●あげる商品は低コストで!

あげる商品にコストをかけてしまうと、販促の費用対効果が弱まって
しまいます。

4種類のお酒の試飲のコストは、わずか100円。

そして、あげる商品をわざわざ「手配」したり「作成」したりする必
要もありません。

「試飲用」のお酒は、手元にある瓶に入っているわけですから、それ
をお客様のテーブルに持って行けばいいだけです。

この「試飲」は、売り手としても、コストや手間という意味で、意外
にラクにできる販促手法ですね。

 

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◆「価値ギャップ」で費用対効果を高めよう!
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●「試飲」の費用対効果

ではここで、この試飲施策の「費用対効果」を考えてみましょう。
4種類を試飲いただいても、材料原価は約100円。

100円の試飲コスト(材料原価)に対して得られるリターンは

「13組(客数は39人)に試飲を薦め、54杯(3万5750円
 分)の追加注文」

ですから、

1人あたり1.4杯、916円

の追加注文をいただいていることになります。

あげる商品の材料原価100円に対して、9.2倍の売上です!

売上ではなく粗利で見たとしても、916円のドリンクの材料原価は
恐らく300円以下でしょうから、少なくとも、600円程度の粗利
を得られていることになります。つまり、費用対効果は「約6倍」と
いうことになります。

さらに、次にいらしていただいたときに、その好みのドリンクをご注
文いただければ、実質リターンはさらに高くなる、ということになり
ますよね。

非常に「費用対効果」の高い販促ですね。

 

●「価値ギャップ」を利用した「試飲」

なぜこんなに「費用対効果」が高いかというと……

まずは、ヒマな時間に自ら行うので、人件費がみかけ上ゼロ(正確に
言えば埋没原価、Sunk Cost)になります。

そして、「試飲の原価」は非常に低い、ということです。その理屈は
「原価」というところです。

飲食店では、アルコールは、仕入れ原価の2.5~3倍で値付けする
ことが一般的なようです。2千円で仕入れるワインは、5~6千円で
出されることが多いようです(あくまで一般論ですが)。

すると「材料原価が100円」だとしても、実は、お客様にとっての
価値は、その数倍はある、ということになります。その意味で、低コ
ストなのにお客様には「インパクト」がある販促なんですよね。
価値ギャップという言葉は、最近だと2006年1月26日号(全然
最近ではないですね……)に登場してきますが、売れたま!発行初期
から唱え続けている、大事なコンセプトです。
・売り手にとって価値が低い:原価が安い、手間がかからない
・買い手にとって価値が高い:お金がかかる、自分ではできない
この2つの条件を満たす(つまり、売り手と買い手の間に価値のギャ
ップが存在する)場合、売り手にも買い手にもメリットがある販促な
どがやりやすくなります。

 

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◆「売れる仕組み」を作ろう!
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●試飲を「仕組み化」しよう!

さらに考えていきましょう。

この試飲は、成功率は素晴らしいですね。ただ、現在はこの「試飲販
促」ができているのは、社長などの限られた人材のようです。

そして、結構難しい技術です

「2人組ならドリンクを4杯くらい注文したタイミング」
「例えば梅酒を好みそうな顧客には」
「その顧客が好みそうな酒の瓶」
などと、さりげなく書かれていますが、このような

・タイミング
・好み
・好みに合った酒

を適切に見分け、判断し、提案する、というのは非常に高度な作業で
すよね。アルバイト店員にはまず難しいのではないでしょうか。
すると、次に必要なのは、「仕組み化」ですね。ルール・基準を決め
てしまうわけです。
例えば、

・入店から1時間後にお勧めに行く
・○○というお酒が注文された場合には、その15分後に、△△とい
 うお酒の試飲を勧めに行く

などの「ルール」を決めれば、誰でも実行できるようになります。
プロダクトフローなどをベースに、それをルール化・体系化していく
と、「売れる仕組み」ができていきます。
ぜひ、お考えになってみてください!

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◆今日のまとめ
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●低コストで、かつお客様に魅力的な「あげる商品」を考え、そこか
 ら「売れる商品」へとお客様を自然に導こう!

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